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ヘッドフォン試聴イベント「ポタフェス」秋葉原で開幕

FiiOの新ハイレゾプレーヤー、デノン初USB DAC/アンプ

ベルサール秋葉原

 最新のイヤフォン・ヘッドフォンなど500種以上のオーディオ機器を試聴できるイベント「第4回ポータブルオーディオフェスティバル2013 in 秋葉原」(通称ポタフェス)が21日、東京・秋葉原の「ベルサール秋葉原」で開幕した。会期は12月21日~22日で、入場は無料。

 大阪日本橋と秋葉原に店を構える、イヤフォン/ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」によるイベントで、国内外のメーカー112ブランド以上が参加。昨年の10月に秋葉原で行なわれた第2回ポタフェスから、フロアを2倍に拡大。出展/体験機材も2倍以上に増加している。

開放的な1階入り口

 会場はベルサール秋葉原1階のオープンスペース。ここにbeats by dr.dreとUltimate Earsが大きなブースを設け、beatsのヘッドフォンを装着して記念撮影ができるコーナーや、特価品の販売コーナー、飲食コーナーなども設置。イベントが行なわれるステージも設けられ、足を踏み入れやすい開放的で華やかな雰囲気になっている。

 2階に上がると、各社が細かくブースを出店。新製品を、来場者が持ち込んだプレーヤーやイヤフォンなどと組み合わせてジックリ試聴できる。コアなイヤフォン/ヘッドフォンファンが試聴に訪れるイベントであると同時に、秋葉原を歩いていた人が、カラフル・スタイリッシュなヘッドフォンに惹かれて来場し、興味を持って2階にも行ってみる……という動線が生まれており、上下フロアともにぎわいを見せている。

1階の入り口にはオンキヨーの巨大なヘッドフォンのオブジェも。ユニット部分からは音が出ている
物販コーナーも賑わっている
Ultimate Ears展示コーナー
飲食が可能なゾーンもある
beatsのヘッドフォンを装着して記念撮影ができるコーナーも
イベントステージでは、ライブやケーブル自作講座、新製品発表などが行なわれている

 ここでは新製品を中心に、各社の展示をピックアップして紹介する。

beats by dr.dre

ヘッドフォンラインナップを展示

 beats by dr.dreのブースでは、販売中のヘッドフォンを一挙に展示しているほか、スピーカーシリーズも展示。小型のポータブルBluetoothスピーカー「beats pill(BT SP PILLBT)」(オープンプライス/実売21,000円前後)は、独自のBeats Audio技術を採用し、ドライバの配置やメッシュの素材などにこだわったというモデル。4つのユニットを搭載している。

 NFCにも対応し、NFC対応のスマートフォンとの組み合わせで、ワンタッチのペアリングも可能。コーデックはaptXにも対応。マイクも内蔵しておりハンズフリー通話も行なえる。

 新製品として参考展示されたのは、 Beatbox Portable。年明け頃の発売を予定しており、価格は未定。Bluetooth接続対応で、aptXやAACをサポート。背面にアナログ入力も備え、Bluetooth非対応のプレーヤーとも連携できる。

beats pill
Beatbox Portable

オヤイデ

FiiOの新ハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「X5」

 オヤイデブースでは、FiiOの新しいハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「X5」を参考展示。来年春以降の発売を予定しているというもので、X3の上位モデルに位置。6万円程度を想定しているが、価格は未定。

 内蔵メモリは無く、64GBまで利用できるmicroSDカードスロットを底部に2基搭載。合計128GBのメモリが利用できる。ハイレゾ再生に対応するが、詳細なスペックはまだ不明な部分が多く、「DSDファイルの再生もおそらく可能」だという。

 デザイン面では、クルクル回せるホイールと、その中央に決定ボタンを備えたiPodのようなインターフェイスが特徴となる。

同軸デジタル出力も備えている
SDカードスロット部分

 “オーディオみじんこ”ことオヤイデ電気の荒川敬氏によるシグネチュアモデルとして、ケーブルの「HPC-MSL」も参考展示。2月発売を予定しており、PCOCC-A AWG28スターカッドリッツ線を使った、ステレオミニ-ステレオミニのケーブル。長さは1.2mで3150円。30mmのモデルも用意。短いケーブルはポータブルアンプとDACの接続などでの利用を想定している。

荒川敬氏によるシグネチュアモデルのケーブル「HPC-MSL」
30mmモデルも

ヒビノインターサウンド

iBassoのハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「DX50」

 iBassoのハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「DX50」を参考出展している。24bit/192kHzのハイレゾ楽曲再生が可能で、DACチップはWolfsonの「WM8740」を搭載。「9V Voltage Swing回路」による強力な駆動電圧により高音質化したという。同軸デジタル端子を備え、24bit/192kHzの楽曲をデジタル出力することも可能。アナログのライン出力も備える。

 外形寸法は100×64×17mm(縦×横×厚さ)で、2012年8月より発売している「HDP-R10」の118×71.8×27.5mmに比べ小型化している。再生対応フォーマットはFLAC/WAV/APE/WMA/AAC/Apple Lossless/MP3など。R10とは異なりDSD再生には対応しない。

 来年春頃の発売を目指して「ファームウェアの安定度を高めている」という状態で、価格は3万円前後を想定。USB OTGケーブルを用いて、USBメモリなどに保存した楽曲ファイルを再生できる事もアピールしていた。

ラトックシステム

 ラトックのブースでは、19日に発表したばかりのフルバランスポータブルアンプ「REX-KEB02AK」を展示している。2014年1月下旬の発売を予定し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は5万円前後。販売代理店はAKシリーズなどのアユートが担当する。

 24bit/192kHzまで対応する同軸デジタル、光デジタル入力を各1系統搭載しており、例えばアユートのハイレゾプレーヤー「Astell&Kern AK100」など、デジタル出力を備えたプレーヤーとの接続を想定している。

フルバランスポータブルアンプ「REX-KEB02AK」
AKシリーズとの組み合わせも想定

 出力はアンバランスのステレオミニ×1に加え、2.5mmモノラルミニミニ×2のバランス出力も装備。別売のモノラルミニミニケーブルと、リケーブル対応のイヤフォン/ヘッドフォンなどを組み合わせ、屋外でもバランス駆動が楽しめる。バランス駆動回路には、TI製「TPA6111」をフルバランス構成によるBTL接続で、L/Rそれぞれに使用している。

 音質面の大きな特徴は、ダイナミックレンジが広く、高速クロック(80MHz)からマスタークロックを生成し、リクロックによるジッタ除去を行なうESS製2ch DAC「ES9018K2M」を採用している事。AVアンプなどにも使われる「ES9018」を、モバイル向けにしたDACとなる。

ディーアンドエムホールディングス

DA-300USB

 ディーアンドエムホールディングスのブースでは、デノンブランド初の単体USB DAC兼ヘッドフォンアンプとなる「DA-300USB」を試聴できる。2014年2月発売予定で、価格は60,375円。

 DSD 2.8MHz/5.6MHzの再生に対応し、伝送方式はASIOドライバによるネイティブ再生と、DoPに対応。PCM入力は24bit/192kHzまで対応している。PCM信号の場合は独自の「Advanced AL32 Processing」により、ハイビット/ハイサンプリング化して処理。16bitの信号も32bit精度にハイビット化し、サンプリングレート44.1kHzの場合は16倍、192kHzの場合は4倍にオーバーサンプリングする。

 PCからのノイズ混入を防ぐため、デジタル・アイソレータを搭載しているのも特徴。DSD信号の伝送にも余裕を持って対応できるというハイスピードなトランス結合タイプのアイソレータを用いて、PCとDA-300USBのデジタル回路を電気的に絶縁。PCノイズの影響をシャットアウトしている。

 入力端子はUSB×1、光デジタル×2、同軸デジタル×1。出力は標準ステレオのヘッドフォン端子×1、RCAのアナログ出力×1を用意する。なお、光/同軸デジタル入力は、最大24bit/192kHzまで対応する。

縦置き、横置きどちらも可能で、ディスプレイの表示方向は自動で変化する
背面
DragonFly ver.1.2

 さらに、米AudioQuestのヘッドフォンアンプ内蔵USB DAC「DragonFly」の新バージョン「DragonFly ver.1.2」も展示。12月25日発売で、価格は27,500円。

 USBバスパワーで動作する、スティック型のヘッドフォンアンプ内蔵USB DAC。従来モデル「ver.1.0」(27,500円)から、DACチップとアナログ出力ステージ間の回路を刷新。「透明性や臨場感がさらに向上した」という。DACの電源も強化された。

eme audio

eme audioのiA10 E。写真はLightningモデル。iPhoneのLightningコネクタとカナル型イヤフォンを直接接続できる。リモコン部分にDACを搭載

 eme audioのブースでは、多くの新製品を参考展示している。iA10 Eは、一見すると普通のカナル型イヤフォンだが、入力端子がステレオミニではなく、LightningやUSBになっており、そのままiPhoneやAndroidスマートフォンとデジタル接続。リモコン部分にDACも内蔵しており、そこでアナログ変換した音をイヤフォンから聴けるという製品。価格や発売日は未定。

 iA10 Eは、イヤフォンとDACが分離できないが、分離できるようにしたモデルも用意。「iA10」と「iA20」で、Lightning、USB端子のモデルをそれぞれに用意。反対側の端子はステレオミニになっており、ユーザーが好きなイヤフォンを接続できる、超小型・ケーブルタイプのDAC兼ヘッドフォンアンプになっている。

 どちらのモデルも24bit/96kHzまでサポートする予定で、iA10はWolfsonの、iA20はESSのDAC「ES9023」を使用している。こちらも価格や発売日は未定で、来場者の意見も聞きながら開発を進めていくという。

手前にあるのがiA20。奥にある、ケーブルの無いタイプも試作されている
iA20のステレオミニ出力部分
iA10

 他にも、開発中の製品として、ボリュームダイヤルを備えたUSB DAC兼ヘッドフォンアンプ(USBバスパワー駆動対応)や、コンパクトなBluetooth受信対応セパレートアンプなどを参考展示している。

ボリュームダイヤルを備えたUSB DAC兼ヘッドフォンアンプ
Bluetooth受信対応セパレートアンプ

フォステクス

 以前からイベントで参考展示を行なっている、真空管を採用したポータブルヘッドフォンアンプ「HP-V1」の最新版を参考展示。徹底したピュアアナログ設計にこだわったというモデルで、放熱用の穴を増やすなど、より改良が進んだバージョンだという。

 来年2月頃の発売を予定しており、入力はアナログのみ。価格は、DACも搭載したポータブルアンプ「HP-P1」(68,250円)よりも少し安い程度を想定しているという。

 また、金属のハウジングを採用したヘッドフォンのプロトタイプも参考展示。平面駆動のドライバを採用した、新機軸のモデルとして開発しており、来年中頃の発売を目指している。

真空管採用のポータブルヘッドフォンアンプ「HP-V1」
金属ハウジングのプロトタイプヘッドフォン

アユート

AK120用ケースの限定カラー、パープル

 Astell&Kern AK120用ケースの、ポタフェス限定カラーとしてパープルを会場限定販売している。限定数は50個で、価格は6,980円。

 さらに、カーボンをイメージしたという仕上げがなされたAK用の新ケースや、DAC内蔵小型ヘッドフォンアンプ「AK10」のカラーバリエーションも参考展示。来場者の意見を取り入れながら、実際に販売するカラーバリエーションを検討するという。また、AK10のオプションとして、iOS機器の30ピンDock端子と接続するためのケーブルも参考展示していた。

AKシリーズ用ケースの新バリエーションも参考展示
AK10のカラーバリエーション展開も検討中
30ピンDockのiOS機器とAK10の接続を可能にするケーブル

その他

 日本ディックスが日本総代理店となり、年明けの発売を予定しているのがAcoustuneが開発したポータブルヘッドフォンアンプ。24bit/192kHz対応のDACを搭載し、PC/iOS/Androidとのデジタル接続や、光デジタル入力、アナログライン入力を搭載。外形寸法は60×105×17mm(幅×奥行き×厚さ)。重量は130gで、アルミ筐体を採用している。

 大きな特徴は「クロスディフューズ」と呼ばれる音響回路を搭載している事。ヘッドフォンは直接音しか耳に入らないものだが、スピーカー再生では右スピーカーの音が左耳に、左スピーカーの音が右耳に入る事もある。これが「再生音に独特の臨場感を与える」とし、一定の信号処理条件で、右の信号を左へ、左の信号を右へ、あえて混在させ、奥行きや臨場感などを擬似的に強調するというもの。真空管の音をシミュレートする「チューブスリーディー」機能も備えている。価格は3万円程度を想定。

Acoustuneが開発したポータブルヘッドフォンアンプ
iFI-Audioのブースでは、「i」シリーズの各コンポを綺麗に設置するためのラックを参考展示。ケーブルのとりまわしにも考慮された設計になっているという
Deff Soundが参考展示し、来年2月頃の発売を予定しているのが、DSD 2.8MHzや24bit/96kHzまでのPCM再生に対応し、天面に大きなボリュームダイヤルを備えたUSB DAC兼ヘッドフォンアンプ。価格は2~3万円程度を予定している。アナログRCA出力や、標準、ステレオミニのヘッドフォン出力を備えるなど、豊富な入出力を備えているのも特徴
ベンチャークラフトでは、「SounDroid Typhoon」の限定カラー、赤モデルを12月21日に発売。価格は59,800円で、100台限定。MUSES02を標準搭載している

(山崎健太郎)