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“感動”呼ぶ製品で革新を続ける。ソニーが4K BRAVIAやウォークマンZX2など発表

 ソニーは、米国ラスベガスで1月6日(現地時間)から行なわれるコンシューマエレクトロニクス展示会「2015 International CES」の開幕前となる5日にプレスカンファレンスを開催。平井一夫社長兼CEOが登壇し、独自開発の4KプロセッサーX1を搭載したBRAVIAや、ハイレゾ対応ウォークマンのフラッグシップモデル「NW-ZX2」、4K対応アクションカムなどを発表した。

ソニーの平井一夫社長兼CEO

“感動”が他社との差別化要因に

 平井氏は新モデルの紹介に先立ち、ソニーが製品を生み出すときに、「技術の進歩」だけでなく、「感動を与えること」に重点を置いていることを強調。

 最初に説明したのは、'14年11月に発表したクラウドベースのテレビサービス「PlayStation Vue」(PS Vue)。PS4/PS3でテレビ番組のライブ放送やオンデマンド視聴、キャッチアップ(見逃し視聴)が行なえるもので、ニューヨークなど米国の一部都市でβサービスを開始している。詳細は西田宗千佳氏のコラムで解説している。平井氏は「テレビを視聴する時間を、テレビ局のスケジュールではなく、“あなた”(ユーザー自身)が決められる」と述べた。

 最近の革新的なハードウェアの例としては、強力な暗所撮影能力を持つデジタルカメラのフラッグシップモデル「α7S」を紹介。「広ダイナミックレンジの高画質な写真を(プロだけではなく)“あなた”が撮影できる」とし、ユーザーに新たな体験をもたらすことをアピールした。

 これに関連し、デジカメなどにも使われているセンサー技術の新たな応用先として、「自動車(オートモーティブ)」を挙げた。車のボディに装着するカメラを使った駐車のアシスト機能や、衝突防止のためのフロントカメラなどを例に、家電とつながる先として自動車分野へのセンシングテクノロジーの活用に期待を寄せた。

α7S
車にセンサー技術を応用

 リビングスペースの進化については、超単焦点プロジェクタを軸とした「Life Space UX」の新たな取り組みとして、照明付きのスピーカー「Symphonic Light Speaker」を紹介。「音が全方位に広がり、独自のAdvanced Vertical Driveテクノロジーにより、クリスタルクリアサウンドに包まれる」とした。

Life Space UX
Symphonic Light Speaker

 平井氏はこれまでのイベントなどでも述べてきたように、Kando(感動)をキーワードにして、今後も革新的な製品を出し続けていくとの意向を説明。それは決して機能面だけでなく、感情に訴えかけるという意味であり、それがソニーと他社との違いであることを付け加えた。

 そのほかのトピックとしては、PS4が2014年の年末・年始商戦期に、全世界で410万台以上の実売を達成し、世界累計実売台数が、1月4日時点で1,850万台を超えたことにも言及。次世代ゲームコンソールで大きな成功であることを強調し、PlayStation Plusや、Video Unlimited、Music Unlimited、前述の新サービスPS Vueを加えることで、“最高の遊び場”を提供し続けるとの考えを示した。

 なお、会見の冒頭に平井氏は、米Sony Pictures Entertainmentの映画「The Interview」の北米公開時に、サイバー攻撃を受けた一連の騒動について説明。攻撃に屈することなく上映できたことに喜びを示し、エンターテインメントビジネスにとっての映画の重要性を強調。結果として大きな話題となったThe Interviewだけでなく「もちろん、(同じSPE作品である)ANNIE/アニーもファンタスティックな映画です」と繰り返しアピールし、会場からは笑いがこぼれた。

“感動”がキーワード
最近のコンテンツとして、4Kで撮影されているドラマなどを紹介

 具体的な新製品の詳細は、米Sony ElectronicsのMike Fasulo社長兼COOが説明。Android TVと新4Kプロセッサ「X1」を搭載したBRAVIAや、ハイレゾ対応ウォークマンの「NW-ZX2」、小型の4Kハンディカム「FDR-AX33」などを披露した。

米Sony ElectronicsのMike Fasulo社長兼COO
4K BRAVIA
4Kプロセッサ「X1」

 BRAVIAの「X9000Cシリーズ」は、世界最薄という約4.9mm(最薄部)を実現し、新たなデザインコンセプトの「Floating Style」を提案。また、「X9300Cシリーズ」は、放送などの圧縮音源をハイレゾ相当の音質にアップスケールする独自のDSEE HXやハイレゾ対応スピーカーを搭載した“世界初のハイレゾ対応テレビ”としている。

世界最薄という約4.9mm(最薄部)を実現した「X9000Cシリーズ」
側面
ハイレゾスピーカー内蔵モデル「X9300Cシリーズ」

 また、4KやフルHDモデルの多くにGoogleのAndroid TVを採用。そのメリットとして、音声検索での簡単な操作やGoogle Playアプリとの連携、付属のタッチパッドリモコン(One-Flick Remote)「RMF-TX100U」を使って動画サービスなどを直感的なUIで楽しめる「One-Flick Entertainment」などを紹介した。

音声検索
Google Playアプリ
One-Flick Entertainment
タッチパッドリモコン(One-Flick Remote)「RMF-TX100U」でフリック操作が可能

 新4K BRAVIAは、H.265/HEVCやWebM VP9の4Kストリーミング配信コンテンツの再生に対応。AmazonPrime instant videoやNetflix、Video Unlimited 4K、YouTubeの各サービスに対応する。これに関連し、対応サービスの一つであるNetflixから、Chief Sreaming & Partnerships Offcerを務めるGreg Peters氏がゲストとして登壇。'14年のCESでは、両社が4Kコンテンツ配信で協力することを発表しており、今回のCESではその関係を強化することを説明した。具体的には、ユーザーがBRAVIAでNetflixを操作しやすいようにUIなどの面で協力。さらに、画質面でも協力しており、昨年4K解像度に対応したのを第一歩とし、次のステップとして、ハイダイナミックレンジ(HDR)動画もサポート。NetflixのHDRコンテンツをソニーのBRAVIAで視聴できるようにすることを明らかにした。

BRAVIAが対応する4K動画配信サービス
NetflixのGreg Peters氏

 その他の製品も4K対応を拡充。4K対応アクションカムの「FDR-X1000V」は、4K/30p 100Mbpsのハイビットレート撮影に対応。電子式手ブレ補正機能も強化したほか、風音低減機能も初搭載した。また、4Kハンディカム「FDR-AX33」は、現行機の「FDR-AX100」比で体積約30%、重量約20%の小型/軽量化を実現。広角から望遠まで全範囲でブレを抑える空間光学手ブレ補正機能を4Kハンディカムとして初めて搭載している。

4K対応アクションカムの「FDR-X1000V」
小型/軽量化した4Kハンディカム「FDR-AX33」
新4K対応アクションカム「FDR-X1000V」のデモとして、スケートボーダーのTony Hawk氏が、スケートボードやスノーボード、サーフボードで撮影した動画を紹介

ハイレゾウォークマンZX2、マルチルーム対応スピーカー、メガネ型端末など

 ハイレゾオーディオ製品としては、ウォークマンの「NW-ZX2」や、マルチルームにも対応したワイヤレススピーカー「SRS-X99」などをラインナップ。NW-ZX2は、'13年発売のNW-ZX1の上位モデルで、電源やシャーシなどから見直して音質を改善したほか、miroSDカードスロットを装備し、メモリ容量拡張に対応。本体メモリは128GB。ソニー独自のBluetoothコーデック「LDAC」にも対応。LDACは、既存のSBCコーデック(44.1kHz/328kbps)と比べ、約3倍の情報量で音源を伝送できるというもので、より高音質なワイヤレス音楽再生が可能となる。

 SRS-X99は、ハイレゾ対応の一体型スピーカーで、Wi-FiとBluetoothに対応。'14年モデルSRS-X9の後継機で、新たに複数スピーカーを組み合わせて別の部屋で同じ曲を楽しめるマルチルーム配信機能「Song Pal Link」に対応。他の対応機器と組み合わせて、リビングとキッチン、寝室など異なる部屋に置いた機器同士でWi-Fi連携して1台のスマホの音楽を同時再生できる。

ウォークマンの「NW-ZX2」
ワイヤレススピーカー「SRS-X99」。左は前面グリルを外した状態
ソニーがハイレゾ対応製品を示すロゴとして使っていたものを、米国でCEAも採用したことにも言及した

 スマートフォン関連では、最新のXperia Z3を通信会社のVerizonとT-Mobileが採用(Verizon製品はデザインが一部異なるXperia Z3v)していることを説明。今後の動きとして、Z3を2月にグローバルでAndroid L(Android 5.0)対応にアップデートすることを予告した。

VerizonのXperia Z3v
T-MobileのXperia Z3
2月にAndroid 5.0に対応予定

 また、ウェアラブル機器として、ランニングしながら心拍やGPSの測定、音楽再生などが可能なデバイス「Smart B-Trainer」や、メガネ装着型片眼用ディスプレイモジュールのスポーツ向けコンセプトモデル「SmartEyeglass Attach!」、透過式メガネ型端末「SmartEyeglass」なども展示した。ブースの展示内容は、追って別記事でレポートする予定。

「Smart B-Trainer」
ウォークマンWのような外観だが、音楽再生だけでなく様々なセンサーを備え、スマホとも連携可能
「SmartEyeglass Attach!」

(中林暁)