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OPPO、ESS DAC搭載薄型ポタアンと、初の密閉型平面振動板ヘッドフォン

 OPPO Digital Japanは、USB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」と、平面振動板を採用しつつ、ハウジングを密閉型としたポータブル向けヘッドフォン「PM-3」を3月20日に発売する。価格はどちらもオープンプライスで、店頭予想価格はHA-2が39,000円前後、PM-3が55,000円前後。PM-3はブラックとホワイトのカラーバリエーションを用意する。

USB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」と、ポータブル向けヘッドフォン「PM-3」

 USB DAC内蔵のポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」は、薄型の金属筐体に革張りのスタイリッシュなデザインが特徴。外形寸法は157×68×12mm(縦×横×厚さ)、重量は175gと、スマートフォンと組み合わせやすいサイズになっている。

 ヘッドフォンのラインナップとしてOPPOは、平面振動板を採用したオープンエアの「PM-1」と「PM-2」の2機種を発売しているが、「PM-3」はその技術を採用しながら、密閉型ハウジングになり、ヘッドバンドなどがやや細身になっているのが特徴。ユニットの口径もPM-1とPM-2は85×69mmの楕円形だったが、PM-3では真円の55mm径になっている。

USB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」と、ポータブル向けヘッドフォン「PM-3」

HA-2

 据え置き型ヘッドフォンアンプ「HA-1」のコンセプトを基に設計された、OPPO初のポータブルアンプ。「音楽鑑賞を楽しむだけでなく、洗練されたデザインでライフスタイルを彩るモバイルギアとして開発された」という。筐体はアルミ製で、表面にブックカバーを模した本革製カバー採用。本の装丁を意識したデザインになっている。

USB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」。薄型なのが特徴

 DACにESSの「ES9018K2M」を搭載。DSDは11.2MHz、PCMは384kHz/32bitまでのデータに対応。USB A(iOS機器向け)と、マイクロBのUSB入力(USB OTG機能付きスマホ/PC向け)を備え、Android端末やPC、iOS機器とのデジタル接続が可能。iOS機器の場合、カメラコネクションキットは不要で、付属のUSB-Lightningケーブルで接続できる。

ステレオミニの出力、ライン入力も備えている
底面にUSB入力を備えている
ボリュームツマミ

 Android端末で、本体のみでデジタル出力が可能な機器は、Android 5.0採用端末、ソニーのXperia Z3/Z3C SO-01G/02G等、サムスンのGalaxy Note Edge SC-01G等、富士通のArrows NX F-02G等。それ以外の機器では、ハイレゾ再生アプリの「HF Prayer」などを使う必要がある。

 ウォークマンの場合は、WM-ZX/F880/A10シリーズは、別売のソニー製専用ケーブル「WMC-NWH10」を介する事でデジタル接続が可能。これらのUSB入力に加え、ステレオミニのライン入力も備えている。

 アンプ部はAB級アナログアンプを採用。High/Lowのゲイン設定や、Bass boost機能も搭載する。出力はシングルエンドのステレオミニ×1系統。最大出力は、300mW(16Ω)、220mW(32Ω)、30mW(300Ω)。推奨ヘッドフォンインピーダンスは16Ω~300Ω。

 薄型だが、3,000mAh程度の大容量バッテリを搭載しており、スマートフォンなど、連携している機器に向けての“おすそ分け充電”も可能で、モバイルバッテリとして使う事もできる。

スマートフォンのXperia Z1と組み合わせたところ
バッテリ残量をインジケーターで知らせてくれる

 バッテリの持続時間は、USB入力利用時で約7時間、アナログ入力で約7時間。充電時間は約1時間30分だが、30分で70%の充電が可能な独自の「ラピッド・チャージ」機能も備えている。

PM-3

 同社の平面振動板ヘッドフォンは、全面駆動型ヘッドフォンとしては高能率である事が特徴だが、PM-3でもその特徴を踏襲。ポータブルプレーヤーとの組み合わせを可能にしている。感度は102dB/1mW。インピーダンスは26Ω。再生周波数帯域は10Hz~50kHz。

PM-3のホワイトモデル

 PM1/2のユーザーから寄せられた、小型化へ屋外利用の要望に応えるために開発された、コンパクトかつ軽量な密閉モデル。ユニットは真円の55mm径。

 最大の特徴は、平面磁界駆動方式を採用している事。一般的なダイナミック型ユニットは、お椀のような形の振動板が、前後に動いて音を出すが、平面磁界駆動方式では平らな振動板になる。PM-3では7層ポリマー振動板を採用。この振動板の両面に、渦巻き模様のようにアルミ導体がエッチングされている。

PM-3のブラックモデル
左側は一般的なダイナミック型ユニット。分割振動が生じているが、右のPM-3の平面振動板では均質な位相特性を実現している

 通常のユニットでは、振動板の分割振動により周波数特性が悪化するが、平面磁界駆動方式では振動板全体で均質な振動ができるため、低音から高音までフラットな周波数特性が実現できるという。また、両面に駆動コイルを搭載することで、強力な駆動力と応答性を実現するとしている。

 磁気回路にはネオジウムを採用。FEM(有限要素法)解析により、形状や配置を最適化する事で、出力音圧レベルを高めている。

 イヤーパッドは音響特性と肌触りを両立したものを採用。軽い装着圧と、フィット感も追求したという。

 ケーブルは片出しで着脱も可能。ヘッドフォン側の端子はステレオミニ。3mと1.2mのケーブルを同梱する。ケーブルを含まない重量は320g。キャリングケースを同梱。将来的に、別売のアクセサリとして、iDevice対応と、Android対応のリモコン付きケーブルの発売も検討されている。

使用イメージ
ケーブルは着脱可能で、片出しタイプ
ハウジングは平らにできる

信条は「高い品質の製品を、低コストで提供」

OPPO Digital本社、プロダクトマネジャー担当のクリストファー・ヴィック氏

 OPPO Digital本社でプロダクトマネジャーを担当しているクリストファー・ヴィック氏は、OPPOというメーカーの信条として「高い品質の製品を、低コストで提供する事」を挙げる。

 2004年に設立されたOPPOは、米カリフォルニア州のマウンテンビュー(シリコンバレー)を本拠地とし、直販をメインにビジネス展開。その他の国でも、販売などにかかるコストを極力抑え、低価格に設定しているのが特徴という。

 同時に、このビジネススタイルは価格を抑えるだけでなく、「製品へのフィードバックを、ユーザーから直接受け取れる。カスタマーサービスのスタッフと、製品開発のスタッフは、同じフロアで仕事をしているので、そうしたフィードバックをすぐに製品に活かし、クオリティアップに繋げられる」強みもあるという。

 また、シリコンバレーを本拠地にする事で、同じシリコンバレーにあるESSとも良好な関係を構築。「ESSとオフィスは15kmしか離れておらず、何か課題が出てきた時も、すぐにエンジニアが赴いて、顔を付きあわせて話し合いができる。これはとても有利な事」だという。

 こうした利点を活かし、「高い品質の製品を、低コストで提供」していく事で、「コストパフォーマンスが高い事で使って頂けるお客様も増え、我々からサプライヤーへの発注数も増え、我々はより良い製品を作っているという誇りが持てる。皆がハッピーになれる」と、好循環が構築できている事をアピールした。

OPPO Digital Japanの河野謙三社長
ディレクター 広報・マーケティング担当の松浦亮氏が製品の概要を説明

 Blu-rayなどのユニバーサルプレーヤーを手掛けてきたOPPOが、ヘッドフォンやヘッドフォンアンプに参入したキッカケについては、「ユニバーサルプレーヤーのBDP-105に搭載しているヘッドフォンアンプの音をチェックするため、様々なヘッドフォンを使ってみた。その内に、“もっと良いヘッドフォンが作れるのではないか?”と考えるようになった」という。

 平面磁界駆動方式を採用した事については、「技術としてとても良いのではないかと気づいたため。しかし、平面磁界駆動方式のヘッドフォンには、重量や装着性が悪い、能率が悪いなどの問題があった。しかし、「我々のデザイン、エンジニアリングの能力で、対応可能だと判断した」という。

 デザイン面では、「ハイファイだからといって、格好の悪い外見ではよくない。一方で、見た目が良くても、音は中程度ではダメ。使いやすく、見た目も美しく、音質も素晴らしい。これらを両立させる事は可能だと思っている」と語り、HA-2の完成度の高さを訴求。「専用のリスニングルームで楽しんでいたようなサウンドを、屋外で気軽に楽しんでいただきたい」とした。

 将来性については、「伸びのあるヘッドフォンマーケットは、今後、将来にわたって、成長が予見できる」と説明。今回の新製品も含め、日本市場で今後、「単機能かつ高性能という既存のジャンルを破壊的イノベーションで打ち破り、2014年度は前年比240%、2015年度は同260%の年度成長率を実現したい」と語った。

日本市場での年度別成長率のグラフ

(山崎健太郎)