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beyerdynamic最上位ヘッドフォン「T1」が、リケーブル/バランス対応の第2世代に
(2015/8/21 17:00)
ティアックは、独beyerdynamicのヘッドフォン・フラッグシップモデル「T1」を刷新、テスラテクノロジーを進化させ、ケーブル交換も可能にした「T1 2nd Generation」を8月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は13万円前後。
2009年に発売された「T1」を進化させたという第2世代モデル。ハウジングはセミオープン型。1テスラ(=10,000ガウス)を越える強力な磁束密度を生み出すテスラテクノロジーを採用しているのは従来と同じだが、高周波帯での共鳴抑制、内部パーツの共振抑制など、細かな改善を実施。「さらに質の高いテスラサウンドが楽しめる。より正確で力強い低音再生、加えてバランスのよい音場表現を実現した」としている。
専用ケーブルもより品質の高いものに変更、高純度無酸素銅7NOCC線と、外部ノイズに強いテキスタイルコーティング(繊布被覆)を採用している。ケーブルの着脱も可能になっており(両出し)、リケーブルが楽しめるほか、バランス接続ケーブル/アンプと組み合わせたバランス駆動にも対応する。ヘッドフォン側の端子は3.5mmの3極タイプ。
4ピンXLR端子を使ったバランス接続用ケーブル「B CABLE T1 2G」も9月中旬ごろに別売オプションとして発売予定で、価格は12,000円前後。ケーブル部はオヤイデ電気製の102 SSC導体を使用し、TRSプラグはオヤイデ電気製の銀ロジウムメッキプラグ「P-240TSR」、XLRはノイトリック製。ハンダはオヤイデ電気の無鉛銀ハンダ「SS-47」を使用する。
長時間のリスニングも快適に行なえるというイヤークッションを採用。T1からの変更点として、低反発のメモリークッションを組み合わせた2層構造となっている。キャリングケースも同梱する。
再生周波数特性は5Hz~50kHz。感度は102dB。インピーダンスは600Ω。付属ケーブルは3mの両出しストレート。入力プラグはステレオミニで、標準への変換アダプタも同梱。ケーブルを省いた重量は360g。
日本の技術も随所に活用された新フラッグシップ。試聴してみた
ティアックは、21日にT1 2nd Generationの製品発表会を開催。beyerdynamicから、アジアパシフィックインド地域のシニア・デベロップメント・マネージャーを務めるAnja Yates氏と、製品開発責任者のMario Gebhardt氏が来日し、新製品を紹介した。
当初は、ドイツ・ベルリンで9月4日に開幕する「IFA 2015」において、全世界同時発表を予定していたとのことだが、Yates氏は「T1が世界で最も売れている日本で最初に発表することに決めた」と述べ、マーケットとして重視していることを強調した。
従来のT1との違いについて、開発者のGebhardt氏は「市場の様々な声を反映し、よりディテールにこだわった。『T1は低域が弱い』との意見があったが、単にベース部分をブーストするのではなく、輪郭がソリッドで温かみのある低音にして、バランスの取れたサウンドに仕上げた。高域は、T1よりもっと聴かせたり、抑えたりするのではなく“適切な聴こえ方”を目指した」と説明。
テスラドライバの改善点としては、中央にフィルタを設けたことで、不要な共振を徹底して排除。「アコースティックノイズを可能な限り抑えた」としている。また、バッフルへのユニットのマウントの形状や位置、角度を変えることで、より“正確な動作”を可能にしたという。
ケーブルに採用したOCCは、日本の金属工学者である大野篤美氏の発明した技術であり、新モデルの「T1 2nd Generation」においても、ピュアな信号伝達に寄与しているという。また、T1から変更されたヘッドバンドの合成皮革には、日本のメーカーによるプロテイン加工の素材を使用していることを説明。様々な部分に日本の技術も活かされていることを紹介した。
会場で、T1 2nd Generationと、ティアックのハイレゾ対応ヘッドフォンアンプ「UD-503」をXLRケーブルでバランス接続し、試聴した。
PCソフトのTEAC HR Audio Playerで、ケニー・バロン「My Funny Valentine」や、イーグルス「Hotel California」、ポリス「Every Breath You Take」などを再生。音楽ジャンルを問わず、圧倒的な情報量で濃密な音が押し寄せ、中低域の豊かさが心地よい。セミオープン型のため、広がり感という意味では開放型に比べると限定的だが、その分、楽器一つ一つの音が細かく再現され、それを余さず受け取ることができ、密閉型よりも広いステージで音楽を味わえる“ちょうどよい音場感”が魅力。密閉型や開放型とはまた別の、新しいリファレンスとなりそうだ。