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「PS VR」のサマーレッスンや「ニコ動VR」など“VR”に注目、東京ゲームショウ開幕
(2015/9/17 19:07)
コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、国内最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2015」が17日、幕張メッセで開幕した。会期は9月17日から20日の4日間で、17/18日はビジネスデイ。19日と20日の2日間が一般公開日となる。一般公開日の入場料は、一般(中学生以上)が当日1,200円、小学生以下は無料。ビジネスデイはゲームビジネス関係者のみ入場できる。
PlayStation 4やスマートフォン向けなどの新作ソフトが多数展示されているほか、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が開発を進めている「PlayStation VR」(旧Project Morpheus)やOculus Riftなど、ヘッドマウントディスプレイとバーチャルリアリティ技術を活用した新時代のゲームやエンターテイメントの追求も活発に行なわれている。
なお、日本マイクロソフトは今年出展していないが、9月26日に東京で、10月4日大阪で「Xbox One 大感謝祭 2015」という独自イベントを開催する予定。
PlayStation VRに注目が集まるPlayStationブース
PlayStationブースでは、正式名称が「PlayStation VR」に決定したHMDに注目が集まっている。昨年のゲームショウでも試作機が展示されたが、今回はさらに進化したHMDに加え、体験できるコンテンツも増加している。
PlayStation VR(PS VR)は、1,920×1,080ドット/5.7型の有機ELディスプレイを備え、左右の目にそれぞれ960×1,080ドットの映像を表示して3D立体視が可能なデバイス。リフレッシュレートは120Hz/90Hz。視野角は約100度と広い。
加速度センサーやジャイロセンサーを備え、ユーザーの頭部の動きを検出。それに合わせた映像を表示する事で、ゲームの世界に入り込んだような没入感が楽しめる。ハードウェアとしてはPS4と接続し、PlayStation Cameraも活用する。PS4との接続はHDMIとUSB。ヘッドセットから外部ディスプレイに映像を出力するソーシャルスクリーン機能も備えている。
SCE独自開発の3Dオーディオ技術により、仮想空間内の音響も連動して変化する。ワイヤレスコントローラーのDUALSHOCK 4やPlayStation Moveモーションコントローラを使って、仮想空間内を移動したり、仮想キャラクターと交流することも可能だ。
今年のゲームショウではコンテンツも充実。オンラインゲームの「ファイナルファンタジーXIV ONLINE」や、「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」、「サマーレッスン」、「ダンガンロンパ」などの試遊コーナーが設けられており、体験したいコンテンツの列に並ぶ形となる。
実際に体験してみる
会場で「サマーレッスン」を体験してみた。AV Watch読者には、ソニーのHMD「HMZ-T3」や「HMZ-T1」がお馴染みだが、それと比べるとPS VRは筐体前方部分が縦に長く、大型に見える。ただ、持ち上げると見た目よりも軽く、ホワイトを基調としたカラーリングでもあるため、あまり大仰な感じは受けない。
メガネをかけたままでも装着可能で、頭の後ろのバンドに搭載されているダイヤルを回して固定完了。装着の手間はかからず、おでこなど、頭に触れる部分には肉厚の柔らかいパッドも装備されているので不快感や違和感は少ない。
視野角が約100度と広いため、感覚的にはほぼ“視界全体が映像に支配される”イメージだ。それゆえ、没入感は高い。
体験した「サマーレッスン」(E3 2015バージョン)は、海が見える日本家屋が舞台。アメリカから来た、金髪の女の子が縁側に座っており、プレーヤーは日本語を教える家庭教師(?)というシチュエーション。
首を左右上下に動かすと、庭や縁側を見回せる。3DCGで作られているので、天井を見上げたり、身を乗り出して廊下の奥の部屋を見る……といった事も可能だ。視界が映像に支配されているので、本当にその場にいるような感覚だ。また、PS VRと共にヘッドフォンも装着しており、女の子が片言の日本語であれこれ喋っている声が、右の方から聴こえている。首を動かして背を向けると、彼女の音像もその動きに合わせて背中側から聴こえてくる。
しばらくは“これがPS VRの世界か”“映像の解像感や音のサラウンド感は……”と細部を評価する気持ちで接していたが、彼女が縁側から立ち上がり、自分の目の前に仁王立ちすると、意識と視線が勝手にそちらに集中してしまう。彼女がこちらに近づくと、実在感が強烈なあまりに、彼女がいる方向のおでこがザワザワする。そこに存在していないのはわかっているが、彼女の体温が空気を介して伝わってくるような気すらして、おでこの一部が熱くなる。
プレーヤーの脇に座り、日本語の教科書を開いて「ここはなんて読むの?」という感じで身を寄せてくると、“実在感がどうの”という冷静さも吹き飛び、あまりの近さにドギマギしてしまう。周囲にはプレス関係者が沢山いるので、ニヤケるわけにはいかないと頭の中で念仏のように繰り返してもニヤけずにはいられない。ほんの数分のコンテンツだが、PS VRを外した後は体験の強烈さの反動でグッタリした。ゲームやコンテンツとして面白いとか、面白くないという世界を超えた、何か“禁断の扉”を開いたような感覚すら覚えた。
PS Nowも体験可能。PS向けの周辺機器新製品も
PS Nowは、PS4やPS Vitaなどからクラウド経由でPS3のゲームをプレイできるもの。北米などで先行してスタートしているが、日本国内でも16日ごろからベータサービスがスタートしている。
対応デバイスは、PS4、PS Vita、PS Vita TV。今後はソニーの液晶テレビBRAVIAや、同社のBlu-ray Discプレーヤーの一部機種にもサービス提供を予定しており、ブースではBRAVIAでのゲームデモも用意されている。
現時点では、2014年、2015年発売のBRAVIA(一部モデルを除く)で対応する予定で、PS Now用のテレビ向けアプリとして提供。そのアプリを起動すると、クラウド経由でゲームが楽しめる。解像度などの映像クオリティとしては、PS4などのゲーム機でプレイする場合と同じだが、テレビによってはゲーム操作が反映されるためのレイテンシがゲーム機よりも遅くなる場合もありえるため、そうした部分の調整や検証なども行なった上でのアプリ提供を予定。開発はすでに最終段階にさしかかっているという。
PS4、PS3、PS Vita向けに12月3日に発売されるのが、バーチャル7.1ch対応の「ワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15001)」価格は12,000円。
PS4やPS3の音声を7.1chのバーチャルサラウンドに変換して再生するもので、付属のワイヤレスアダプタをPS4/PS3に接続し、ヘッドセットと独自方式でワイヤレス接続。内蔵のノイズキャンセリングマイクを使ったボイスチャットや、PS4のシェア機能を使った配信時にはマイクも利用可能だ。
ワイヤレスコントローラのDUALSHOCK 4の新色、「ゴールド(CUH-ZCT1J 06)」、「シルバー(CUH-ZCT1J 07)」、「スチール・ブラック(CUH-ZCT1J 08)」も展示。数量限定で11月6日より各6,480円で発売。12月3日には、数量限定ではない「クリスタル(CUH-ZCT1J 09)」も5,980円で発売する。
PS4のHDDベイカバー「HBC-CV01」の新色7種類も11月6日にソニーストアで発売。ジェット・ブラック、グレイシャー・ホワイト、アクア・ブルー、レッド、パープル、ピンク、ライムグリーンの7色で、今後、ゴールドとシルバーも追加予定だという。
Xperiaのブースでは、ソニーストア限定で販売されている、ゲーム「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」と、Xperiaシリーズとのコラボレーションモデルを展示。その中に、踊るBluetoothスピーカー「BSP60」とのコラボモデルも参考展示されていた。
ニコニコ動画をVRで楽しむ
Oculusブースで注目を集めているのが、サムスンのスマートフォン(Galaxy S6/S6 edge)を搭載する事でHMDとして動作する「Gear VR」を使い、動画配信サービスの「niconico」が楽しめるアプリ「niconicoVR」だ。2015年秋に、無料でリリースする予定。
Gear VRでniconicoのコンテンツを楽しむビューワー的なアプリだが、HMDである事を活かし、装着するとniconicoの動画が自分を取り囲むようにパネル状に、360度、無数に表示される。興味のあるコンテンツの方を向き、HMD側面のタッチパネルに触れて選択すると、そのコンテンツが映画館のスクリーンのように自分の目の前に大きく表示され、再生がスタートする。
さながら、ホームシアターでniconicoのコンテンツを楽しんでいるような感覚。ユニークなのは、コメントが映像の背後に回りこむように流れたり、スクリーンと自分の間の空間に、吹き出しのように表示されたりする。他のユーザーと共に、スクリーンを見上げているような感覚を再現するために、このようなデザインになっているという。
タッチパネルを操作する事で、コメントを送信する事も可能。さらにユニークなのが、「手元カメラ」機能。視界を手前に落とすと、虫眼鏡のように円形のウインドウが展開。そこに、Gear VRに装着したスマホのカメラでとらえた、現実世界の風景が表示される。
つまり、Gear VRを外さなくても、手元の現実世界が確認できる機能だ。例えば、机の上に置いたお菓子を手にとって食べるという行為も、手元カメラを見ながらできるため、長時間niconicoの動画を楽しむといった場合に便利だろう。
また、選択した動画は常に自分の目の前に大きく表示されるため、真上を見ても追従する。ベッドなどに寝転んだ状態でも観賞しやすくなっている。
時折行なわれる、ニコニコVR生放送(360度ニコ生)の視聴も可能。番組の会場に自分がいるかのような感覚で楽しめ、デモではライブイベントの最前列にいるような感覚も味わえた。同時に、配信されている2D画面も脇に表示されるため、臨場感を味わいながら、アーティストを正面からとらえたカメラの映像も楽しむといった事も可能だ。
「niconicoVR」という名前だけを聞くと、VR用の360度映像だけを楽しむアプリのように思えるが、実際にはHMDを使って、ニコ動を快適に楽しむためのビューワーという側面が強く、「日常的にHMDを使って楽しんでもらいながら、VRコンテンツへの興味も高めてもらうような流れを意識して開発した」という。
攻殻機動隊 新劇場版のVRアプリが登場
アニメ映画「攻殻機動隊 新劇場版」を基にしたVRアプリ「攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver」のブースも出展。VR対応のヘッドマウントディスプレイで楽しむコンテンツとして、今年の冬にアプリ形式でリリースを予定しているもの。Oculus Riftで視聴できる無料ティザー版(予告編3分間)のリリース準備を行なっており、その後、Google PlayとiOSのApp Storeにおいて、完全版(約10分間)を各480円で配信予定。
この試みは、フェイスプロジェクションマッピング「OMOTE」や「FACE-HACKING」などを手掛けるクリエイティブディレクターの浅井宣通氏(WOW所属)、ドーム映像システム開発の第一人者で、ソフトウェアエンジニアの高幣俊之氏(オリハルコンテクノロジーズ社長)、全天周映像の高解像度撮影・投影機材を手がけるハードウェアエンジニアの糸屋覚氏の企画立案からスタート。
アニメスタジオのプロダクションI.Gが、彼らと共同で「future technology × art」をコンセプトとしたプロジェクト“SIGN”を立ち上げ、その第1作目が「攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver」となる。
ブースではVRアプリ+HMDという形でのデモではなく、ドーム型のシアターを用意。そこに360度映像を投写し、アプリの世界を体験できるようになっている。
SIGNでは「VRを始め既存メディアの概念を変える表現活動をしていく」と目標を掲げ、第1作目アプリの販売は1年間で20万ダウンロードを予定している。
その他
アイ・オー・データ機器は、液晶ディスプレイ新製品を参考展示。「LCD-M4K401XVB」は、4K解像度のディスプレイで、4K/60p、HDCP 2.2にも対応したHDMI入力、Display Port入力などを搭載。6W×2chのスピーカーも搭載し、4K放送を含む様々なゲーム、映像コンテンツ、PCの画面などを表示できる。AV機器を意識した、デザイン性の高いスタンドも採用。側面には格納式のヘッドセットホルダも備えている。今年の後半に発売予定で、10万円以下を目指しているという。
28型の4Kディスプレイ「LCD-M4K282XB」も、Display PortやHDCP 2.2/4K60p入力対応したHDMIなどを装備。ピボットで縦に回転させる事もできる。価格は7万円前後。超解像技術「ギガクリア・エンジン II」なども投入されている。