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10億個の星を投影するプラネタリウム恒星原板「GIGAMASK」。ソニーのBD製造技術活用

 ソニーDADCジャパンと大平技研は13日、世界最多となる星数10億個以上を実現する、プラネタリウム用の超精密恒星原板「GIGAMASK」(ギガマスク、仮称)を共同開発したと発表。ソニーDADCジャパンのBlu-ray Disc製造技術を応用し、光学式プラネタリウム「MEGASTAR(メガスター)」の開発を行なう大平技研の恒星データ処理技術と合わせて実現している。

超精密恒星原板「GIGAMASK」(仮称)
GIGAMASK(仮称)と従来型恒星原板の星数の差を表したイメージ

 科学館などに設営されるプラネタリウム投影機は、複数のレンズを用いた光学式プラネタリウムであることが一般的。スライドプロジェクタと同じ原理で、本体内蔵の光源から放たれた光を、星に相当する無数の穴が空けられた恒星原板を通し、投影レンズでドームに映す。

 プラネタリウム開発技術者の大平貴之氏は、個人開発でこの恒星原板の穴を微細化し、恒星数170万個を実現した投影機「MEGASTAR-I」を'98年に発表し、光学式プラネタリウムとして当時世界最高峰の星数を実現した。なお、大平氏はMEGASTAR-I開発当時はソニーに勤務しており、退社後に大平技研を設立した。

 一方、ソニーDADCジャパンでは'04年にBD-ROMの原盤(マスター)やDVD-ROMの原盤製造装置「PTR-3000」を開発。光ディスクマスタリング技術のほか、任意の2次元形状でナノメートル単位の微細な加工を施す技術開発も行なってきた。

 新たな恒星原板「GIGAMASK」の開発にあたり、ソニーDADCジャパンでは、BDに代表される大容量高密度光ディスクマスタリング技術を駆使し、世界最小となる直径200nm(ナノメートル=1万分の2mm)という極微穴加工技術の開発に成功。この技術と、大平技研が保有する恒星データ処理技術を用いることで、1等星から20等星までの微光星を正確に再現できる恒星原板を開発した。この恒星原板を用いて全天に映し出せる星の数は、10億個を越える「ギガ」領域に達するとしている。

MEGASTARへのGIGAMASK(仮称)搭載イメージ
走査電子顕微鏡によるイメージ

 GIGAMASKを搭載した新型機は今後発表予定。また、GIGAMASKの光学的仕様は従来型MEGASTARと互換性があるため、既に大平技研のフラッグシップ機「MEGASTAR-IIA」以上の機種を導入した館でも、星の数をアップグレードさせることが可能だという。GIGAMASKを使った星空投影の披露は年内を予定している。

(庄司亮一)