アキュフェーズ、高S/Nの単体FMチューナ「T-1100」
-過入力対策したフロントエンド採用。34万6,500円
アキュフェーズは、「DDS方式」を採用した高級FMチューナ「T-1100」を9月中旬に発売する。価格は34万6,500円。
また、同社プリアンプ「C-3800」に付属する電源ケーブルを「APL-1」という型番で8月より単品販売する。価格は2万1,000円。
■ T-1100
2005年7月に発売した「T-1000」の後継となるFMチューナ。T-1000と同様に水晶発振器を利用したDDS(Direct Digital Synthesis)方式を採用。局部発振器にDDSを搭載し、水晶発振器の出力を分周器で分周してサンプリング周波数を生成。その周波数で正弦波のアナログ波形を作り出す。
PLL回路のような帰還方式による帰還ループが発生しないため、水晶振動子とまったく同じ周波数純度の信号を生成でき、IF段に不要な周波数変調成分を注入することなく、高いSN比が実現できるという。そのほか、主要回路部分のほとんどをデジタル化したことも特徴となっている。
フロントエンドは新開発で、感度と選択度を両立できるという2段の複同調回路を搭載。フロントパネル側のLOCAL/DISTANCEボタンで、アンテナから入った信号に対して入力レベルに応じてアッテネーターを切り替えることにより、送信タワーが近い地域やケーブル放送使用時などの過大入力に対処できるという。初代モデルのT-100から、アンテナに接続する同調回路には複同調回路を用いてきたが、T-1100では高周波増幅器の前後に複同調回路を搭載した2段構成で、次段のミキサーへの入力の妨害波排除能力を向上。一層良好な感度と選択度を確保したとしている。
また、高周波増幅には第3次混変調積特性に優れた「デュアル・ゲート MOS FET」を搭載。オートゲインコントロールをかけて、アンテナ入力レベルに合わせ最良のゲインとなるように動作するという。ミキサーには、不要な妨害信号を抑えるダブルバランスドミキサーを採用。ダブルスーパーヘテロダイン方式を採用し、第一IF周波数は9.216MHz、第二IF周波数は3.072MHzを用いて、ミキサー以降に入るDACの能力が発揮できるように配慮している。
新開発のマルチパスリダクション(MPR)機能により、ビルや山などからの反射波の影響を抑制。そのほか、可変IFフィルタにより、帯域幅を狭めて受信することにより、ノイズを避けた受信や、隣接放送局との混信によって埋もれていた局の拾い出しも可能になるとしている。
FM復調回路にはオリジナルの「DGL(Differential Gain Linear)」を搭載。T-1100ではデジタル信号処理により、理想的なFM復調を実現したという。また、ステレオ復調にも独自のDS-DC(Direct Synthesis - Double Cancellation)方式を採用したステレオ復調回路を搭載。パイロット信号の直接合成処理と、クロストークの二重打消し処理を、全てDSP上でソフトウェア処理することで、チャンネル・セパレーションを向上させている。DACは⊿Σ型DACを並列駆動させる「MDS方式」を改良し、安定度を高めた「MDS plus方式」。
モノラル時の実用感度は11dBf(IHF)、S/N 50dB感度は17dBf(IHF)。SN比は90dB。ステレオ時のS/N 40dB感度は29dBf(IHF)、S/N 50dB感度は37dBf(IHF)。SN比は85dB。周波数特性はモノラル/ステレオのどちらも10Hz~15kHzとなっている。
出力端子は、アナログ出力をバランス(XLR)/アンバランス(RCA)の各1系統、さらに同軸デジタル出力も1系統備えている。バランス出力端子には、位相切り替えスイッチも装備している。外形寸法は465×406×140mm(幅×奥行き×高さ)。重量は13kg。リモコン「RC-410」が付属する。
■ APL-1
APL-1 |
7月に発売したステレオプリアンプの最上位モデル「C-3800」に付属している電源ケーブルを、他のアキュフェーズ製品でも利用できるよう、単品で販売開始。
5芯のOFC導体を採用し、外径11.5㎜の太さながらしなやかさも併せ持ち、広帯域でニュートラルなエネルギーバランスなどを目指したという。ケーブル長は2m。インレットは3極で、プラグは2極。
(2010年 8月 16日)
[AV Watch編集部 中林暁]