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Amazon Music、会員向けに「Audible」オーディオブック無料提供。毎月好きな1冊を選んで聴ける
2025年6月26日 08:00
Amazonは6月26日、音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」会員向けに、オーディオブック「Audible」のラインナップから毎月1冊を追加費用無しで提供すると発表した。ユーザーは好きな1冊を選んで聴くことができる。
対象はAmazon Music Unlimitedの個人プラン、ファミリープランに登録しているユーザーで、サブスクリプションの一環として、Audibleで配信されている90万作品以上のタイトルから、毎月任意の1冊を、オーディオブックの長さにかかわらず楽しめる。
次回の会員登録の更新日以降も、その月に選んだオーディオブックをストリーミングできるほか、新たに別の1冊を選ぶことも可能。月額1,500円のAudible有料プランに加入するか、個別にオーディオブックを購入すれば、より多くのオーディオブックを楽しむことができる。
スマートフォン向けアプリの場合、26日からは「Amazon Music」アプリの上段に「Audible」の項目が追加され、ここをタップすることでAudibleのコンテンツにアクセス可能。別途Audibleアプリをダウンロードしたり、立ち上げることなく、シームレスにオーディオブックを楽しめる。
なお、会員向けに無料提供されるオーディオブックは、Audibleのライブラリとは同期されない。
あわせてAmazon Music Unlimitedでは、7月14日までの期間限定で、新規会員登録者を対象に最初の4カ月間を無料にするキャンペーンも展開する。
同社によれば、Amazon Music Unlimited会員向けのAudible提供は、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドでの展開に続くもの。
毎月1冊の提供は「リスナー・クリエイター双方にとって素晴らしいニュース」
25日にはメディア向け発表会も行なわれ、Amazon Musicの統括責任者であるライアン・レディントン氏や、Audibleのボブ・キャリガンCEOらが登壇。
レディントン氏は「HD音質での1億曲の楽曲、ポッドキャスト、そしてオーディオブック、これらすべてをひとつの場所で楽しめる。我々は日本における初めての“真のオールオーディオエンターテインメント”の拠点を作り上げている」とコメント。
「これはエキサイティングな新しい旅の始まりにすぎない。AudibleとAmazon Musicのユーザーが、より多くのコンテンツにリーチし、オーディオブックのカテゴリーの成長を続けるために機会を提供する」
またキャリガンCEOは、25日にAudibleが国内サービス開始10周年を迎えたことに感謝を示しつつ、「Audibleのオーディオブックを、Amazon Musicサービス内で利用可能にするのは、リスナー・クリエイター双方にとって素晴らしいニュースだ。次の10年、そしてそれ以降も日本のリスナーの皆様と共に歩み続けることを楽しみにしている」と語った。
続けて登壇した、Audibleの逢阪志麻カントリーマネージャーは、6月に配信する新コンテンツを紹介。「カーズ」や「アナと雪の女王」、「スター・ウォーズ」を題材としたオリジナルコンテンツ3作品と、原田マハによるゴッホの死の謎に迫るアートミステリーを俳優・中谷美紀の朗読で楽しめる「リボルバー」を、6月27日から配信すると発表した。
そのほか、小説家・平野啓一郎氏がプロデュースした学びに特化したというシリーズ「A University」を6月26日から提供する。
SUPER EIGHT・安田章大や新しい学校のリーダーズが登場。安田「活字では得られない情報が耳から得られる」
発表会では、Amazon MusicとAudibleにゆかりのあるゲストとして、小説家の平野氏に加え、Amazon Music独占配信楽曲なども手掛ける新しい学校のリーダーズ、湊かなえの小説「夜行観覧車」のオーディオブックでナレーターを務めた安田章大(SUPER EIGHT)が登壇して、トークセッションが行なわれた。
Audibleで数多くの作品を配信しているほか、書籍よりも先にオーディオブックを配信する“オーディオブックファースト”の作品も手掛けている平野氏は、「小説は出版産業の発展に合わせて、いろいろとできることが広がりましたが、それによって失われたものもあって、耳で聴きながら物語世界を想像するというのは、文字文化とは違うところにあったはず」とした。
「改めて聴くための物語を書こうとすると、聴くだけでどこまで理解してもらえるのかを考えます。また実際に本を手にしていると、“そろそろ終わりに近づいてきたな”というのが、本の手応えで分かりますが、聴いてるだけだと分からない。そういった時間の流れなどは、オーディオブックと活字で読んでもらう小説とで書き方が違うところがあって、それは活字の作品にも反映されていきますね」
配信中の「夜行観覧車」でナレーターを務めた安田は「作品が配信されたあと、レビューが付くじゃないですか。多くの人が書いてくださっていて、その中にひとつ気になったものがあるので紹介させてください」と、自身が携わった作品についたレビューに言及した。
「『安田さんがアイドルの仕事をされていたのはテレビで見たり、音楽を聴いて知っていました。ですが、Audibleを聴かせていただいて、“アイドルよりAudibleが合っているんじゃないかと感じました”』と書かれていまして(笑)。そんなふうに思っていただけたことは、僕の人生にとっての経験値になりましたし、稀有な経験になったと思います。録音している最中も、まぁ楽しくて。耳元でささやくというのも、なかなか人生でできることではありませんから」
「活字から入ってくる情報と、耳から入ってくる情報は、感受性によって違うと思うんですよね。耳から(情報が)入ってくることで、情景が浮かんだり、匂いを想像したり、音が聞こえてきたり。活字では得られない情報が耳から入ってくると思います」
日本のみならず、世界にも活躍の場を拡げている新しい学校のリーダーズのメンバー、RINは「激しく動いたり、ライブをしたあとのメディテーションとして本を手に取ることが多いんですが、本は明るいところじゃないと読めないんですよね。幼少期のころから、絵本を読み聞かせてもらって眠りにつくという感覚がすごく好きだったので、(Audibleで)物語を耳元でささやいてもらって、その世界にだんだんと没入しながら、睡眠に入るというメディテーションがあれば、人生がより豊かになるような気がします」とコメント。
またメンバーのKANONは「私たちは海外に行く機会も多いですし、日本国内でもいろいろな都市に行くので『移動時間に何しようかなぁ』と思うことが多いんです。音楽だけでなく、本も耳で楽しめるようになれば生活が豊かになるんじゃないかなと思います。ファンのかたと同じ本をシェアしても面白いですよね」と語った。
最後に、安田は「機械を通して音を聴くことにはなりますが、人の声が持つ波長だったり、温もりは機械を通しても消えないものだと思います。人の心に届くような言葉、つまり肉声を届けられるというのが、とても大事なことだと思います。最近はスマートフォンなどで目も疲れやすくなっていますし、コンテンツを耳で受け取れるのも良いと思います」とコメント。
平野氏は「『映像や音があって、膨大な情報量に圧倒されたい』という気分のときもあれば、文字という限定されたものから『自分の想像力を膨らませて楽しみたい』という気分のときもあると思います。でも、僕自身『映像はいらないし、でも文字だけじゃ足りない。なにか聴きたい』という気分のときがあります。そういったときにオーディオブックなどの音声コンテンツを聴く習慣が開拓されていくと、生活がより豊かになっていくんじゃないかなと思います」と、オーディオブックが持つ魅力を語った。