ニュース

MOONDROPから有線イヤフォン3モデル。ガラスドーム採用「和鳴」、深海ブルー「Bleassing3 AQUA」

Harmon 和鳴

MOONDROPは、有線イヤフォン3モデルを発表した。いずれも8月1日発売で、価格はオープン。市場想定価格は、3基のダイナミックドライバー(DD)を搭載した「Harmon 和鳴」が45,000円前後、2DD+4BAのモニターイヤフォン「Bleassing3 AQUA」が59,000円前後、11mmのDDを搭載した「ILLUSTRIOUS 光輝」が140,000円前後。

Harmon 和鳴

Harmon 和鳴は、「従来の枠にとらわれないIEMのクロスオーバーデザインを探求する新たな試み。未知の技術に挑戦し、ブランドの既存ラインとは一線を画すアプローチで、独創的な革新モデルを生み出す」というXTMシリーズの新製品。

3基の10mmフルサイズ・ダイナミックドライバーと4つのチャンバーを、コンパクトな筐体に収めている。3基のダイナミックドライバーは特性が異なり、それぞれに最適な音響構造を割り当てることで、各ユニットが持つ性能を最大限に引き出す設計になっているという。

その1つが、次世代のガラスドーム複合振動板搭載のユニット。新たなガラス成形技術を活用し、ミクロン単位の薄さを誇るガラスドーム振動板を開発。従来の金属振動板を大幅に上回る剛性と優れたダンピング特性を持ち、伸びやかで繊細な高域表現を実現したという。

次世代のガラスドーム複合振動板搭載のユニット

柔軟性の高いエッジを採用することで非線形歪みを低減し、中域の厚みを向上。ボーカルの表現力を強化し、より豊かで自然な音色を再現している。

磁気回路には、N52グレードのネオジムマグネット2基と磁性体3枚を組み合わせた「内外複合磁気回路」を採用。軽量なOFCボイスコイルと組み合わせることで、高効率かつ低歪みのシステムとなり、振動板のポテンシャルを最大限に引き出すという。

低域用には、デュアル10mmの低音ドライバーを採用。独自の水平対向ダイナミック構造により、磁気回路の効率を向上。ダイナミックレンジを拡大し、低歪みで力強い低音を実現した。

各ダイナミックドライバーにはN52ネオジムマグネットを搭載した内磁型磁気回路を採用。軽量なCCAWボイスコイルを組み合わせることで、高い駆動力と透明感のある低域を提供。さらに、コンポジット・サスペンションエッジ振動板により、歪みを抑えつつ、豊かで力強い低域を表現している。

次世代のガラスドーム複合振動板搭載のユニット

複数の大口径ダイナミックドライバーを用いて、HRTF(頭部伝達関数)に基づくターゲットカーブに最適化することは難易度が高かったが、「和鳴は、この難題を克服し、VDSF Target Responseに高い精度で適合。さらに、実際の耳道特性やリスニング体験に基づく調整を加えることで、マルチダイナミック構成ならではの高解像度と豊かなダイナミクス、正確な音色定位、そして心地よいチューニングを実現した」とのこと。

複雑な音響構造の量産化を実現するため、3Dプリント供給業者ハイガーと、長期的な戦略的パートナーシップを結び、高精度DLP-3Dプリント技術の継続的な改良を実施。エンジニアの革新的なアイデアを具現化する環境を整えたという。

再生周波数帯域は20Hz~20kHz、感度は114dB/Vrms(@1kHz)。インピーダンスは19Ω±15%(@1kHz)。コネクターは0.78mm 2Pinで、ケーブル着脱が可能。入力プラグは交換タイプで、3.5mmステレオミニプラグと4.4mmバランス接続プラグを同梱する。

Bleassing3 AQUA

Bleassing3 AQUA

「手頃な価格帯ながらも革新的な音響設計と卓越した音響性能により、数あるプランドの中でもひときわ輝きを放ち、世界的に評価されるバランスド・アーマチュアイヤフォンの代表的な製品」というBlessingシリーズの新モデル。

「純粋で限りなく澄んだ深海からインスピレーションを受た」という深海ブルーのステンレス製フェイスプレートを採用。さらにドライバーを再チューニングし、「Blessing3らしいリアルな音の再現性はそのままに、特別な調整を加えたサウンドを実現した」という。

ユニット構成は、ダイナミック型×2、BA×4のアドバンストハイブリッド3ウェイ設計。前作Blessing2から受け継いだアーキテクチャを踏襲し、3Dプリント技術によって精密に成形した物理クロスオーバー構造を採用。

2基の10mmダイナミックドライバーは、水平対向配置し、「H.O.D.D.D.U.S.」と名付けられたモジュール構造になっている。広いダイナミックレンジと極めて低い歪み率を両立。大音量下でも音像の安定性と解像感を保つという。

振動板には、2基のダイナミックドライバーそれぞれに紙ドーム×フレキシブルエッジを採用。紙ドームの優れたダンピング特性が中高域の分割振動を効果的に抑え、不要な共振を排除している。

新たにカスタム設計された高域用ドライバーは、繊細かつ伸びやかな超高域の表現を維持しつつ、中高域の繋がりと滑らかさをより自然に最適化。水平対向配置のデュアルダイナミックモジュールとの相乗効果で、「よりナチュラルで力強く、深みと温感のあるサウンドが全帯域にわたって響き渡る」という。

さらに、新たに開発されたAl-Mg合金製振動板の高音ドライバーを採用。低密度でありながら高剛性と優れたダンピング特性を兼ね備えた素材で、「Blessing3が誇る中高域の滑らかさと自然なつながりはそのままに、さらに一歩進んだ超高解像度と豊かな倍音表現を実現」したという。

物理フィルター構造と電子クロスオーバー回路を組み合わせたハイブリッドクロスオーバー設計を採用。物理フィルターには、シンプルかつ効率的な3Dプリントによる音響構造を採用し、シミュレーションと長期間に及ぶ試作・調整の末に完成させた。

再生周波数帯域は20Hz~20kHz、感度は122dB/Vrms(@1kHz)。インピーダンスは11.5Ω+15%(@1kHz)。

チューニングには、長年にわたるハイブリッド型イヤフォンの開発経験と豊富なリソースを活かし、新たに「B&K5128」ヘッドアンドトルソーシミュレーターを用いて実施。Blessing3の持つ精緻でリアルな音響再現性をそのままに、さらに洗練された独自チューニングを施すことで、まったく新しい音質体験を実現したという。

筐体は、CNC加工によりステンルス製フェイスプレートに幾何学的かつ多面的なカットを施し、職人による丹念なポリッシュ仕上げを加え、「まるで複数の鏡面が光を反射するかのような輝きを実現した」とのこと。

0.78mm 2Pinコネクタを採用し、リケーブルも可能。付属ケーブルの入力プラグは交換でき、3.5mmステレオミニプラグ、4.4mmバランス接続プラグに対応する。

ILLUSTRIOUS 光輝

ILLUSTRIOUS 光輝

「illumination」の進化版として開発されたのが「ILLUSTRIOUS」。illuminationに搭載された11mmの特許取得済みダイナミックドライバーを基盤に、振動板や磁気回路の素材、精度に至るまで全てをブラッシュアップしたという。

フロントキャビティの設計も見直し、結果として周波数帯域が広がり、非線形歪みが減少。中高音域のレスポンスもより滑らかで自然な音になったという。

ドライバーには高導磁率の素材を使用し、科学的な大容量磁気回路設計により、一般的な外磁式デュアル磁気回路を大きく上回る効率を実現。経路を延ばしながら磁路への干渉を防ぐために、銅合金製の内部構造を採用。固有周波数の調整が可能でありながら磁路に影響を与えない銅合金製の独立チャンバーを備えている。

ロングストロークとロングボイスコイルを備えたサスペンション構造により、正負両半サイクルの均衡を保ち、非線形歪みを抑制。ILLUSTRIOUSでは、このダイナミックドライバーの磁気回路の素材と製造技術がさらに進化し、新開発の振動板素材も採用した。

LCP(液晶ポリマー)を基材としたドームの頂部で、高いSP3結合率を持つta-C(テトラヘドラルアモルファスカーボン)層を形成。従来のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)よりも優れた剛性と内部減衰特性を実現した。

これにより、より滑らかで広がりのある高音域の再現が可能になったとする。

エッジ部分には高減衰性のポリウレタンを採用。低音域のダイナミクスと大振幅時の低歪みを確保。これら3種類の高性能素材を用いた振動板により、さらに優れた音質を実現している。新たなフロントキャビティ構造により、高音のバランスも向上させた。

振動板素材とドライバ技術を一新したことで、非線形歪みを前モデルより大幅に削減。特に奇数次高調波歪みは0.01%以下となり、質感が自然で透明感ある立体的なサウンドを奏でるとのこと。筐体はチタン合金のCNCケーシング。真鍮金メッキの音響フィルターも備えている。

0.78mm 2Pinでリケーブル可能。入力プラグは交換可能で、3.5mmアンバランスと4.4mmバランスプラグを同梱する。