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ソニー、テレビのリアカバー由来の再生プラをブラビアに再利用。水平リサイクル実用化へ
2025年4月22日 10:03
ソニーは、使用済みテレビの背面カバーから回収したプラスチックを、ブラビアの新商品に再利用する「水平リサイクル」を実用化すると発表した。
「水平リサイクル」は、使用済み製品から回収した材料を同種の新製品の原料として再利用する循環型の取り組み。今回は、指定回収工場が使用済みテレビから回収したプラスチックを、ソニーセミコンダクタソリューションズの難燃性再生プラスチック「SORPLAS」の原材料の一部として新たに使用することで実現した。
このSORPLASを活用した水平リサイクルを、4K有機ELテレビ「BRAVIA 8」(2024年発売モデル)の65型モデルで初めて採用し、2025年内に全世界向けに出荷開始する予定。
SORPLASは、耐衝撃性、耐熱性、透明性を備えるポリカーボネート樹脂。回収ディスクや回収ヘッドランプ、回収水ボトルが主な原料となっており、ここに少量で高い難燃性を発揮する独自の難燃剤PSS-Kを加えることで、再生材利用率最大99%を実現できるという再生プラスチック素材。
一般的な難燃ポリカーボネートに使われるリン系難燃剤は、規格上の難燃性を実現するために15%程度添加する必要があるところ、PSS-Kは1%程度で同じ難燃性を実現できるという。また、一般的な難燃再生ポリカーボネートには、石油由来のバージンポリカーボネートも含まれているため、再生材利用率の高いSORPLASを採用するだけでも、製品全体の再生プラスチック使用率を高めることができるとしている。
ブラビアのリアカバー素材へのSORPLAS活用は2011年からすでに行なわれているが、今回の取り組みでは、利用されるSORPLASが、回収テレビのリアカバーも原料に使われたものに置き換わることになる。なお、対象のBRAVIA 8の65型モデルはすでに販売されているものだが、素材が変わっても、見た目や強度などは変わらないという。
SORPLASの原料となる回収ディスクや回収ヘッドランプ、回収水ボトルは、製品の規格がほぼ同じため、SORPLASへの再生後の強度などが安定するが、使用済みテレビから回収する背面カバーには多種多様なプラスチックが使用されており、強度や質感の違いから新商品への直接の再利用は困難だったという。
そこで、ブラビアの設計部門とソニーセミコンダクタソリューションズのSORPLAS開発チームが連携し、テレビへの再利用に適した部材の選別技術と最適な材料混合法を開発。
この技術により、メーカーを問わず使用済みテレビの背面カバーから特定のプラスチックを回収、選別し、原材料の一部として再利用しながらも、従来のSORPLASと変わらない高品質を維持できるようになった。
また、テレビはすでに家電リサイクル法の対象となっているため、回収ルートがすでに完成しており、従来の再生素材を使う場合とほぼ同じコストで運用が可能とのことだ。
ソニーでは、将来的に、SORPLASを採用した背面カバーを回収・再利用する「クローズドリサイクル」(使用済み商品を新商品の原料として再利用する完全循環型のリサイクル)の実現を目指すとしている。