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Astell&Kern、ビンテージのクアッド真空管とAKM最上位DACを組み合わせた「A&ultima SP4000T」

A&ultima SP4000T

アユートは、Astell&KernブランドのDAPとして、業界初のMIL(ミリタリー)スペック準拠のビンテージ真空管「Raytheon JAN6418」をクアッド構成で搭載した、フラッグシップラインDAP「A&ultima SP4000T」を7月25日に発売する。価格は627,000円。カラーはシルバー。

A&ultima SP4000T

2024年に、真空管搭載ポータブルDAPの第2弾モデルとして「SP3000T」を発売。それから約2年に渡る多角的な開発努力の集大成として、フラッグシップDAPである「SP4000」と並行して設計された、真空管搭載ポータブルDAP第3弾モデルが「A&ultima SP4000T」となる。

最大の特徴は、ミリタリースペック準拠のビンテージ真空管「RAYTHEON JAN6418」をクアッド構成で搭載した、業界初のDAPであること。

左右それぞれのチャンネルに独立したデュアルTUBE構造を配置。「ホームオーディオのハイエンド真空管アンプにのみに採用されていたチャンネルセパレート設計が、ついにDAPの世界でも実現した」という。

感度の高い複数の真空管を制御することは、「単なる足し算以上の困難を伴う」という。ノイズ特性やゲイン率が微妙に異なる真空管をいかにペアリングするか、マイクロフォニックノイズをどう克服するか、そして左右の出力差をいかに最小限に抑えるかといった課題に向き合い、解決した。

SP4000Tの4基の真空管は独立して動作するのではなく、各ペアが鏡面対称に向かい合う「ディファレンシャル(差動)構成」を採用。精密なバランスにより、音楽信号は2倍の明瞭さで増幅され、コモンモードノイズは互いに打ち消し合うことで排除している。

4基の真空管は全て、ペアリング前にノイズとゲイン特性を精密に測定。独立したモジュール式のフレキシブル基板と多層構造アーキテクチャーによってノイズから遮断した。

アナログ回路と真空管において長年培った経験が生み出した設計であり、「4つの鼓動が完璧なバランスで一つに重なるとき、真空管特有の豊かな倍音が、DAP史上かつてないほど深く、響き渡るサウンドとして共鳴する」という。

真空管をコンパクトなポータブルデバイスに搭載する際、最大の技術的課題となるのは、高解像度かつ高出力の状態であっても低ノイズを維持すること。

SP4000Tでは、前モデルの2倍となる計4基の真空管を搭載。さらに、微細な外部振動によって真空管から発生する「マイクロフォニックノイズ」を抑制するため、従来の4段階から5段階に進化した「第2世代アンチ・マイクロフォニックノイズ・アーキテクチャー」を採用した。

マイクロフォニックノイズという構造的限界を克服するために、メイン基板から独立・隔離したモジュール式フレキシブル基板を採用。真空管への衝撃を一次吸収するシリコンベース・クッションや、 リード線を伝わる衝撃を吸収する、リード線専用カスタムフィット・シリコンチューブも搭載。

真空管を包み込み、先端部で空中保持(フローティング)させるシリコンダンパーや、真空管全体を覆い、極微細なノイズまで抑制する銅製シールド缶も搭載する。

真空管への衝撃を一次吸収するシリコンベース・クッションや、リード線を伝わる衝撃を吸収するリード線専用カスタムフィット・シリコンチューブなどを搭載する

業界初となるトリプルTUBE モード

業界初となる「トリプルTUBEモード」を搭載。今までのTシリーズに搭載している「トリプルアンプモード」と、SP3000Tで初めて導入された「真空管電流オプション」と組み合わせることで、最大54通りのカスタマイズができる。

トリプルTUBEモードは「真空管アンプが持つ表現力のすべてを網羅する」ために搭載したもの。繊細な「三極管(Triode)」、バランスに優れた「ウルトラリニア(Ultra Linear)」、ダイナミックな「五極管(Pentode)」から選択可能。「かつてはハイエンドの真空管アンプでしか味わえなかった格別なアナログサウンド体験」がDAPで味わえるという。

【トリプルTUBEモード】

  • 三極管(Triode)モード
    真空管の最も純粋な響き。真空管特有の豊かな倍音を最大限に引き出すモード。ボーカルの息遣いや弦楽器の震えが、芳醇で心地よい残響の中へと優しく溶け込んでいく
  • ウルトラリニア(Ultra Linear)モード
    調和の美学。三極管の音色と五極管の出力を融合させた設計。音の輪郭は柔らかくありながら、芯の通った力強さを兼ね備える。あらゆるジャンルの音楽で威厳をもって描き出す、バランスに優れたモード
  • 五極管(Pentode)モード
    真空管の最も力強い響き。真空管アンプの出力とダイナミックレンジを最大化するモード。真空管特有の温かみを維持しつつ、過度な残響を抑えることで、濁りのないパワフルな存在感とダイレクトな迫力を届ける

真空管の安全な動作範囲を検証した上で、プレート電圧を3段階で調整するシステムも搭載。各段階で真空管アンプの増幅率が変化し、それに伴いサウンドの質感も変化する。「真空管の電流調整を通じて、音の密度やサウンドステージに生まれる、繊細ながらも劇的な変化をご体感ください」とのこと。

なお、TUBEモード、またはHYBRIDモードでの動作時、背面にある真空管が柔らかく温かみのある光を放つ。

トリプルアンプシステム

クアッド構成のリアル真空管によるアナログサウンドと、オペアンプによるダイナミックなサウンドの融合も可能。「TUBEアンプモード」、「OPアンプモード」に加え、「HYBRIDアンプモード」を搭載。真空管とオペアンプのサウンドの特徴を融合したサウンドをユーザーが設定できるのが「トリプルアンプシステム」。

オーディオブロック図

【トリプルアンプシステム】

  • OPアンプモード
    圧倒的な高解像度とダイナミクス。歪みのない原音再生を可能にする高解像度、比類なき臨場感、そして極限のクリアさとダイナミクスが特徴。独自のTERATON ALPHAテクノロジーによって実現した超低ノイズと高解像度は、あらゆるジャンルにおいて、これまで体験したことのない音楽の新たな次元を切り拓く
  • TUBEアンプモード
    真のアナログサウンド。真空管アンプが持つ温かみのある質感と独自のサウンドステージが展開。クアッド構成のリアル真空管ならではの深く豊かなアナログサウンドと、最先端技術およびクラフトマンシップによって実現した画期的な低ノイズを両立
  • HYBRIDアンプモード
    「TUBEアンプ」と「OPアンプ」、2つのモードの音を融合できる。アナログならではの感性と、高解像度出力の融合度合いを5段階から調整可能
トリプルアンプシステムのモード切り替え画面

AKMの最新フラッグシップDACを搭載

AKMの最新フラッグシップDAC「AK4499EX」を2基搭載。さらに左右のチャンネルそれぞれに専用のプロセッサー「AK4191EQ」を配置し、完全なディスクリート回路構成を実現している。

デジタル信号とアナログ信号をDAC内部で一括処理する一般的なDAPとは異なり、SP4000Tのオーディオ回路は、専用のデジタル・デルタシグマ・モジュレーター(AK4191EQ)によってデジタル信号のノイズを低減させた後、完全に独立したアナログDAC(AK4499EX)へと伝送し、アナログ信号を個別に処理。このデジタル信号パスとアナログ信号パスの物理的な完全分離設計により、「アナログサウンドは、かつてないほどの深みを備えて具現化された」という。

デジタル信号とアナログ信号を完全に分離したHEXAオーディオ回路構造
オーディオブロック図

SP4000と同様に、従来機の2倍のオペアンプを使用し、水平に並列配置することで、電流を大幅に増加させ、より豊かで緻密なサウンドを実現する「High Driving Mode」も搭載。

通常はドライブ力を上げると供給電流が増加してTHDに影響し、逆にノイズを減らすとドライブ力が不足するという問題があったが、それをクリア。より深く奥行きのあるパワフルなサウンドを実現するという。

Nomal ModeとHigh Driving Modeは切り替えが可能で、High Driving Mode時には水平並列配置したオペアンプを全て使用。

「四輪駆動車が悪路を確実に走破するような、トルク感があり力強く安定した出力によって、繊細な音のディテールまで正確に再現し、より深くクリアで臨場感あふれる音楽を楽しめる」という。

右がHigh Driving Modeのイメージ

内蔵ストレージは256GB。microSDスロット×1も搭載し、最大2TBまでのカードが利用可能。

ヘッドフォン出力は3.5mm 3極アンバランス(光デジタル出力兼用)、4.4mm 5極バランス出力(5極GND結線)を搭載。アウトプットレベルはアンバランス4.2Vrms、バランス8Vrms(無負荷)。出力インピーダンスはアンバランス3.5mm(0.7Ω)、バランス4.4mm(1.7Ω)。

独自のESA(Enhanced Signal Alignment)テクノロジーも搭載、群遅延を大幅に改善している。

オーディオにおける群遅延は、各周波数が内部システムを通過するのにかかる時間差を指し、オーディオ信号内の異なる周波数が同時に到達せず、わずかな遅延が生じる現象のこと。ESAテクノロジーは、周波数信号をより均一に整列させ、周波数歪みを最小限に抑え、音の明瞭度と純度を向上さている。

さらに、Any Layer HDI(High-Density Interconnect)PCBテクノロジーも採用。スマートフォンや高性能電子機器で使用されているもので、コンパクトなスペースに複雑な回路を精密に設計できる。信号経路を最適化することで信号のロスを最小限に抑えた。

オーディオブロックに影響を与える様々なノイズや電磁干渉を遮断するため、精密に設計したシールド缶も搭載。純度99.9%の銅製シールド缶を採用し、優れたシールド性能だけでなく、これまで以上にクリアで明瞭なサウンドを実現した。

OSは、最新Android 15のFull Android OSを採用。アプリを自由にインストールできるほか、独自のカスタマイズ技術ADP(Astell&Kern Direct Path)により、Android OSのサンプリング制限を克服。ストリーミング環境でも、ビットパーフェクトなロスレス再生が可能。

第2世代DAR(Digital Audio Remaster)技術となるAdvanced DARを搭載。より高精度なアップサンプリングを実現しており、オーディオファイルを直接DARエンジンに送らず、まずVSE(Virtual Sound Extender)を使って失われた倍音を仮想復元し、初期段階で音質を向上。

その後、高度なDARエンジンが2段階目のアップサンプリングプロセスを、より正確に実行。2段階のアプローチにより、これまで以上にオリジナルレコーディングに近い、深く没入感のあるサウンドが楽しめるという。

第2世代DAR技術となるAdvanced DAR

筐体には、導電性と耐食性に優れたStainless Steel 316Lを採用。Astell&Kern初となるデュアルアンテナ設計により、より高速で安定したダウンロードも可能。社内テストにおいて、5GHz帯でのダウンロード速度は従来モデルと比較して約2倍に向上したとのこと。

PD3.0急速充電に対応し、約5時間でフル充電。進化したバッテリー保護モードにより、これまで85%に固定されていたバッテリー保護モードが、より多彩なオプションから選択可能になった。

USB-DAC機能や、USBデジタルオーディオ出力、光デジタル出力(3.5mm)も備える。Bluetooth 5.2に準拠し、コーデックはaptX HD、LDAC、LHDCもサポートする。AirPlayに対応、Roon Ready対応(Roon ARC APP対応)、Qobuz Connectもサポート。別売のクレードル「AK Cradle」に設置もできる。

6型の2Kディスプレイを搭載し、外形寸法は85.7×19.5×150mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約565g。

レザーケースが付属

付属のレザーケースは、イタリア・フィレンツェのサン・ミニアート地区に拠点を置く名門タナリー、バダラッシ・カルロ(BADALASSI CARLO)の「ミネルバ(MINERVA)」レザーを採用。

付属のレザーケース

バダラッシ・カルロは40年以上の歴史を誇るタナリーで、サンタクローチェ地域のレザー学校の教授を務めたカルロ・バダラッシ氏の理論と技術に、トスカーナ地方の伝統的な「ベジタブルタンニンなめし」を融合させた革新的な製法を守り続けている。

トスカーナ地方独自の「バケッタ製法」が用いられており、原皮から毛を取り除いた後、植物性オイルによるなめし工程において、牛骨粉由来の脂(タロー)を加えることで、独特の質感が生まれる。

ケースカラーは「Cognac(コニャック)」を採用。背面には真空管のLEDの輝きを美しく見せるためのカットアウトパターンを施した。

別売で、フルガードタイプでスタンドにもなる「A&ultima SP4000T Case」

別売のケース「A&ultima SP4000T Case」も同日発売。BlackとOliveの2色で、価格はどちらも25,300円。

別売のケース「A&ultima SP4000T Case」

DAP全体を包み込むフルガードタイプで、スタンドにもなるのが特徴。

Blackカラーのケース素材には、GRUPPO MASTROTTO(グルッポ・マストロット)の上質な牛革を使用。柔らかな手触りと均一な質感、そして鮮やかな発色が特徴で、SP4000Tの佇まいをより一層引き立てるという。

Oliveカラーのケース素材には、BADALASSI CARLO(バダラッシ・カルロ)のプレミアム・ベジタブルタンニンレザーを使用。独自のなめし工程と染色技術によって生み出された気品あるオリーブ色は、SP4000Tが持つ象徴的なラグジュアリー・キャラクターを引き立てる。