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AK、リアル真空管アンプ搭載DAP「SP3000T」。55万円

SP3000T

アユートは、Astell&KernブランドのフラッグシップDAP「A&ultima」シリーズ第6弾として、リアル真空管アンプを搭載した「SP3000T」を6月1日より発売する。価格は55万円。専用リアルレザーケース「SP3000T Case」(19,800円)も用意する。

SP3000のデザインとハイレゾリューションサウンドを踏襲しつつ、「音楽の感動と響きを真に捉えるオーディオプレーヤーを作り上げること」を目標に開発。アナログオーディオの深遠な感動と永続的な本質を表現するという。

SP3000T Case
SP3000T Case

アンプ部には、軍用仕様として設計されたミニ真空管「RAYTHEON JAN6418」をデュアルで搭載。オリジナルの真空管にはノイズや増幅率に固有の違いがあるため、JAN6418を1本1本入念に測定し、ペアリングを実施。徹底した選別により、左右チャンネルの出力偏差を最小限に抑え、より自然な再生音を実現した。

真空管のシールド作業は、ノイズの干渉を最小限に抑えるため、すべて手作業で入念に実施。徹底した音作りへのこだわりにより、既存のオーディオプレーヤーが持つ独特の空間感やバランスを、真空管サウンドというアナログの領域に持ち込むことに成功したとしている。

ポータブル機器に真空管を組み込むことは、解像度と堅牢な出力を実現しながら低ノイズレベルを維持するという、技術的に困難なハードルがあったという。SP3000Tでは、マイクロフォニックノイズを最小限に抑えるように設計された独自ソリューションで取り組み、軽微な衝撃や振動が発生した場合でもノイズを最小限に抑えることを実現した。

内部プレート電圧制御システムを新たに開発。このシステムは、3段階で調整でき、真空管アンプの増幅率に直接影響して、音の質感を変えることができる。

クリアな解像度と広がりのあるサウンドステージが楽しめる「OPアンプモード」、真空管アンプの自然な温かみを再現する「TUBEアンプモード」、その2つを組み合わせた「HYBRIDアンプモード」の切り替えが可能な、独自のトリプルアンプシステムも搭載。また、視覚的に楽しめる真空管LEDを搭載し、TUBEモードやHYBRIDモード時に背面の真空管が発光し、アナログ感を演出する。

DAC部には、DA信号処理を分離することで限りなくピュアなサウンドを出力するAKM「AKM4191EQ+AK4499EX」をデュアル構成で採用。最大768kHz/32bitのPCMとDSD512の再生に対応。MQAフォーマットにも対応する。

一般的なデジタルプレーヤーはDAC内でデジタル信号とアナログ信号を処理するが、SP3000Tは独自のオーディオ回路構成を採用。入力デジタル信号のノイズをAK4191EQで低減するもので、AK4191EQは独立したデジタルΔΣモジュレーターとして機能する。この設計では、アナログ信号のみがAK4499EX DAC内で処理され、デジタル信号とアナログ信号が別々に独立して処理される。

さらにOPアンプとTUBEアンプの信号を完全に分離する新設計を採用することで、音の分離を改善。この改良により、DACの性能も最大限に発揮され、低域の深みと豊かさが向上したという。また、様々なノイズや電磁波がオーディオブロックに影響を与えないよう、シールド缶を装備。既存のシールド缶に導電性の高い高純度銀を塗布し、デジタル信号とアナログ信号を物理的に分離することで、優れたオーディオ性能と優れたシールドを実現したとする。

主要回路を一体化した独自開発のサウンドソリューション「TERATON ALPHA」も装備。効果的な電源ノイズの除去、効率的な電源管理、歪みの少ない増幅により、オーディオ出力インターフェースを通して原音に近いオーディオ再生を実現する。

出力端子は光デジタル出力兼用の3.5mmアンバランス、2.5mm 4極バランス、4.4mm 5極バランスを装備。入力端子は充電とデータ転送兼用のUSB-C×1系統。

ハウジングには、耐食性に優れたStainless Steel 316Lの上に純度99.9%の銀メッキを施した。銀は銅や金に比べて優れた導電性を備える一方で、空気に触れると変色する性質があるため、硫化を防ぐ特殊多層コーティングも行ない、耐久性を高め、空気に直接触れさせない工夫をしているとのこと。

Snapdragon 6125 Octa-core CPUを搭載。高速なシステムレスポンスと、快適かつスムーズに動く再設計されたUIを備えるという。CPU、メモリ、無線通信部を1つのモジュールとして構成し、デジタル回路部を同一エリアに配置することで、1つのSoCを実現。オーディオ専用の回路スペースを確保するとともに、デジタル回路の発熱やノイズを低減し、回路構成全体の効率を最大限に高めた。

VUメーターGUIをAstell&Kernブランドで初めて搭載。VUメーターは、音声信号の電圧レベルを表示し、音量の測定と調整を支援するもの。ユニークなデザインとレトロな魅力で、音楽を聴きながら、サウンドレベルを視覚的に表現し、リスニング体験を向上させるという。3種類用意しており、画面下部のナビゲーションバーからアクセスできる。

Wi-Fi対応で、ワイヤレスでファイル転送が可能な「AK File Drop」機能も搭載。Bluetooth 5.0準拠で、コーデックはSBC、AAC、aptX HD、LDAC、LHDCをサポートする。Bluetoothレシーバー「BT Sink」機能も備える。

DLNA強化のネットワークオーディオ再生機能「AK Connect」や、YouTube動画/音楽ストリーミングサービス視聴ができる「V-Link(Movie/Music)」も搭載。Roon Readyにも対応する。

ディスプレイは5.5型で解像度はフルHD(1,080×1,920ピクセル)。ストレージ容量は256GB。microSDカードスロットも備え、最大1TBのmicroSDカードが使用できる。連続再生時間は約10時間、充電時間は約3.5時間。

外形寸法は84.7×18×141.5mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約483g。シュリンクスキンカーフレザー専用ケース、USB-Cケーブル、画面保護シート、microSDカードスロットカバーなどが付属する。そのほかのスペックは以下の通り。

  • 周波数特性
    ±0.005dB (20Hz~20kHz) アンバランス / ±0.003dB (20Hz~20kHz) バランス
    ±0.006dB (20Hz~70kHz) アンバランス / ±0.024dB (20Hz~70kHz) バランス
  • SN比 120dB@1kHz, アンバランス / 124dB@1kHz, バランス
  • クロストーク -136dB@1kHz, アンバランス / -145dB@1kHz, バランス
  • THD+N  0.0005%@1kHz, アンバランス / 0.0004%@1kHz, バランス