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マランツ、薄さ109mmの新世代AVアンプ「CINEMA 70s」

CINEMA 70s

マランツは、同社AVアンプ全体を刷新。新世代のマランツデザインを採用するほか、機能や音質も現在の最新ニーズを踏まえたものにした「CINEMA」シリーズを展開。その第一弾として、薄型の7.2chアンプ「CINEMA 70s」を12月下旬に発売する。価格は154,000円。カラーはブラック。モデル名の「s」は「スリム」を意味する。カラーはシルバーゴールドとブラック。

同日には、同じCINEMAシリーズの上位機種「CINEMA 50」も発表されている。こちらは別記事で紹介する。CINEMA 50と70sの機能比較は下図の通り。いずれのモデルも、既存AVアンプの後継機種ではなく、新たに企画・開発されたモデルとなる。

「CINEMA」シリーズの位置付けとロードマップ
CINEMA 50と70sの機能比較

ピュアオーディオとして2020年に発売した「MODEL 30/SACD 30n」や、2022年の「MODEL 40n」と同様に、新世代マランツを象徴する筐体デザインを採用。シンメトリーやポートホールなど、マランツの伝統的なデザイン要素を継承しつつ、現代的に再構築。様々なスタイルのインテリアに調和しやすいデザインになった。

CINEMA 70s

フロントパネルだけでなく、トップカバーやシャーシを構成する鋼板の形状、各部を固定するネジの太さや本数に至るまで刷新されており、ビルドクオリティが大きく進化している。側面のネジはM4サイズで、よりしっかりと固定する事で剛性を高めている。

薄いAVアンプだが、オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。7chのパワーアンプを搭載しているため、CINEMA 70sだけで5.1.2chシステムを構築可能。フロントハイト、トップフロント、トップミドル、フロントドルビーイネーブルド、リアドルビーイネーブルドのいずれかを、ハイトスピーカーとして使える。

ソースにハイトスピーカー信号が含まれていない場合でも、Dolby SurroundやNeural:Xを使い、3Dサラウンドへアップミックス再生できる。

なお、上位機のCINEMA 50とは異なり、IMAX EnhancedとAuro-3D、360 Reality Audioには対応しない。一方で、MPEG-4 AACのステレオ、5.1chには対応しているので、4K/8K放送のサラウンドサウンドも再生できる。

筐体は薄く、設置しやすい

7chのパワーアンプは、パーツ1つ1つの選定や、回路設計の自由度が高いフルディスクリート・パワーアンプを採用。上位機に用いられる高音質パーツを多数投入し、より高解像度で情報量豊かなHi-Fiサウンドを実現したという。最大出力は100W(6Ω/1kHz/THD 10%/1ch駆動)。

接続するスピーカーのインピーダンスは4~16Ωに対応。サラウンドバックやハイトスピーカーを使わない場合は、フロントをバイアンプ駆動する事も可能。2組のフロントスピーカーを切り替えて使うこともできる。

電源回路にも、リスニングテストで厳選した高音質パーツを投入。回路に電源を供給するブロックコンデンサーには、CINEMA 70s専用に開発された6,800μF×2のカスタムコンデンサーを採用。25Qの大電流容量に対応する整流ダイオードを使うことで、高速かつ安定した電源供給を実現している。

電源部の強化とともに、パワーアンプなどの周辺回路の細部まで、音質チューニングを徹底。「きめ細かく表情豊かな音色と透明感がより高くより深い奥行きを感じさせる空間表現力を実現した」という。

信号処理用に、32bitフローティングポイントのクアッドコアDSPを搭載。高い処理能力により、音源のクオリティを余さず引き出せるという。

デジタル部では、DSPやネットワーク、USBなどのデジタル回路への電源供給に、専用のトランスを使用。アナログ回路との相互干渉を排除している。また、デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化することで、スイッチングノイズを可聴帯域外へとシフトさせている。

アナログオーディオ回路は独立した専用基板にレイアウトし、入力セレクター、ボリューム、出力セレクター、それぞれの機能に特化した高性能カスタムデバイスを使うことで、信号経路を最短化。不要な信号経路の引き回しを配したことで、透明度が高く、情報量豊かなサウンドを実現したという。

スピーカーターミナルはスクリュー式で、全チャンネル同一のものを採用。バナナプラグにも対応。全ての端子を水平に配置する事で、簡単にケーブル接続ができるという。

専用マイクを使い、部屋の音響特性を測定し、ルームアコースティックを最適化する「Audyssey MultEQ」を搭載。最大6ポイントでの測定結果をもとに、スピーカーの距離、レベル、サブウーファーのクロスオーバー周波数を最適な状態に設定してくれる。マイクを取り付けるためのスタンドも付属する。有料のアプリを用いて、より詳細な調整も可能。

HDMI入力は3系統、出力は1系統。8K/60Hz、4K/120Hz映像のパススルーにも対応する。また、全てのHDMI端子がHDCP 2.3に対応。HDR映像は、HDR10、ドルビービジョン、HLGに加え、HDR10+とDynamic HDRにも対応。eARCもサポートし、HDMI 2.1の新機能であるALLM、VRR、QFTにも対応する。8Kや4Kへのアップスケール出力も可能。

HEOSのネットワークオーディオ再生も可能。NASやUSBメモリーに保存したDSDファイルやハイレゾファイルも再生でき、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitまでサポート。Amazonアレクサにも対応。Bluetooth受信や、AirPlay 2にも対応。Bluetooth送信も可能で、夜間に映画の音をBluetoothヘッドフォンで聴く事もできる。

ワイドバンドFM対応のFM/AMチューナーも内蔵。MMカートリッジ対応のPhono入力も備えている。

Marantz AVR Remoteアプリをスマホやタブレットにインストールし、操作や設定が可能。

イラストなどをふんだんに使ったセットアップアシスタントを搭載。セットアップメニューも進化しており、テキストや画像の解像度がアップ。視認性を高めたほか、デザインもより洗練されたものになった。

リモコンには4つのスマートセレクトボタンを備え、入力ソースや音量レベル、サウンドモードの設定を登録可能。ボタンを押すだけで、登録した複数の設定を切り替えられる。

HDMI以外の端子は、音声入力がアナログ×3、Phono×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1。音声出力が7.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン×1。他にも、LAN端子やマランツリモートバス、フラッシャー入力、DCトリガー出力などを備えている。

消費電力は250W。外形寸法はアンテナを寝かせた状態で、442×384×109mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.7kg。