レビュー

マランツ次世代「CINEMAアンプ」体験、薄型CINEMA 70s購入を決めた理由

CINEMA 50(右)とCINEMA 70s(左)

私と「マランツAVアンプ」との馴れ初め

筆者が初めてAVアンプを導入し、マルチチャンネル・サラウンドのシステムを構築したのは大学2年の時。そしてその時に選んだAVアンプは、マランツの「PS4500」というモデルだった。

当時の筆者はマランツのエントリークラスのプリメインアンプ「PM6100SA ver.2」を導入し、本格的にオーディオの世界に足を踏み入れて間もない頃だった。ただ、元来「音楽も映像も同じレベルで大事にしたい」という性分であったために、オーディオとはどのようなものかを把握できたタイミングで、「音楽も映像も両方いける」AVアンプにすぐ乗り換えたことになる。とにかくサラウンドなるものを実践してみたかった、ということもある。

ただ、この時点でも初心者なりに「2chオーディオアンプに比べれば、AVアンプは音が落ちる」的な話は聞いていて、AVアンプへの乗り換えに多少不安がないわけではなかった。それでも結果として、PS4500はサラウンドで聴く映像コンテンツはもちろん、純粋に2chで聴く音楽コンテンツであっても、大きな満足が得られたことを記憶している。

これが、私と「マランツのAVアンプ」との馴れ初めだ。少なくとも今よりもずっと、音楽に特化したいわゆる「ピュアオーディオ」と映像込みの「AV」がジャンルとして峻別されている感があった2000年代において、「映像のみならず音楽(映像内で流れるBGMを含む)も妥協なく楽しめるAVアンプ」という第一印象は実に鮮烈だった。それ以来、実家に帰省した時の再生環境が寂しすぎるということで購入した「PS3001」、HDMI1.3対応製品が成熟してきたタイミングでメインシステム用に購入した「SR6004」、デスクトップ環境でも本気で映像コンテンツを楽しむべく購入した「NR1608」といった具合で、筆者とマランツのAVアンプとの関係は今も継続している。

だからこそ、マランツのAVアンプが「SR」「NR」シリーズから新たに「CINEMA」シリーズとしてフルモデルチェンジし、弩級のセパレートモデルを含む充実したラインナップが用意されるという報に接し、いちユーザーとしてもおおいに興奮したものである。

CINEMAシリーズのラインナップ

これは聴かないわけにはいかない。CINEMAシリーズの中から先行して登場する「CINEMA 50」と「CINEMA 70s」の2機種をお借りして、筆者宅でじっくりと使ってみた。

デザインも中身も新しい「CINEMA 50」と「CINEMA 70s」

基本情報をおさらいすると、CINEMA 50は9chアンプ搭載・11.4chプロセッシングに対応するモデルで、価格は286,000円。いわゆるフルサイズのAVアンプであり、プリアンプ部に採用するマランツ独自のアンプモジュール「HDAM-SA2」は、AVアンプとしては初めてHi-Fi用と同じ回路を搭載するなど、内容的にも価格的にも入魂のモデルとなっている。自動音場補正は上位の「Audyssey MultEQ XT32」を搭載している。

CINEMA 70sは7chアンプ搭載のモデルで、価格は154,000円。本機は高さが109mmと薄型なので、一般的な“背の高い”AVアンプとは異なり、テレビラックをはじめ、様々な場所に無理なく設置・導入が可能となっている。今回登場したCINEMAシリーズは従来の「SR」「NR」シリーズの後継ではなく、新規に企画・開発されたシリーズということだが、CINEMA 70sは立ち位置的に「薄型AVアンプ」というNRシリーズのコンセプトを継承している。

実際にCINEMA 50とCINEMA 70sを並べると、真っ先に目に入る変化はずばり“デザイン”だ。従来のAVアンプから今回のCINEMAシリーズの外観は一新されており、2020年に登場したプリメインアンプ「MODEL 30」とSACDプレーヤー「SACD 30n」から始まる新世代のデザインを身に纏う。

CINEMA 50にせよCINEMA 70sにせよ、使い勝手に配慮しつつも機器前面を可能な限りすっきりさせたデザインになっており、今までのAVアンプとは一味違う、新鮮な印象を受ける。良い意味で「AV機器らしくない」デザインにより、テレビを中心とするリビングルームなど、専用室ではない環境への馴染みやすさ間違いなく向上していると言っていいだろう。なお、今回使用した試聴機はどちらもブラックだが、CINEMA 70sはシルバーゴールド仕上げも用意されており、好みやインテリアとの相性にあわせて選択が可能だ。

前世代のデザインの「NR1608」(左)と「CINEMA 70s」(右)
ラックにCINEMA 50とCINEMA 70sを収納した様子
付属するリモコンの高級感も従来から向上している
両機種ともに自動音場補正用のマイクが付属する
各種ボタンはフロントパネル内部に収納され、すっきりとしたデザインに寄与している
「MODEL 30」と「SACD 30n」からフロント左右の波打つデザインも継承しており、光の当たり具合によって様々な表情を見せる
CINEMA 50背面。11.4chプロセッシングに対応し、外部パワーアンプの追加で最大7.4.4chまたは5.4.6ch構成が可能

CINEMA 70sは薄型でありながら、7chアンプに加えて7.2chプリアウトを持つ点が大きな特徴。薄型ならではの優れた設置性に7.2chプリアウトが加わることで、システム構築の柔軟性・発展性は一気に高まる。前世代機に当たる「NR1711」のプリアウトは2.2chだったので、ここからもCINEMA 70sが単なるNR1711の後継ではなく、一段上のクラスの製品であることが見て取れる。

CINEMA 70s
CINEMA 70s背面7.2chプリアウトを持ち、従来の薄型AVアンプとは一線を画す拡張性を持つ

CINEMA 50・CINEMA 70sともに、最新のAVアンプに求められる機能には一通り対応している。

音声面では、オブジェクトオーディオのDolby AtmosとDTS:Xに対応。MPEG-4 AACのステレオ、5.1chにも対応し、4K/8K放送もサラウンドで再生できる。CINEMA 50ではこれに加えてIMAX EnhancedとAuro-3D、360 Reality Audioにも対応する。Dolby SurroundやNeural:Xを使うことで、通常の2chや5.1chコンテンツをハイトスピーカーまで含めた形にアップミックスしての再生も可能だ。

映像面では、CINEMA 50がHDMIの6入力すべてが8K/60Hz、4K/120Hzに対応。CINEMA 70sは6入力中3入力が対応。HDMI2.1時代のコンテンツへの備え場万全といえる。

「ALLM(Auto Low Latency Mode)」、「VRR(Variable Refresh Rate)」、「QFT(Quick Frame Transport)」といったゲーム関連機能にも抜かりなく対応している。筆者の環境でPS5の『Horizon Forbidden West』や『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』といったハイフレームレートに対応したタイトルと、4K/120Hz入力/表示が可能なテレビを使い、CINEMA 50・CINEMA 70sとの組み合わせで各種機能がきちんと有効になっていることを確認できた。

ゲーム好きの読者ならご承知のことと思うが、もはやハイフレームレートはPCゲーム環境の特権ではない。例として挙げたタイトルに限らず、昨今のゲーム機用タイトルは60fpsを越えるハイフレームレートモードを実装している場合がある。そして、たとえフレームレートの上昇幅そのものは大きくなくとも、VRRの恩恵もあわせると、体感する映像の滑らかさはかなり違ってくる。「HDMI2.1に対応する最新のテレビを買ったなら、その性能を最大限生かすために、AVアンプも最新のモデルを使おう」と声を大にして言いたいところだ。

『Horizon Forbidden West』が80fpsで動き、低遅延やVRRが有効になっている様子
HDMI2.1に関連する諸機能は設定の「ビデオ/4K/8K信号フォーマット」から、「8K拡張」を選ぶ必要がある

CINEMA 50にはさらに、「チャンネルごとにスピーカー出力とプリ出力を設定できるようになった」という進化点がある。

元々熱心なAVアンプユーザーは、さらなる多チャンネル化やシステムのステップアップのために、AVアンプのプリアウトを外部パワーアンプに接続する、というケースが往々にして存在する。学生時代の筆者ですら、フロント2chには別のパワーアンプを繋いでいたくらいだ。

ただ、こうなると結果的にAVアンプの内蔵アンプを使わなくなるので、それならいっそアンプの動作を停止させ、プリ出力に特化することでその音質を向上しよう、というアイデアも当然出てくる。

そのための機能は「プリアンプモード」的な呼び方で結構以前からAVアンプに実装されてきたが、マランツの最新世代のAVアンプでは、その「内蔵アンプを使うか、プリアウトに専念するか」をチャンネルごとに設定できるようになった、というわけだ。従来機はすべての内蔵アンプを使う/使わないの選択しかなかったのだ。これにより、ユーザーは自分のシステムにあわせてよりきめ細かく設定を最適化し、AVアンプの能力を引き出すことが可能になる。

「スピーカー/スピーカーの接続端子」にて、内蔵アンプを使うか否かの設定を行なう。ここで「プリアウト」を選択すると、内蔵アンプがオフになる

ちなみにこの機能、少々面白い用途もある。

マルチチャンネル・サラウンド環境を構築し、サラウンド音声の映像コンテンツを再生していて、「はたしてフロント以外のスピーカーから厳密にはどんな音が出ているのだろう?」と気になったことはないだろうか。「上からの音」を謳うDolby Atmos音声のコンテンツに対し、「はたして上からどんな音が出ているのだろう?」と気になったことはないだろうか。

当然、筆者のようなマニアは気になって仕方がない。そんな時、例えば5.1.2chのシステムを組んでいる場合、ベースの5chを「プリアウト」に設定することでそこだけ内蔵アンプが停止し、残るトップスピーカーの音だけが聴こえるようになる。こうした使い方をすることで、「なるほど、この作品ではこういう音の活用をしているのか!」という、新たな発見があるはずだ。このようにマニア根性を満足させるという意味でも、「チャンネルごとにスピーカー出力/プリ出力を設定できる」というのは素晴らしい機能なのである。

その他にも、各種設定用のGUIが高解像度かつずっと見やすくなるなど、進化した点は多岐にわたる。

GUIも高解像度になり、見やすくなった

試聴環境は、スピーカーが両機ともにフロントにB&Wのブックシェルフ「706S2」、サラウンドにParadigmのトールボーイ「Monitor SE 3000F」、Dolby AtmosイネーブルドスピーカーとしてPolk Audioの「MXT90」という4.0.2ch構成。

AVアンプ側の価格を踏まえて、「テレビを中心にして、普通の部屋で構築できる現実的な規模感」を想定したシステムとしている。ちなみに今回のレビューではサブウーファーを使っていないが、CINEMA 50はサブウーファーを4台接続可能で、複数台のサブウーファーを活かした低域再生のオプションも充実している。

今回のレビュー環境
B&W 706S2とPolk Audio MXT90の組み合わせ

映像コンテンツは「トップガン マーヴェリック」と「グレイテスト・ショーマン」のUHD BDを主に使い、音楽は搭載されているネットワークオーディオ機能「HEOS」を使って様々な楽曲を再生した。

音を聴いてみる:CINEMA 70s

CINEMA 70s

まずはCINEMA 70sを聴く。上にも下にもスムーズに伸びるレンジの広さ、体にずしりと響く低域の威力など、この時点で既に「エントリークラス」的な感覚とは一線を画すクオリティであり、優れたスピーカー駆動力が感じられる。

特に感銘を受けたのが低域の充実。「トップガン マーヴェリック」終盤の任務本番のシーンでは、超低空で飛行する戦闘機が吐き出す持続的な低音の再現が素晴らしい。空気を引き裂いて味方編隊を追い回すミサイルの飛翔音など、鋭さと重さの両立、マルチチャンネルを駆使した明快な移動感の描写なども難なくこなす。フロントスピーカーにブックシェルフスピーカーの706S2、サブウーファーは不使用という環境でも、音が軽いとか、低域が弱いとか、迫力が足りないとか、そういったネガティブな印象は皆無。「薄型AVアンプなのでパワーが……」などという不安はまったく感じない。

ミュージカルシーンが音響的なハイライトとなる「グレイテスト・ショーマン」はまさにマランツのAVアンプが本領を発揮する作品といえる。楽曲「Come Alive」のシーンでは、リズムを刻む様々な楽器が鮮明さと豊かな厚みを伴って描かれ、コーラスの広がりやほぐれ方も申し分ない。女性歌手のソロとなり、ある意味でサラウンド的な演出による誤魔化しの利かない「Never Enough」も、透明感に溢れる迫真の表現を聴くことができた。

なお、搭載アンプが7chのCINEMA 70sの場合、組み合わせるフロントスピーカーがバイワイヤリングに対応しているなら、無理してハイトスピーカーを使うより、フロントスピーカーをバイアンプする方がトータルでは良い結果に繋がると感じる。今回組み合わせたB&W 706S2はバイアンプの効果が大きく、特に音楽を聴いた際のダイナミックレンジや躍動感の向上が目覚ましい。

純粋に音楽を聴く場合は言うまでもないが、サラウンド音声の映像コンテンツであっても結局はフロント2chのクオリティが最終的な満足度を大きく左右する。必ずしもスピーカーを増やすことだけが正解ではない、ということは心に留めておいてほしい。

音を聴いてみる:CINEMA 50

CINEMA 50

続いて接続をCINEMA 50に換える。CINEMA 50は9chのアンプを搭載するので、フロント2chをバイアンプしたうえでの7.1ch、あるいは5.1.2ch構成が可能である。専用室ではない一般的な居室なら、現実的におそらくこの辺がマルチチャンネル・サラウンド環境の上限値になるだろう。

CINEMA 50にすると音のスケールが俄然増し、部屋が広くなったように感じる。それでいて部屋を飛び交う音の密度は薄れるどころかいっそう高まる。「トップガン マーヴェリック」にて、クライマックスで主人公マーヴェリックのF-14と敵の第5世代戦闘機(作中で名前は呼ばれないがどう見てもSu-57)がドッグファイトを行なうシーン。マーヴェリックは勝手知ったるF-14の能力を限界まで引き出して戦うものの、開発年代的に40年もの差がある両機の性能差はいかんともしがたく、Su-57は歴戦のパイロットであるマーヴェリックすら驚愕する異次元のマニューバを軽々と繰り出す……という手に汗握る展開に、CINEMA 50はさらなる躍動感と興奮をもたらす。重い音はより重く、激しい音はより激しく、鋭い音はより鋭く。上位機の余裕は明らかだ。

「グレイテスト・ショーマン」の象徴ともいえる楽曲「This Is Me」のシーンでは、キアラ・セトル演じる髭の生えた女性の悲哀に満ちた歌い出しからして、リアリティの違いが歴然としている。声にせよ楽器にせよ、ひとつひとつの音がCINEMA 70sに比べてさらに丹念に磨き込まれた印象で、空間の広さもあいまって、満足度は極めて高い。

ちなみに、試聴機を借りていた期間がちょうど「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」の発売と重なったため、せっかくということでCINEMA 50を使って全編クリアまでプレイしている。こんにちのゲームは映画と並んで最も高いレベルで制作される映像コンテンツである。その中でも最上級のタイトルと言っても過言ではないゴッド・オブ・ウォー ラグナロクとCINEMA 50との組み合わせは、究極の映像と妥協なき音響の相乗効果によって、まさに至福のゲーム体験をもたらしてくれた。

HEOSを使った純粋な音楽再生で真っ先に感じたのは、背景がより「黒い」こと。内部に映像を含む大量のデジタル回路を搭載し、ノイズとの厳しい戦いを強いられるAVアンプでありながら、音楽再生でこれほどの「黒さ」を感じられるのは素直に脱帽であり、私にとっても初めての経験だ。映像よりもむしろ純粋な音楽再生でCINEMA 50の実力、あるいは底力を強く感じるあたり、さすがマランツのAVアンプというべきか。「AVアンプはHi-Fiアンプに比べて音が云々……」といったイメージは、少なくともCINEMA 50の再生音においては完全に払拭されている。

無論、同価格のAVアンプとHi-Fi 2chアンプを純粋な音楽再生用途で比べれば、その部分にかけられるコストが違うのだから、絶対的な音質では及ばないということになろう。

だからといって、CINEMA 50とCINEMA 70sの再生音からは、「AVアンプだから仕方ない」などという言い訳めいたものは感じられない。そこにあるのは、奇を衒わず、安易な演出や迫力を志向せず、スピーカーの能力をストレートに引き出す正当にして王道のHi-Fiサウンドである。この印象は再生するコンテンツが映像だろうと音楽だろうと一貫している。

こうした再生音の方向性は、製品デザイン同様、良い意味で「AVアンプらしくない」ともいえる。筆者宅でのレビューに先立ち、マランツの試聴室で両機のデモンストレーションをしてもらっているのだが、その際にサウンドマスターの尾形好宣氏から聞いた「マランツではピュアでもAVでも音決めの方向性は変えていない」という言葉をあらためて思い出す。

マランツのサウンドマスター・尾形好宣氏

CINEMA 70s、買っちゃいます

CINEMA 70sは、シリーズの中で最も廉価なモデルではあるものの、154,000円なので、さすがに「エントリー」とは言い難い価格だ。しかしながら、そのぶんエントリークラスのAVアンプとは一線を画したクオリティに仕上がっているのは確かだ。なにより、「最先端の機能と本気の仕様を備えた薄型AVアンプ」という立ち位置は唯一無二だ。様々な活躍の場が考えられるが、やはり「これからテレビを中心にオーディオ/ホームシアターを始める」という人に対する魅力は傑出している。

CINEMA 50を核にしたシステムを作れば、一般的な見地からすればまごうことなき「あがり」のシステムが出来上がる。オーディオやホームシアターは上を見れば金額的にきりのない世界だが、例えば今回CINEMA 50と組み合わせたシステムは、価格云々を越えた、絶対的な満足度の高さがあった。

記事の最初で触れたように、元々筆者は経験上、マランツのAVアンプには「音楽を聴いた際の満足度が高い」という美点を感じてきた。AVアンプに従来的な「映像(サラウンド)コンテンツを楽しむアンプ」だけでなく「あらゆるコンテンツを楽しむリビングの核」という性格が求められるようになった現在、その美点はかつてないほどの輝きを放っている。

そしてCINEMA 50とCINEMA 70sもまた、試聴を通じてその期待を裏切らない、むしろ上回る音を聴かせてくれた。オーディオ機器としての絶対的なクオリティはもちろん、デザイン等も含めた「在り方」という点で、CINEMA 50とCINEMA 70sは「最も新しく、最も進化した」AVアンプの姿を示している。「AVアンプはここまできた」と胸が熱くなる。

最後に話は変わるが、筆者はマランツの薄型AVアンプとしては四世代前に当たる「NR1608」をデスクトップシステムで使用している。机の存在を前提とするオーディオ/シアター環境は設置スペースに大きな制約があり、他の機器との兼ね合いも考えるとフルサイズのAVアンプの導入は難しい。その意味では、まさに薄型AVアンプがうってつけとなるケースといえる。

HDMI2.1に対応するPS5が登場したこともあり、しばらく前からモニターの更新とあわせて、そろそろAVアンプもHDMI2.1対応モデルに買い替えるつもりでいた。そうした状況で、薄型AVアンプとして大きな進化を遂げたCINEMA 70sの登場である。今回のレビューを通じて、その実力も確認できた。となれば、渡りに船とはこのことだ。CINEMA 70s、喜んで買います。

買い替えを決めているデスクトップシステムの「NR1608」。あとはCINEMA 70sの発売を待つばかり

(協力:マランツ)

逆木 一

オーディオ&ビジュアルライター。ネットワークオーディオに大きな可能性を見出し、そのノウハウをブログで発信していたことがきっかけでライター活動を始める。物書きとしてのモットーは「楽しい」「面白い」という体験や感情を伝えること。雪国ならではの静謐かつ気兼ねなく音が出せる環境で、オーディオとホームシアターの両方に邁進中。個人サイト:「Audio Renaissance」