パナソニック、世界初のBDドライブ搭載CATV用STB
-ケーブルテレビをBDに録画。8倍録画や携帯転送も
| 12月発売
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パナソニック株式会社は、世界初のBlu-ray Discドライブを搭載したCATV用セットトップボックス(STB)を、12月からCATV事業者向けに発売する。ケーブルモデムや、ODFM搭載の有無で3機種をラインナップしている。HDD容量はいずれも500GB。
モデル名 | HDD容量 | 対応受信方式 | ケーブルモデム | アクトビラ ビデオ・フル アクトビラ ビデオ・ダウンロード |
TZ-BDW900M | 500GB | トランスモジュレーション | ○ | - |
TZ-BDW900F | 500GB | トランスモジュレーション OFDMパススルー | ○ | - |
TZ-BDW900P | 500GB | - | ○ |
最大の特徴はCATV用STBとして世界初のBDドライブを搭載したこと。同社が9月から発売しているブルーレイDIGA「DMR-BW870」や「DMR-BW770」などと、レコーダとしての基本的な機能は共通している。ただし、USB端子は省かれている。
全機種、チューナは地上/BSデジタルとCATVチューナを各2基搭載。すべての放送やCATVが2番組同時録画できる。HDDへの録画だけでなく、HDDからBDメディアへのダビング、BDへの直接録画も可能。市販のBDビデオソフトの再生にも対応する。
TZ-BDW900M | TZ-BDW900F |
ダブルチューナの内、片方のチューナではフルHD解像度のままMPEG-4 AVC/H.264形式にエンコードして録画可能。片方はストリーム録画のみとなる制約は、ブルーレイDIGAと同じ。MPEG-4 AVC/H.264録画時に、最高で8倍の長時間録画が可能。録画画質もBDレコーダと同等のクオリティを実現しているという。録画モードはHG(12.9Mbps)/HX(8.6Mbps)/HE(5.7Mbps)/HL(4.3Mbps)/HMモード(3.0Mbps)から選ぶ。
また、IPベースのVODサービスにも対応。ケーブルモデム非搭載の「TZ-BDW900P」はアクトビラ ビデオ・フルに対応するほか、アクトビラ ビデオ・ダウンロードサービスにも対応する。なお、ケーブルモデム非搭載のモデルのみが対応しているのは、ケーブルモデム搭載STBを採用するCATV事業者の多くが、自社でVODサービスを実施しているケースがほとんどであるため。
YouTubeへのアクセスは全モデルが対応しており、テレビで観賞できる。さらに、全モデルがDLNAサーバー機能を搭載。HDDに蓄積した地上デジタルやCATVの番組を、ネットワーク経由でDLNAクライアント対応のテレビや端末、PCなどに配信できる。パナソニックの対応テレビ(Z1/V1/PZR900)や、BDプレーヤー(DMP-BD60)などから接続すると、STBと同様のデザインのGUIを使い、STBの録画コンテンツ一覧が表示される。
さらにHDD内蔵VIERAのRシリーズで録画した番組の、STBへのダビングも可能。両機をLAN接続すると、Rシリーズで「標準」、「長時間」モードで録画した番組がダビングでき、そこからBDへの書き出しも可能。
また、録画番組をSDカードに書き出すことで、ワンセグ対応携帯電話などに番組を持ち出せる「番組持ち出し」も使用可能。地上デジタル放送では、ワンセグ部分を転送用映像として保存。BSデジタル放送やCATVの番組、アクトビラでダウンロードした映像も、ワンセグ相当(320×240ドット/15fps)に変換して転送できる。変換は録画後に自動的に行なわれるため、SDカードへの転送時は高速転送が可能。。
なお、CATVではコピーワンスの番組が多いが、その場合は「番組持ち出し」をするとHDDから番組が消えてしまう。持ち出しとBDへのムーブなどを両方行ないたい場合は、ダブルチューナで同じ番組を2つ録画したり、CATVでは同じ番組が繰り返し放送される事も多いのでもう一度録画するなどの工夫が必要。
付属リモコンは3機種共通。チューナ部にCATVボタンが配置されている | フロントパネルを開いたところ。B-CASカードは右側に入れる。SDカードは中央 | 左側にはBDのロゴマークが入っている |
録画番組を作成したラベル名ごとに自動でふりわけ、「お父さん」や「お母さん」などのラベルを作ることで、家族がそれぞれの番組を手軽に管理できる「らくらくマイラベル」も使用可能。指示に従って操作するだけでダビングができる「かんたんダビング」機能も用意している。また、最大録画・予約タイトル数もアップ。DCH9000シリーズの最大録画タイトル数499が3,000に、予約タイトル数64は128に増えている。
BDビデオ再生はBD-Liveに対応。AVCHDビデオカメラの映像取り込みにも対応。ドアホンやセンサーカメラとの連動機能も備えている。i.LINK端子やHDMI出力も備え、「VIERA Link」にも対応。テレビとの電源連動動作も可能で、テレビを視聴するとSTBが電源OFFからスタンバイモードへ、テレビの入力をSTBに切り換えるとSTBが起動する。
品番 | TZ-BDW900M | TZ-BDW900F | TZ-BDW900P |
消費電力 | 38W | 32W | |
待機時消費電力 | 7W(クイックスタート入) 0.2W(クイックスタート切) | ||
出力端子 | HDMI×1 D4×1 S映像×1 コンポジット×1 アナログ音声×1 光デジタル音声×1 | ||
その他の端子 | i.LINK×1 モジュラー×1 Ethernet×1 SDカードスロット×1 | ||
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 430×334×59mm | ||
重量 | 約4kg |
■ 「CATVユニバーサルポータル」目指す
AVCネットワークス社 映像・ディスプレイデバイス事業グループ CATVビジネスユニットの有賀健グループマネージャーはSTBの市場について、2008年が144万台だったのに対し、2009年と2010年はどちらも150万台程度で推移すると予測。その内訳として、録画対応のSTBの台数は2008年の32万台から、2009年は40万台、2010年は53万台まで高まり、STBの約35%を占めるようになると予測する。
「BDに対する要望も、ケーブル業界から強く上がっていた」とし、新モデルを紹介。販売台数は3機種合計で年間10万台とした。
有賀氏はパナソニックが描く次世代CATVの形として、「STBがCATV局からの放送を受信するだけでなく、IPベースのVODやWeb上のビデオなどを受信するホームゲートウェイ機能を持ち、同時にサーバーとしても機能。デジカメやビデオカメラの映像も取り込め、家庭内に向けた配信に対応し、モバイルとの連携も可能になる」と予測。
さらに「パナソニックでは番組制作機器からヘッドエンドまで手掛け、エンド to エンドのビジネス展開を行なっている。今後もCATVの強みである双方向性の面で、ケーブル事業者さんと連携を進め、新しいサービスを提供できるようにして、“CATVユニバーサルポータル”を目指していきたい」と語った。
AVCネットワークス社 映像・ディスプレイデバイス事業グループ CATVビジネスユニットの有賀健グループマネージャー | STBにおける録画対応モデルの台数は年々増加している | BD対応モデルを含む、パナソニックのSTBラインナップ |
(2009年 9月 9日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]