「auひかり」でデジタルチューナ/HDD搭載STBを提供開始
-HD画質の配信も開始。「“自宅難民”にも最適」
KDDIは、光ファイバーサービス「auひかり」加入者向けのサービスとして、地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載し、IP多チャンネル放送のHD番組を視聴可能なHDD内蔵STB「HD-STB」のレンタルを6月2日より開始する。
STBのレンタル料金は月額1,365円。携帯電話などと合わせて決済する「まとめてau支払い」も利用できる。STBの申し込みはオンラインまたはカスタマーサービスへの電話で行なえる。なお、提供開始時期に合わせて、STBの最大3カ月レンタル無料キャンペーンも実施する。
HD-STB |
「auひかり」会員向けに提供するIP多チャンネル放送や、VOD番組が視聴できる、モトローラ製のSTB(型番:VIP2060)。既存のSTBである「au BOX」(月額315円)との違いは、地上/BS/110度CSデジタルのWチューナを搭載したこと。デジタル放送はIP再送信ではなく、通常のアンテナ受信での視聴となる。なお、アナログチューナは搭載しない。500GB HDDを搭載し、録画も可能。
もう1つの特徴は、HD画質の配信番組が視聴可能になったこと。STBの提供開始時期に合わせて、これまでSD画質で配信していた多チャンネル放送にHD画質のチャンネルを追加。新たに「J sports plus HD」と、「ムービープラスHD」の2つがラインナップに加わり、SDのチャンネルと合わせて計51チャンネル構成となる。HDチャンネルは、以降も順次追加予定としている。
新たに加わる2つのHDチャンネルのうち、ムービープラスは、従来のSDチャンネルの「ベーシックチャンネルパック」(1,539円/月)に含まれる。一方、J sports Plusはオプションチャンネル扱いとなり、加入する場合は別途1,365円/月が必要となる。VODコンテンツの価格はコンテンツにより異なるが、同じコンテンツであれば、SDとHDの価格は同じ。
LISMO Video StoreのVODコンテンツ。フジテレビ on DemandやTBSオンデマンドなどの番組も |
「LISMO Video Store」で配信するVODコンテンツにも、新たにHD画質のタイトルをラインナップ。サービスイン時のHD画質の作品数は、映画やドラマ、アニメなど500タイトルを用意。フジテレビやTBSなどテレビ局が配信するドラマなどのコンテンツも用意する。開始後の早い段階で600タイトルに達する見込みとしており、従来の約7,000タイトルのSDコンテンツに加え、HDコンテンツは約3,000タイトルまで拡充するとしている。
多チャンネル放送や、LISMO Video StoreのVOD番組のラインナップ | プレミアホームシアターの内容 | そのほか、既存のLISMOオリジナルドラマ配信も継続して行なう |
NHKオンデマンドの視聴にも対応 |
そのほか、新たにNHKオンデマンドにも対応。NHKオンデマンドへの加入もHD-STB内で行なえ、料金もSTBのレンタル料金などとまとめて決済できる。
なお、auひかりの加入者であれば、有料放送に加入せず、HD-STBのレンタルのみ行なうことも可能で、STBをデジタルチューナ搭載のHDDレコーダとして利用できる。
デジタル放送やIP多チャンネル放送の番組は、内蔵の500GB HDDに最大1,000番組まで録画が可能で、画質モードは「DR」(最高画質/最大約40時間)のほか、MPEG-4 AVC/H.264の「XP」(高画質/約4Mbps/最大約200時間)、「SP」(標準画質/約2Mbps/最大約400時間)、「EP」(長時間録画画質/約1.4Mbps/最大約500時間)の計4種類から選べる。DRモードで録画した場合のみHD画質となり、AVC形式での録画は全てSD画質となる。
デジタル放送の2番組同時録画にも対応。ただし、同時録画はDRモード2番組または、DRモード1番組とAVC録画の1番組となっており、AVC形式での2番組同時録画には対応しない。
予約録画はEPG(Gガイド)からの指定のほか、フリーワードによる自動録画にも対応。ジャンルやチャンネルの種別、2つまでのフリーワードで絞りこんで対象となった番組を自動録画できる機能で、フリーワードなどの条件による録画は5件まで登録でき、連続ドラマの予約にも使える。自動録画でHDD容量の上限に達した場合、同じく自動録画された番組のなかから、古い順に削除するという設定も可能。なお、録画予約の件数に制限は無いとしている。そのほか、タイムシフト再生も行なえる。
なお、光学ドライブやSDカードスロットは備えておらず、録画した番組のダビングや携帯電話への持ち出し、CDリッピングなどは行なえない。ダビング対応については、ユーザーからの要望によりバージョンアップで対応することも検討しているという。
地上/BS/110度CSデジタル対応のチューナを搭載 | IP多チャンネル放送では、新たにHD番組も視聴可能になった | HDDへの録画にも対応。EPGやフリーワード検索で予約録画できる |
フリーワード予約画面。ジャンルなどでの絞り込みも可能 | フリーワードによる検索結果 | ジャンルによる番組検索結果。日付ごとに対象番組の数も表示される |
LISMO Video Storeでの番組購入や、mora for LISMOでの楽曲購入も可能 |
au BOXと同様に、mora for LISMOの楽曲や、LISMO Video Storeの映像コンテンツの購入にも対応。内蔵HDDのうち4GBは、楽曲保存用に割り当てられている。前面にはUSB端子を2系統備えており、au携帯電話と接続することで、購入した楽曲/番組を携帯電話や対応ウォークマンへ転送可能なほか、各端末の充電も行なえる。さらに、携帯電話内にあるファイルをSTBのHDDにバックアップできる。
そのほか、アナログビデオなど著作権保護されていない映像をMPEG-4 AVC/H.264でキャプチャして、au携帯電話に転送できる「マニュアルケータイ予約」にも対応している。ただし、AVC形式のモードでテレビ番組を録画している最中は、「マニュアルケータイ予約」は行なえない。そのほか、ウェブブラウザとしてOperaを搭載。ただし、Flashの表示には対応しない。
購入した番組のリストなどを表示するマイビデオ画面。HD番組には「HD」アイコンが、携帯電話に転送できるコンテンツには「転送」アイコンが表示される | 購入履歴から、おすすめの番組をリコメンドする機能も | 転送対応コンテンツは、USB接続したau携帯電話に転送できる |
映像出力としてHDMIを搭載し、HDMI CEC対応機器との電源連動にも対応する。そのほか、D4を各1系統、コンポジット/S映像を各2系統装備。音声出力は光デジタル1系統と、アナログ音声(RCA)2系統。アナログキャプチャ用のコンポジット/S映像/アナログ音声の入力端子を各1系統装備する。Ethernetやモジュラー端子を備える。
外形寸法は約311×276×70mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.2kg。リモコンやHDMIケーブルが付属する。
HDMIなどの端子部 | B-CASカードスロットは側面に備える | 付属リモコン |
■ 無料キャンペーン実施。「“自宅難民”のお父さんの2台目のレコーダに」
無料キャンペーンの内容 |
さらに、好きなVOD番組が毎月3本見られる「ビデオ月額パック」(665円/月)は最大2カ月無料に、毎月600本以上のNHKオンデマンドの見逃し番組が視聴可能な「NHKオンデマンド見逃し見放題パック」(945円/月)は初月無料、「スター・チャンネル マルチプレックス」(2,100円/月)は2カ月無料となる。
今回発表されたHD-STBは、個室向けだったau BOXとは異なり、リビングへの設置を想定。また、既にHDDレコーダなどを持つユーザーの2台目の需要も見込んでいる。
KDDIのグループ戦略統括本部 新規ビジネス推進本部 メディアビジネス部長の八木達雄氏は、アイシェアの調査で「首都圏の父親の5割が自宅でくつろぐことのできない“自宅難民”となっている」ことを紹介。この調査によれば、“自宅難民”の約40.9%が、テレビを家族に占領されていたり、仕事の忙しさなどで自由にテレビを観られない“テレビ難民”とされ、60.9%が家族との関係で録画すらできない“録画難民”だという。“自宅難民”の36.3%はHDDレコーダが欲しいと思っているとのこと。
こうした現状を踏まえ、デジタルWチューナや500GB HDDを搭載したHD-STBを「2台目のレコーダ」として提案。本体デザインは、一般的なレコーダのブラックカラーやソリッドな形状ではなく、ホワイトで丸みを持たせた形となっている。これにより、「多くの方に好感を持たれ、家族にも理解してもらえるのでは」とした。
“自宅難民”の36.3%がHDDレコーダを欲しいと思っているという | “自宅難民”の父親に、2台目のレコーダとして訴求する | KDDIの八木達雄氏 |
月額1,365円というSTBの料金設定については、多チャンネル放送などの有料サービスに加入しなくてもSTB単独でレンタルできることに触れ、STBを売り切りで提供している他の配信サービスや、CATVなどと比べ「まずは使ってもらう、ということに関しては我々が先んじている」とアピールした。
テレビサービスの目標ユーザー数は公開していないが、auひかりのインターネットサービスに加入しているユーザー数は150万人以上としており、この加入者に対して、様々な施策を行なっていくという。
なお、同社が2月に出資して関連会社となったジュピターテレコム(J:COM)との連携については、具体的な内容は示されなかったが、「グループ全体のターゲットユーザーに、コンテンツサービスとして提供できる可能性がある。今後、時期を見て説明する」と述べた。
(2010年 5月 26日)
[AV Watch編集部 中林暁]