地デジ完全移行まで1年。全国で「地デジカ大作戦」実施

-欽ちゃんらが応援隊結成。珠洲市は移行完了


7月24日開催

 

会場には沢山の地デジカの姿が

 2011年7月24日の地上デジタル放送完全移行まで、ちょうど1年となる7月24日、「日本全国地デジカ大作戦」と題して、日本全国で周知広報イベントが同時開催。東京の帝国ホテルでは、デジタル放送推進協会(Dpa/ディーピーエー)が「~地上・BS 完全デジタル移行まったなし1年前の集い~」を開催した。

 会場には地デジ推進キャラクターの草なぎ剛さんや、地デジ推進大使の各局アナウンサーらが登場。全国より1年早く、地デジ移行が完了した石川県・珠洲市の模様が中継されたほか、有名人による「地デジ応援隊」結成も報告。北島三郎さん、高橋英樹さん、萩本欽一さん、茂木健一郎さんも応援に駆けつけた。さらにイベント終了後には、西銀座通りでパレードも実施。日本全国が地デジ一色の1日となった。


 

地デジ推進大使の面々。左からNHKの鈴木菜穂子アナウンサー、日本テレビの馬場典子アナウンサー、テレビ朝日の上宮菜々子アナウンサーTBSの竹内香苗アナウンサー左からテレビ東京の森本智子アナウンサー、フジテレビの大島由香里アナウンサー

■ 各界の代表が決意を表明

 

原口一博総務大臣
 冒頭挨拶に立った原口一博総務大臣は、「電波は限りある資源であり、これを有効に活用し、沢山の人に勇気や真実、良きものを伝えることで、一人一人の可能性が広がる。多くのものが繋がることで、皆の人生が豊かになり、絆を深める事もできる。完全移行まであと1年、この調子で、一人一人の皆さんに、地デジ化の良いところ、素晴らしいところ、皆が繋がる事で生まれるメリットを広めていきたい」と決意を語った。

 

全国知事会代表で徳島県知事の飯泉嘉門氏
 全国知事会代表で徳島県知事の飯泉嘉門氏は「ワールドカップ、侍ジャパンの活躍で、国民の皆さんには地デジ化でテレビが高画質、高音質になり、様々なデータが得られるメリットをまずは享受していただけたのではないかと思う。総務省の浸透度調査では83.8%という計画通りの結果が出ているが、都道府県別に見てみると、一番伸びている所と、そうでない所の差が22.9%と大きい。これからは新たな難視聴対策とともに、それぞれの場所に応じた対策が必要になる」と、今後の課題を挙げる。

 

日本放送協会(NHK)の福地茂雄会長
 日本放送協会(NHK)の福地茂雄会長は、地デジ化を船の航海に例え、「航海で一番難しいのは、港に入り、接岸するところだそうです。我々の難視聴対策も接岸の部分。細心の注意を払わなければならない。南関東ではUHFアンテナを取り付けなければならない家庭がまだ多く残り、京都・下関、東京の多摩地方ではUHFアンテナの向きを変える必要も出てくる」と説明。NHKの取り組みとして、笑福亭仁鶴さんの番組「生活笑百科」で地デジの悩み事相談を取り上げたり、お年寄りが多い巣鴨通り商店街を舞台にした地デジの特集番組を放送するなどの計画も説明した。

 

民間放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長
 民間放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長は「民間放送各局は、山間部を中心に、集落に向けた新しい中継局を建設中。計画では今年の12月31日をもって全て完了する事になっており、断固として完了させたい。来年は局地的な難視地域をひとつひとつ潰していく事になる。時間的余裕は十分にある。漏れのないカバーをしていきたい」と決意を表明。

 さらに、デジタル移行で空いたVHF-HIGH帯を用いたマルチメディア放送として、KDDIやクアルコムなどが出資したメディアフロージャパン企画と、フジテレビやNTTドコモ、スカパーJSATらが出資するマルチメディア放送(mmbi)が、携帯機器向け放送サービスの実現に向けた認定取得を争っている事に触れ、「来月には総務省で(どちらかに)決定すると聞いているが、テレビ局としては新しいライバルが生まれるわけで、緊張しつつ、より優れた番組を提供していきたい」と語った。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の下村節宏会長は、エコポイントの効果もあり、6月までのデジタル放送対応受信機の国内出荷台数は約8,000万台となり、目標まで2,000万台を切るまでになった事を紹介し、政府の支援に感謝。今後の課題として、録画機やポータブル機器、車載器などでまだアナログ対応のものが多く残っている事を指摘。皆さんに、現在お使いの機器をご確認してもらえるように、一層の周知を図りたい」と語る。さらに、移行直前には、地デジ対応製品の購入やアンテナ工事などが一時的に集中する可能性がある。「メーカーとして製品の供給に全力をあげる」と決意を述べた。



■ 地デジ化応援隊が結成

 全国での地デジ移行は1年後だが、モデルケースとなる石川県の珠洲市では一足早く、1年前の今日の正午、地上デジタル化へ完全移行した。珠洲市のセレモニー会場の様子が中継され、正午と同時に関係者の手によりアナログ放送が終了され、会場に置かれたアナログテレビが砂嵐になる模様が東京の会場で確認でき、大きな拍手が起こった。

 

珠洲市のセレモニーを中継しているところ正午の時報と同時に関係者の手により、アナログ放送が終了された珠洲市の会場に置かれたテレビ。上段は地デジ、下段は地アナを表示していたが、正午になると下段のテレビは砂嵐になった

 地デジ推進大使の各局アナウンサーは、地デジ化に向けた進展状況について報告。3月の時点で地デジ対応受信機の世帯普及率が83.8%に達し、普及台数も6月末で8,017万台に達した事などが紹介された。一方で、課題としてビル陰共聴施設や集合住宅のデジタル化が遅れている事が報告され、3月末の時点で47.8%しか対応できていない事、特に関東・東海・近畿で重点的な対応が必要とされた。

 こうした問題への対応として、全国52カ所で展開されているデジサポ(総務省 テレビ受信者支援センター)の活動も紹介。相談会や説明会を本年度に6万5,000回開催し、戸別訪問や障害者への説明会なども積極的に実施しているという。また、共聴施設の改修支援として総合コンサルティングを実施。調査や対策手法の検討、助成金申請のサポート、共聴施設管理者への訪問、法律専門家による相談なども充実させているとした。

 テレビを通じた視聴者への周知では、7月5日からアナログ放送番組が原則レターボックス化されていることが報告された。画面の黒味の部分にスーパーが表示されるようになっている。9月6日からは関東で常時スーパーが表示。来年1月からは全国で常時スーパーが表示される。

 加えて、総務省が23日に発表した、「地デジ最終年総合対策」についても説明。最終の一年間で必要となる体制の検討や実施すべき施策が整理された。詳細は既報の通り。

 今年のデジサポのキャチフレーズも発表。善は急げをもじった「でんわ急げ! デジサポへ」で、地デジ化で何か困った事があったら、とにかくデジサポへ電話しようというメッセージになっている。加えて、新しいテレビCMなども紹介された。

 

今年のデジサポのキャッチフレーズは「でんわ急げ! デジサポへ」平成22年度の地デジ予算内訳アナログ放送のレターボックス化がスタートした

 

地デジ応援隊のメンバー
 また、キャラクターの「地デジカ」も広報以外の新しい形で貢献。Dpaが4月から、地デジカの広告販促使用と商品化の事業を開始しており、これによって得られたキャラクター使用料を使い、老人ホームや病院などに地デジテレビを寄付している事が紹介された。

 さらに、有名人による「地デジ化応援隊」も結成。王貞治さん、桂歌丸さん、北島三郎さん、高橋英樹さん、萩本欽一さん、茂木健一郎さんがボランティアで引き受けており、会場ではビデオコメントが上映された。王さんは「地デジのワイド画面、HDはスポーツ中継のためにあるようなもの」と魅力をアピール。歌丸さんは「“地デジ見て、メガネはいらぬとおおはしゃぎ” 座布団一枚! “親孝行、するなら地デジ、今ですよ“」と5・7・5でコメント。

 萩本さんは「“地デジ”だって……。勝手に変えちゃってゴメンね?、でもね、お願い、変えて。これね、テレビの進歩なの」とユーモアたっぷりに語り、会場の原口大臣思わず「私も萩本さんみたいに、(国民に)“変えて”って言ってみたいものです」と羨ましがるようなコメント。場内から笑いが漏れた。

 ビデオだけでなく、会場には北島さん、高橋さん、萩本さん、茂木さんの4人が登場。豪華な応援隊メンバーを前に、草なぎさんは「本当に心強いです」と笑顔。草なぎさんに「お家はもう地デジですか?」と聞かれた萩本さんは、「これ(応援隊)が決まって、新しいテレビが昨日家に来ました。ドンジリまで今観れてるテレビを使うつもりだったんですが、昨日慌ててとっかえました」と返答し、場内は爆笑。イベントの最後には、北島さんによる「地デジで元気! 音頭」も披露された。

 

高橋英樹さんと、萩本欽一さん茂木健一郎さん欽ちゃんのトークで場内は爆笑

 

北島さんは地デジで元気! 音頭で場内を盛り上げた

 

イベント終了後には、参加者たちで銀座の街をパレード。地デジ移行まで1年となった事をアピールした


 


(2010年 7月 24日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]