シネックス、MicroVision製の小型レーザープロジェクタ
-フォーカス不要、iPhoneケーブル付属。実売39,800円
SHOWWX+ Laser Pico Projector |
シネックスは、米MicroVision製のモバイルプロジェクタ「SHOWWX+ Laser Pico Projector MVO-BX-011」(MCV-SHOWWX+)を7月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は39,800円前後。Apple StoreやAPR(Apple Premium Reseller)、量販店などで販売する。
解像度848×480ドットのポータブルレーザープロジェクタ。Dockコネクタ変換ケーブルが付属し、iPod/iPhone/iPadの映像を壁面やスクリーンに投写可能。別売でVGAケーブルも用意し、パソコン画面も投写できる。明るさは15ルーメンで、コントラスト比は5,000:1。6~100型の投写に対応する。
片手で持てる小型サイズ | iPadとの接続時 | iPhoneとの接続時 |
映像エンジン部 |
iPhoneケーブルなどが付属。ミニ三脚やVGAケーブルは別売 |
RGBのうちR(赤)とB(青)はそれぞれ半導体レーザーを搭載し、G(緑)は波長変換で出力。MEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナを搭載し、高速に左右へ動く1本のレーザー光で上から順に走査する方法により映像を表示。フォーカス調整が不要で、曲面などにも表示可能。「コントラストが高く、数値上よりも2~30%明るい投写が可能」としている。レーザーの出力はClass2。リフレッシュレートは60Hz。NTSC比200%という広色域も特徴。必要な部分だけ、必要な明るさで光を出すため、液晶/DLPに比べ発熱が少なく、省電力としている。
映像入力は専用端子で、付属ケーブルによりiPhone/iPod/iPadや、ビデオカメラ(コンポジット)などと接続可能。充電池を内蔵し、連続投写時間は約1.5~2時間。給電しながらの投写も可能となっている。外形寸法は60×118×14mm(幅×奥行き×高さ)、重量は122g。
MEMSスキャナ | 1本のレーザー光で上段から順に高速で走査する |
光学モジュールの構造 | 本体の内部構成 | 主な仕様 |
フォーカス合わせが不要 | 広角/広色域の投写が可能 | 瞬間的には1ドットのみ表示し、必要な明るさのみ照射するので発熱が少ないという |
■ 軍用HMD開発の技術をプロジェクタに応用
Joe O'Sullivan氏 |
Microvisionは1993年に設立。米国防総省のプロジェクトを受託して、ミリタリー用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などの開発を行なっており、500の特許を取得しているという。プロジェクタは、こうした軍用の技術を応用して開発されている。製品の堅牢性についても、ミリタリー向けの振動試験をクリアしたという。
Microvisionのグローバルオペレーションズ&マーケティング担当バイスプレジデントのJoe O'Sullivan氏は、ポータブルプロジェクタの市場規模が、2010年の53万台から2015年に2,000万台まで急拡大するという予測(Pacific Media Associates)を挙げ、「2013年ごろから爆発的に増えると期待している。プロジェクタ単体のほか、スマートフォンやタブレット、ノートPC、iPod、カメラなどの組み込みも可能。ポテンシャルが高く、ありえない数字ではない」と述べた。
新澤滋氏 |
液晶やDLPに比べ明るく、省電力も見込めるレーザープロジェクタだが、日本での発売までには大きな障壁があった。それは、安全性に関する日本国内の基準で、JIS C6802「レーザ製品の安全基準」に加え、消費生活用製品安全法(消安法/PSCマーク)適用が必要となる点。日本国内では一時、粗悪なレーザーポインタによる事故が起きていたことから、レーザー製品に関して基準が厳しく、世界基準をクリアしたプロジェクタでも国内発売には規制が壁となっていた。しかし、2010年末の法改正により「ボタンを押している間しかレーザーを照射してはいけない」といった規制が緩和。国内でも販売可能となった。MicroVisionの新製品も、PSCの認可や工場の検査などを経て、ようやく発売の見込みがついたという。
日本地区担当カントリーマネージャーの新澤滋氏は、今後の開発ロードマップも説明。現在は半導体レーザーが赤/青のみだが、緑色も半導体レーザーにすることで、スペックルノイズ(反射光同士の干渉によるギラつき)の緩和が見込め、量産性も向上するという。また、720pへの対応も予定。これらの機能を載せた新モデルを2012年までに投入予定としている。さらに、1080p対応についても「モバイルで必要とされれば」と前向きな姿勢を示した。
国内の安全基準もクリア | 今後の開発ロードマップ |
(2011年 7月 6日)
[AV Watch編集部 中林暁]