ひかりTV、タブレット/スマホ専用の動画配信を年内開始

-月額350円~。4K配信やHD番組拡充にも意欲


NTTぷららの板東浩二社長

 NTTぷららは12日、映像配信サービス「ひかりTV」の2011年度上期の取り組みや、下期の事業展開に関する記者説明会を開催した。

 その中で、板東浩二社長は新たにタブレット/スマートフォン専用の動画配信「モバイル専用プラン」を、年内を目標に提供すると発表した。また、新たにショッピングサービスでイオンや大丸松坂屋、東急ハンズなど5社と提携し、オリジナル商品などを販売することも明らかにした。

 さらに、東芝と共同で開発を進めている4K映像配信など、今後のサービス拡充の計画について説明した。



■ タブレット/スマートフォン専用の新サービス

スマートフォン/タブレットに配信している「ひかりTVどこでも」の画面

 同社は8月より、スマートフォン/タブレットでVOD作品を視聴できる「ひかりTVどこでも」を展開中。これはテレビやPCの「ひかりTV」加入者向けのオプションサービスとして提供しているが、新たに始める「モバイル専用プラン」は、iOS/Androidタブレット/スマートフォンのみで視聴するというもの。

 新プランでは2つの料金体系を用意。月額350円の「すまほエントリープラン」は、映画やアニメ、バラエティなど数百本のVODコンテンツを視聴可能。月額1,000円の「すまほバリュープラン」は、VODコンテンツ数千本を視聴できるとしている。

 視聴可能な端末は、iOS端末がiPhone 3GS/4と、iPad/iPad 2、iPod touchの第3世代(32GBモデル)と第4世代。いずれもiOS 4.3以降に対応する。AndroidはNTTドコモのLYNX 3D SH-03C、REGZA Phone T-01C、GALAXY S SC-02B、GALAXY S II SC-02C、Xperia SO-01B、Xperia arc SO-01C、Xperia acro SO-02C、Xperia ray SO-03C、Optimus bright L-07C、MEDIAS WP N-06C、AQUOS PHONE SH-12C、AQUOS PHONE f SH-13C、P-07C、F-12C。

 配信コンテンツ数は、バリュープランで“数千本”としているが、現行の「ひかりTVどこでも」ではVOD作品約7,000本のうち約3,000本が視聴できる。新サービスのモバイル専用プランはこれより少ない本数になる見込み。

 これに先駆けて、NTTドコモから10月より発売される富士通製の「ARROWS Tab LTE F-01D」に専用の視聴アプリがプリインストール。2カ月間“お試しサービス”として動画が視聴できる。その後、継続して視聴したい場合は上記のモバイル専用プランに加入する仕組みとなっている。同様のアプリを、東芝の「レグザタブレット」(10月下旬より順次発売)向けにも提供。「東芝プレイス」で公開予定としている。

新たに始まるモバイル専用プラン(表の右側)富士通のARROWS Tab向けの画面東芝のレグザタブレットにも対応アプリを提供予定


■ ショッピングの取り扱い商品を大幅に強化

新たに加わるショップ

 下期の大きな取り組みの一つである「ひかりTVショッピング」の拡大については、10月24日より新たに「イオンsaQwa(サクワ)」、「JALUX」(JALグループ)、「成城石井」、「大丸・松坂屋通信販売」、「東急ハンズ」の各ショップから販売を開始する。

 従来はひかりTV直営ショップでHDDや無線LANルータといった関連ハードウェアを中心に販売していたほか、「ジャパネットたかた」の商品も扱っていたが、各社との提携で、グルメやファッション、雑貨といったジャンルの商品を扱うようになる。なお、今後はローソンやHMV、ジュンク堂書店、スポーツオーソリティーのショップについても開設に向けて調整を行なっている。

 現在、ショッピングサービスでは400~500点の商品を扱っているが、新ショップが加わる10月24日当初は約1,000点となる予定。購入は、各ショップのページで個別にカートに入れる方法だが、決済はひかりTVで登録しているクレジットカードや代引きなどで一括して行なえる。操作画面もリニューアルされ、より操作性を重視したものになるとしている。

 そのほか、「ひかりTVショッピング」のパソコン向けショッピングサイトも同日より開始。こちらは約1万点の商品を予定している。


イオンsaQwaJALUX成城石井
大丸・松坂屋東急ハンズリニューアル後のトップ画面
各ショップのオリジナル商品などを販売決済画面(開発中のもの)各ショップの担当者がゲストとして来場した


■ HDチャンネルは7割に。4Kなど新たな取り組みも

 現在、20都道府県で行なっている地デジの再配信サービスを含め、多チャンネル放送サービスは96チャンネルで展開。うち73チャンネル(76%)はHDで配信している。

 BSで10月に追加されたチャンネルについては、WOWOWは「プライム」、「ライブ」、「シネマ」の3チャンネルともにHDで配信。スター・チャンネルは1のみHDで2と3はSDとなっている。そのほか、アニマックスやJ sports 4などは既に配信されている。

 板東社長はBSのチャンネル追加について「業界全体では良いことだと考えている。テレビの接触機会が減っているといわれる中で、いろいろな事業者が参加して、業界そのものが活性化するのでは」と歓迎。同社の対応については「今後、再送信サービスで協業させていただくといった方法もある」との考えを示した。


多チャンネルサービスのうち、96ch中、73chがHDチャンネルにHDチャンネルの割合が増加


東芝の「55X3」を使った4K映像の再生デモ

 今後の新サービスとしては、4Kパネル搭載の液晶テレビ「55X3」を発売する東芝との協力で、「ひかりTV」による4K映像(3,840×2,160ドット)の配信も検討している。説明会の会場では、CEATEC JAPAN 2011での展示と同様に、JVCの4Kカメラ試作機で収録したひかりTVオリジナル番組の映像を使って高画質映像の再生デモを行なった。

 なお、この映像はネット配信ではなくローカルのサーバーから4K映像をHDMI(4本)経由で再生しているもの。コーデックはMPEG-4 AVC/H.264。今後は採用コーデックの選定などを含め、配信での実用化に向けた実験を進めていく。

 サービスの開始時期について板東社長は「技術検討を始めたばかりで、商用化は未定だが、できるだけ早い段階で適切なコンテンツを提供したい。4Kテレビがどれくらい普及するか、コンテンツのニーズがあるかどうかを見極めていく」とした。

 現行のVODサービスについては「個別のVODコンテンツにお金を払うという利用も増えている。一番強力なコンテンツは民放キー局の見逃し番組で、利用状況の多くを占めている。たまたま見逃した人が、さかのぼって既に終わった番組を観るということで有料購入につながっていることも顕著に表れている」とした。VODサービスの1カ月当たりの視聴回数は、2010年度上期が1,400万回/月に対し、2011年度上期は2,000万回/月と40%増加している。

 自主制作の番組は、野球やゴルフ、格闘技といったスポーツを展開。9月29日よりひかりTV独占で配信しているAKB48の“本格コント番組”「ひかりTV presents AKB48コント『びみょ~』が人気とのことで、前述のスマートフォン/タブレット向け配信「ひかりTVどこでも」でも10月3日より提供される。

 そのほか、8月にトライアルで配信を行なった、Twitterと連動したプロ野球中継にも言及。対戦チームの応援ツイートをTwitterで行なえるもので、視聴した人の25%が利用し、アンケートの回答でも約8割が「良いサービス」と評価したという。

VODの利用状況VODの時間帯別の視聴傾向今後の新サービスなどのロードマップ
地デジ再配信エリアの現状自主放送チャンネルのラインナップの一部キラーコンテンツとしてAKB48のコント番組を紹介
8月に、プロ野球中継でTwitter連動サービスのトライアルを実施した会員数の推移年度末の会員数目標は190万


(2011年 10月 12日)

[AV Watch編集部 中林暁]