JBL、フラッグシップスピーカー「EVEREST」後継モデル

-315万円のDD67000、バリエーションモデルDD65000


Project EVEREST DD67000のローズウッド(RW)

 ハーマンインターナショナルは、JBLのフラッグシップスピーカー「Project EVEREST」の後継モデルとして、「DD67000」と「DD65000」の2機種を10月上旬に発売する。1本あたりの価格は「DD67000」が315万円、「DD65000」が252万円。仕上げは「DD67000」がローズウッド(RW)とMAの2種類。「DD65000」はゼブラウッド(ZW)のみとなる。

 JBLは創立60周年となる2006年に、フラッグシップスピーカー「Project EVEREST DD66000」を発売。それをベースに、最新の技術やマテリアルを投入した後継機種として開発されたのが「DD67000」。さらに、マグネシウム・ダイアフラム技術を取り入れたバリエーションモデルとして、「DD65000」もラインナップされる。




■DD67000

Project EVEREST DD67000のゼブラウッド(ZW)

 380mm径のウーファを2基、100mm径と25mm径のコンプレッション・ドライバを各1基採用した3ウェイのフロア型スピーカー。

 DD67000最大の特徴は、新開発の380mm径ウーファユニット「1501AL-2」を採用している事。振動板にパルプを使っているのは従来通りだが、ピュアパルプ・スキンの間にインジェクション・フォーム・コア材を注入し、硬化させた独自の「3レイヤー・サンドイッチ・コーン」としている。素材固有の音が少ないパルプの良さを維持しつつ、剛性を高めた。

 エッジには、反応の素早さを重視し、耐久性にも優れたアコーディオン・プリーツ・ポリコットンエッジも採用。量感の豊かさと共に、解像度とスピード感のある低域を実現したという。磁気回路には、アルニコ5DGマグネットを使用している。


採用パーツとユニット新開発の380mm径ウーファユニット「1501AL-2」

 新しいウーファの能力を引き出すために、筺体も見直し。従来のフロントパネルはMDF材を重ね合わせたものに、天然レザーを貼っていたが、DD67000ではパネル内部のインナーバッフルにバーチ・プライウッド(樺合板)を採用。これにMDF材を重ねあわせたハイブリッド・バッフル構造となっている。これにより剛性を高め、ウーファを強固に保持。バッフル表面はカーボンファイバー・ファブリックとなり、ノイズやカラーレーションを排除している。

 キャビネット外装には天然木突き板を使用し、表面をセミグロス処理。ローズウッド(RW)とメープル(MA)の2種類の仕上げが選べ、メープルには上品な織り目を持つライトグレイ・グリルクロスが使われる。

 高域を再生する100mm径のコンプレッション・ドライバ「476Be」は、「DD66000」に使われたものと同じで、金属素材中最も高い硬度対密度比を持つピュア・ベリリウムを振動板に使用。分解能に優れた再生を行なう。

 超高域を担当する25mm径コンプレッション・ドライバ「045Be-1」は、「DD66000」に使われたユニットのマイナーチェンジバージョンで、3ピース構造の環状3スロット・フェイズプラグを、樹脂からマグネシウム合金に変更している。

 周波数特性(-6dB)は、29Hz~60kHz。クロスオーバー周波数は150Hz、850Hz、20kHz。



■DD65000

DD65000

 DD67000開発のために検証・検討された新技術を活用して作られたバリエーションモデル。ウーファのサイズは380mm径で同じだが、振動板やエッジが異なる「1501AL-1」となる。

 振動板にはナチュラル・パルプにグラスファイバーと特殊繊維を混入。強度を高めたファイバー・コンポジット・パルプコーンを採用している。エッジには、ウレタンに近い特性を持ちつつ、耐候性にも優れた「SBR フォームラバー・ハーフロールエッジ」を使っている。

採用パーツとユニットナチュラル・パルプにグラスファイバーと特殊繊維を混入したウーファユニット「1501AL-1」

 100mm径のコンプレッション・ドライバの振動板には、マグネシウム合金を使用。ユニット名は「476 Mg」となる。金属中最も比重が軽いマグネシウムを使う事で、「しなやかでまろやかな音質を提供し、ボーカルソースで息を呑むほどの高いリアリティーを発揮する」という。

 磁気回路には、ネオジウム・マグネットの中でもさらに磁力の高いハイグレードタイプを使用。位相干渉を排除し、スムーズな周波数特性を実現するという「コヒレント・ウェイブ・フェイズプラグ」も使っている。

 25mm径のコンプレッション・ドライバにも、マグネシウム合金を使用。ユニット名は「045 Mg」となる。

 筐体のフロントバッフルは、「DD66000」と同じMDFパネル重ねあわせ構造。表面はリアルウッド突板仕上げとし、キャビネットとの素材の統一感を持たせている。天然レザーやカーボンファイバーなどは使われていない。

 周波数特性(-6dB)は、31Hz~50kHz。クロスオーバー周波数はDD65000が150Hz、750Hz、20kHz。



■DD67000/DD65000に共通する特長

 2モデル共通の特徴として、フロントバッフルのカーブをホーンのサイドパネルとして活用し、独自のSonoGlass素材をホーンリップに使った、大型バイラジアル・ホーンを採用。

 ウーファは2基搭載しているが、1基を低音域のみで再生させ、もう1基のウーファを高域クロスオーバー周波数まで用いたスタガーチューニングとなっている。

 ネットワークの主要コンデンサには、高品位フィルムコンデンサを採用。コンデンサ間にバイアスを加えることで、素子の直線性も改善する、独自のセルフバイアス方式チャージカップル・ネットワーク回路となっている。

 両機種のサイズ、重量は同じ。外形寸法は965×469×1,109mm(幅×奥行き×高さ)。スピーカーネットを省いた重量は137kg。


(2012年 9月 1日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]