音展'12【秋葉原UDX編】ティアック/コルグがDSD対応DAC

PC/ネットワークオーディオやスピーカー内蔵照明も


秋葉原UDX会場

 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO」(音展)が19日、東京・秋葉原で開幕した。会場は秋葉原UDXと、富士ソフトアキバプラザ。会期は10月19日~21日の3日間。入場料は無料(一部イベント除く)だが、Webで事前登録、もしくは当日会場での登録が必要。

 主催は社団法人日本オーディオ協会(JAS)。ここでは、主にヘッドフォンやアンプ/DAC、カーオーディオなどを中心に展示されていた秋葉原UDXブースの模様をレポートする。富士ソフトアキバプラザについては別記事でレポートしている。



■ ティアックやコルグがDSD対応DAC出展。ラトックはエントリーのヘッドフォンアンプ

Reference 501シリーズ。下段の2台がUSB DAC、上段の上がCDプレーヤー、下がプリメイン

 ティアックは、18日に発表した「Reference 501シリーズ」(11月上旬発売)を展示。会場で音質や操作感などを体験できる。

 Reference 501シリーズは、DSDにも対応するUSB DAC「UD-501」(115,500円)、USB入力対応プリメインアンプ「AI-501DA」(102,900円)、DSD/リニアPCMファイル再生対応のCDプレーヤー「PD-501HR」(90,300円)の3製品。いずれもA4サイズの筐体を採用している。

 USB DACの「UD-501」は、ASIO 2.1の利用、またはDoP(DSD over PCM)方式でDSDを再生可能。既にピュアオーディオなどのプリメインアンプを持っている人などが追加で購入することを想定しているという。一方、プリメインアンプ「AI-501DA」とCDプレーヤー「PD-501HR」は、これら2つを組み合わせて簡単にPCオーディオ環境を実現できることを訴求している。


プリメイン「AI-501DA」にはアナログメーターを装備付属リモコン01シリーズも併売される


コルグの「DS-DAC-10」

 コルグは、この日に合わせて発表したDSD対応USB DAC「DS-DAC-10」(オープンプライス/店頭予想価格5万円前後)を展示。発売は11月中旬。

 同社のDSD対応オーディオ変換ソフト「AudioGate」を使って、DSDネイティブ再生が可能。DSDファイルだけでなく、CDやPC内のMP3などをリアルタイムで変換して再生できることも特徴。DSDに変換することによる音質の変化については、「曲調や好みにもよるが、DACチップを変えたような効果が出ることもある」としている。既報の通り1,000台限定の販売となっており、来場者特典としてブースでも予約を受け付けていた。


AudioGateから再生。WAVをリアルタイムにDSD変換して再生することも可能

 ラトックは、年内~年明けに発売予定のUSBヘッドフォンアンプ新モデル「REX-A1648HA1」を参考出展している。現行のエントリー機「REX-UHPA1」の後継となる16bit/44.1kHz対応モデルで、DACチップにPCM1704を採用したことや、 ボリュームノブがライン出力の調整にも利用できることなどが特徴。ユーザーからの要望に応え、ヘッドフォンを挿すとライン出力が自動でミュートになる機能も加えた。また、筐体はこれまで前面アルミで、それ以外はスチールだったが、全てアルミに変更した。価格は10,920円の見込み。

 入力はUSB、出力はRCAアナログとヘッドフォンが各1系統。会場では、アクティブスピーカーと組み合わせて出展。クリプトンの「KS-1HQM(M)」(MAYAバージョンのイエロー)を使用し、手軽にPCオーディオを楽しめることをアピールしている。

REX-A1648HA1背面アクティブスピーカーと組み合わせて展示


■ ネットワークオーディオ関連

参考出展のミュージックサーバー「TEMPO」

 音展に初参加となったシンタックスジャパンは、BabyfaceやFireFace UFXなどの独RME製品を出展。アーティストやエンジニアなど音楽制作者から支持されている同社製品を、より幅広いコンシューマに向けて訴求していくという。

 同社ブースで参考出展されていたのは、スペインDIGIBIT製のミュージックサーバー「TEMPO」。現時点でシンタックスからの発売予定は無いが、ネットワークオーディオの一例として紹介している。

 「TEMPO」は、512GBのSSDを内蔵し、Windows Serverを搭載した製品だが、オーディオ機器に合わせたデザインを採用していることが特徴。PCI Expressスロットも備えており、展示機にはRMEの192kHz対応インターフェイス「HDSPe AIO」を装着している。DLNA/UPnPサーバーとして利用できるほか、音楽CDを入れると自動でリッピングする機能も備える。DLNA/DMC対応のiPadアプリなどでもコントロール可能。本体はファンレス仕様。


RMEのインターフェイス「HDSPe AIO」をPCIeスロットに装着しているBabyfaceの展示。会場のデモでは、マスタリング前後の音の比較などが可能Fireface UFXの展示



バッファローのブース

 バッファローのブースでは、NAS(LAN HDD)やLANケーブルなどの同社製品を使ったデモを行ない、これからネットワークオーディオを始める人などに各製品を紹介している。

 デモ機には3社のネットワークメディアプレーヤーを接続し、ヘッドフォンで音質を比較可能。ヤマハ「CD-N500」とパイオニア「N-30」、デノン「DNP-F109」で聴き比べできるようになっている。

 ミュージックサーバーには、“静音/世界最小”を謳うNAS「LinkStation mini」を使用。さらに、オーディオマニア向けのこだわりとしてNASに使う外部電源ユニットの試作機も参考出展。スイッチング電源ながら高出力のパーツを使用しており、出力段にもフィルタを掛けている。さらに、細かなところでは、Ethernetハブに「社内で聴き比べたところ最も高音質だった」という「BSL-WS-G2108M」(24,990円)を使用。この製品は法人向けで、当然ながら高音質を謳ってはないが、信頼性の高さやファンレス筐体などでネットワークオーディオにも適しているという。

 Ethernetケーブルとしては、シールド性能の高いカテゴリ7のケーブル「BSLS7NUシリーズ」を紹介。二重シールドを採用しながらも曲がりやすく、ツメにも新素材を使っており「絶対折れないツメ」を謳っている。

参考出展のNAS用外部電源(右)。左にあるNASより大きいデモに使われたEthernetハブ「ツメが折れない」ケーブル


■ ソニー新ヘッドフォン「MDR-1」などを体験可能

 ソニーブースでは、プレミアムクラスのヘッドフォン「MDR-1」シリーズや、同社初のポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-1」などを展示。有機ELのHMD「HMZ-T2」をMDR-1と組み合わせて体験することもできる。そのほか、リニアPCMレコーダ「PCM-D50」や「ICD-SX813」などの音質を体験できるコーナーも用意している。

「MDR-1」シリーズポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-1」HMD「HMZ-T2」とMDR-1の組み合わせ



パナソニックの「TH-L42DT5」と、シアターバー「SC-HTB550」

 パナソニックは、42型液晶テレビ「TH-L42DT5」や、シアターバー「SC-HTB550」などを出展。テレビに接続して、ワイヤレスで音声を聴けるコンパクトなBluetoothスピーカー「SC-MC10」も展示している。コンパクトステレオシステム「D-dock」(SC-HC57)のAirPlay再生デモも行なっている。

 オンキヨーは、Bluetoothオーディオ「RBX-500」や、AirPlay対応「ABX-N300」などを出展。ABX-N300は直販サイトや一部インテリアショップなど以外ではまだ販売されておらず、国内で展示会に披露されるのは初だという。手持ちのコンポなどをAirPlay対応にできるアダプタ「DS-A5」も展示されている。


SC-HC57のAirPlay再生デモオンキヨーのBluetoothオーディオ「RBX-500」(左)と、AirPlay対応「ABX-N300」(右)AirPlayアダプタ「DS-A5」

 CAVジャパンは、発売前の製品として、「SOUNDLOOK」ブランド(小泉成器)のウォークマンドック/CDオーディオシステム「SDS1500」を参考出展。スライドドアのCDプレーヤーと、ウォークマン用のドック、AM/FMラジオ、2.1chスピーカーを搭載したオーディオシステム。年内の発売を目指しており、価格は未定。

 また、発売時期未定のモデルとして、BluetoothやFMラジオを備えたオーディオシステム「ih-10」も参考出展。Androidアプリから操作でき、スマートフォン音楽や、USBメモリの楽曲(WMA/MP3)などを再生可能。スピーカーは2.75インチ径のフルレンジユニットを2基搭載。外形寸法は430×290×130mm(幅×奥行き×高さ)。カラーはブラックとホワイトの2色。

 その他にも、店舗などでの利用を想定した埋め込み型のBluetoothスピーカーシステム「HT-52」(仮称)も参考出展。スマートフォンの音楽をワイヤレスで再生できる。外径167mmのスピーカーとBluetoothレシーバで構成し、スマートフォン4台までのマルチペアリングが可能。リモコンも付属する。価格/発売時期は未定。

SOUNDLOOKブランドの「SDS1500」Bluetooth対応「ih-10」埋め込み型のBluetoothスピーカーシステム「HT-52」(仮称)


■ NECのスピーカー付き照明、クラレの吸音パネルなど

 NECライティングは、スピーカーを内蔵したLEDシーリングライトを出展。天井の引っ掛けシーリングに装着するだけで利用でき、スピーカー兼用の照明として利用できる。小さな子供やペットがいる家庭などでも断線などを気にすることなく設置できるとしている。

 スマートフォンとBluetooth接続して音楽を再生可能。2.1chスピーカーを内蔵し、音を天井に反射させて広がりのある再生が行なえるという。専用アプリを用意し、音楽の操作やLEDライトの調光などが可能。

 アラーム機能も備え、設定した時間に音楽だけでなく鳥の鳴き声もミックスして再生することもできる。また、気分に合わせて「リフレッシュ」や「リラックス」といった項目から選ぶと、それに応じた照明の色などに変更する機能も搭載。12月頃の発売を目指しており、10畳用や12畳用などのモデルを用意。価格は5~10万円前後。

スマートフォンで操作できるスピーカー内蔵LEDライトアプリで音楽と照明の両方を操作できるリモコン(右)も付属


吸音/調音パネル「静御殿」の特徴

 素材メーカーのクラレは、同社初となる吸音/調音パネル「静御殿」(しずかごてん)を展示。不織布の「FLEXTAR」を使ったパネルで、耳につく中高音などを軽減する開口率100%の「吸音面」と、低域の吸音に優れた開口率40%の「調音面」を表裏に採用したリバーシブル仕様。用途に応じて使用する面を選び、表面に手持ちの布などを挟むことで好みのデザインのパネルとして利用できる。パネル内部に空気層も設けている。

 この素材は繊維どうしが密着する部分が多く、繊維のバネ構造の密集により吸音に高い効果が得られることが特徴。断熱などの効果もあるため、素材としては既に建築に使用されているが、調音/吸音に特化した製品としての利用は初。発売は年明けをメドとしており、価格は2枚で10万円前後を見込んでいる。発売を記念して、モニター(2枚組/10名)も募集している。


吸音面調音面パネルを設置した時の音を試聴できるコーナーも用意
フォステクスは、エントリー向けのスピーカー組み立てキット「かんすぴ」を展示カナルワークスは、フルレンジユニットを4基搭載したカスタムイヤフォン新製品「CW-L05QDファイナルオーディオデザインのイヤフォン現行モデルを試聴可能
カーナビ/カーオーディオの展示も。三菱電機の「DIATONE SOUND NAVI.」を搭載したデモカーで試聴できるパイオニアはカロッツェリアのアプリユニットなどを展示アルパインのブースでは「クルマでDS」などを体験可能


(2012年 10月 19日)

[AV Watch編集部 中林暁]