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マランツ、NA-11S1譲りのUSB DACにSACDも。約25万円の新時代プレーヤー「SA-14S1」

USB DAC/SACDプレーヤー「SA-14S1」

 マランツは、DSD再生対応のUSB DAC機能とSACD再生機能を備えたプレーヤー「SA-14S1」を10月中旬に発売する。価格は252,000円。カラーはゴールドのみ。

 ディスクプレーヤーのフラッグシップモデル「SA-11S3」(50万4,000円)、高いUSB DAC再生機能も備えたネットワークプレーヤー「NA-11S1」(34万6,500円)で培った技術を投入しつつ、価格を抑えたモデル。「USB DACとディスクプレーヤーが同じクオリティで存在する、新時代のデジタルプレーヤー」と位置づけられている。

USB DACDLNA
AirPlay
SACD/CD
NA-11S1
SA-14S1

NA-11S1譲りのUSB DAC機能

SA-14S1

 ネットワークプレーヤーの「NA-11S1」とは異なり、DLNAやAirPlayには非対応だが、USB DAC機能は「NA-11S1」譲りの高いクオリティを持つという。マランツ音質担当マネージャーの澤田龍一氏は、「NA-11S1のUSB B回路(USB DAC回路)を、そっくりそのまま入れてしまった。デバイスも一緒。さらに、2作目だから進化している部分もある」と紹介。

 PCMの24bit/192kHzまでの再生をサポートし、対応OSはWindows XP/Vista/7/8、Mac OS X 10.6.3以降。Windows PCの場合は、マランツのWebサイトから専用ドライバをダウンロードし、インストールする必要がある。Mac OSの場合はOS標準ドライバで動作する。

 DSDの再生にも対応し、2.8MHz、5.6MHzの両データが再生可能。ASIOドライバによるネイティブ再生、およびDoP(DSD Audio over PCM Frames)により、PCからのDSD信号を受信して再生できる。その際にはPCのクロックと同期せず、SA-14S1本体のクロックで制御を行なうアシンクロナスモードに対応。PC側のジッタに左右されない、ジッターフリー伝送が可能という。

開発コンセプト
USB B回路の説明
マランツ音質担当マネージャーの澤田龍一氏

 PCからのノイズ流入を排除するため、NA-11S1にも採用された「コンプリート・アイソレーション・システム」を搭載。18回路におよぶ高速デジタルアイソレーターと、2系統のリレーにより、USB B入力インターフェイスと、デジタルオーディオ回路間の信号ライン、さらにグラウンドも電気的に絶縁。ノイズの回り込み、グラウンド電位の変動を排除している。このリレー部分が、パターンレイアウトの最適化のため、2つに増えている。この結果、「NA-11S1に比肩する、澄みきった空間表現が可能になった」という。

 さらに、NA-11S1で開発した、ハイレゾ対応の超低位相雑音クリスタルのデュアルクロックも装備。44.1kHz系、48kHz系、それぞれに専用のクリスタルを搭載する事で、入力信号のサンプリング周波数に最適なクロックを供給。ジッタを抑制している。

内部
USB B回路

 DACは、DSDのダイレクト変換と24bit/192kHzのPCMに対応するTI・バーブラウンの「DSD1792A」を採用。これは「SA-11S3」と同じで、リスニングテストを繰り返し、電流出力型を選択。「許容出力電流が非常に大きく、躍動感の表現に優れている。マルチビットDACの力強さと、Δ-ΣDACの繊細さを合わせ持つ」という。なお、PCM/DSD信号それぞれに、2種類のフィルタ切り替えが可能。

背面

 USB B入力以外にも、USB A端子をフロントに装備。iPod/iPhoneなどをUSBでデジタル接続し、内部の音楽を高音質で再生できる。この場合は、最大16bit/48kHzまでのデータに対応。接続したiPodを充電する事もできる。

 同軸、光デジタル入出力を各1系統搭載。ジッタリデューサーによりジッタを低減してから、DACに送られる。なお、同軸/光デジタルも、24bit/192kHzまでサポートする。

 DAC以降のアナログステージは、ハイスピードで情報量豊かなサウンドを実現するため、独自の高速アンプモジュール「HDAM」と、「HDAM-SA2」を使ったフルディスクリート構成を採用。初段のHDAMを使ったI/V変換アンプと、HDAM+HDAM-SA2による電流帰還型フィルタアンプ兼送り出しアンプの2段構成とした。DACのディファレンシャル出力を受けるI/V変換アンプまでは、SA-11S3と同じ完全バランス構成。次段のディファレンシャルステージで差動合成を実施。出力端子には、L/Rチャンネル間のグラウンド電位差を排除する「セロインピーダンス・プレート」も配置する。

 ヘッドフォン出力も装備。ディスクリート・ヘッドフォンアンプを搭載しており、HDAM-SA2による高速電流バッファアンプにより、メインのアナログオーディオ出力回路との相互干渉を抑制している。スルーレートの低いオペアンプICは使っていない。

メカドライブ部

新開発のオリジナルメカエンジン

 SA-11S3の技術を投入しており、新開発のオリジナルメカエンジンを採用。ピックアップ、および回路構成はSA-11S3で使われている「SACDM-2」と同一のもの。スピンドルシャフトを短くすることで、サーボへの負荷や、エラー訂正処理を低減。トレーには、SA8003から使われている、制振性に優れた素材・ザイロンを使用している。2mm厚の鋼板を使ったベースにより、メインシャーシに強固に固定。振動による悪影響を低減した。

 電源部には、SA-11S3と同等のコアサイズのトロイダルコアトランスを採用。二次巻線は11シリーズと同様に、アナログオーディオ回路、DAC、USB Bインターフェイスそれぞれに専用のものを用いて、回路間の干渉を低減。アナログ用にはバイファイラ巻を採用。巻線には高純度のOFCを使っている。

電源部のトロイダルコアトランス

 アナログ回路とDAC電源用のブロックケミコンには、11シリーズにも使われているマランツ専用のカスタムパーツを採用。ブロックコンデンサとしての組成に改良を加え、端子の材質は真鍮から銅に変更。RCAのアナログ音声出力端子にも、11シリーズと同じ銅削り出しのピンジャックを使っている。

 出力端子は、アナログ(RCA)×1、同軸デジタル×1、光デジタル×1、ヘッドフォン×1。入力は、同軸デジタル×1、光デジタル×1、USB A×1、USB B×1。リモート端子も備えている。消費電力は37W。待機時消費電力は0.3W。外形寸法は440×419×123mm(幅×奥行き×高さ)。重量は14.5kg。リモコンが付属する。

SA-14S1
同時発表されたプリメイン「PM-14S1」と並べたところ

(山崎健太郎)