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ソニー年末商戦は4K TV、α、ハイレゾを軸に高付加価値訴求
4Kのネット接続率70%。ソニーストア福岡天神4月開店
(2015/12/2 09:30)
ソニーマーケティングは、年末商戦における基本戦略に「商品本質価値+顧客体験価値の最大化」を掲げるとともに、4Kテレビ「BRAVIA」、デジタルカメラ「α」、そして、ハイレゾオーディオを軸にソニーの強みを訴求していく姿勢を示した。
ソニーマーケティングの河野弘社長は、「数量によって、業界全体が伸びていくシナリオは描きにくい。そして、スペックや仕様といった切り口だけでは価値を最大化できない。いま大切なのは、ひとつひとつの価値を提案すること。使って楽しくなるような顧客体験価値を提供していくことに力を注ぎ、業界の成長に貢献したい」などとした。
4K、α、ハイレゾに注力。4K BRAVIAネット接続率70%
4Kテレビについては、「これまでのテレビ市場は、技術が進化しても単価下落が激しく、業界全体が成長していないことの繰り返し」と前置きし、「ソニーは、2014年においては、Android搭載テレビへとシフトし、ユーザー軸で幅広いコンテンツを体験してもらうという、新たなコンセプトの立ち上げに試行錯誤をしてきた1年だった。画質訴求はソニーが得意とするところであり、高コントラスト、高精細、広色域の強みが認知してもらえたが、コンテンツ訴求は、これまでにはない挑戦。HuluやNetflixなどへの対応などを通じてテレビの新たな価値を提供している」とした。
河野社長によると、4K BRAVIAのネット接続率は70%弱に達しているという。「クックパッドは、従来、写真とテキストで表示されていたが、これが動画をふんだんに活用するようになり、BRAVIAにも最適化している。BRAVIAユーザーの間で、トップクラスの人気を誇るアプリ。また、知育系アプリもリビングの大画面環境において、高画質、高音質で利用するというシーンが増えている。新たな顧客体験価値を提供することで、テレビを再定義している」などとした。
4Kテレビの具体的なシェアについては言及しなかったが、一時期減少したシェアは、年末商戦の本格化とともに上昇傾向にあるという。
デジタルカメラについては、イメージセンサーの強みを前面に打ち出す方針を示した。
「カメラメーカーとして独自のポジションを獲得するために、なにをドライバーにするのか。それはソニーが内製化しているイメージセンターの強みに尽きる。ソニーが示すイメージセンサーのロードマップと、それを活用した製品のロードマップがリンクしており、ソニーのカメラが、どんどん良くなっているという声もいただいている。高感度、高解像度、そして読み出し速度の速さが、ソニーのカメラの強みであり、イメージセンサーの優位性を生かして、体験価値の最大化を図る」とした。
オーディオ分野においては、「ソニーにとって悲願ともいえるのが音のビジネスの成長。スマホで音楽を聴くというように、音がコモディティ化するなかで、ウォークマンをドライバーに、ハイレゾオーディオの世界を提案。ソニーのハイレゾ関連商品の累計出荷台数は100万台に到達した。また、moraのハイレゾ配信曲数は約20万曲となった。ヘッドフォン、ヘッドフォンアンプ、スピーカーの売れ行きもよく、オーディオビジネスが前年実績を上回っている」とした。
ソニーでは、ハイレゾオーディオの普及が第2フェーズに突入したと判断。これまでのオーディオファンを中心とした提案から、情報感度の高い若者層や、流行り待ち層といった領域にもターゲットユーザーを拡大。「h.ear×WALKMAN」により、これまで黒が基調となっていたヘッドフォン売り場を、カラフルな売り場構成へと転換。若い男女が気軽に訪れる売り場提案を開始した成果があがりつつあるという。
また、「季節要因でハードウェアが売れるのではなく、アーティストがハイレゾ楽曲や新曲をリリースしたのにあわせて、ハードウェアが売れるという傾向がみられている。アーティストと連動する形で、コンテンツパワーがハードウェアを動かしはじめている。レコード会社を持ち、配信事業を持ち、ハードウェアを販売するソニーにとってはいい状況にある」と述べた。
さらに、顧客体験価値を最大化するには、購入前、購入時点、購入後のそれぞれにおいて、顧客との接点を持つことが必要だとし、デジタルマーケティングやソーシャルメディアを活用したリレーションシップを強化する一方で、「同時に、Face to Faceで最も濃い顧客体験を提供する場が必要。リアルの店舗であるソニーストアはその点でも重要な役割を果たし、カスタマーマーケティングに最重要拠点になる」と語った。
ソニーストア福岡天神は'16年4月1日オープン
同社では、ソニーストアの取り組みについても言及。ソニーストア福岡天神のオープンが、2016年4月1日になることを明らかにした。
ソニーストア福岡天神は、東京・銀座、大阪、名古屋に続く、国内4店舗目となる直営店。アップルストア福岡天神の正面に位置し、角地の1階を店舗に使用。路面店ならでは開放感と、入りやすさを持つほか、カメラとオーディオを中心に、徹底的に商品を試し、体感できる売り場構成とする予定。住所は、福岡県福岡市中央区今泉1丁目19番22号。
ソニーマーケティング カスタマーマーケティング本部・浅山隆嗣本部長は、「福岡天神エリアは、九州においては最も商業集積が高い場所で、九州新幹線によって、九州全域からの好アクセス環境にある。また、インバウンド需要の活性化がみられるほか、若者が多いエリアであり、九州だけでなく、全国に情報発信する拠点としての役割も果たせる。すでに、九州エリアには、My Sony ID保有者とソニーストアを訪れたことがある顧客が約30万人いる。その点でも、出店する意義がある」とする。
また、新店舗では、ソニーストア初となる女性店長を起用する考えも明らかにした。
さらに、2階フロアにはこれまで長浜に拠点を置いていた九州支社のうち、コンスーマ部門を移転させる。河野社長は、「スペースは30%減になるが、ワークスタイルの変化によって、これをカバーする。スペースよりも、立地を重視した。階段を下りると、そこに商品と顧客がいる。社員がその感覚を持つことが大切である。また、顧客にとってもこれがソニーであるということを理解していただく場として活用していくことになる」とした。
ソニーストア福岡天神では、体験価値を最大化する展示、商品提案やコンサルティングの実施、セミナーの開催などを通じた購入後の楽しみ方の提案などを行なう。
「ソニーの情報発信の拠点として、新商品発表の翌日に、商品展示を行なうほか、ソニーグループからの情報発信にも力を注ぐ。また、ソニーストア福岡天神と、同じ場所に入居する福岡市の児童館やNPO法人との連携による地域とのコラボレーションを行なう。さらに、九州支社との連携により、地域の量販店の研修の場や、商談やセミナーの場としても活用してきたい」(ソニーマーケティング・浅山本部長)という。
さらに、ソニーマーケティングのコラボレーションモデルとして、アニメやゲームなどのキャラクター、アーティストなどと連携したウォークマンやXperiaを、ソニーマーケティング独自の取り組みとして展開していることにも触れ、「コンテンツを軸に、ソニーと接点を持ってもらうための取り組みであり、ソニーファンになってもらうためのひとつの起点になる」と位置づけた。
ソニーのグローバル販売・マーケティング機能は'16年4月に日本集約
一方、ソニーマーケティングでは、2016年4月1日付けで、ソニーの海外向けコンシューマ向けAV製品の販売、マーケティング機能を集約することを発表している。今後、同社内に、グローバルセールス&マーケティングの本部機能と、現在の日本国内における販売機能を持つことになる。
河野社長は、「国内と海外が連携し、リソースとノウハウの共有が可能になる。国内の質の高いマーケティングを海外で実践していく機会が生まれ、海外の人が国内で力を発揮できる環境も整う。これにより、全世界の販売、マーケィングの強化と底上げにつながると考えている」と語った。
現ソニー・ヨーロッパのプレジデントである玉川勝氏がグローバルセールス&マーケティングオフィサーに就任するとともに、ソニーマーケティングの会長に就任。河野社長は引き続き、ソニーマーケティングの社長として、日本におけるAV製品の販売、マーケティングを統括する。