ミニレビュー

Fire TVを使って「AbemaTV」をテレビでみたら予想以上に快適だった

 11月2日にアプリ1,000万ダウンロードを達成した「AbemaTV」。サイバーエージェントとテレビ朝日による映像配信サービスとして、4月に本格稼働以来急成長しているが、1,000万DLの1週間前の10月26日、Amazonのメディアプレーヤー「Fire TV」、「Fire TV Stick」に対応した。Fire TVからHDMI経由でテレビ接続することで、テレビの大画面でAbemaTVの番組を楽しめるようになった。アプリやサービスの利用料は無料だ。

 これまでもChromecastを使えば、テレビでAbemaTVを視聴可能だったため、「さほど新鮮味はないかな?」と考えていた。しかし、実際に使ってみると、新たな感覚でAbemaTVを利用できた。

Fire TV

 というのも、スマホもChromecastでのテレビ出力も、基本的にスマホで番組を選んで、それをどのスクリーン(スマホかテレビか)で見るかを選ぶという操作手順。なんとなく、「ネットサービスを使っている感」があった。

 Fire TVの場合、操作はリモコンのみ。それも、AbemaTVアプリを選んでしまえば、あとはリモコン中央の丸型キーで上下/左右と[决定]を選ぶだけのとてもシンプルな操作で、「テレビ的」な操作感で使えるのだ。

 丸型キーを使う操作体系は、Fire TVのプライムビデオ/AmazonビデオやNetflix、dTVなどとも同じようなものだが、AbemaTVの場合、ジャンルや作品名を細かく絞り込んで選ぶのではなく、チャンネルを選ぶ“だけ”なので、横の移動だけでほぼ完結する。そのため、よりシンプルに使える印象だ。

Fire TVリモコンで操作
操作ガイド

 丸型ボタンの左右は、チャンネル切り替え。上はメニュー呼び出しで、番組表や設定もここから呼び出す。下を押すと[チャンネル一覧]が表示される。チャンネル切り替えは、約1~2秒で、普通のテレビ放送よりも速いくらいなので、ストレスは無い。テレビ以上に“ザッピング”(チャンネル切り替え行為)が気楽に行なえる。ボタンの下で表示される[チャンネル一覧]もサムネイル付きで、番組内容をイメージしやすい。

チャンネル一覧から番組を選ぶ

 日曜日の昼間に、なんとなくニュースを見たいときにAbema Newsを付けてみたり、なんとなくやっていた海外ドラマやキックボクシングを見ていると、感覚的には、テレビ放送と変わらない。なんとなく面白そうで、ダラダラ見られそうな番組が適度に用意されており、それを選ぶためのインターフェイスが洗練されているのだ。

操作ガイド
番組表。有料のプレミアムプラン(960円/月)契約であれば、オンデマンド再生も可能

 画質については、パッと見でHDはありそうだが、地デジ放送に比べると解像感は劣っている。ただし、テロップのエッジなどもくっきり見え、動きに伴うブロックノイズなどはほとんど見られないので、十分に実用的。「フルハウス」などのドラマも十分な画質で楽しめたし、キックボクシングでも、動きに破綻は殆ど感じられなかった。

 一般的なテレビのリモコンによる番組切り替えは、10キーと縦方向(上下)の順送りだが、Fire TVの丸型キー左右でのチャンネル切り替えを体感すると、「上下より左右のほうがわかりやすい」とも感じた。テレビのEPG(番組表)画面もチャンネルは横並びで、例えば、日テレ(4ch)からテレ朝(5ch)の移動も、[上]ボタンよりは[右]のほうがインターフェイス上の整合性が取れているように思える。AbemaTVのチャンネル移動のほうが直感的だ。

 スマホやPCのAbemaTVと、Fire TVの大きな違いは、ユーザー生配信などが中心の「Fresh! by AbemaTV」が省かれていること。おそらく、受動的に視聴されるテレビの特性にあわせて、AbemaTV側でコンテンツ内容をコントロールできるものだけを配信しているのだろう。

 Abema TVのFire TV対応により、「みたい番組をじっくりと大画面で見られる」というメリットはもちろん嬉しい。だが、個人的には、「地上波」、「BS」、「AbemaTV」のような感覚で、「暇つぶし」に使えるチャンネルが増えたというのが一番のメリットと感じる。従来は事件やトピックがあるときにAbemaTVを見ていたが、なにもないときに「AbemaTVでも見るか」という感じで使えるようになっているのが面白い。

Fire TVを使って50型テレビでAbemaTV

 サイバーエージェントによれば、FireTVユーザーのAbemaTV視聴時間は「スマホの6倍以上」とのことだが、「ダラダラ見てしまう」感覚はテレビそのものだ。

 もちろん、テレビの入力切り替えをした上でFire TVを操作するという面倒もあるため、「テレビと同等に簡単」とか「誰もが迷わずに使える」というほどではない。しかし、すでにFire TV/TV Stickを使いこなせている人であれば、AbemaTVが相当に魅力的なサービスになったのは間違いない。登録不要で無料なので、とにかく気軽に使えるのはAbemaTVの大きな魅力だし、それが「テレビ的」という印象をより強くしているのかもしれない。

 AbemaTVでは、年内のAndroid TV、Apple TV対応などさらなるテレビ対応強化を予告している。また、ソニーがAndroid TV搭載機での対応を予告しているが、テレビ本体に標準的にAbemaTVアプリが組み込まれていけば、より使いやすく、魅力的なサービスになっていきそうだ。

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Fire TVFire TV Stick

臼田勤哉