ミニレビュー

心拍数を計って正月太りを解消!? BluetoothイヤフォンJABRA PULSEをつけて走ってみた

 年末年始に実家に帰省し、テレビを見ながら食っちゃ寝するという非アクティブな生活を送ったところ、たったの数日で体重がみるみる増えてしまった。10代や20代の頃は、休みが明けて日常に戻ると、何もしなくともいつの間にか元の体重に戻ったものだが、30歳を過ぎると正月太りがそのまま蓄積され、いつまで経っても体重が戻らない。

 「このままではいかん」と一念発起し、正月明けに1回だけ近所の公園をジョギングしてみたが、寒いのが嫌でそれ以降はまったく走っていない。そもそもどのくらいのペースで走ればいいのかよく分からないし、ただ漫然と走るだけではモチベーションも続かないのだ。そこで、何とか自分に運動をさせるために、心拍数測定機能を搭載したJabraブランドのスポーツ用Bluetoothイヤフォン「JABRA SPORT PULSE WIRELESS」(以下、JABRA PULSE)を試してみることにした。これは一見普通のBluetoothイヤフォンだが、装着するだけで心拍数を計測でき、効率的にダイエットできるところがポイントとなっている。実売価格は31,800円前後。

JABRA SPORT PULSE WIRELESS

軽快に使えるボックスレスデザイン。防塵・防滴機能も

 JABRA PULSEは、Bluetooth 4.0に準拠したワイヤレスイヤフォンで、スポーツやアウトドアに適した防塵・防滴設計を採用している。最大の特徴は、イヤフォンを装着するだけで、ハウジング部のセンサーにより心拍数を計測できること。また、心拍数を計るだけでなく、専用のスマートフォンアプリと連携して、運動中の身体の状態に合わせ、音声でアドバイスもしてくれるのだ。

 本体は、バッテリやBluetoothの送受信部をイヤフォンのハウジング部分に内蔵したボックスレスデザインを採用。黒のボディに鮮やかな黄色のイヤーピースがワンポイントとなっており、いかにもスポーツ用といった印象だ。有線タイプのスポーツイヤフォンに比べ、ケーブルが腕や衣服に引っかかる煩わしさがなく、運動に集中できる。ケーブル長は60cm。重量は16gだ。

ボックスレスのBluetoothイヤフォン
左のイヤフォン下部に心拍数センサーがある

 BluetoothのプロファイルはA2DP/AVRCP/HSP/HFPで、コーデックは公開されていない。NFCに対応しており、対応するスマートフォンなら、本体にかざすだけで簡単にペアリングが可能だ。Bluetoothの2台同時接続(マルチポイント)にも対応する。

 イヤフォンケーブルの右側には3ボタンのマイク付きリモコンを搭載しており、音楽の再生/一時停止や曲送り/曲戻し、ボリューム操作や、スマホでのハンズフリー通話が可能。ハウジング部にスポーツボタンを備え、連携したアプリのログ記録の一時停止や再開などが行なえる。

 内蔵バッテリでの連続使用時間は、音楽、通話、心拍計測いずれも約5時間。連続待ち受けは最大10日間。右側イヤフォンのカバー下に充電用のmicroUSBを装備している。充電用USBケーブルや、4サイズのイヤーピースと、運動時のフィット感を向上させるイヤーウイング、ケーブルクリップ、ポーチなどが付属する。

ケーブル右側にリモコンを搭載
右のイヤフォンのカバーをめくると充電用のマイクロUSBが現れる
付属品一覧。イヤーピースとイヤーウイングは各4種類ずつ付属する
Jabra Sport Lifeアプリ

 iOS/Android対応の専用アプリ「Jabra Sport Life」が用意され、ウォーキングやジョギング、登山(ハイキング)など運動内容に合わせたメニューが利用可能。ジョギングなら、スマホのGPS機能を使い、走った時間や距離、平均速度、コースなどを表示する。減量や体力の増強など、目標に合わせた運動強度の異なる5つのトレーニングゾーンを設定でき、運動中に適切なペースを音声で教えてくれる機能も備える。アプリ画面は日本語表記だが、アナウンス音声は英語/ドイツ語/フランス語のみで日本語には対応していない。音楽は標準のミュージックアプリなどが利用可能で、アプリ内のプレイリストなども再生できる。

イヤーウイングでフィット感アップ。音質は低音強めのメリハリサウンド

 さっそくイヤフォンを装着してみよう。運動時は耳へのフィット感を高めるため、イヤーウイングという出っ張りのついたカバーを装着する。まずイヤフォンを耳に入れ、その後ゆっくりイヤフォンを前後に回転させていく。すると、イヤーウイングが耳の形にピタッとはまるところがあるので、そこで回転を止めればOKだ。慣れるまでは装着に時間がかかったが、コツが掴めると簡単に装着できるようになる。イヤーウイングのないカバーも付属するので、運動以外のシーンでも使える。

アンテナのように飛び出た部分がイヤーウイング
矢印のようにイヤーウイングが耳の形に沿うように回転させる
装着したところ

 初めにイヤフォンの電源を入れて、手持ちのスマートフォンとペアリングを行なう。今回のテストにはiPhone 5sを使用した。iPhone側のBluetoothをオンにし、イヤフォンのリモコンの真ん中のボタンを長押ししてペアリングモードにする。ペアリングが済めば、一般的なBluetoothイヤフォンと同様に、標準のミュージックアプリやYouTubeなどの映像コンテンツの音声を聴ける。iPhone 5sには非搭載だが、ワンセグチューナが内蔵された機種ではテレビ放送などの保護されたコンテンツの音声も聴くことができる。

 運動していない状態で音楽を聴いてみたところ、遮音性は一般的なカナル型イヤフォン並みで、音楽が流れていないときは電車の車内アナウンスなどが聴こえる。筆者が普段使っている、高い遮音性が特徴のShure「SE 215」と比べるとJABRA PULSEの方が遮音性は低いと感じたが、スポーツ用であれば遮音性が高すぎるのもかえって危ないので、この程度で問題ないだろう。

 音質はメリハリのあるドンシャリ寄りで、特に低音が強調されている。運動中はアップテンポなノリのいい曲を聴くことが多いので、個人的には低音強めの音作りは好印象だ。ひと昔前のBluetoothイヤフォンは、低音が痩せてスカスカになりがちな印象があったが、JABRA PULSEはしっかり低音を補ってくれるので、運動時だけでなく日常のシーンでも音楽を楽しめる。

 ノラ・ジョーンズ「Come Away With Me」のような、しっとりしたアコースティックな曲などでは、勢いのある低域に中域が隠れてしまい、ボーカルの声が小さく聴こえる場合があった。その場合は、イコライザで低域を抑えてやるとバランスよく聴ける。

アプリ連携で効率よく脂肪燃焼。運動履歴の確認やSNS共有も

最初に性別や身長、体重などを入力する

 初めて専用アプリ「Jabra Sport Life」を立ち上げると、最初に性別や身長、体重、生年月日などの入力を求められる。入力が済むと、今度は静止状態でイヤフォンを装着し、10秒間心拍数を測定するよう指示される。計測の結果、筆者の通常時の心拍数はおよそ70bpmだった。アプリによれば男性の心拍数は平均65~75bpmとのことだ。

 安静時の心拍数を計ることで、個人にあったトレーニングゾーンの数値が算出される。これはライト、ファットバーン、カーディオ、インテンス、マックスの5つに分類され、ライトが最も軽い運動強度、マックスが最も激しい運動強度となる。アプリでは、ファットバーンが最も脂肪燃焼に効果的なゾーン、それより上のカーディオやインテンスは、体力の向上に役立つとされている。

 ダイエットには有酸素運動が効果的だが、息が切れるような激しい運動は無酸素運動となってしまうので、それなりの運動強度で20~30分程度行なうのが良いとされている。運動強度は個人の体力によって異なってくるが、それを客観的に判断できるのが心拍数だ。運動中に心拍数を計ることで、その運動が身体にどのくらいの負担を掛けているか知ることができる。筆者の場合は心拍数130~150bpmくらいがファットバーンゾーンに該当した。つまり、心拍数が130~150bpmになる程度の運動強度をキープすることが、ダイエットに効果的ということだ。

メニュー画面。心拍数やバッテリ残量が表示される
トレーニングゾーンの説明

 心拍数計測などの準備が整ったところで、早速JABRA PULSEをつけて近所の公園を走ってみたところ、走り始めてすぐにイヤフォンがグラついて耳から外れそうになった。イヤフォン部にバッテリなどを搭載しているためか、走っているとイヤフォンの重みで外れやすいようだ。そのためイヤフォンを押さえながら走るはめになり、ジョギングに全く集中できなかった。そこで、イヤーピースを一回り小さいSサイズに変えて走ってみたところ、今度はしっかり耳にフィットし、快適に走ることができた。

 自宅で各サイズのイヤーピースを試したときは、Mサイズが一番合っているような気がしたが、実際に運動してみるとSサイズの方が外れにくかった。運動中は通常時よりもイヤフォンが外れやすいので、イヤフォンを付けながら軽く体操してみたり、その場で足踏みなどしてみて、フィット感を再確認することをお薦めする。

筆者の場合、心拍数が150bpmを越えるとファットバーンゾーンから外れてしまった

 JABRA PULSEを利用していて驚いたのは、「ダイエットのためには、こんなに遅く走らなければいけないのか」ということだった。日頃の運動不足のせいなのか、他のランナーに追い抜かれるような遅めのペースで走っていても、心拍数が上昇し過ぎてダイエットに適した心拍ゾーンから外れてしまうのだ。筆者の場合、心拍数が150bpmを越えるとファットバーンゾーンから外れ、その都度「設定ゾーンを外れました。スピードを落として下さい」とアナウンスされた。

 脂肪を燃焼させるためには、強すぎない程度の運動を行なうのが良いとされているが、実際どのくらいの強度が適切なのかは、言葉で説明されても分かりにくい。以前に読んだ本では、ダイエットに適切なジョギングのスピードとして、「息が切れず、同走者と軽く会話ができる程度」とか、「時速8kmのペースが目安」などの説明がされていたため、何となく「これぐらいのペースかな?」という感じで走っていたが、JABRA PULSEは、スピードを上げて、スピードを落として、と適宜音声(英語)でアドバイスしてくれるため、自分の目標に合った適切なペースが分かりやすい。

 また、これまでは息が切れない程度をキープすることに集中してしまい、走行中に聴く音楽や周りの景色を十分に楽しめなかったが、ペース調整をアプリに任せることで、ジョギングを楽しむ余裕が出てきた。頼れる個人コーチが側についてくれるような感覚だ。

 運動後には地図上に走ったコースが表示され、どのペースでどれくらい走ったかがグラフ化される。また、過去の記録と比べたり、今月はどのくらい走ったかを確認することも可能だ。それらのデータをTwitterやFacebookなどのSNSに投稿することもできるので、友人と走行距離を競ったり、家族に頑張ってる姿を見せたりして、モチベーションの維持にも役立てられる。

運動後に走った距離や時間などが表示される
走ったコースも地図で確認可能
トレーニングゾーンごとの割合も分かる
月ごとの運動の履歴も確認できる

 使用していて残念だと感じたのは、音声が英語など外国語しか選べないところ。それほど複雑な事を言われないので何となく理解はできるものの、やはり日本語音声が欲しい。もしアプリのプラグイン追加などで対応できるのであれば、有料課金でもいいので、アニメのキャラクターの声で応援してくれると俄然やる気も出そうな気がする。

心拍計+Bluetoothイヤフォンならではの利点

 運動しながら心拍数を計測できるデバイスは、以前から腕時計型や胸部に巻くベルト型などがある。Polar(ポラール)やGARMIN(ガーミン)、SUUNTO(スント)などのメーカーが有名で、BluetoothやGPSなどの搭載機能にもよるが、だいたいどれも1~3万円くらいはする。JABRA PULSEは、Bluetoothイヤフォンとしても利用できることを考えれば、実売32,000円前後という価格はそれほど高くないだろう。音声によるアドバイスを受けながら運動できるというのも、イヤフォン型ならではの利点だ。

 ただし、腕時計型やベルト型は、サイクリングやテニスなど多様なスポーツで使えるという汎用性があるが、イヤフォンを付けながら行なえるスポーツは限られてくる。JABRA PULSEは、ジョギングやスポーツジム内での運動向けと考えた方が良さそうだ。

 JABRA PULSEは心拍数を計るだけでなく、頑張った成果を地図やグラフで表示してくれるので、運動した、という実感が得られやすいところもいい。これまで購入してきたダイエット器具はほとんど長続きしなかったが、これなら飽きずに続けられそうな気がする。これから暖かい季節になるにつれ、外に出て運動してみようという気にもなりやすい。効率よくダイエットをしたいと考えている人は、JABRA PULSEを試してみてはいかがだろうか。

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一條徹