ミニレビュー

2,999円の防水Bluetoothスピーカーで、長風呂は快適になる? Anker「SoundCore Sport」

 筆者は普段から長風呂をすることが多く、湯に浸かりながら風呂場にスマートフォンを持ち込んで、音楽や映画を楽しんでいる。長く湯に浸かると、体が芯まで温まりどっと汗をかけるので、自宅でもスパ気分を味わえるというわけだ。長い時間を過ごすお風呂だからこそ、普段使っているスマートフォンのスピーカーで聴くよりも良い音で楽しみたいと思い、Anker(アンカー)の防水Bluetoothスピーカー「SoundCore Sport」を使ってみた。

SoundCore Sport

 Ankerは、モバイルバッテリや充電器などで知られるメーカーで、'09年に、米Google出身者によって設立。最近はスピーカーやイヤフォンにも力を入れているようだが、筆者はまだ使ったことはなかった。1月に発売された防水Bluetoothスピーカー「SoundCore Sport」は、見た目や機能がシンプルで、2,999円と手頃なのが魅力。

 特徴を簡単におさらいしよう。IPX7防水認証を得ている防水スピーカーで、水深1mまで最長30分間の操作が可能なほか、水の中に落としても自然に浮上するという。出力3Wのフルレンジドライバとパッシブラジエータを備え、「クリアな音質としっかりした低音」を再現できるという。リチウムイオンバッテリを内蔵し、側面のキャップに隠れたmicroUSB端子から、スマートフォンと同じように充電して使える。

 本体の形状は真四角な箱のようで、やや大きめの指輪入れくらいのサイズ感。手にとって見ると、四角いながらも角は丸められており、指紋や皮脂が目立たないマットな触り心地。外形寸法は85×85×45mm(縦×横×厚さ)、重量は230g。かさばる大きさではなく、重さもだいたいスマートフォン1.5個分程度なので、持ち運びも苦にならない。

本体は丸みのある四角形
物理ボタンは音量+と-、Bluetooth/ハンズフリー、電源ボタンの4つ
キャップの裏にはステレオミニの音声入力端子とmicroUSB端子
背面
付属品など

スマホとペアリングして簡単に迫力の音質

 電源ボタンは側面にあり、押すと電子音とともに起動する。その状態で、スマートフォンのBluetooth設定画面から「Anker Bluetooth」をタップすれば、短い電子音と共にペアリングが完了。パスワードを入力する必要もなく、すんなりとペアリングできた。Bluetoothスピーカーを使い慣れていない人にとっても簡単な操作だ。ペアリングは一度済ませれば、あとは起動するたびに自動で行なわれる。

Anker Bluetoothをタップするとペアリングが完了した

 音楽から動画、ゲームのBGMにいたるまで、スマートフォンのあらゆる音源をケーブル不要で再生できるので便利。筆者は普段、30日間960円で150万以上の楽曲が聴き放題となる音楽ストリーミングサービス「LINE Music」を利用しているが、その音源も、もちろん問題なく再生できた。

 また、ペアリング中にスマートフォンが着信すると、SoundCore Sportに内蔵するマイクとスピーカーで、ハンズフリー通話を行なえる機能も搭載する。

 音質については他製品と比較してはいないものの、手持ちのiPhone 6sに内蔵するスピーカーに比べると曇りが取れたようなクリアさで、音の迫力も段違いなのは断言できる。ボーカルが明瞭に聴こえ、パッシブラジエータのおかげで低音の迫力も十分だ。

LINE Muiscも問題なく再生できた

“水に落としても浮く”は本当? 気になる防水性能をテスト

 SoundCore Sportの特徴は、なんといってもIPX7の防水性能。早速お風呂に持ち込んでみた。ペアリングは離れた部屋に置いてあるスマートフォンとも問題なく行なえる。なおBluetoothの伝送距離は公称10mだが、部屋の構造や間取りによってペアリングできる距離に幅があることには注意したい。

お風呂場に持ち込んでみた

 SoundCore Sportから操作できるのは音量と再生/一時停止のみで、曲送りはできない。好みの曲を聴きたいのなら、事前にプレイリストをしっかりと作りこむのがおすすめだ。当然、防水スマートフォンを持ち込めば、風呂場で聴きたい曲を選ぶこともできる。

 IPX7防水で、水に落としても自然に浮いてくるというが、本当に大丈夫なのだろうか。実際に試してみた。確かに、シャワーの水が少しかかるくらいなら全く問題はなかった。ではシャワーの水を直接かけ続けるとどうだろう。再生に問題はないが、多少音はこもってしまう。とはいえタオルで表面の水を拭けばすぐに元の音質に戻った。入浴中ずっとクリアな音質で聴きたければ、水がかかりにくい場所に置くのがいいだろう。

シャワーの水を直接かけると音がこもってしまう

 実際に水没させてみると、メーカーの言葉通りすぐに水面に浮かんできた。IPX7対応とはいえ、長い間水没していると内部に浸水する恐れがあり、すぐ浮かんでくるのは安心感がある。ただ水中ではBluetoothの電波が遮断されてしまったためか、再生は一旦中断してしまう。水中から引き上げて、再生ボタンを押すと無事再生を再開できた。しかし、乾くまで音がかなりこもるので、なるべく落とさないのが賢明だろう。

水に沈めてみると、すぐ浮かんできた

動画鑑賞では、遅延が気になるケースも

 お風呂では快適に音楽を楽しむことができた。では動画ではどうだろうか。冒頭でも述べたように、筆者はお風呂でもHuluやNetflix、dTVなどの動画ストリーミングサービスを楽しんでいる。しかしお風呂は音が響きやすく、セリフが聞き取れないなど、スマートフォンのスピーカーでは不足を常々感じていた。今回、防水Bluetoothスピーカーを使ってみたのも、音楽だけでなく動画を良い音質で楽しみたいという欲求があったからだ。

iPhone 6sを持ち込んで動画視聴

 実際にお風呂場へiPhone 6sを(密閉できる袋に入れて)持ち込み、動画を再生。すると、ある問題が発生した。音声が映像に対してはっきりと遅延してしまうのだ。

 動きの少ない映像なら、多少セリフと口の動きがずれる程度で鑑賞に堪えないほどではない。ただ、アクション映画などの動きの早い作品の場合、動きと効果音がずれるため不満に感じる。動画を見るために防水Bluetoothスピーカーの購入を検討している人は注意した方がいいだろう。

 ただ遅延さえ我慢すれば、お風呂場でこのレベルのサウンドで動画を楽しめるのは新鮮で、セリフもしっかりと聞き取れる。長風呂も今まで以上に充実するだろう。

お風呂だけじゃない、スキマ時間を活用したくなる

 SoundCore Sportを使い始めて、お風呂場でも迫力のあるサウンドを楽しめるようになり、「お風呂」というスキマ時間をもっと有効活用したいという意欲が湧いてきた。スマートフォンのスピーカーとは異なりセリフがしっかりと聞き取れるので、Radikoのようなスマートフォンで利用できるラジオサービスを聴いたり、語学用の音声トラックを再生するのもいいだろう。前述の通りマイクを内蔵しハンズフリー通話も可能なので、入浴しながら友人と長電話もできる。

 バッテリー持ちの時間は10時間。今回、厳密に測定してはいないが、筆者が5日間毎日お風呂で使ってみても、充電は切れていない。

 今回は長風呂のお供にとSoundCore Sportをレビューしたが、本体にはストラップホルダーが付属しており、コンパクトで持ち運びも容易。お風呂やキッチンといった水回りだけでなく、花見や山といったアウトドア用途にも向いている製品だ。音楽や動画の定額制ストリーミングサービスが普及し始めているなか、Bluetoothでスマートフォンと繋がれる防水スピーカーの活躍の場はかなり広いだろう。

ストラップも付属する

 2,999円と手頃な価格ながら聴き応えのある音質で、コストパフォーマンスにも優れた一台だと感じる。Bluetoothスピーカーを初めて買う人にもおすすめしたい。

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Anker SoundCore Sport

小口 貴宏