レビュー

約1万円のサウンドバーでTVの音が大迫力! Anker「Soundcore Infini」を使った

Amazon Prime VideoやNetflixなど映像配信サービスのおかげで、自宅で映画などを頻繁に観るようになった。メインで使っているテレビは40型の東芝REGZA J9X(2014年モデル)。今となっては決して大画面とは言い難いものの、4K画質に対応し、緻密な映像は十分に楽しめている。しかし、一つ不満だったのはサウンド。そこで、テレビと組み合わせるサウンドバー(バー型スピーカー)を使ってみた。

Ankerのサウンドバー「Soundcore Infini」をテレビと組み合わせて使用した

筆者はマーベル作品やスパイ物など、アクション映画を観るのが多いこともあって、テレビの内蔵スピーカーではサウンド面で物足りなさを感じていた。そうした中、10,999円(税込)という低価格で、スマホの音楽などもワイヤレスで聴けるBluetooth搭載のサウンドバー「Soundcore Infini」がアンカー・ジャパン(Anker)から発売された。自宅のテレビと組み合わせて、どんな音が聴けるのか試した。

光ケーブル1本でテレビと接続するだけ

Ankerは低価格なモバイルバッテリーなどで知られるデジタルガジェットのメーカー。近年は、家電製品も数多く発売しており、ロボット掃除機やプロジェクターなども手がけている。サウンドバーもそんな製品の一つで、同社オーディオ製品のSoundcoreブランドで展開している。

Soundcore Infini本体

サウンドバー本体は幅88cmで40型のテレビと同じぐらい。本体内には、高音用のツイーターと、低音用のサブウーファーを各2基内蔵。また、鮮明な低音を響かせるというSoundcore独自のBassUpテクノロジーを採用し、迫力のサウンドを生み出しているのが特徴。

フロントには電源ボタンとソース入力ボタン

テレビの前に置けるスリム形状ながら、100W出力に対応。Bluetooth機能も搭載しながら、約1万円で購入できる安さが魅力だ。

機能は非常にシンプルで、テレビとの接続は、各1系統を搭載する同軸/光デジタル、もしくはAUX(ステレオミニ)端子で行なう。HDMI入力は搭載しない。今回は光デジタル端子で接続した。あとは電源ケーブルをコンセントに挿すだけで準備は完了する。

背面中央部にくぼみがあり、ここに入力端子類がまとまっている。

なお、壁掛け用のブラケットなども付属するため、テレビを壁掛けにしている場合などは、壁に固定することも可能だ。

「Soundcore Infini」の付属品。光デジタルケーブルのほか、ステレオミニ-RCAケーブル、リモコンなど

操作は付属のリモコンで行なう。リモコンはAmazonのFire TVに付属するものに近い形状とデザイン。電源ボタンを押してSoundcore Infiniを起動し、テレビをつけるとすぐにSoundcore Infiniからサウンドが出た。マニュアルによると、入力モードやテレビ側の出力モードの設定が必要な場合もあるようだ。

付属のリモコン。十字キーの上下で音量調節が可能。左右は音楽再生時の曲送りに使える

期待していた通り、今まで聴いていたテレビ内蔵スピーカーのサウンドとは比較にならないほどの厚み、音圧が感じられた。ボリュームの表示はないが、耳で聞きながら、テレビ内蔵スピーカーの時と同じくらいの音量に合わせた場合でも、音圧や響きに明らかな違いがある。

特に爆発シーンなどは内蔵のサブウーファーのおかげもあり、大迫力が得られた。試しに、Soundcore Infiniの電源を落としてテレビのスピーカーからの出力に切り替えてみると、サウンドがスカスカに感じるほどだ。耳は一瞬にして慣れるもので、それまで普通に聞いていたテレビのサウンドが物足りなく感じるようになってしまった。

側面のポート部

Soundcore Infiniには3種類のサウンドモードを搭載している。リモコンの「MOVIE」ボタンを押すと、より低音の響きが強調されるモードになる。「MUSIC」モードはバランスが取れた素直なサウンドの印象。低音が抑えられている分、高音の伸びが気持ちいい。「MUSIC」と「MOVIE」の中間のような設定が、会話などの音声が聞き取りやすくなる「ダイアログ」だ。

「ダイアログ」は低音だけではなく、高音も抑え、中域のみを強調したサウンド。個人的にあまり好みではなかったが、人の声が聞き取りやすいため、深夜など音量を大きくできない時間帯にテレビを観るときに便利そうだった。

スマートフォンとBluetooth接続して音楽再生も

テレビ用スピーカー以外にも利用できるのが、スマートフォンなどと接続して聴くBluetooth機能だ。ワイヤレス接続するためのペアリングは非常に簡単。リモコンにあるBluetoothボタンを押してペアリングモードに切り替え、スマホから接続を実行するだけだ。

リモコンのBluetoothボタンを押すとペアリングモードになり、スマホから接続可能。サウンドの出力先として「Soundcore Infini」を選ぶ

スマホにインストールしているアプリで音楽を再生すると、「Soundcore Infini」から音が流れる。スマホのスピーカーとは比較にならない音の広がりと音圧で音楽を楽しむことができる。サウンドバーの特性上、音の指向性は高く、空間を包むタイプの音ではないが、100Wのパワーにより、大音量で楽しむこともできた。

使い勝手では気になる点も

使ってみると、Soundcore Infiniは1万円前後の低価格とは思えないほどの迫力のあるサウンドが楽しめた。テレビ番組や映画などだけでなく、スマホの音楽も楽しめるのはポイントが高い。

気を付けておきたいのは操作性。接続はHDMI端子ではないため、テレビのリモコンでは音量の調整はできず、Soundcore Infiniのリモコンで行なう形になる。

ボリューム調整やサウンドモードの設定には付属のリモコンが必須。テレビのリモコンやFireTVのリモコン(左)などではボリュームの調整ができない

また、筆者のテレビREGZA 40J9Xの前に置くとリモコン受光部を塞いでしまい、低い位置からはテレビを操作することはできなくなり、テレビとスピーカーの位置を離すなど調整が必要だった。Soundcore Infiniの高さは約56mmで、「リモコンスルー機能」などは搭載しないため、スタンドが低めのテレビを使っている場合は注意したい。

テレビのリモコン受光部が低い位置にあると、「Soundcore Infini」が邪魔して操作ができなかった
操作への反応は操作音とこのわずかなLEDの点灯、点滅だけ

また、本体正面のステータスLEDは、座っている位置からだとほとんど見えないため、音量調節やモード変更が分かりにくいと感じた。現在どれくらいの音量なのかという表示はないので、最適な音量を数字で覚えておくという使い方はできない。

このように使い勝手で気になった点はあったが、それらは配置の調整や慣れでカバーできる部分でもある。もっと高価格なモデルだと、HDMI連携など操作性の高い場合は多い。自分や家族がこうした面をどこまで重視するかが、購入するかどうかのポイントになりそうだ。

100Wのハイパワーサウンドを気軽に導入できる

Soundcore Infiniの一番の魅力は総合出力100Wのハイパワー。1万円台のサウンドバーは総合出力30~40Wのモデルが多いため、その差は非常に大きい。テストした環境はマンションの一室のためフルボリュームでの視聴はできなかったが、それでも大音量で映画を楽しめた。

今回組み合わせたのは40型テレビだが、さらに大きいサイズなら、より映像の迫力とサウンドのバランスを良くしたいはず。Soundcore Infiniなら手軽にサウンドレベルをアップできるというわけだ。

コヤマタカヒロ