【スマホLIFE】外部モニタ兼リモコン? 「LiveView MN800」を試す
Xperia arc/acro用のユニークなBluetooth機器
Xperia acro SO-02C(White) |
ソニー・エリクソンが発売した「LiveView MN800」(以下LiveLiew)は、ちょっと面白い周辺機器だ。発想的には「スマートフォンの情報を引き出して使う機器」といったところ。Xperia(対象機種は、Xperia arcおよびacro)の周辺機器、という扱いで売られている。直販価格は7,980円だ。
筆者はちょうどXperia arcを持っていることもあり、せっかくだから試してみることとした。このユニークなガジェットの実力はどのくらいのものなのだろうか?
■ スマートフォンと一体で動作、実用性は? だが「可能性」は大きい
LiveViewは、親指くらいの大きさ(スペック上は約1.3インチ)の有機ELディスプレイを備えたガジェットである。全体のサイズ感としては、「分厚い腕時計」だと思えばちょうどいい。実際、どこかで腕時計用のバンドを手に入れれば、LiveViewを腕時計として使うこともできるだろう。ただし、パッケージに入っているのはLiveViewを胸などに留められるようにするためのクリップだけ。胸ポケットにでも入れておいて使う、というのが現実的である。
LiveView本体。1.3インチの有機ELディスプレイが目立つ。操作系は左肩と右肩にあるボタンと、ディスプレイ周囲のセンサーだ | 本体背面にはクリップがついている。書類やポケット、鞄のベルトなどに挟んで留める | 本体底面にあるmicroUSBコネクター。充電用にだけ利用する |
「LiveViewアプリケーション」。LiveViewと連携し、各種設定を切り替える | 標準で組みこまれているアプリ群(タイル)の設定画面。各アプリで必要なアカウントなどを設定しておく。 |
実は、LiveViewは単体ではまったく機能を持っていない。内蔵されたBluetoothでXperiaと連携することで、初めて活用できる。実は写真に映っているのは、本体をXperiaへペアリングする前のもの。この状態では動かない。本体底面にあるMicroUSB端子は、通信用でなく充電用。パッケージに入っているACアダプターか、パソコンにUSBケーブルで繋いで充電することになる。
LiveLiewはBluetoothデバイスなので、まずはXperiaとペアリングするところから作業は始まる。Bluetoothで接続するといっても、ヘッドセットやマウスなど、おなじみのデバイスとは異なり、ペアリングして即使える、というものでもない。専用アプリ「LiveViewアプリケーション」をXperia側に入れて、それがLiveViewと通信を行なう形で動作する。いわば、LiveViewはスマートフォンの「サブ画面」であり「リモコン」でもあるわけだ。
どんなことができるかというと、文字通り「サブ画面」かつ「リモコン」的なものだ。LiveViewアプリケーションだけをインストールした状態では、新着メールや電話の不在着信、Facebook、Twitterの新着書き込みなどをチェックできる他、音楽プレーヤーの操作もできる。LiveViewには角に2つ小さなボタンがあるが、これは左が電源で右が「決定」。メニュー操作などはLiveViewを触って行なう。触ると言ってもタッチスクリーンが採用されているわけではなく、画面の上下左右がタッチセンサーになっていて、ここを押す(実際には、押すと触るの中間くらいのイメージ)ことで操作する。正直感度は微妙で、慣れるまで違和感がつきまとう。
もうすこし率直に言えば、標準の機能だけではそんなに便利とも思えない。操作性も微妙な上に、情報量も少ない表示を見るだけでは、今ひとつ実用性に欠けるからだ。例えば音楽機能にしても、ヘッドホンはスマートフォン本体につなぎ、操作だけをLiveViewから行なうというのは、Bluetoothのオーディオレシーバーに比べてバリューが少ないように思う。
LiveViewの画面。アイコンが並んでいる。本体左右の枠でアイコンを切り替え、右上肩のボタンで「決定」して使う | 標準で組みこまれているTwitterアプリ。自分宛のMentionやDMなどが届くと、LiveViewに表示される | 標準のミュージックプレーヤー。右肩のボタンを長押しして起動する。上下で音量調整、左右で曲送りに対応している |
Android Marketで「LiveView」をキーワードにして検索した画面。設定用アプリと一緒に、LiveView用の追加プラグインが見つかる | 追加プラグインの設定画面。Android Marketから通常のアプリケーションと同様にインストールすれば、ここに追加されていく |
実はLiveLiewは、海外ではすでに昨年末に発売されており、広く使われている。今回、ソニー・エリクソンが同社のウェブストアで直販している「日本語版」も、日本語マニュアルなどは整備されているものの、基本的には海外版と同じものである。スマートフォンを通信機器兼母艦として使い、情報をLiveViewに表示するというコンセプトが支持されてか、純正以外にもたくさんのプラグインが開発され、一般的なAndroid用アプリケーションと同じように配布されている。これらを組みこんでこそ、LiveViewは真価を発揮する、といってもいいだろう。
例えば、標準で搭載されているカレンダー機能はかなり貧弱なもので、いまひとつ本気で使う気になれないが、「Calender plugin」(pikkari氏作、無料)ならかなり使う気になれる。同氏の作った「Japanese Weather」も非常に便利なアプリケーションだ。カメラ機能のライブモニターとして使う「LiveView Remote Camera Plugin」(NeFa Studio作、99円)のような、ユニークなアプリケーションも多い。
「Calender plugin」(pikkari氏作、無料)。カレンダー情報を取得し、予定などを確認できる | 「Japanese Weather」(pikkari氏作、無料)。ネットから指定した地点の天気情報を集めて表示する。 |
LiveViewのコンセプトは非常に面白いものだ。だが、今はまだ発展途上な部分が大きく、「バリバリ実用的に使う」ことを期待している人にはお勧めしがたい。標準アプリの完成度はもっと高めてほしいし、追加アプリを使うにしても、一度メニュー階層を深い位置へ移動してからでないといけないため、常用するのは難しい。「ディスプレイの周辺をタッチして」の操作も今ひとつ確実性が低く、気になる。要は洗練されていないのだ。
とはいうものの、LiveViewを「可能性を秘めたおもちゃ」として捉えると、評価は変わる。この価格でここまで楽しめるデジタルガジェットはそうはない。様々なプラグインを楽しむのもいいし、プログラムを作れる人ならば、より楽しいと感じるだろう。その昔、PalmやWindowsMobileのPDAが人気であった頃の魅力にも似ている。
なお、冒頭でLiveViewはXperiaシリーズ用、と書いたが、実際には他のAndroid搭載スマートフォンでも動作する場合が多い。Xperia用となっているのは動作保証の関係と、連携アプリケーションに「Xperiaシリーズの内蔵アプリケーションと連動する」ものがあるからである。サポートはないが、興味があるユーザーは、ネットには動作に関する報告が数多く存在するので、それらの情報を参考にしていただきたい。
【LiveView MN800】 (ソニーエリクソン ストアで見る) | |
発売元 | ソニーエリクソン |
対応機器 | Xperia arc/acro |
発売日 | (2011年7月1日) |
直販価格 | 7,980円 |
(2011年 7月 26日)
[西田宗千佳]