麻倉怜士の大閻魔帳
第5回
話題のイマーシブサウンド「Auro 3D」の源流を探る旅。ベルギーGalaxy Studios
2018年6月19日 08:00
デノンやマランツのAVアンプなどに導入され、注目度が上昇しているサラウンドフォーマット「Auro 3D」。市場で先行する他のフォーマットと違い、チャンネルベースを基本とするこのフォーマットのヒミツを探るべく、ベルギーへ飛んだ。
麻倉怜士の大閻魔帳、今回はAuro 3D開発者のWilfried Van Baelen(ヴィルフリート・ファン・バーレン)さん自らが、開発現場となったGalaxy Studiosを案内するスタジオツアー。新世代のシアター音響に対するコダワリの数々を、たっぷりとお届けする。
注目の「Auro 3D」。その源流を求めて
麻倉:春のヨーロッパ取材紀行、前半はMIPTVでカンヌへ、後半はIFA GPC(グローバル・プレス・カンファレンス)でローマへ、そして“Auro 3D”を生み出したGalaxy Studios(ギャラクシースタジオ)のあるブリュッセル郊外へ行ってきました。ローマも良いのですが、今回特にお話したいのはベルギーです。
昨今のホームシアター業界では「ドルビーAtmos」「DTS:X」に続く日本では“第3の3Dサラウンド”として登場した「Auro 3D」が大変注目を浴びています。まずデノン・マランツが対応を発表し、昨年夏から日本でも最新AVRに入りはじめました。
――以前取り上げた際には、先行するフォーマットよりも音楽コンテンツへの親和性が高い、と評価されていました。
麻倉:Auro 3Dが素晴らしいのは、音場が“自然”なところです。基本はベースレイヤーとハイトの2レイヤーで、解りやすく言うと、5.1chの上にセンター以外の4chを足した9.1chが基本セッティングになります。この環境は“ベース対ハイト”における垂直方向の反射音が高密度で、音源の距離的にも離れていません。
もうひとつ大きな特徴は、音場が“濃密”ということ。他の2方式は音を物体的に捉えて動かすオブジェクトベースなのに対して、Auro 3Dは従来のサラウンドと同じチャンネルベースです。移動感・距離感はオブジェクトベースが得意ですが、場としての音像の広がりや深さ、濃密さなどはチャンネルベースの方が良いですね。つまり役割が違うということです。
また、他の2方式は3Dオーディオを実現するためにオブジェクトを使用しなければならないのに対して、Auro 3Dはオブジェクトがなくてもチャンネルだけで3Dオーディオを再現できます。後ほど触れますが、さらにオブジェクトも加えることができるという点がAuro 3Dというフォーマットの大きな特徴です。
チャンネルベースの役割はやはり音楽再生でしょう。映画や演劇と違い、音楽再生では音像位置が定まり、むしろ場の広がり、音の散らばりと言った点が見えるか否か、これが重視されます。チャンネルベースのAuro 3Dはそれが“よく視える”、体感の密度が高いんです。加えてAuro 3Dは9.1の全チャンネルが192kHzまで対応します。ギャラクシースタジオ曰く「限りなくロスレスに近いフォーマット」。一般的な48kHzのサラウンドと比べると、やはり聴いた時に体感の濃度もクオリティも違うと感じます。
そんなこんなで注目を集めるAuro 3Dですが、ではどんな人が、どこで、どう開発したか? 意外なことにAV先進国の日本でこれらがあまり知られていません。それを知るべく、開発元のベルギー・ギャラクシースタジオを直撃取材しました。
Auro 3Dを生み出した凄いスタジオ
麻倉:Auro 3Dは様々な試行錯誤を経て規格化されたフォーマットで、例えばチャンネル配置に関しては、約300通りから最も自然な立体音場を感じるものを探ったそうです。スタジオでの検証に次ぐ検証の結晶ということは、やはり開発現場となったギャラクシースタジオを訪問し、開発者のWilfried Van Baelen(ヴィルフリート・ファン・バーレン)さんに会わなければ、Auro 3Dの真髄はわかりません。“忙しいローマの休日”を返上して、私は一路ブリュッセルへ向かいました。
Auro 3Dは劇場・AVRだけでなく、車室空間/モバイルストリーミング/ゲーミングのフォーマットが開発されています。中でも大きな柱がクルマで、車内の音場をAuro 3Dでセットアップし、全く新しいサラウンド空間を創るという計画が現在進行中です。このシステムは2016年にポルシェの4シータークーペ「パナメーラ」に入り、その後SUVモデルの「カイエン」にも入りました。
ギャラクシースタジオがあるアントワープ郊外のモルという小さな町まで、空港からは車で1時間の道のりです。ブリュッセル国際空港までファン・バーレンさんが愛車のパナメーラで自らお迎え、道すがら早速車内でAuro 3Dを試聴しました。内容は衛星ラジオ放送で、音源の大元は2ch。3Dオーディオへのアップミックス機能「Auro-Matic(オーロ・マチック)」スイッチをオンにすると、音響空間が大きく変わりました。元の2ch再生は粗く、定位はスピーカーのある底部で、音の広がりも密度感もあまりありませんでした。ところがAuro-Maticスイッチを押すと、急に音場が立体的になり奥行きも出てきて、ヴォーカルが前/楽器が後ろに定位し、非常にダイナミックな音場配置が音質向上と共にありました。
ファン・バーレンさん曰く、Auro-Maticは10年かけて開発したアップミックスアルゴリズムで、元々クオンテックという会社に居たドイツ人技術者のラルフ・ケスラーさんと共同開発したそうです。この時に車内で使うハイトスピーカーはわずか2つ、ピラー上部に入っているものだけです。この位置が非常に重要で、耳までの間隔でアルゴリズムを組み換えるのだそうです。しかも、最新の音空間拡張技術「Auro-Space」では、ハイトスピーカーさえ不要、ベースレイヤーだけでサラウンドを創るとも話していました。
――ハイトスピーカーが2本だけというのでも驚きですが、それさえ不要になるというのは凄いですね。カーオーディオにそれほどこだわっていない自動車メーカー純正のスピーカーインストールでも、立体サラウンドを楽しめるようになるかもしれません。
麻倉:この会社はアルゴリズム会社だと言えます。基本的な配置をひとつ決めたら、少ないインプットをいかに多彩なアウトプットにするか。その間のアルゴリズムが非常に重要だということが、車内の体験だけでも感じます。
では何故こんなものを作ろうと思ったのでしょう? これが実に面白いんです。実はファン・バーレンさんは音楽家でもあり、8歳でトランペット、12歳でオルガンを始め、15歳でソロコンサートを開いています。この時点ですでにプロとして活躍しており、演奏・作曲・プロデュース・アレンジをこなしていたそうで、オルガンアレンジも2作発表しています。
スタジオを始めたのは17歳の頃(!)で、貴族というわけではないですが、郊外の実家が広い土地を持っており、使われなくなっていた庭の鶏小屋のスペースを使って、24×10mの広さのスタジオを造成。小さいながらもコントロールルームやレコーディングルームを備えていたようです。この時にこだわったのは遮音で、当時は厚いゴムを下に敷いて振動遮断を試みたのが、後々の伏線となります。このスタジオは開始から2年後に正式な企業として「Studio Galaxy」を名乗り始めます。名前の由来はドイツの「WERSI」というオルガンメーカーのブランド「Galaxy」で、ここから名前を取ったと話していました。
――17歳で自宅にスタジオですか。しかも自宅の一室を改造した素人スタジオではなく、結構な広さの建物を建てたとか、もうスゴイとしか言いようがないですね。どこからそんな行動力が出てくるのでしょう?
麻倉:資金は演奏・編曲とレッスン(先生)でまかなったようです(なんと15歳で!)。造成に際しては自分で30kgもあるコンクリートブロックを組み、下に9tものゴムを敷いたのだとか。こうして17歳の時点で自分のスタジオを持ったファン・バーレンさん、自身の音楽レコーディングはもちろん、他人のレコーディングも手がけるようになっていきました。さらにある時期から映画音楽も手がけ始め、これを機にスタジオをアップグレードすべく建て替えに着手します。'92年に工事開始、'95年に第2世代スタジオが落成しました。
ここでも最大のポイントは遮音性で、その性能は驚異的な100.7dB! ノイズ特性はエアコンが入っても14dBと、全く空気の流れを感じさせません。これは空調の空気の流れと自然な空気の滞留とを、ほぼ同じ速度にして実現したそうで、そのくらい徹底して静音性にこだわったとしていいます。
遮音性へのこだわりは凄まじく、例えばスタジオのドアは重量が150kgもあるほか、ミキサーとレコーディングブースを隔てるガラスは11cmと9cmの特厚ガラスを使った二重構造なのだそうです。これは建設業者に取り扱いを断られたため、兄弟のガラス職人が吸盤を使ってインストールしたと語っていました。床下はスプリングを敷いて他の部屋の振動を排除する浮床構造で、8~10Hzの振動を3Hz程度に抑えるようです。床下はスプリングを敷いて他の部屋の振動を排除する浮床構造で、その共振周波数は3Hz程度に抑えられているそうです。
強力な免震能力を物語るエピソードとして、'94年に発生したマグニチュード5.6の地震の話をファン・バーレンさんは明かしました。ヨーロッパではかなり大きな地震で、隣の実家に居た父親から凄い揺れを知らされたのですが、スタジオの中では全く感じずに地震があったことさえ気付かなかったとか。そのほか開所式の時にスタジオでピストルを鳴らして、隣の部屋で全く聴こえなかった、なんていう凄まじい遮音性を物語るエピソードもあるようです。
――目安としてカラオケの店内がだいたい90dB、電車のガード下の音が100dB、クルマのクラクションが110dBぐらい。それらがほぼ聞こえないレベルの遮音性というと凄さが伝わるでしょうか。
麻倉:ここまでファン・バーレンさんが遮音性にこだわる理由を聞いたところ、ロンドンの某スタジオで隣の音が漏れてきた体験を話してくれました。静かな音楽を録っている時に、隣から大音響の別録が漏れてきてガッカリしたそうな。さらに全てのコントロールルームで同じモニタースピーカーを使っているのに、出てきた音が違い、これにもガッカリしたとか。この体験を反面教師にし、遮音性と音の均一性を徹底して追い込んだそうです。
徹底的にアイソレーションにこだわったという前段があり、ギャラクシースタジオは世界一の遮音特性をウリにするようになり、今では世界最高峰のスタジオとして知られるようになりました。ここから出てきた作品、特に90年台後半には、ドイツのレコード産業トップ10タイトルの半分がをギャラクシースタジオ製で占めたといいます。実は日本の会社もこのスタジオを使っていて、ローランドやヤマハの電子ピアノはここでサンプリングしたスタインウェイの音を採用しています。外部ノイズがほぼゼロなので、サンプリング採取効率が良かったようです。
Auro 3Dが実現するイマーシブの神髄
麻倉:話をAuro 3Dに戻しましょう。2006年に基礎技術を確立、4年かけてアップ/ダウンミックスのアルゴリズムを磨きました。2010年に東京で開かれたAES「Spatial Audio International Conference」で、世界初の3Dサラウンドとして規格を発表し、ここでファン・バーレンさんが「イマーシブ」と名付けています。Atmosの登場はその数年後のことです。
5.1chの上方4chにハイトスピーカーを置く9.1chというチャンネル配置は2005年の段階で決定。ここから発展して11.1chや13.1chを定義しています。ハイトレイヤーの設置はドイツのとあるプロデューサーが持ち込んだアイデアで、前2ch/後ろ2chに、前方ハイト2chを加えた合計6.0chを試したところ、非常に効果が高く自然だったそうです。
ファン・バーレンさんの基本姿勢は“ナチュラル”。これはファン・バーレンさん自身が教会でオルガンを弾き、音楽を創っていたというキャリアがバックグラウンドにあるためで、音場・音像・音色のすべてにおいて、徹底的に自然にこだわっています。ファン・バーレンさんは3Dサラウンドにおいても自然は非常に重要と指摘しており、不自然な音の強調感や音場感を許さず、徹底的に自然にする、そう考えていた時に持ち込まれた6.0chのアイデアが良い結果を出したと話していました。ですがフロントハイトしかないのは物足りない、なので次にバックハイトを付けました。ベースレイヤーは当時既に広がりを見せていた5.1にして、そのセンターを抜いた4chを上に追加する、というアイデアです。
――規格の策定にも音楽家としての思想がある、というのが興味深いですね。ですが、なぜベースレイヤーは5.1ch流用なのでしょう。当時のサラウンドは“映像向けの音声表現”みたいな性格が強く、特にハリウッド映画の派手な音響にマッチする、というイメージだったと思います。ファン・バーレンさんは何故そんな5.1chを基礎技術に採用したのでしょう?
麻倉:その疑問はAuro 3Dもうひとつの基本姿勢が解決します。それは後方互換。9.1の中に5.1が入るので、ハイトが無くても5.1chのサラウンド効果が得られる、というわけで、Auro 3Dではこの互換性を非常に重要視しています。ファン・バーレンさん曰く、このアルゴリズム開発に5年かかったということです。
――なるほど。ファン・バーレンさんはアルゴリズムの力で、スピーカー配置にできるだけ左右されずに音響空間を自然にしたいということですね。Auro-Matic車内デモの際にファン・バーレンさんが話されていたAuro-Space構想も、この互換性思想の延長線上にあると考えると納得いきます。
麻倉:より精密な環境設計ができる映画劇場用のフォーマットでは、センターハイトとトップを加えた11.1chシステムが用意されています。他の立体サラウンドで使われているトッププレイヤー(天井スピーカー)は、Auro 3Dでは相当大きな空間向けだけしか使いません。そうしたインストールが困難なセッティングは一般的な家庭用では不要です。
2011年には映画劇場システムに造詣の深いバルコとタッグを組むことで、大きな転換期を迎えます。北米市場へ乗り出した際にルーカスフィルムが気に入り、シネマ展開に向けた開発が本格化。この時に7.1chを拡張した13.1chが策定され、さらにシネマ向けはチャンネルベースとオブジェクトベースを組み合わせたハイブリッド方式へ転換しました。これをさらにソニーピクチャーズが気に入り、結果として映画劇場用作品は200タイトル以上が出ました。因みに映画劇場用ハイブリッド方式のAuro 3Dには特別に「AuroMax」という名称が付いており、13.1chから最大26.1chまでをサポートします。
その後は先にお話をした通り、アルゴリズム発展などを目指しており、最終的にはイマーシブサウンドを自動車内で展開させようとしています。さらに一般的な2chヘッドフォンでも、「Auro-Headphones」というアルゴリズムにより立体サラウンドで聞くことができ、すでに市場へ展開しています。余談ですが“Auro 3D”という名称は、ラテン語で音を示す「Audi」と、黄金を示す「Auro」の造語です。システムの呼び方としては“Auro 9.1”といった表記に方にしてほしい、といいます。
麻倉:AVRでご家庭のシアターへインストールする際のコツについても、ファン・バーレンさんから教えてもらいました。ポイントはやはりハイトスピーカーで、配置はリスニングポイントを基点にして、下(ベースレイヤー)のスピーカーから20~40度(最もベストな角度は30度)の場所に置くのが良いということです。これを外すと離散状態となります。ファン・バーレンさんは「音場におけるコヒーレンシー(音の干渉性)が非常に重要」と言っています。人間は水平方向の音識別・指向性は高いですが、垂直方向はそれほどでもないんですね。なので垂直方向のスイートスポットを離れると自然さが失われるので、これがとても大切なのです。
そんな音のつながりの重要さを物語るエピソードをひとつ、ご紹介しましょう。Auro 3Dのリファレンスルームで聴かせてもらった、飛行機が前から飛んできて、頭上を通り越し後ろへ抜けてゆくというフライオーバーのデモが非常に印象的でした。実はファン・バーレンさん、このデモコンテンツを使って、ベースレイヤーを消してハイトだけで聴くという実験をしたことがありました。が、結果はまったくフライオーバーしなかった。やはりベースレイヤーに入っている地面の反射音が重要で、ハイトはベースレイヤーを補助する存在なんですね。上だけではダメで、下と上が有機的に繋がるように、反射音の情報をいかにマイクが捉えるか。そしてそれが正確に再生されるか。これが非常に重要だということを、その時に身をもって体感したと話していました。
――平面が抜けた不自然な音では人間を騙せない、ということですね。では、従来から定評のある音楽コンテンツはどうでしたか?
麻倉:音楽モノに関しては、2Lが近年リリースしているBlu-ray AudioタイトルでAuro 3Dをサポートしています。あるいはソニーミュージックのウィーンフィル・ニューイヤーコンサート、パッケージにはどこにも書いていませんが、実はAuro 3Dによる収録で、これが非常に効果アリです。
ウィーン楽友協会の大ホールはステージが高く、着座位置よりも高いところから音が広がります。Auro 9.1で聴いた印象は「あの深い音場感をよく再現しているな」というものでした。響きが“厚いのにクリア”という独特の雰囲気、ウィーンフィルの艶っぽい芳醇な音色感が、ハイトの辺りでクラウドのように漂う、そんな体験ができます。
ダニエル・ガッティ/ロイヤルコンセルトヘボウの「交響詩『海』/春の祭典」「マーラー 交響曲第2番」もAuro 3Dでエンコードされています(こちらはキチンと表記されているのでご安心を)。中でも、ドビュッシーの「海」から、「牧神の午後の前奏曲」が素晴らしいですね。冒頭フルートソロ、一般的な2chではスピーカーの間で響きが終ってしまうのに対して、Auro 9.1では響きに音の軌跡が付いて、コンセルトヘボウ大ホール特有の濃密感、広がり感、魅力的なツヤ感が、フルート一発でスゴく感じます。
――「奇跡の響き」と称される、言葉で表現し難い濃密な音の世界です。あれは特にソロが映えるんですよね。
麻倉:ビブラートが音の波になって広がり、干渉しあって、違う波を創る。そういう音のドキュメントと言うか、華麗なる音波の進行が感じられます。2chだけでは分からないし、水平の5.1chでも限界があります。垂直方向に発せられた響きをあるがままに録ったからこその感動性・臨場感と言えるでしょう。これも徹底的に自然を目指した開発の成果で、なおかつ音自身が192kHz/24bitのハイレゾクオリティだからこそ得られる世界です。単に音場が深いとか、イマーシブだとかに留まらない、音そのものの魅力。それが全方位で加わるのです。
こういった音楽体験が得られるAuro 3Dのベースには、ギャラクシースタジオでのスタジオ造り、それを舞台に繰り広げられた様々な音場実験とアルゴリズム開発が息づいています。やはり開発をする人というのは違いますね、全部自分でやっているから、自分の想いを如何に表現し、伝えるかを常に見据えているのです。それがきっちりと音になって現れたサウンドは、何層にも重なった長期間に渡る開発が結実した、大変に見事なものです。歴史を知り、技術を学んで、音で体現する。様々なものが濃縮された音楽に、私は只々感心するのみでした。