本田雅一のAVTrends
第211回
ついに配信「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」は何を描くのか
2022年9月2日 07:30
いよいよ本日2日10時から、Prime Videoで独占配信するドラマ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」。8話で構成されるシーズン1のうち、初日に公開されるのは第2話まで。5シーズン完結予定で全50話が制作されるというが、シーズン1だけでも4億6,500万ドル(原稿執筆時点での為替レートで約644億円)もの巨額製作予算が投じられている。
配信開始に先立って開催されたワールドプレミア(ロサンゼルス・ムンバイ・ロンドンで開催)のうち、アジア太平洋地区のプレスを招いたムンバイでのイベントで、総製作責任者のJ.D.ペイン氏および、主要な出演キャスト陣にインタビューを行なった。
彼らのコメントから、この作品が描こうとしている世界観についてお伝えすることにしたい。
“力の指輪”とは?
ロード・オブ・ザ・リングといえば、世界中で大ヒットとなったピーター・ジャクソン監督の映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作。それまで完全映像化は不可能と言われていたJ.R.Rトールキン原作の「指輪物語」の中から、“第三紀”を映像化したものだった。このシリーズに続いて同じくヒットとなった「ホビット」シリーズは、指輪物語のスピンアウトとして描かれた、子供向け小説から発想を膨らませた作品である。
西洋ファンタジーの世界観は指輪物語の中でトールキンが生み出したものと言われ、日本でもお馴染みのファンタジーRPGの中でも、登場するモンスターや魔法、種族、各国のカルチャーなど様々な形で引用されている。
そんな指輪物語では、実に9,000年もの長い歴史が描かれている。かねてよりPrime Videoに強力なオリジナルファンタジー作品を盛り込みたかったAmazonは、映像化権を2億5,000万ドル(約346億円)という巨額で獲得していた。
“力の指輪”とは、ピーター・ジャクソン作品でも主要な役割を果たしていた“ひとつの指輪”のこと。映画では冥王サウロンとともに描かれている、あの指輪のことだ。今回のシリーズは、映画よりも2,000年前の時代、その力の指輪が鋳造された経緯、物語の中で最も栄えた王国・ヌーメノールの栄華盛衰、闇の台頭、エルフと人間が同盟しての最後の戦いが描かれている。
ヌーメノールの歴史は現代人への警告
――今回初めて栄華を極めた国・ヌーメノールが映像化されました。この島の発見、栄華を極めたこの王国の衰退、あるいは種族間の対立と闘争は、社会全体が両極に割れていく“分断”を感じる現代の写し鏡のようにも感じます。どのようなメッセージ性を作品の中に込めたのでしょうか。
J.D.ペイン:ヌーメノールは、人間が構築した究極の文明です。長く中つ国との交流はなかったのですが、エルフ族の中の変化がヌーメノールとの交流のきっかけになる。エルフ王に集う忠誠心の高いエルフたちが結束を高める一方で、エルフの伝統に囚われないエルフも現れて王国のある裂け谷から旅立っていきます。
それぞれが自分の信念に従って行動しますが、最終的に世界は二つの大きな勢力へと別れていき、互いの考えを共有できなくなっていきます。勢力間の対話は失われ、迫害し始めと世界は分断され、戦争へと発展していきます。
このストーリーは現代を生きる私たち全員に対する警告だと思います。ヌーメノールは人類が成し得た偉業で、強固な社会を作り出していました。しかしどんなに素晴らしい王国を築いても、ほんの少しの猜疑心や派閥争いで社会のバランスが崩れ、話し合いの機会を失うことで崩れ去るのです。
――今回の番組では、小説には登場した新キャラクターを追加しています。彼らは物語にどのような影響を与えるのでしょう?
J.D.ペイン:トールキンは友人への手紙や資料などを残し、彼の作り上げた神話と繋がる新しいシリーズが描かれることを望んでいました。そしてそうしたドラマや音楽などが創作されています。彼は自分がいなくなった後も、レジェンダリウム(トールキンが長年作り上げてきた巨大な神話群、伝説体系、世界観のこと)が広がっていくことを望んでいました。私たちは彼の意思を受け継いで、その世界観の中から新しい伝説を取り出したのです。
トールキンは、物語の世界を引き継いで描くための手がかりを残しています。例えばハーフットについて彼は“容赦のない種族”だと書いています。他のホビット族に比べ、髭もなく少し肌が黒い。そして他のホビットより少しエゴイスティックです。なぜなら流浪の民として、中つ国を彷徨う種族だからで、2,000年後に定住の里を持っているホビットとは異なる文化を育んでると想像できます。そうした描写を、さまざまな場面で丁寧に拾い上げながら、ではそこではどんなキャラクターが生まれるだろうと想像しました。
――長い指輪物語の歴史から、第二紀のドラマ化を選択した理由を教えてください。
J.D.ペイン:第二紀は偉大な物語ですが、同時に映像化などの二次創作がされていません。9,000年の中つ国の歴史全てに関して、Amazonは映像化権利を獲得しましたから、どの時代の物語を描いてもよかったのです。その中で第二紀を選んだのは(全ての物語の鍵となる)力の指輪の鍛造、闇の台頭、栄華を極める振興王国の崩壊など、この後の展開に繋がっていく特別な物語があると思いました。
ただし、このドラマを楽しむために予備知識は必要ありません。関連映画を知らなくても、小説の存在を知らない人でも、新鮮な気持ちで映像を楽しんでいただければ、その人間ドラマに惹き込まれるでしょう。作品を楽しんでいるうちに、少しづつトールキンの世界に引き込まれ、より深い背景の描写を感じられるようになると思います。
――全5シーズン構成と伝えられていますが、すでに今後の展開は決めていますか?
J.D.ペイン:全ての物語を50時間で描く予定です。今はまだ、結末を自分自身で予想することを楽しんでますよ。おおよそ“こうなるだろう”という予想は持っていますが、結末はまだわかりません。
ある場面での展開が、別のストーリーに影響したり、そこに新しい発見をもたらすこともありますからね。今後の展開次第で、結末への道筋は変化していくでしょう。
――娯楽作としてこの番組を捉えた場合、映像の見どころについて教えてください。
J.D.ペイン:本当にエキサイティングなシーンが連続するので、簡単に紹介することは難しいですね。ひとつ選ぶならパイロット版(先行配信の2話分)で、ある登場人物が“特別な場所”に向かうため船に乗っているシーケンスがあります。視覚効果チームと演出チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれて、本当に特別な感動を引き出しせた映像だと思います。
2,000年前のホビット“ハーフット”とはどんな種族?
力の指輪に登場する“ハーフット”は、その祖先はお馴染みのホビットと同じだ。しかし、第三紀を描いたロード・オブ・ザ・リングにおいて、ホビットは常に平和の象徴として物語の中心に据えられていたが、ハーフットは少しばかり風貌や文化も異なるように見える。
冒険好きの少女「ノーリ」を演じるマルセラ・カヴェナー、ノーリの親友「ポピー」を演じるメーガン・リチャーズ、ノーリの継母を演じるサラ・ズワンゴバニに話を聞いた。
――ホビットとハーフットはかなり異なる種族なのでしょうか?
マルセラ:映画のホビットは、“安心できる家”を象徴していたと思います。温かい家と微笑ましい村の情景は間接的に“平和”を意味していました。これに対してハーフットは“サバイバー”なんです。種族の根源は同じですが、彼らは厳しい自然の中で生きています。常に危険と隣り合わせという中で生活を営んでいます。
メーガン:生活スタイルはかなり明確に違いますね。祖先はホビットと同じで、争いを好まない点も同じです。しかし生活環境はまるで違います。彼らは定住する場所を持たず、代わりに共同体として個々が強く結びついて生活しています。生活のための道具の全てを背負い、生活できる場所を探し移動し続けています。常にサバイバルモードなんですよ。
ですから彼らは常に周囲に目を配り、コミュニティの中で仲間が安全であるかを互いに確認しています。娯楽や笑い、愛情を交わす時間も大切にしていますが、共同体を守るための厳格な規則がある。(二つの種族は)テーマとしては似ている面もありますが、文化やコミュニティの形は全く異なっています。彼らは自然の中で生きるファイターであり、サバイバーなのです。
サラ:(皆さんが知っている)ホビットの物語の2,000年前であることを考えてみてください。ホビットの時代は村を作り、安定した生活をしていました。しかしその大昔は環境が異なります。ハーフットにとっての“現在”は、あの時代の2,000年前ですから、まるで違う環境で生き、異なる文化を生み出しているのです。
――ハーフットを演じる上で最も苦労したことは何でしょう?
メーガン:それはもう”泥”ですよ。もう毎日、泥だらけなの。
マルセラ:衣装の足の底には滑らないように、しっかりしたグリップをつけてくれているんだけど、ロケの場所はもう足元が悲惨な状況で。登山靴を履いてるスタッフも転んでしまうような中での撮影でした。
サラ:撮影では安全や医療の面もしっかりしていましたし、チーム全体で助けてくれましたから演じる上での不都合はなかったんですよ。それに泥だらけの環境は(ハーフットという)キャラクターを演じる上で重要な部分でもありました。でもやっぱり、何が大変って、泥の中での演技は本当に苦労しました。
最も繁栄した超文明を築き上げたヌーメノール人
力の指輪の描写で注目されているポイントに、ヌーメノールとそこに住むヌーメノール人の描写がある。特別な能力を持つ彼らは、中つ国と交流のない独立した島に驚くべき超文明王国を築き上げた。
そんなヌーメノールが、どのような映像として描写されるのかも楽しみだが、登場するヌーメノール人をどのように演じたのかも興味深いところ。
冥王に惑わされず人々をまとめるエレンディルを演じるロイド・オーウェン、後に大きな役割を果たすことになるエレンディルの息子・イシルドゥルを演じるマキシム・バルドリー、本作で創作された新キャラクターでエレンディルの娘・エアリエンを演じるエマ・ホルヴァスに話を聞いた。
――ヌーメノール人は初めて映像化される種族ですね。彼らはどのような人たちでしょう?
一同:人間だね。
エマ:でも普通ではない。一言で表すと“超人類”ね。賢くて、とてもスタイルもいいのだけど、でもその本質は人間なのよ。
ロイ:大昔に神から恩寵を受け、人間から派生して特別な能力をもらった種族だけど、心は基本的に人間なんだ。
マキシム:そうそう、めちゃくちゃに背が高いんだ。なにしろ7フィートもある!
ロイ:私が演じるエレンディルは7フィート11インチ(約2.4メートル)もある。登場する種族の中で一番背が高い。その上、運動能力も、知性も抜群に高い。寿命もエルフ族やドワーフ族などには遠く及ばないが、通常の人間よりはるかに長い。ヌーメノール人の祖先は、そうした能力や長寿命を過去に神から“贈り物”としてもらった。一方で本質的には人間だから、寿命が短い人間と同じように時間を濃密に使う。超文明が生まれ、栄えた理由もそこにあるんだ。
――人間ではあるけど人間とは違う。ここが物語のポイントですね。他にも違いがあるのでしょうか?
マキシム:ロイのめっちゃ低いしゃがれ声が超能力を発動させるんだよ(笑)
ロイ:冗談はさておき、詳しいことは少し待って欲しいんだ。ヌーメノール人は、物語の最初の方で新しく発見される島に住んでいる。だから先行公開される最初の2話には登場しないんだ。
島(ヌーメノール)は完全に独立した環境で発展しており、中つ国との交流もなかった。物語が進むと中つ国から来たエルフ族に出会い、そこで初めて世界の中でのヌーメノールとヌーメノール人の位置付けが見え、さらに力関係にも変化が生まれていく。その先の話の展開、心の揺れや葛藤は、まさに“人間そのもの”と言えるだろう。
――エマが演じるエアリエンは小説にはいない、新しく創造されたキャラクターですよね?
エマ:そう、新たに作られた役柄です。彼女が生まれた一族は、(トールキンの小説ファンなら)ご存知のように小説の中で、とても重要な役割を果たすことになります。彼女がまだ幼い時に母親は亡くなってしまいます。そんな環境で育った彼女は自立心が強い女性である一方、同時に家族の絆を保とうとします。
彼女には兄(マキシム演じるイシルドゥル)がいますが、性格はまるで異なります。彼女はとても賢い人で、島を統治している父親が島の外から来た人物(サウロン)に惑わされている間にも、家族の絆を深め、取り戻そうとするのです。
ロイ:製作陣は“家族とは何か”をドラマティックに描くためにエマの役を作ったのだと思います。母を失った弟と妻を失った父、その両極の真ん中でエアリエン(エマの役柄)は普遍的な結びつき、家族愛を体現します。政治の世界でも、目指す理想は同じなのに、極端な両論が論じられることがありますよね。同じことが一族の中で起きたとき、重要な役割を果します。
演技を通じて感じた“エルフ”とは?
高名で才能ある独創的エルフ鍛冶・ケレブリンボールを演じるチャールズ・エドワーズ、映画シリーズでもお馴染みでエルフ社会における若き政治的指導者エルロンドを演じるロバート・アラマヨの二人に、演技を通じてのエルフ像について話を聞いた。
――お二人とも演じているのは“エルフ”ですが、それぞれ異なるエルフ像で描かれています。どのように役作りされたのでしょう。
ロバート:私たち二人が演じたキャラクターは、“普通のエルフではない”という点が共通しています。エルロンドはハーフエルフ(人間とのハーフ)で純粋なエルフの血統ではありません。
ですから、より古い時代(第一紀)や、チャールズが演じるエルフ純血種ケレブリンボール、あるいは旅の仲間時代(第三紀)に裂け谷で出会う(エルロンド以外の)エルフ像とはかなり違って感じるはずです。
チャールズ:エルフだけではなく、この世界には多くの派生した種族がいます。エルフの姿は人型に見えますが、慣れ親しんだ人間とは少し違って見えますよね。私はその姿がとても気に入っていますが、実はトールキンはエルフがどんな姿をしているのか、具体的には書いていないんです。
でも、ロブの言う通り、私たち二人はエルフ社会の中ではアウトサイダーで、典型的なエルフではありません。ですから、特定の細かい特徴を共有しながら、それぞれに個性を出した演技をしました。
――エルフは人間のように見えますが、見た目だけではなく佇まいが少しだけ異なる。どのように役に入っていくのですか?
チャールズ:メイクアップするとき、通常は耳の形なんて変えませんよね?(笑) 鏡の前で毎朝、自分の耳の形が変わっていきます。自分自身の頭や手の形が変化していく中で、自分の気持ちが整っていきます。
大きなローブを羽織り、荘厳な雰囲気に仕上がっていくのを見ると、いつもとは違う自分になるのを感じるんだ。衣装が持つ影響は実際、想像以上に大きいものなのです。
ロバート:あとはものすごく重たい、ユニークなデザインのクローク(外套、コート)。あれはマジで重いんだ!
チャールズ:そう。めちゃくちゃに重くて、少し動いただけですごく大きな音がするんだよ。もうサイズを半分に切り落としたかった。それにすごく湿っていてね。クロークを身につけて演じていると、そこらじゅうの物を引き倒したりして大変だった。
でも、ああいった衣装を身につけると、その役柄に合った行動に切り替わるんですよ。私はベテランですから、過去の経験も大いに生きたと思います。
ロバート:全く同感です。Cat Hallと呼ばれてる素晴らしい衣装デザイナーがいるんだ。彼女がデザインした衣装はレジェンダリウム(トールキンが長年作り上げてきた巨大な神話群、伝説体系、世界観のこと)を、全ての衣装に流し込んだようにピッタリとイメージを引き出している。それを私たち俳優も感じるから、みんなが自分のユニークなコスチュームに合った役作りをすることに情熱を注いでいたよ。
――撮影で一番大変だったことは何ですか?
ロバート:一番大変だったのは、背の高さが種族ごとに大きく異なることかな。共演相手の背が高く見えるようにしたり、小さく見えるようにしたり(2.4メートルのヌーメノール人から1メートルあまりのハーフットまで)、場面に応じて演じ分けなければならない。
でもこの表現をするスタッフは、困難な演技をサポートするために、本当にいい仕事をしてくれました。ハシゴの上に登ったり、位置関係を考えたり、ゲームを一緒にこなすように、種族間のスケールの違いを表現しました。おかげで、“テニスボールと話す”ように演じるような、不自然な状況で演じることはしなくて済みました(笑)
チャールズ:この作品があまりに壮大だったため、撮影の初日は“こりゃ大変だ”と感じましたから緊張していましたね。でも私の出演シーンは撮影終盤に撮影されたから、すでに作品の世界観が(撮影現場に)生まれていました。それに、先に撮影をしていたロブ(ロバート)が助けてくれたおかげで、うまく入り込んでいくことができましたよ。
新キャラクター・ブロンウィンとテオはどんな母子?
中つ国で辺境の街に住む人間の母子、ブロンウィンとテオは、オリジナルの小説には登場しない完全な新キャラクターだ。物語を紡ぐために用意された全く新しい登場人物は、果たしてどのような役割を果たすのだろう。
癒し手で未亡人、そしてあるエルフ戦士を愛するブロンウィンを演じるナザニン・ボニアディ、その息子で鍵となりそうな壊れた剣を発見するテオを演じるタイロー・ムハフィディンの二人にその役割について尋ねた。
――ナザニンとタイローは、それぞれ新しく創造されたブロンウィンとテオの母子を演じたのですね。この二人はどのような役割を果たすのでしょう?
タイロー:僕らが登場するサウスランドという街は、もがき、苦しんでいる人たちが集まる辺境の地です。僕の解釈では、視聴者がサウスランドに住む人たちに同情を寄せつつ、自分達の境遇とも照らし合わせながら、彼らの感情に共感できるよう物語が進んでいきます。
ナザニン:二人の祖先はある時、善よりも悪の方を選んでしまった人間でした。しかし、彼ら自身は自分自身を取り戻し、過去の過ちという足かせを乗り越え、為すべきことを為したいと考えています。この二人を通じて、現代に住むドラマ視聴者が物語の世界に繋がりを感じることができると思います。
――ロード・オブ・ザ・リングをはじめ、トールキン作品には世界中に多くのファンがいます。多くのファンが注目する中で、新しいキャラクターを演じることにプレッシャーはありましたか?
ナザニン:その通り、私たちは本には登場しないキャラクターですが、そうした役を演じられたのは私にとっては良いチャンスでした。新鮮なキャラクターを創造することができるからです。自分たちのアイデアや想いを誰の先入観もなく込め、命を吹き込むことができます。その上、彼らは中つ国に根ざして生きてる人間です。特別ではない、でも中つ国の中で必死で生きる人なのです。
タイロー:二人のキャラクターは、トールキンの世界が持つテーマ、アイディアを元に作られたものですが、すでに知られているストーリーに新鮮さをもたらしてくれます。わたしたち二人のキャラクターは、完全に“トールキンの物語をよく知るファン”が、より深く物語を楽しむために作られました。
――キャスティングの連絡を受けた時のことを話していただけますか?
ナザニン:それはもう興奮しましたよ。この役を得るために、たくさんの長い時間をかけたオーディションがありました。でも合格の連絡を受けて、ニュージーランドでの数カ月にわたって滞在することになり、さらに全く新しいキャラクターを創造するというニュースを聞いて、さらにとても、とてもやりがいを感じました。
タイロー:同じく興奮しました。こんな嬉しいことがあるのかと、フワフワとした気持ちになりましたね。
――タイローはまだ19歳ですが、第三紀を描いた映画シリーズや本は知っていましたか?
タイロー:はい、知っていました。でも私は映画の公開よりも後に生まれたんです。前作の映画を見る機会はなかったのですが、役が決まってから全ての作品を見ています。
――日本にもたくさんのロード・オブ・ザ・リングファンがいます。きっと二人は人気者になりますね。日本には行ったことがありますか?
タイロー:いや、一度もないんだ。でも、“やりたいことリスト”には入っているんだ。だからこの先、ぜひ行ってみたいな。
ナザニン:私もよ。私は本当に日本には行きたいと思ってるの。
インタビューした皆さんからのメッセージ
J.D.ペイン:ぜひとも「力の指輪」をご覧になってください。私だけでなく何十人ものスタッフが心を込めて作り出したものです。私たちの魂の最も深いところある“想い”が込められた作品です。その想いが皆さんの心に響き、楽しんでいただけることを願っています。
メーガン:皆さんに観てもらえる時が待ち遠しいです。これまでは秘密でしたからね。やっと皆さんにこの気持ちを共有できて興奮しています。
サラ:みんなに楽しんでもらえるといいね。
マルセラ:そうね!
ロバート:まずは番組を見ていただければ幸いです。その上で多くの人がこの作品に入り込み、楽しんでくれたら素晴らしいですね。このストーリーは、トールキンが作り上げた世界が染み込んでいますが、オリジナルで創作された部分も多く、また映画シリーズから引き継いだ要素もあります。
チャールズ:まさに。(同じ世界を描いた)素晴らしい映画シリーズから引き継いだ世界観を大切に表現しています、私も全く同じことを感じました。今回の番組を通じて、世界中でトールキンの作品を読み直したり、過去の映画シリーズを話題にしたりする人が増えることを願っています。
タイロー:まずは、この世界に飛び込んできてください。この番組に没入してもらえれば、きっと特別な時間を過ごせると思います。
ナザニン:“ハロー”って日本語でなんていうの? コンニチハ? “サンキュー”は何? アリガトウ? ファンの皆さんのサポートは、私たちにとって大きな支えです。まだ知られていない二人が、どんな役割を果たすのか。ぜひ番組を楽しんでください。もう長い間、日本に行きたいと思っているんです。日本に訪問する機会が訪れることを願っています。