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「であいもん」「高木さん」をハイレゾで堪能! 4月期アニソン注目はコレ

まだまだ気は抜けないけれど、出かける事もできるようになった今日この頃。筆者は、長いこと控えていた“聖地巡り”の欲求がムクムクと湧き上がってきている。今回紹介する作品では、小豆島、京都、そして高尾山が登場する。今までは、素敵な風景がアニメで描かれていても、行ってみたい欲求を殺して堪えていたが、そろそろ動いてもいいかもしれない。

個人的には、実写よりもアニメの方が「聖地に行ってみたい」欲求は刺激される。移動中は、ハイレゾ音源でアニソンや劇伴を楽しむのもオツだろう。

本企画は、音楽的にも音質的にも注目のアニソンを紹介するもの。さっそく、今期の注目ソングをみていこう。

「恋は世界征服のあとで」OP主題歌「恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)」 (48kHz/24bit)

オーイシマサヨシ - 恋はエクスプロージョン (feat.田村ゆかり)[Official Video]

月刊少年マガジン連載中のコミックスが原作のTVアニメーション。戦隊モノの世界観を使って、主に舞台裏をメインに物語が展開していくラブコメディ。戦隊モノは、幼少期も含めてあまりガッツリ履修してこなかったのだが、この作品は普通に純愛ストーリーとして楽しめた。とにかく不動とデス美が純粋(ピュア)なのだ。あまりにデス美が可愛すぎて、秘密結社ゲッコーなんて辞めて、早く不動と大っぴらに幸せになって欲しいと願ってしまう。

とはいえ、本作が面白いのは、2人の立場が決して好意的に交わってはいけない関係性ゆえ。極端な話、「世界征服」ではなく「結社壊滅」のあとで2人はゴールインでもいいかもしれない。

OP主題歌は、オーイシマサヨシと、自身も究極怪人として出演している声優の田村ゆかりによる超豪華デュエット。どっかーん!!な感情が炸裂するご機嫌なナンバーだ。作詞、作編曲はもちろん大石昌良。ハイレゾ版を聴いた。

聴き所は、2人のボーカルであることはいうまでもないが、煌びやかなブラスサウンドにも注目だ。突き抜けるような高音の立ち上がりはノリとキレを高め、音の粒は明瞭にサウンドステージに映えている。大サビ前のサックスソロは、生演奏ならではのめまぐるしいニュアンスの変化をハイレゾなら余すところなく味わえるだろう。全体的なドラムの存在感や、重低音のリズムが効いている2番のAパートなどは、低音の出るスピーカーで聴くと興奮度も倍増だ。

恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)
(P)2022 PONYCANON INC.
  • Amazon music HD:ハイレゾ配信(単曲配信のみ)
  • Apple Music:CD音質配信

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「劇場版 からかい上手の高木さん」挿入歌「ハマボウの花」(96kHz/24bit)

ハマボウの花

説明不要の超ムズキュン中学生ラブコメディ、待望の銀幕へ。いや、まさかの映画化というべきか。

いくつもの短い物語を組み合わせた構成の本編(TVアニメ版)に慣れていた筆者は、どうやってこの作品を劇場映画にするのだろうと気になっていた。原作者山本崇一朗先生監修のオリジナルストーリーということで、ファンの誰も知らない中学最後の夏が鮮烈に描かれた劇場映画となった。

まだ上映中のためネタバレは避けるが、どうしてだろう。理由がまったく分からないところで何度も泣いていた。歳を重ねると、泣き所が変わるとはどうやら本当らしい。今回紹介する大原ゆい子による挿入歌が流れるシーンは、特別泣ける場面ではないと思うのだが、おじさんはポロポロと泣いていたのであった。

ハマボウの花は、シンガーソングライターの大原が作詞作曲を手掛け、彼女の挿入歌ではお馴染みのMANYO氏が編曲を手掛けた。筆者は、同人音楽やPCゲームをメインで活動していた頃からMANYO氏の楽曲やアレンジが気に入っている。トラディショナルや民族調の楽曲は、同氏の得意ジャンル。どんな作品であっても、独特のメロディが心を震わせる。本楽曲では、どことなく南国の雰囲気を感じさせるアレンジだ。

96kHzで制作されたため、音の密度感は高く、空気感もしっかりと受け取れた。アコーディオンのふくよかな音色と広がりは特に聴き所。生楽器の音は、音像に奥行きがあってハッとさせられる。左右のどちら側という定位に関する情報以外に、楽器の音像そのものにディテールが見えるのだ。ヘッドフォンでもその感覚はなくはないが、スピーカーで聴いてみるとより分かり易く感動できるだろう。

やや音圧は高めで、奥行きが浅めに感じられるのは惜しい。楽器音やボーカルの純粋な情報量はハイレゾのそれだから、じっくり何度も聴き込むのが楽しみ方か。

大原ゆい子/ハマボウの花
2022 TOHO CO.,LTD 2022 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん3製作委員会 / 2022 山本崇一朗・小学館/劇場版からかい上手の高木さん製作委員会
  • Amazon music HD:ハイレゾ配信
  • Apple Music:CD音質配信

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「であいもん」OP主題歌「菫」(48kHz/24bit)

坂本真綾「菫」Music Video(Short Ver.)

浅野りんによるヤングエースにて連載中のコミックスのテレビアニメ化。京都を舞台に、東京でバンド活動をしていた放蕩息子の主人公和と、わけあって親と離れて和の実家である和菓子屋に居候する少女一果との心温まる絆の物語。

和はのほほんとしていて、ノリと勢いで生きているような青年だが、無自覚にモテまくるちょっとけしからん主人公だ。一果は小学生とあって、30歳近い和との間にロマンス展開はないものの、一番強い絆で結ばれていくような気がする。友達でもない、家族でもない、恋人でもない、かといって心強い職場の同僚という感じでもない。一果にとっての和は親やお兄さん代わりではない気がするけれど、悪態をつきながらも真に相手を理解し、信頼し合えるような関係が熟していく様は、何度も観ていてじわ~っと来るものがあった。

アニメ版では、一果の父との再会はまだ果たされておらず、今後の連載分の映像化も期待したい。

OP主題歌は、本作の静かであたたかい雰囲気にぴったりなバラード調の楽曲。坂本真綾が歌唱と作詞を担当する。作曲はくるりのボーカリスト/ギタリストの岸本繁。

しっとりしたオープニングは、最初は音数少なめで始まって、ストリングスやピアノなど楽器も増えていく2番以降はオケも厚くなってドラマチックになっていく。ダイナミクスの幅は広く、前後感や楽曲の盛り上がりを確かに表現している。特に終盤、ストリングスとピアノが幾重にも重なる盛り上がりはカタルシスがあった。

穏やかなバラードであるが、オルガンやシンセの音も結構いっぱい鳴っていて、見つけ出すのは楽しいかも。ボーカルの生々しさ、特に坂本のような空気系の優しいボーカルはよりリアルに味わいたいではないか。それこそ吐息まで。まさにハイレゾ版の出番といえよう。生ピアノのような音の消え側までグラデーションが重要な楽器は、24bitでより繊細な変化まで堪能して欲しい。

坂本真綾 菫/言葉にできない
(P)FlyingDog, Inc.
  • Amazon music HD:CD音質配信
  • Apple Music:CD音質配信

【moraで購入】

【e-onkyo musicで購入】

毎クールお送りしているアニソンを音質の面からレビューする本企画。オーディオ的側面からハイレゾ音源(スタジオマスター)の魅力をお伝えするべく続けている訳だが、結構ミックス・マスタリングによる音の違いを述べているケースも多い。結局は、ハイレゾだのフォーマットだのと言っても、ミックスやマスタリング次第で大きく満足感は変わってしまうし、CDだってそこが良ければもっと”聴ける“作品があるのに……という思う方の意見も分かる。

それでも筆者が懲りずにスタジオマスターを聴いて欲しいと推し続けるのは、そこにアーティストやエンジニアのベストが詰まっているからだ。特に録音の最中は、ハイレゾでモニターしているし、チェックもハイレゾで聴かれている。表現をしている方々が聴いている音。そこに近づけることそのものが魅力ではないだろうか。

ぜひ、読者の方も、お気に入りのアーティストの楽曲はサブスクでもダウンロードでも、ハイレゾで聴いてみてほしい。新たな世界が開けるはずだ。

【使用機材】

  • NAS/ネットワークトランスポート「Soundgenic RAHF-S1」SSD 1TB(アイ・オー・データ機器)
  • USB-DAC「NEO iDSD」(iFi audio)
  • プリメインアンプ「L-505uXII」(ラックスマン)
  • スピーカー「RUBICON2」(DALI)
  • ポータブルプレーヤー「PLENUE R2」(COWON)/HPH-MT8(YAMAHA)/IE 400PRO(ゼンハイザー)
橋爪 徹

オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。Webラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。Beagle Kick公式サイト