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「その癒しのひと時を……」日常系アニメの名作『ARIA』

「ARIA The AVVENIRE」
(C)2015 天野こずえ/マッグガーデン・ARIA カンパニー
(C)2015 Kozue Amano/MAG Garden・ARIAcompany All Rights Reserved

前略——

1年もあっという間で、今年もあとちょっとですね。皆様はどうお過ごしでしょうか。一段落ついて少しゆっくり...という方もいれば、ラストスパートだ! 頑張ろう! という方もいることでしょう。筆者はというと、後者になりますね。年末年始もお仕事の方は一緒に頑張りましょう。

さて、そんな1年間を頑張った皆様に、ご褒美とそして、来年に向けてまた頑張れるように身体と心をリラックスさせる”癒しのプラン”、ネオ・ヴェネツィアの旅をご提案させていただきます。キラキラ輝く日常と”好き”と”素敵”をお届けできればと。

基本情報とあらすじ

原作の「ARIA」完全版コミックス

天野こずえ原作の『ARIA』は2001年から2008年に連載され、2005年にアニメ化。第1期「ARIA The ANIMATION」、第2期「ARIA The NATURAL」、「ARIA The OVA ~ARIETTA~」、第3期「ARIA The ORIGINATION」と続きます。また、映画3部作として「ARIA The AVVENIRE」、「ARIA The CREPUSCOLO」、「ARIA The BENEDIZIONE」が公開されました。

長く愛されている作品なだけあってタイトルの数も多く、どこから観ればよいかと悩む方もいらっしゃることでしょう。物語の季節や時間の流れはありますが原作同様に1話完結形式で描かれており、基本はご紹介した順番で観ることをお勧めしますが、どのシリーズから観ても楽しめるものになっているので気になったお話から、でも問題ありません。これからご紹介する筆者おすすめポイントから観ていただいても楽しめると思います。

2024年12月現在、U-NEXT、DMM TV、dアニメストアでは映画3作を含むシリーズすべてが配信されているほか、Huluなどでも視聴できます。

物語の舞台はテラフォーミングされ、水の惑星アクアと呼ばれるようになった未来の火星。このアクアに地球のイタリアの都市である水の都ヴェネツィアを再現してつくられた観光都市"ネオ・ヴェネツィア"。そこでは水先案内人「ウンディーネ」と呼ばれるゴンドラ漕ぎによる観光案内業があり、ウンディーネに憧れ、地球から主人公:水無灯里(みずなしあかり)が小さなゴンドラ観光会社のARIAカンパニーへとやってきます。

灯里と同じく一人前のウンディーネを目指す藍華やアリスといった友人たち、そしてネオ・ヴェネツィアで出会う人々や日常を通して成長していくというストーリーになっています。

何度も観たくなるARIAの魅力

映画3部作の1作目「ARIA The AVVENIRE」の週替わり来場者特典の色紙

『ARIA』の魅力は数ありますが、ひとつはネオ・ヴェネツィアで出会う暖かく優しい人たち、セリフの一つ一つにネオ・ヴェネツィアへの愛や暖かい感情が溢れています。そして、ネオ・ヴェネツィアの風景の所々に近未来ファンタジーでありながらも現代風景の描写があったりと、ノスタルジックな気持ちにさせられます。この懐かしさや安心感にも似た何とも不思議な感覚はARIA独自のものでしょうね。何度も観たくなる魅力があります。

モデルになった実際のヴェネツィアにもあるのですが、細く入り組んだ路地や運河、迷路のような街並み。ふと現れる隠れ家のような雰囲気のお店、町全体が漂わせるミステリアスな雰囲気も作中で余すことなく表現されており、よりこの作品を魅力的にする要素の1つですね。

また、物語を彩る音楽も大変すばらしいものになっています。キャラクターの心情やネオ・ヴェネツィアに流れる時間を感じれる楽曲の数々はどこか郷愁を感じる暖かさがあります。

そして、どのシリーズのOPもゴンドラに揺られ、水面を進むようなゆったりとした入りはスーッと自然に『ARIA』の世界に誘ってくれます。まるで現実に流れる時間をネオ・ヴェネツィアの時間にチューニングしてもらってるみたいです。

EDも筆者はとても好きで、包まれるような充実感ともうちょっと観ていたいと思う寂しさが少し。次が観たくなっちゃいます。なんだか、子供の頃の友達と遊んだ”帰り道”で感じたあの感覚に似ているんですよね。充実感と寂しさと待ち遠しさが混じった何とも言えない感じ。

灯里の純粋さが『ARIA』の世界をより色鮮やかに

そんな魅力溢れているこの作品ですが、筆者は灯里視点で描かれるエピソードが好きで、聞いている側がちょっと恥ずかしくなるようなセリフがとびだすこともありますが、灯里の純粋さや誰よりも”素敵”を見つけることが上手な彼女の感性がこの『ARIA』の世界をより色鮮やかに輝かせてくれるんですよね。そして、そんな灯里を通して周りの人物たちが日常に溢れる”素敵”を感じているのも尊いんですよねぇ~(しみじみ)

とくに第1期11話「その オレンジの日々を…」、第2期11話「その 大切な輝きに…」彼女の素敵な感性が垣間見えるお話で筆者のお気に入りです。また、第3期9話「その オレンジの風につつまれて…」は心に残るお話で、まさにでっかい感動ものです! 映画はアリスや藍華に焦点を当てたお話になっていますので、そちらも併せておすすめです! ARIAのお話はどれも込み上げてくるものが多くて……涙もろくなっちゃいますね。

さて、あまりヒートアップしすぎると止まりませんね。それに筆者のARIA愛をお伝えするには時間も何も足りなさそうです。

皆様も是非この機会に今冬、ネオ・ヴェネツィアを訪れてみては? きっとたくさんの素敵に出会えることでしょう。長く愛され、魅力的なこの『ARIA』の世界をひとりでも多くの方に楽しんでいただければ幸いです。

それでは皆様、「素敵なひと時をご一緒しましょう。」

小山葵

“こわさび”と呼ばれている、関東の隅っこに生息する兼業イラストレーター。ひょんなことからライター業も始めたが普段は飲食店勤務。最近の趣味は10年ぶりくらいに再熱した某カードゲーム。