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「シラート」凄みのある音響を劇場で浴びろ! “マッドマックス超え”も囁かれる予測不能な怪物映画

(C)2025 LOS DESERTORES FILMS, A.I.E., TELEFÓNICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.,FILMES DA ERMIDA, S.L., EL DESEO DA, S.L.U., URI FILMS, S.L.,4A4

近年、配信サービスの普及によって自宅での映画鑑賞環境は劇的に進化したが、それでもなお「これは絶対に、映画館の大画面と大音響で浴びなければならない」と確信させる、“怪物”のような映画が時折現れる。

6月5日から日本公開がスタートしたスペイン・フランス合作映画「シラート(原題:Sirāt)」は、まさにそんな、映画館という空間で観るために生まれた一作と言えよう。配給はトランスフォーマー。

映画「SIRAT シラート」公式サイト

巨匠ペドロ・アルモドバルがプロデューサーとして名を連ね、スペイン出身のオリベル・ラシェ監督が描き出した本作は、予測不能な展開にまみれた砂漠ロードムービー・サスペンス。ダイナミックで奇想天外なストーリーと、クールなダンスミュージックの融合によって、我々の中にある“映画的興奮”をこれでもかと刺激してくる。

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すでに海外の映画賞レースを爆走しており、カンヌ国際映画祭で4冠を獲得、スペインのアカデミー賞であるゴヤ賞で最多受賞の6冠を達成。さらに米アカデミー賞で、「史上初の女性のみの音響チームによる音響賞ノミネート」を成し遂げたことでも話題だ。

「ピンク・フラミンゴ」のジョン・ウォーターズ監督が「『マッドマックス』よ、どけ。『恐怖の報酬』よ、急げ。」と語り、ゲームクリエイター・小島秀夫氏が「2025年のベスト1。“グルーブな恐怖の報酬MADMAX”」と大絶賛を寄せる本作の見どころを、以下より、ネタバレなしで紹介する。

予測不能×衝撃の映画体験『シラート』 本予告6.5(金)全国公開‼

「知る前に、進め」ステレオタイプを裏切る予測不能なモロッコの砂漠

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本作の日本版キャッチコピーは、「知る前に、進め」。この言葉こそが、映画「シラート」の魅力を最も端的に表している。

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舞台はモロッコの荒涼とした砂漠。失踪した娘を捜すため、父親と幼い息子が過酷な土地へと足を踏み入れるところから物語は始まる。これだけ聞くと、重厚な人間ドラマや、よくある誘拐サスペンスを想像するかもしれない。しかし、本作はそうした観客の「ステレオタイプな予想」をことごとく裏切っていく。

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物語の幕開けとともに映し出されるのは、砂漠のド真ん中で開催されている、狂気的な「レイブパーティ」だ。砂の上にセッティングされた巨大な業務用PAスピーカーから、大音量で鳴り響くクールなダンスミュージックと、トランス状態に陥りステップを刻み続けるレイバーの群れ。そんな異様な空間に、どこからどう見ても場違いな父親と息子が紛れ込むところからストーリーは始まる。

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そして映画は、奇想天外な砂漠のロードムービーへと変貌を遂げていく。親子はなぜこの旅を続けなければならないのか、どこへ向かっているのか。観客は五感を揺さぶられながら、彼らと共に予測不能の荒野を突き進むことになる。

その展開は、単に「観る」というより、強烈なグルーブ感に身を委ねて「進む」ような、圧倒的な映画体験をもたらしてくれる。

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音響がスゴい。映画館で聴くべきサウンドデザイン

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そして、AV Watch目線で無視できないのが、Dolby Atmosの空間表現を活かした本作の「音響の凄み」だ。カンヌでサウンドトラック賞を獲得し、オスカーの音響賞にノミネートされたそのサウンドは、単に「リアルな音がする」とか「爆音が響く」といっただけではない。

むしろ本作において、音は主役のひとつ。冒頭20分にも及ぶレイブシーンでは、映画館のシネマスピーカーの限界ギリギリまで攻めた重低音が響き渡る。観客は一瞬にして、レイブパーティの真ん中に放り込まれ、自分もレイバーのひとりになったかのような錯覚に陥る。

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そして、その後に訪れる「音の設計の変化」がまたスゴい。賑やかなコミュニティを抜けた後、映画は一転して、登場人物の内面への旅へとシフトしていく。不安を煽るように、あえて低音成分が残された砂漠を吹き抜ける風の音など、緻密に変調された環境音が、登場人物の孤独や張り詰めた心理をじわじわ伝えてくる。

爆音の狂気から、内面に潜り込んでいくサウンドへ。そのコントラストが生み出す本質的なイマーシブ感に、本作の音に対する本気度を感じる人は多いだろう。

映画ファン歓喜の劇場体験

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本作のタイトルである「シラート」とは、アラビア語で「道」を意味し、宗教的には審判の日に天国と地獄の上に架けられる 「細い橋」を象徴するとされる。これは日本人にとってあまり馴染みのない情報だ。しかし、そういった背景情報を知らずとも、本作の鑑賞後には「なんかスゴいものを観てしまった」と理屈を凌駕して感覚が訴えてくる。

説明的なセリフがそこまで多くはない映画ゆえに、スクリーンから溢れる映像と身体に染み込んでくる音響のレイヤーが、観客の脳内に圧倒的なイマジネーションを生むからだろう。

ハリウッド的なメインストリームの文脈とも違うし、かといって難解さに飲み込まれるアートシネマとも違う。映画という表現が持つ純粋なダイナミズムを、最新の音響・映像技術で限界まで研ぎ澄ましたような作品だ。

事前情報は必要ない。スマートフォンをポケットにしまい、映画館のシートに深く腰掛け、暗闇の中でただ「知る前に、進む」だけで良い。映画ファン歓喜の劇場体験がそこにある。

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杉浦みな子

オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀……と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハーです。 執筆履歴はhttps://sugiuraminako.edire.co/から。