日沼諭史の体当たりばったり!
第21回
「お風呂Google Home」へのけもの道。デノン「DSB250BT」とのBT連携にトライ
2018年5月18日 00:00
2018年3月に、Google HomeがBluetoothスピーカーへのサウンド出力に対応したのを覚えているだろうか。ストリーミングオーディオコンテンツの出力に対応しただけで、音声アシスタントの呼び出しは変わらずGoogle Home本体にしゃべりかける必要があるし、その応答音声もGoogle Home本体の内蔵スピーカーになってしまう。けれども、特にGoogle Home Miniのユーザーにとっては手軽にサウンドを高音質化できるということで注目された。
しかし筆者は、もっと違った方向でこの機能が役に立ちそうに思えた。具体的には、お風呂での情報収集やラジオ聴取、音楽鑑賞がもっと快適になる「お風呂Google Home」を実現できるのではないか、という点で。もし防水(高湿度環境)対応のBluetoothスピーカーが1つでもあれば、今すぐにでもそんな素敵生活が送れるはずだ。すでに手元にあるなら、それを流用してもいい。
筆者は違うのだが、みなさんのなかには、防水・防じん対応のBluetoothスピーカーをアウトドア用に買ってみたけれど、よく考えたら自分はインドア派で、いまいち使う機会が少なくて持て余している、なんて人はいないだろうか(決して筆者のことではない)。家電量販店に行くとあれだけバリエーション豊かなBluetoothスピーカーが売られているのに、筆者は外で使っている人を一度も見かけたことがないのだ。みんなアウトドア用Bluetoothスピーカーを何に使っているんだろう? それともキャンプ場に行けば各テントに1つずつBluetoothスピーカーがあったりするのだろうか。
それはともかく、そんなBluetoothスピーカーがあれば、Google Homeとペアリングすることで、お風呂に浸かって身体を癒やしながらGoogle Homeに命令しつつラジオや音楽を楽しめるはずなのだ。ステレオスピーカーならさらにリッチなオーディオ空間になるに違いない。でもGoogle Homeを浴室に入れないと命令できないんじゃ? なんて思ったあなた、鋭いですね。
たしかにGoogle Homeは防水非対応なので浴室には持ち込めない。外に置くと命令もできない(声が届きにくい)だろう。ところが、その問題を解決できそうなBluetoothスピーカーが登場した。デノンの「DSB250BT」である。
音声アシスタントに対応。2台あればステレオ化も
DSB250BTは、デノンが「Envaya」というシリーズ名で展開しているBluetoothスピーカーの最新、最上位モデル。IP67準拠の防水・防じん性能をもち、オーディオコーデックは低遅延のaptX Low Latencyなどに対応。内蔵バッテリで最長13時間動作し、同一機種を2台用意することでステレオスピーカー化が可能な「Envaya Link」という機能ももつ。実売価格は22,000円前後。
このシリーズにはバッテリ容量や筐体サイズ、出力の異なる「DSB150BT」や「DSB50BT」というモデルも用意されているが、基本機能はほぼ同じだ。
そしてこのDSB250BTにおいて筆者が注目した機能が、iOSのSiriとAndroid OSのGoogle Now(Google アシスタント)に対応していること。これは、DSB250BTがスマートスピーカーの機能を内蔵している、という意味ではない。iOS端末(iPhone、iPad)や、Google アシスタントを利用可能なスマートフォンと連携することで、DSB250BTを通じて端末の音声アシスタント機能を利用できるというものだ。
手順は、側面中央にあるボタンでDSB250BTの電源を入れ、Bluetoothマークの「ペアリングボタン」を長押しし、スマートフォンとBluetooth接続する。その後受話器マークの「コールボタン」を長押しするだけ。スピーカーに向かって話しかければ、スマートフォン上の音声アシスタント機能で処理され、その応答内容やサウンドをDSB250BTで再生する。
例えばDSB250BTを浴室内に、スマートフォンを浴室外のBluetooth電波が届く範囲内に置いておけば、この機能を活用して、明日の天気を聞いたり、ニュースを読み上げてもらったり、ラジオ(radiko.jp)を受信したり、音楽を流したり……といった楽しみ方ができるわけだ。aptX Low Latency対応のスマートフォンと接続した状態ならほぼ遅延ゼロなので、お風呂対応スマートフォンやタブレットとともに動画鑑賞するのもアリだろう。
それでもって、DSB250BTをもし2台用意できれば、Envaya Linkでステレオ化して、本格的なオーディオ鑑賞も可能になる。こちらの手順は、いったんどちらかのDSB250BTとBluetooth接続してから、もう一方のDSB250BTの電源をオン。さらに2台のDSB250BTのペアリングボタンを同時に6秒間押し続けると、ガイド音声が流れてステレオ化が完了する。このとき、必ずデフォルトで最大ボリュームになるのでちょっとビビる、というか、かなり驚く。夜中だと近所迷惑になりそうなレベルなのでなんとかしてほしいところだが……。ちなみに、最初にBluetooth接続した方がLチャンネルだ。
これにより、2台のDSB250BTでラジオも音楽もステレオで聞けるようになる。1台のDSB250BTでもそこそこ分厚い低音と伸びやかな高音を再現してくれたが、2台になるとすっきりとした音場が広がり、もはや1台の環境には戻れなくなるほど。まずは試しにリビングで再生してみたところ、普段使用しているブックシェルフ型のスピーカーに負けず劣らずの音圧で聞かせてくれる。
これをお風呂に持って行くと、なんというか、超豪華なプライベート音響空間に早変わりだ。夜遅くに帰宅し、疲れを癒やすため湯船に浸かりながらのステレオミュージック鑑賞は、とってもぜいたくな時間。入浴剤を入れていい香りを漂わせると、新築時に予算を抑えるため最低限の装備に抑えたTOTOの浴室でも、目をつぶれば、2段階くらいグレードアップしたんじゃないかと思わなくもない。そして目を閉じたまま風呂を出れば、最初から最後までリッチないい湯だった、と思い込める。現実は、子供たちのおもちゃが散乱した風情も何もない浴室なんですけどね。
スマートフォンとの連携はOKだが、Google Home連携には困難が!?
Envaya Linkでステレオ化した状態でも、DSB250BTのコールボタンを押せば音声アシスタントにつながり、スピーカーに話しかけて命令できる。2台のうちどちらのボタンでもOKで、応答音声はボタンを押した方のDSB250BTから流れる。わりと堅めのボタンをぐっと押す、という操作は必要になるけれど、別の曲を聞きたくなったときにいちいち風呂から出てスマートフォンを操作する、みたいな手間はないので、それなりに快適だ。
ただ1つだけ問題があって、ステレオ化するとサウンド再生に多少の遅延が発生してしまう。ゼロコンマ数秒程度の遅れがあるので、ステレオ化時は動画視聴には向かず、メイン用途はそれ以外の情報収集、ラジオ・音楽鑑賞ということになるだろう。
まあそれでも、お風呂でリッチなサウンドを楽しめるのは素晴らしいことだ。しかしである。今回はあくまでも「お風呂Google Home」を実現するのが目標なのである。DSB250BTとスマートフォンの音声アシスタント機能とを連携させた使い方は、簡単だし、言ってみれば「フツーに便利な使い方」だ。これを「お風呂Google Home」に昇華しなければいけない。
というわけで、シンプルにGoogle HomeとDSB250BTをペアリングしてみたのだが、ストリーミングコンテンツの再生は問題なくできても、残念ながらDSB250BTのボタンから音声アシスタントを呼び出すことはできなかった。やはりGoogle HomeとBluetoothスピーカーを接続するときの本来の仕様通り、Google Homeに直接話しかけないといけないようだ。
Google Homeを浴室のそばに置いておく、という手もあるが、スマートフォンならともかく、Google Homeは筆者宅ではキッチン周りで使うことが多く、入浴のたびにGoogle Homeを移動するのはめんどくさい。もう1台Google HomeやMiniを買い足す手段も考えられるが、それをやってしまうと一体なんのための企画なのかわからない。本末転倒である。1台のGoogle HomeとBluetoothスピーカーではやはり「お風呂Google Home」は不可能なのだろうか……。
離れたところにあるGoogle Homeに話しかけるには?
この問題をどうしても解決したかった筆者は、まず、離れたところにあるGoogle Homeに自分の声をどうやって届けるか、ということを考えてみた。浴室は1階。Google Homeの置いてあるキッチンは2階。大声で呼びかけるのは当然ながらナンセンスである。子供たちがぐっすり眠っている夜中に、「ねえGoogle! Play MusicでRADWIMPSのスパークルを再生して!」などと絶叫しようものなら、妻に張り倒されること請け合いだ。代わりに筆者の頭がスパークルしてしまうだろう。そこまでやったところで正確にGoogle Homeに声が届くかも怪しい。
そこで考えたのが、誰かに代わりに命令してもらう方法だ。Google Homeの前に人を立たせて……というのではなく、Google Homeの近くに声を出してくれる何かを置けばいい。要するにBluetoothスピーカーである。目の前にあるこのDSB250BTを、Google Homeの前に置いて、ペアリングしたスマートフォンからあらかじめ録音した音声ファイルを再生してはどうか。
いや、そんなまどろっこしいことをする必要はない。Google Playを探すと「Hearing aid, Microphone」なるアプリを見つけることができた。これは、スマートフォンに話しかけると、その声をBluetoothスピーカーから出力してくれるツールだ。いわば拡声器みたいな役割を果たしてくれるものである。
DSB250BTをGoogle Homeの近くに設置し、ペアリングして、スマートフォンからこのアプリを通じて「ねえGoogle」と話しかけると、問題なくGoogle Homeが反応してくれる。距離的にも浴室から2階のDSB250BTまで、Bluetooth接続が途切れることはない。自由自在に浴室からキッチンのGoogle Homeに命令し、浴室のステレオ化した2台のDSB250BTで、大変リッチなサウンドを満喫できる。「お風呂Google Home(スマホ併用)」、とりあえず成功である。
結局スマートフォンを使うのか、というツッコミはあるだろうし、だったら素直にスマートフォンの音声アシスタント機能を直接使えばいいんじゃ、とか、防水対応のスマートスピーカーを使えば、とかいう指摘もあろうかとは思うが、今あるGoogle Homeをお風呂から使う、ひいては「自宅のどこでもGoogle Homeを使えるようにする」というのは筆者のロマンだったのである。許してほしい……。
工夫次第でさほどコストをかけずに「お風呂Google Home」が完成
Google Homeに命令する用のDSB250BTが必要になるということは、浴室でステレオミュージック鑑賞するためにはDSB250BTが合計3台必要になるということ。つまり、「お風呂Google Home(スマホ併用)」の実現には、3台のBluetoothスピーカー(少なくともうち2台は防水対応)とスマートフォン、Google Homeを1台用意しなければいけないわけだ。
これはなかなか大変な投資かもしれない、と思うかもしれないが、Google HomeはMiniでもいいし、その前に設置するBluetoothスピーカーはとりあえず音が出る安価なものでいい。浴室に置くBluetoothスピーカーだけ音質的に満足できる製品をチョイスすればOKだ。ステレオ化までは必要ないというのであれば浴室も1台だけにするとか、よりリーズナブルなDSB150BTやDSB50BTを選ぶのもアリだろう。やり方によってはそれほどお金をかけなくても「お風呂Google Home」を実現できるはずだ。
ちなみにEnvayaシリーズはどれもバッテリで10時間以上動作する。毎日1時間お風呂で過ごすとしても10日間はもつので、充電のために頻繁に浴室から出す必要がないのもありがたい。といっても、コンパクトな製品なので手間という話でもない。その機動力を活かして気軽にアウトドアに持ち出して使うこともできるのだ。いや、どちらかというと、その方が使い方としては本筋なんだろうけども。とにかく、防水Bluetoothスピーカーがあれば、離れたところにあるGoogle Homeを操って、これまでにない優雅なお風呂生活が送れる、ということがわかったのである。
DSB250BT |
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