西田宗千佳のRandomTracking

第409回

大画面&有機ELのiPhone XS/XS Max実機を体験。コスパのXRが魅力?

6月12日(現地時間)、アップルはiPhone XS/XS MaxiPhone XR新しいApple Watchを発表した。発表会後開催された実機のハンズオンレポートをお送りする。新製品のスペックなどは、公開済みのニュースを併読していただけると幸いだ。

発表会が行われたSteve Jobs Theater。昨年訪れた時はまだ建設中、という印象が強かったが、今は周辺工事も終えた
ハンズオン会場。世界中から来たプレス関係者が熱心に新製品をチェックしていた

iPhone 8 Plusがさらに「大画面」になったiPhone XS Max

今回発表されたのは、「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」の3モデルと、「Apple Watch Series 4」。iPhone・Apple Watchともに、日本でも9月21日より発売になる。

まず、ハイエンドモデルである「XS」および「XS Max」からいこう。

iPhone XS Max(ゴールド)
左がiPhone X、右がiPhone XS Max(シルバー)
左がiPhone X、右がiPhone XS(シルバー)
左がiPhone XS Max、右がiPhone XS(ともにゴールド)。カメラはどちらも同じ仕様のデュアルカメラ

iPhone XSは、現行モデルであるiPhone Xと同じく5.8インチOLEDを使っており、デザイン的にもほぼ変化がない。ほぼ唯一の違いは、上の面にアンテナ分割バーがあることくらいだ。アンテナ分割バーの存在は、XS Maxも同様である。

奥がiPhone X、手前がiPhone XS。カメラの上あたりにアンテナ分割バーがあるのがXSだ

カラーバリエーションは「シルバー」「スペースグレイ」「ゴールド」の3色。中でも目立っていたのは、新色であるゴールドだ。iPhone 8のゴールドとは違い、光沢の強い金と真鍮の間のような色合いで、かなり高級感が高い。

iPhone XS Max(ゴールド)
iPhone XS(シルバー)
iPhone XS(スペースグレイ)
iPhone XS Max(シルバー)。ボタンなどの位置はiPhone Xに近く、基本的な操作に変化はない

XSとXS Maxのデザインテイストはほぼ同じで、サイズだけが5.8インチと6.5インチと変わっている。あまりに似ているので、単品で見ているとXSかXS Maxなのかわからないくらいだ。Face ID用のTrueDepthカメラなどが搭載されている、「ノッチ」の部分のサイズなどが変わらないので、正面から見たときのイメージもあまり変わっていない。

左がiPhone XS Max、右がiPhone X。サイズの違いによって、表示領域はかなり異なる。逆に「ノッチ」には違いがない

XS Maxは、ディスプレイが「6.5インチ」になるため、サイズが相当大きくなった。とはいえ、実際のサイズは、今のiPhone 8 Plus(5.5インチ)とほとんど変わらない。ボディサイズは同じで、画面全体がディスプレイになったというイメージだ。iPhone 8 Plusに比べると若干薄くなった分、持ちやすいと感じた。

iPhone 6s PlusとiPhone XS Maxを比較。サイズはほとんど変わらないのがわかる

なお、iPhone XやiPhone 8 Plusにもあった、「キーボードを左右に寄せる」機能は、もちろんiPhone XSやXS Maxでも利用できる。

キーボードを「寄せる」機能はもちろん、iPhone XS Maxでも利用可能

動作速度などは一見して「速くなった」と思えた。だが、今回のパフォーマンスアップがもっとも大きく反映されているのが、写真と動画の撮影だ。ハンズオン機器内に入っていたデモ映像を見る限り、光の表現力がかなり変わっている。その辺りの話は、後日実機レビューをお届けする際に、改めて確認したい。

動画の撮影能力はかなり上がっている模様。この辺は改めて実機レポートで確認したい

ディスプレイの品質は、iPhone X同様良好だ。色域などに改善が見られたように感じるが、そこは動作速度同様、改めて確認したいと思っている。

その場で確認できた点で、特に効果的と思えたのは、動画撮影用のマイクがステレオに変わったことだ。これまで、iPhoneでの動画撮影のマイクはモノラルだったため、外付けマイクを使う人もそれなりにいた。今回から、広がりのある音が撮影できるようになった点はありがたい。

実は今年の目玉?! 「iPhone XR」はカラバリとコスパが魅力

iPhoneの中でも変化が大きいのは、普及モデルにあたる「iPhone XR」だ。6色のカラーバリエーションがあることから、会場内でもかなり目立っていた。

会場に並べられたiPhone XR。カラーバリエーションを撮ろうとする人だかりが絶えなかった

サイズを並べてみると、XS・XR・XS Maxの順に大きくなる。XRはXSやiPhone Xよりも一回り大きく、若干「額縁」が感じられる。厚みもiPhone Xよりも厚い。

左から、iPhone XS Max・XR・XS(XS系はシルバー、XRはホワイト)。サイズ的には、6.5インチ・6.1インチ・5.8インチになる

だが、そうした印象も「並べてみた時」に感じること。単体で持つとまるでiPhone Xのようである。液晶ディスプレイになり、解像度も落ちているのだが、そこまで画質が落ちたようには感じられない。ボディーカラーもどれも良い色で、好印象だ。

iPhone XR(ブルー)
iPhone XR(ホワイト)
iPhone XR(ブルー)
iPhone XR(コーラル)
iPhone XR(イエロー)
iPhone XRには赤い「(PRODUCT)RED」も
iPhone XR(イエロー)を各部から。背面はガラスでポップな色合いだが、サイドはアルミでマットなイメージになっている

短時間だが、カメラを触ってみて驚いたのは、メインカメラが「単眼」にもかかわらず、けっこうしっかりと「ボケ」が出ていることだ。この辺は、やはりもう少し実際に試してみたいと思わせる。単眼のカメラでもソフト処理でこのくらいできるということは、搭載されたプロセッサーである「A12Bionic」でのマシンラーニングでの処理がかなり優れている、ということなのだろう。

メインカメラは単眼。だが、ソフトでかなり自然な「ボケ」の再現が行われている。
今回はポートレートを中心とした「ボケ」を活かした表現に、カメラ機能のかなりの部分を割いているように感じる

Apple Watchはハード大幅進化、コンパクトだが機能満載に

今回の新製品の中でも、ハードウエア的にもっとも大きく変化したのは「Apple Watch Series 4」だろう。

Apple Watch Series 4

従来38mmと42mmだったボディは、40mmと44mmに変わった。だが、ボディサイズは過去より大きくなったわけではなく、ディスプレイサイズが大きくなったのである。そのため、バンドなどは過去のものがそのまま使える。ディスプレイサイズ変更の影響は大きく、見た目的にもずいぶん変わった印象を受けた。従来は「大きい方がいい」と42mmをつけていた人でも、今回は「40mmでいい」と思う人もいそうだ。

左が44mm、右が40mmのApple Watch Series 4。従来は42mmと38mmという表記だったが、ディスプレイサイズが大型化したので、ボディやバンドは変えずに2mm表記が変わっている。バンドには互換性あり
Apple Watch Series 4の底面。構造が大きく見直され、見た目も変わった。通話などの音が聞きやすくなっている

Digital Crownが改良され、触感でメニュー操作がわかるようになった他、ソフトウエアとの連携により、心拍変動の記録も行えるようになっている(ただしこちらは、関係機関との調整や認証が必要なので、日本で正式に使えるようになるまでには少し時間がかかる)。そのため、Digital Crown周りのデザインも変更になっている。

操作用のDigital Crownのデザインも変更に。心電図をはかるための機能や、触感による操作に対応したためだ

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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