西田宗千佳のRandomTracking
第504回
藤田晋社長が語る「ABEMAの5年間とリニューアル」
2021年6月22日 08:00
ABEMAがスタートして5年目を迎えた。
「AbemaTV」としてスタートした当初、このサービスが日本の映像配信において大きな存在になる、と確信していた人は少ないはずだ。それがいまや、1週間のユニークユーザー数1,200万人、アプリの累計ダウンロード数6,500万件という、日本を代表する映像配信サービスになった。
ABEMAが成長してきた理由の一つを、筆者は「継続して変化してきたこと」だと考えている。そして5周年に伴い、ABEMAはやはり「変化」を準備中だ。
サイバーエージェントの藤田晋社長に、5年間のあゆみと、今考えている変化の方向性について聞いた。
テレビの良さをもつ「ネット」という原点へ
「原点に帰ろうと思うんです」
藤田氏はそう話す。5年が経過する間に、ABEMAにもさまざまな変化があった。その詳細はのちほど語るが、藤田氏のいう原点とは「テレビの良さをネットで活かす」ということだ。
では、そのテレビの良さとはなにか? 藤田氏は「4つある」という。
藤田社長(以下敬称略):テレビの良さは4つあります。
まず「報道」。毎日新鮮なニュースが流れてくるというのは、一般的なオンデマンド型の配信ではできない。常に報道が流れている、というのはテレビの持つ良さです。
次に「生放送」。スポーツなどで特に活きてきますが、我々が放送している麻雀や将棋などでも重要なポイントです。
そして「同時性」。これは生で見る、という話ではなく、「このクールにはこれを見る」とみんなが考え、一斉に見ることで、流行を作り出し、新たなスターを生み出す。これはやっぱりテレビにしかできない役割だと思います。
最後に「無料」。より多くの人にメディアとして情報を届ける際に、有料サービスはクローズドなものであるがゆえに限界があります。だから無料、ということですね。
この4つが「テレビとして残していきたい良さ」だと我々は定義しています。そこからやっていくことは2つです。
すなわち「時間からの解放」と「場所からの解放」。
テレビが難しくなってきているのは、ビデオ録画などのタイムシフト視聴はありつつも、基本的には「必ずその時間に見なければいけない」ということ。時間に関する制約ですね。
場所についても、今のところは「テレビがある場所に張り付かせられる」ところがある。
これが二大要素だと思っていて、ABEMAではそれを徹底的に便利にしていこうとしてきました。
追っかけ再生機能やオンデマンドを使い、番組表通りに見なくてもいいし、再生速度だって、1.5倍速でも2倍速でもいい。場所についても、マルチデバイスですから、どこでもいい。
徹底的に「便利にしていく」こととか「楽にしていく」ことが時代のベクトルに合うだろう、ということで、社内でもここまで意思統一できてきたかな、という手応えはあります。
ABEMAの原点と「有料サービス」の関係
こうした発想は、5年前に「AbemaTV」としてスタートした時から語られてきたことでもある。そこであえて今「原点に戻る」というのは、どういうことなのだろうか?
藤田:テレビ型のリニア視聴を中心に始めたサービスなのですが、最近ちょっと「オンデマンド」に振りすぎていた部分があります。
特にコロナ禍で広告主の出稿控えがある中で、有料プラン「ABEMAプレミアム」の会員を増やそう、という目標がありました。
そうすると結局Netflixなどのサブスクリプション型になる。世界競争に巻き込まれ劣等者になる……という世界に巻き込まれてしまいます。
なので、「そこはもう、別である」と考えることにしました。
ここは重要な判断だ。
筆者は藤田氏に対し、何度もABEMA事業に関するインタビューをしている。彼はNetflixの登場が大きな潮目になったことを認めつつも、初期には「同じ路線には行かない」と判断していた。5年前、スタート時のインタビューではそれが明確だ。
スマホ上に“マスメディア”を。サイバーエージェント藤田社長が語る「AbemaTV」の狙い
その後、2019年にはある程度、有料プランの「ABEMAプレミアム」の展開を強化する流れになってきた。ただこの時も、「あくまでフリーミアムモデルであり、ABEMAプレミアムをメインに据えるわけではない」と説明している。そういう意味で思想は一貫しているのだが、ABEMAの展開そのものは「ABEMAプレミアム重視」になっていた部分があったのだろう。
「もう地上波に戻れない」快適さで攻める。藤田晋社長のAbemaTV 3年目の戦い
コロナ禍でNetflixに代表される有料配信が広がったことを、藤田氏は次のように分析している。
藤田:日本でも「月に1,000円払い、複数のサービスに入る」という人がすごく増えましたよね。1,000円見放題の場合に「相当見ないと損だ」という意識の人も減って、「1,000円出しておけば好きな時に見れる」という感覚に変わっていった。
ただこのビジネスモデルというのは、グローバルにすごい会員数を集めなければならず、しかもあるレベルを超えると圧勝する……という危険なゲームです。ギリギリ黒字化ぐらいだと、追加コストがかけられない。なかなか競争がひっくり返せません。
月額1,000円って安いですよ。私も去年、コロナ禍でNetflixを相当見ましたけれど、「これで1,000円っていうのは安すぎる(※編集部注:Netflixは細かくは990円から)」と青くなります。これで製作コストを増やしていくのは、Netflixの規模ならできるけれど、中途半端な規模だと難しいですよ。
そんな競合の中で、安易に「月額1,000円です」という価格をセットすると大変です。この価格帯を崩したいとは思いますが、もう定着してしまいましたから、崩れないでしょうね。これ以外のものは受け入れられない。ある意味で「勝ち組の掌の中のゲーム」になりやすい。
だからその競争環境に入りすぎないように気をつけています。
他社に巻き込まれず、無料で提供している部分とABEMAプレミアムの満足度を高めるにはどうすべきか? 実は藤田氏は、半年前に組織改革をおこなっている。
藤田:2021年第1四半期(今年1月27日開催)の決算説明で、組織を「フリービジネスユニット」と「プレミアムビジネスユニット」の2つに分ける、と発表したんです。
なぜかというと、ABEMAプレミアム会員向けの満足度調査で、ABEMAの結果が非常に低かったからなのですが。
結局、サービスはあくまでフリー優先であり、フリー優先で作ったものにプレミアムプランを載せているから問題だったのであって。
なので、「まずは満足度を高めよう」ということで、プレミアムビジネスユニットを作ったんです。そこで追いかける指標は会員数ではないです。今は伸ばさなくていい。まずは満足度を高める。満足度を高めていけば、会員数も必ず伸びていくはずだ……ということです。
組織を変えて半年経ちました。満足度をひたすら追い求めた結果、「退会率」がすごく改善したんです。一方で、会員獲得自体は目指さなかったので、ABEMAプレミアム会員の数字は伸びていないのですが。
ABEMAプレミアム会員数は、昨年100万人目前のところまで来ていた。「2021年に入ると100万人突破をアピールするのでは」と予想していたのだが、それは行なわれていない。その裏にはそうした構造改革・意識改革があった……ということのようだ。
藤田:実は、たった半年で2つに分けた組織をもとに戻したんですけどね。
というのは、あくまで「意識づけ」が一番の問題だったので。
無料で見てもらうことを前提に作ったものに機能を追加し、それに追加でお金をお支払いいただく……という形では、どうしてもお金を払っている方々の満足度を高めることに集中できていなかったんです。
プレミアムビジネスユニットは、有料サービスでの満足度に特化した発想でビジネスを進めることができました。
ですがもう、役割は終わりました。たった半年ですが、結果も出ましたし。
逆に今回の「テレビを再発明していく」という方針に集中するために、組織をもう一度ひとつにしました。プレミアムビジネスユニットはABEMAの中の1組織、という形です。
ABEMAが目指すのは「進歩的な人」に愛されるサービス
ではABEMAは「テレビを再発明する」「テレビの良さをネットで活かす」ために、具体的にどのようなことをしようとしているのだろうか?
藤田:時間・場所の制約の解放は、サービス構造というか技術的な点ですね。
なにより……というかこれが根本ですが、“テレビやネットで他のものを見るよりABEMAを見る方が面白い”というものを作らないといけない。それがコンテンツ制作のキモです。
というと、「予定調和だったり、社会的責任を背負って堅苦しくなりがちな今のテレビを、昔のように自由なテレビにする」ということになりがちです。
まあ、それもなくはないんですけど、ちょっと違っていて……。
例えば麻雀プロリーグの「Mリーグ」は、毎日5時間くらい放送していて、たいへん盛り上がっています。将棋も朝から放送しています。名人戦は2日に渡って放送しています。
そんな尺をとって、ある種マイナーな競技を伝えられるメディアは、ネットしかないです。それをちゃんとテレビクオリティで作る。
当然、バラエティやドラマ、ニュースもテレビに負けないクオリティで作らなければいけないとは思っているのですが。
こうした話になると「テレビより面白い」という言葉を使いがちだ。藤田氏自身も一瞬そう言いかけて、「……いや、それもちょっと違いますね」と言い直した。
藤田:「ネットの中で他より面白い」じゃないとダメ、ということなんです。
コロナ禍では、動画配信サービスを「レンタルビデオを借りて時間をつぶす」ように使った方が多くいらっしゃいました。Netflix型のサービスは、利用者が伸びました。
しかし、「ネットでテレビ的な視聴をする」というサービスは、それに比べ弱い。コロナ禍で我々のサービスも伸びはしましたが。
そこでNetflix型を意識するよりは、我々が相対的に競争するのはテレビの他のコンテンツです。かつて「テレビしかなかった時代の番組」と比べてもしょうがない。そういう意味でも、我々の特色ははっきりしている。
昔のテレビ的な感覚に引きずられてもしょうがない。我々の敵はもっとたくさんいて、しかも強力なので。そこはシビアに見ないといけません。
テレビとABEMAの関係について、藤田氏はまた別の観点も示す。「ABEMAはテレビを見なくなった若い層に支持されている」と言われる。それは確かに事実なのだが、そのメッセージングには「多少の反省もある」と話す。
藤田:「テレビを見なくなった若い世代が見ている」と言いすぎた、という反省があります。
将棋や麻雀を見ているのは当然若い層ではないですしね。大相撲も、テレビよりは若い人々が見ていて、新しい層を取り込んでいるとは言えますが……。
なかなか一言で言うのが難しいのですが、ABEMAを見ているのは「進歩的な人」なんですよね。新しくて便利で楽なものがあったら、それを積極的に取り入れたい……という人。
オンラインでチケットが買えるのにわざわざ窓口まで行くようなタイプの人ではない、ということですね。変わりたくない人はいるのですけれど、そうじゃない。保守的な人は基本的に対象としていないです。そういう人にまでなにがなんでも見せたい、と思っているわけじゃなくて、より時間を解放してくれるものを提供したい。
僕自身、タイムシフトや追っかけ再生や1.5倍速再生がないと厳しい、と思うようになっています。慣れたら戻れないですよ。そういう部分、自信を持って進めていきたいと思っています。
「今のトレンド」を伝えやすい形にリニューアル
ABEMAが進化していく中で、UIも色々変わってきた。次の画像は、夏以降順次アップデートで変わっていく、新しいABEMAのUIだ。
そこでは機能的な変化も重要だが、その裏にはもちろんある種の思想があり、むしろ重要なのはそちらのほうだ。
藤田:最初(5年前)のUIは「これはテレビですよ」ということで始めたものです。すぐ再生が始まって、フリックすればチャンネルが変わる。それは分かりやすかったし、すぐに理解できたと思います。やがてそれを便利にしていったら「オンデマンドだと快適に見れるよ」ということになっていきました。
今回のリニューアルでは、テレビとオンデマンドを一体型にしたようなものになっていきます。
テレビなんだけど別に番組表通りに見なくていい。とはいえ、「今週はこのドラマは見なくちゃダメだよね」とか「このバラエティは見なくちゃ」とかいうように、ちゃんと流行をとらえるようなものにしたい。
テレビ局の方は、流行を作れたり、スターを世の中に出し、ザワつかせたりという部分で、みんなテレビが好きで、だからTwitterのトレンドが大好きなんです。そういう部分がテレビの面白さであり、みんなが取りつかれる魅力だと思うんです。
なので、ABEMAでも「いま見なきゃいけないのはこれだ」ということをよりわかりやすくしていきます。たくさんある番組や作品のアーカイブから選んで見るのではなく、今のトレンドを常に出していくような形です。
少し面白いのは、「今のトレンドを見せる」ということが、Netflixのようなサービスですら重要になっている、という点だ。
たった2年前まで、Netflixはランキングに類するものに否定的だった。「昔作られたものでも、あなたがまだ見ていないならそれは新作と同じである」という立場を採っていたからだ。
だがその後、サービス間でオリジナル作品の制作競争が激化すると、新作のアピールが重要になっていく。だから今のNetflixには「ランキング」が存在し、重要視されるようになった。
藤田:それは、Netflixのような規模だから、「あのサービスの中だけでトレンドを作ってしまえるようになった」ということでもあると思います。YouTubeもそうですけど、結局みんなランキングが大好きなんです。みんなが見ているものを自分も見たい、という。
我々も基本的には、「今みんなが見ているもの」を紹介していくような形になっていきます。
それは我々の視聴者が一定の数に達した、ということもあるだろうとは思います。
恋愛番組なんかだと中高生の視聴者がすごく多くて、そのことをみんな学校で共有するんですよね。だから人気になるスピードが速い。「学校」という場があるからいっきに話題が生まれますが、学校がない世代だとなかなか共有の場がないんです。他の世代ではもっと違う形で流行らせなきゃ、ということになります。
コンテンツにおいて我々が主眼に置いているのは「話題になること」「流行ること」。これはバラエティであろうが、ニュースのドキュメンタリーであろうが同じで、意識してますね。「今伝えるべきか」ということなんですが。
では具体的に機能がどうなるのか? 藤田氏は次のように説明する。
藤田:レコメンドもかなり強化し、精度を上げていきますが、それとは違う部分もあるんです。
ABEMAはテレビ(的なUI)から始まってザッピングやオンデマンドを強化してきましたが、そのたびに画面を切り替えるような構造になっていました。昔で言うところの「ポータル」みたいなものが存在しないんです。だから、「今はこれを見なさい」というポイントを捉えづらい部分がありました。
なので今回のリニューアルでは「ポータル的」な要素が入ります。そして、その場所を通じてレコメンドなどが行なわれることになります。
結果として、1枚目のページで自分が見ていた番組や見たいであろう番組が見つけやすくなって、番組が見つかるまでの距離がかなり「近く」なります。そもそもアプリをリニューアルした理由の一つが、「見たい番組までの距離が遠い」ことだったので。今回の改善はそこが中心です。
コロナ禍だからこそ時間をかけてアプリを開発
このバージョンの開発はいつから行なわれていたのか? 藤田氏は「1年くらい前からスタートしていた」と説明する。かなり時間をかけ、じっくりと行なわれたリニューアルだ。すでに一部のユーザーには機能が提供されており、その反響を見ながら最後のブラッシュアップが続けられている。
藤田:最初は、「テレビとオンデマンドの一体化」と言う安易な発想から、ここまでの使い勝手に着地できるかもわからなかったんです。何度も何度もUIのモックを作り、「だめならばやめよう」と思いながらやっていました。
それが納得いくレベルにきたのでリリースするわけですけれど、作る過程には「参考にできるものがない」んです。
ユーザーが動画メディアを使い慣れてきたので、「この機能はこうだよね」「このUIはこういうものだよね」ということがクセとして頭の中に残っているので、そういう意味でメジャーサービス……NetflixやYouTubeやAmazon PrimeのUIを意識して分析しましたが、番組の見せ方もサービス特性も違う以上、どちらにしろマネはできなかったですね。
スマホがベースになってはいますが、同時にPCやテレビデバイスにも同様の機能を展開します。「場所からの解放」を狙っているわけですから、どのデバイスがある場所でも同じことができないといけないですから。
このリニューアルの中に「マネタイズのためにUIを変えよう」という話はない。その発想も「ない」と藤田氏は言い切る。
藤田:5年経ちますが、マネタイズのことは1ミリたりとも考えてなかったですね(笑)。
もちろん、広告部門から相談が来たら、「広告の印象が悪くならないかどうか」とか「広告が邪魔に感じないかどうか」とか、それは見ながら考えました。
YouTubeくらいの感じになると、正直邪魔と感じることもありますけど、我慢するじゃないですか。あのレベルまで行けばパワープレイも効くのですが、まだ効かないレベルかな……という判断もしています。
やっぱりサービスへの好感度は非常に大事なんですよ。なので、(広告を無理矢理見せるような)パワープレイは「僕がさせていない」んです。
こうしたじっくりとした開発体制であったのは、「コロナ禍であった」ことも影響している。
藤田:コロナ禍では、人々をざわつかせるようなお祭り騒ぎは難しいです。そこが苦しい。派手なものを仕掛けられないところがあります。
というのは、そもそも撮影ができないですから。ABEMAの「72時間ホンネテレビ」などの長尺の特別番組だって、例年はたくさんの人が、それこそ「密」になってやっていたものです。やはり制約は大きいです。リモートを使った中途半端なものしかできないので、2020年は大きな新番組も展開できませんでした。テレビというのは「集まって作る良さ」があります。その熱気が生む暑苦しさ、でもあるのですが。
その分、(新UIの)開発はじっくりと行ないました。正しい方向に向かっている手応えはあります。
いつになるかはともかく、コロナ禍は「どうせいつかは終わる」ものですから。こうした状況が終わることを想定し、すでに準備を始めています。
「ウマ娘」とABEMAに共通する「クオリティ第一主義」
マネタイズという点は、ABEMA事業では常に「課題だ」と外部に指摘される。制作・ビジネス運営にはコストがかかっており、サイバーエージェント全体でなく、ABEMAを含む同社のメディア事業だけを見れば赤字だ。
ただ藤田氏はそれでも「マネタイズは、しようと思えばいつでも、なんとでもできる」と言い切り、外部からの声には耳を傾けない。
昨年秋から、同社のメディア事業の収益は拡大している。その理由は、同社が「周辺事業」と位置づける、公営競輪のオンライン配信・車券投票サービスである「WINTICKET」が好調であるからだ。
そうした部分も含め、「やろうと思えば、あらゆる手段を使ってマネタイズすることはできる」と藤田氏はいう。だが、今こだわるのはそこではない。
藤田:始めて以来考えているのは、「長期戦をやり抜けば勝てる」ということ。長くやればやるほど、勝てる確率が上がるという考え方です。
一番の危機感は「投資し続けられなくなること」なんです。ABEMAを支えている他の事業が厳しくなり、この事業に長期的な投資ができなくなるなら、赤字を減らなさなきゃいけない……ということになります。そこで窮する可能性は、結構ありました。そこにはかなり神経を尖らせていました。
ただ……ゲームで大ヒットが出ましたからね。これで腰を落ち着けて取り組む体制ができたな……と(笑)
外部からどうこう言われようが、やり切る覚悟です。
藤田氏のいう「大ヒットしたゲーム」というのは、Cygamesが2月に提供を開始したスマートフォン・PC用ゲーム「ウマ娘 プリティダービー」だ。以下に示した4月の決算資料では500万ダウンロードとなっているが、6月10日には800万ダウンロードを突破している。2021年第2四半期のゲーム事業の営業利益を232億円まで一気に押し上げた。
「ウマ娘 プリティダービー」は急速にヒットしたが、いきなり生まれたコンテンツではない。ゲームは当初2018年冬のスタートを予定していたが開発が難航、2年以上開発を続け、ようやくリリースされたタイトルでもある。
藤田:Cygamesがグループにある影響は大きいです。
彼らはずっとそうなんですが、「良いものを、コストがかかったとしても作り切る」んです。その結果大きな売り上げが達成できる。最高のクオリティのものを作ったところが、結局経営的にも最高の成績を残す……ということを、同じグループ内で、肌で感じています。
実際、ネットに関するほとんどのものは、その通りなんです。クオリティが良いものだけが最終的に勝つ。
だからABEMAに関しても、クオリティに関しては妥協しません。