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VITUREもついに3DoF対応。画質・視野角が良好な新モデル「VITURE Beast」を試す
2026年5月28日 08:00
サングラス型ディスプレイメーカーの1つであるVITUREが、新型の「VITURE Beast」の一般販売を開始した。価格は8万2,880円。
手元に評価用機材が届いているので、機能をチェックしてみたい。
この種の製品は、トップシェアはXREAL。それを追いかけるのがVITUREということになる。同じような原理に基づいていてハードウェア構成も似ているが、向かう方向が若干異なり、特性にも違いがあった。
今回はライバルに対して機能面で追従した部分が少なくない。一方で、VITUREがこだわる部分も残っている。
なお、記事の最後に本記事読者向けの10%割引クーポンコードが用意されている。また、購入特典としてゲームコントローラーが付属する。評価を見て気になった方は利用をご検討いただきたい。
3DoF対応で大幅に構造を変更
正直、XREALとVITUREを比較した場合、機能面ではXREALが一歩先を行く印象もあった。そのうち1つの要素が「映像を空中に固定する」、いわゆる「3DoF」「6DoF」での動作だ。
VITURE Beastの最大の特徴は、3DoF/6DoFをサポートし、視野角も従来機種に比べて広げたことだ。従来モデルは3DoFに対応しているものの、スマートフォンやPC用のソフト「SpaceWalker」を併用する必要があった。
しかしVITURE Beastは、グラスだけで3DoFに対応した。これでXREALに追いついたことになる。
3DoFの価値は後ほど解説するが、視野角拡大と3DoF対応により、デザインや機能も変わった。
VITURE Beastに同Luma Ultra、XREAL One ProとXREAL 1Sをかけてみたので、それぞれのイメージの違いをご確認いただきたい。
従来VITUREは、内部に視力を補正する機能を搭載していた。製品にもよるが、最大-4.0Dから-6.0までの場合、別途補正レンズを買うことなく、手動で設定を動かすことで対応できた。それ以上の強い度数の補正や乱視の場合には、追加で補正レンズを使う仕組みだった。
ライバルであるXREALはすべて外付けの補正レンズを使う方式だったので、この点は差別化要素だったと言っていい。
しかしVITURE Beastでは、内部補正機能がなくなった。すべての視力で補正レンズが必要になる。
これはおそらく、映像をディスプレイから目に届けるための構造が変わったためだろう。なぜ変えたかは、後ほど説明する。
また、IPD(瞳孔間距離)によって、購入する製品が変わる。IPD 64mmから±6mmの場合「レギュラー」を、IPD 68mmから±6mmの場合「ラージ」を選ぶ。要は顔の大きさに合わせて2つのラインナップがあるということだ。これもレンズを含めた光学的構造の変更に伴い、より精密な対応が必要になったためと思われる。なお、今回使っているのは「レギュラー」だ。
そして、本体の中央にはカメラがついた。とはいえ、これは現状「周囲の映像を撮影するためのもの」ではなく、自分の位置を認識して6DoFを実現するセンサーと考えるのがいい。
また、従来は磁石とピンを組み合わせた独自のコネクターを使うケーブルだったが、VITURE Beastから、USB Type-Cケーブルを接続する方法に変わっている。
全体的に、ライバル・XREALの選択に近づいた印象だ。
3DoF対応をめぐるいろいろな「基本知識」
ただ「3DoF/6DoFに対応した」という話は、従来機種とライバル・XREAL製品の関係を整理し、機能を説明しないと、正直商品性が見えてきづらい部分である。
まず、どちらの製品も「USB Type-Cケーブルを使い、DisplayPort Altモードで接続する外部ディスプレイ」であることに変わりはない。要は、対応するPCやスマートフォン、タブレットに接続するとその画面が表示される機器、ということだ。
だから、目の前にはそれらの画面が大きく表示される。「何m先に何インチ」という表現をされることが多いが、正直感覚的なもので、実際には「近いところに大きい画面がある」印象の方が強いだろう。
特に0DoF、つまり「顔の向きや位置を認識せず、正面に画像が出続ける」構造の時はそうだった。「何m先に何インチ」とは全然感覚が違うのだ。
その中で出てきたのが、「3DoF」「6DoF」対応。これはサングラス型ディスプレイの場合、顔の向き・高さ・仮想的な位置をセンサーによって把握することで、「空間の中に巨大なディスプレイが浮いている」様子を再現するための技術、と思っていただいて構わない。ケーブルから接続した機器の映像が目の前の空間に現れるのはODoFの時に似ているが、首を動かすと自然に位置が変わる。テレビや映画を見ている時、首を動かすと表示位置が変わるわけだが、それが再現できると思えばいい。
映像以外が表示されないのは、Meta QuestやVision ProなどのXR機器との違いである。ただ、映像を見るならそれで特に問題はない。
ODoFか3DoF/6DoFかという選択だが、ODoFでは映像を見るのに向かない、という話ではない。ちょっとした違いだけだ。
だが、3DoF以上にすると「空間に大きな画面が浮いている」感がより強くなるので、大きな画面を見ている、という感覚を強化できる。小さい画面が視界に張り付くのと、少し遠くに大きい画面があるのとの違いだ。
これは、映画などでも体験の違いとなって反映されるが、ウルトラワイドの画面などではより重要な話になってくる。0DoFだと単に表示の上下を切っただけになるが、3DoF/6DoFだと「空間にあるウルトラワイドの画面を見る」感覚になる。
ただし、映像が見える範囲である「視野角」が狭いと、空中に大きな画面があるように見えても、視野角に入らない端が見切れてしまう。ウルトラワイドの場合だと全画面を一度に見るのは難しく、見たい部分に少し顔を向ける感じになる。
すなわち3DoF・6DoFにするということは、視野角もさらに大きくして「見切れる部分が少なくする」必要がある、ということでもある。
だからXREALは3DoF「XREAL One」以降のシリーズで視野角を拡大しているし、VITURE Beastも同様だ。
カメラ標準搭載、6DoFは「今後対応」
これらの点を踏まえた上で製品を見ていこう。
すでに述べたように、VITURE Beastの特徴は3DoF/6DoFに対応したことだ。そのためには自分の顔の向きや位置を把握する機能が必要なのだが、それには、主に内蔵のモーションセンサーが使われている。
カメラが標準搭載であるのは、ライバルのXREAL製品と異なることだ。
XREALの場合には、別売のカメラモジュールカメラモジュール「XREAL Eye」を取り付けないと、カメラの機能はない。そして、カメラを取り付けると6DoF対応になる。要は6DoF対応によって「画面に顔を近づける」ことができるようになるわけだ。
一方でVITURE Beastにはカメラが標準搭載だ。ただ、カメラを完全に塞いでも3DoFでは動作していたので、VITURE Beastのカメラは主に6DoFの実現に利用するもの、と考えて良さそうだ。現状6DoFはまだ未対応で、今後、PCおよびスマートフォン用のアプリ「Space Walker」の併用で対応を予定している。
それに対し、XREALはカメラを買わない状態では3DoF、別売のカメラをつけると、PCやスマホアプリを「使わなくても」6DoFになる。
要はVITURE BeastもXREAL Oneも「デバイス自体だけだと3DoF」なわけだが、6DoFの扱いをどうするか……という違いがあるわけだ。単体で6DoFにこだわるならXREALということになるだろう。
一方で、映像を見る時やゲームをする時には、6DoFか3DoFかはさほど意味がない、と思っている。6DoFがありがたいのは、PC作業中に画面をよく見たい、と思って身を乗り出すような時だ。だから、「PCソフト併用」という話はそこまで大きなハンディではない。ただし「今は未対応であり、今後対応予定」という点に留意しておきたい。筆者もまだ、VITURE Beastの6DoFは体験できていない。
なお、最初からカメラが搭載されているためか、VITURE Beastには「カメラをふさぐシール」が付属する。カメラでの撮影について拒否感を持つ人はいるので、カメラがあるけれど「使っていない」意思を示すことは重要だ。XREALは別売なので取り外せばいいが、VITURE Beastの場合にはシールを貼ってしまう。
シールを貼っても3DoFには全く影響がなかったので、6DoFを使わないならシールを貼っておくのがいいのかもしれない。
輝度の高さで画質優先。ライバルより映画に向く
これらを見ると、XREALの機能をVITUREが追いかけているようにも見える。実際そのようなところはある。
一方で、こと「映像視聴」「視野角」という点については、VITUREの方が良い。
VITURE Beastは最大輝度1,200nits。それに対しXREAL One Proは700nitsとなっている。XREAL 1Sは同じく700nitsだが、光学系の違いから、One Proよりも視野は狭く、感じられる平均輝度は高いというのが筆者の理解だ。VITURE Luma Ultraは1,500nitsとさらに高い。
ただし、あくまでスペックは最高輝度なので、数字ほどの違いは感じづらい。それでも、VITURE Beastを使った時の見え方は、XREAL 1SやOne Proとは異なる。平均輝度が高い分、色もしっかり見えてくる。PC作業ではそこまで大きな差だとは感じなかったが、映画を見るならこの違いは大きい。
今回は配信されたばかりの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のApple TV版で比較したが、宇宙の中に浮かび上がる宇宙船などのコントラストや発色がはっきりしていてより好ましい。
視野角も、スペック上XREAL One ProよりもVITURE Beastの方が大きい。たしかに違いはあるが、極端な違いというほどではなく、「VITURE Beastの方が大きいが、モデルによる差異の方が大きい」とも言える。
一方、光学系の特性なのか、VITURE Beastは左右の端で少し色収差を感じる。端に僅かな虹色のずれが見えるのだ。
また、下部にときおり「表示の反射」が見えるのも気になる。要は光学系がブロック状になり、下側に高輝度な映像が反射する、という現象が生まれてしまったわけだ。これは、気になる人には気になるだろう。
全体の輝度・発色と光学系の課題、どちらを重視するかは人による。筆者としては「確かに気になるが、輝度・発色の利点がある」と考え、映画を見るならVITURE Beastを選ぶ。また、全体的なシャープさでもVITURE Beastが有利、という判断をしている。
この辺、カメラで実撮影してお見せできればいいのだが、撮影条件を揃えての比較が厳しく、今回はご容赦願いたい。
ソフトは発展途上。頻繁にアップデート中
画質面などで、VITURE Beastは後発らしい良さがある。
一方、ソフト面での洗練という意味では、XREALの方が先をいく。
特にメガネ単体での操作が少し煩雑なのが気になる。
VITURE Beastには左右に単独ボタンと上下ボタンがあり、これらの組み合わせで操作する。表示する仮想的な画面の大きさや表示距離、スタンダードな画面サイズかウルトラワイドかなど、多数の要素をボタンの組み合わせで切り替える。ルール自体は難しくはないが、慣れるのに少し時間がかかる。
XREALも複雑ではあるが、メインメニューの整理が進み、操作はしやすい。また、ボタン自体も右のテンプルの上に1つ、下に1つ+上下ボタンで(少しだけ)少なくなっている。
どちらにしても、好みの設定を見つけて決め打ちにしておいた方が使いやすい。逆説的にだが、やることが決まっていればボタンの組み合わせで操作しやすい分、VITUREの方が慣れやすい……とも言えるだろう。
また、6DoF対応のソフトが未完成であることも含め、ファームウェアはまだ進化途上である印象を受ける。
個人的にもうひとつ気になったのは、完全に暗くして映像をはっきり見せるための「シェード」が外れやすいことだ。柔らかい素材でできたものを被せる形なのだが、長時間映画を見続けると本体が発熱、その熱でシェードがさらに柔らかくなって落ちやすくなる。
相応に暗いところで使うならシェードは不要だが、他機種に比べ透過性が高く、本体だけでは完全な黒にはならないので、その点も留意が必要だ。
そうした部分をマイナスと捉えるかどうかが、選択の基準ともなりそうだ。
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