鳥居一豊の「良作×良品」

第119回

ついに登場!「曲がるテレビ」。LG OLED Flexで「NOPE」。ゲームも最高

「LG OLED Flex(42LX3QPJA)」

映画好きな方なら、大きな映画館が湾曲したスクリーンを採用していることに気付いているだろう。これは、スクリーンのように巨大な画面の場合、画面の中心と両端で投写距離が異なってしまうのを補正するためのもの。映画館ではプロジェクターを使って基本的には1点から映像が投写されるが、レンズによっては投写距離が変わればピントの合う範囲を外れたり、周辺での歪みの増加などの問題が生じることがある。

また、こうした投写距離の違いによって、画面の中心部分だけが明るく、周辺が暗くなるホットスポットと呼ばれる現象が起こることもある。これらを補正するためにスクリーンが湾曲しているのだ。

ただし、現代ではレンズ性能の向上などもあり、こうした投写距離のズレによる映像の歪みやピントのずれ、ホットスポットの問題は解消することも可能。そのため、映画館によって平面スクリーンだったり、湾曲スクリーンだったりするわけだ。

薄型テレビが当たり前の現代、湾曲したスクリーンは映画館くらいでしか見ることがなく、それだけに湾曲したスクリーンを見ると「映画館に来た!」とか「映画を観ている雰囲気がある」と感じる人もいるのではないだろうか。ホームシアターでも「カーブドスクリーン」が一時注目されていたこともあった。湾曲スクリーンにあこがれる人は少なくないのかもしれない。

そんな今、LGエレクトロニクスから発売された有機ELテレビが「LG OLED Flex(42LX3QPJA)」(実売43万7,800円前後)だ。有機ELパネルはバックライトを持たない自発光型で、しかも有機EL層が薄いため、まずは極薄の表示パネルとして知名度を高めてきたが、将来的な展開としてロールスクリーンのように丸めて収納できる有機ELパネルや、折り曲げ可能な有機ELパネルなどの登場が期待されている。42LX3QPJAもそんな有機ELパネルの特性を利用して、画面が曲がることが大きな特徴となっている。

自宅の試聴室に置いた「42LX3QPJA」。映画館のスクリーンのように画面が曲がっているのがわかる

しかも、「42LX3QPJA」は一定の曲率で固定しているのではなく、平面から曲率900Rまで20段階で曲率を調整できる。フレキシブルに曲率が変わるので、「ベンデッドテレビ」と呼ばれることもある。こういう変形機構が大好きな男の子は少なくないはずだ。

「LG OLED Flex」曲率変更の様子【鳥居一豊の「良作×良品」】

まずはその特徴的な外観を見ていこう。手前から見るとスリムなデザインの薄型テレビに見えるが、横から見るとスタンド部分はL字状の大きなボディを持っていて、そこに大きめのアームが備わっていて薄型のパネルを支えるような構造になっている。

パネルの薄さも印象的だが、それを支える左右に伸びたアームはなかなかゴツい印象で、実際かなりの高強度。アームを支える部分は、高さ調整機構(614~754mmまで)、チルト機構(前に10度、後ろに5度まで調整可能)も備えている。LGエレクトロニクスでは本機を“ゲーミングテレビ”と呼んでいるが、こうした機構を備えるのは確かにゲーミングモニター的でもある。

筆者もベンデッドテレビが登場すると聞いてからかなり興味を持っていたが、発表された42LX3QPJAのニュースを見たときには思った以上に価格が高いと感じた。とはいえ、実際に製品を見て、可変機構に加えて、高さ/チルト機構まで備えることを考えると、このような価格になるのも仕方がないとも感じた。斬新な機構を備えた第1号機は高価になるのは仕方がないところだ。

「LG OLED Flex」曲がっているところを後ろから撮影【鳥居一豊の「良作×良品」】
42LX3QPJAを横から見たところ。入出力端子などはスタンド一体のボディ側に備わっている

入力端子などを見ると、4系統のHDMI入力やアンテナ端子やLAN端子など、薄型テレビに近い装備となっている。USB端子が3系統と多めなのは、キーボードやマウス、ヘッドセットを接続できるようにするためのようで、ゲーミングモニター的な装備も備えている。背面にLEDのイルミネーションがX字状に配置されている。

入出力端子。HDMI入力は4系統、USB端子は3系統を備える
スタンドにあるボディ部分の右側には、光デジタル音声入力、LAN端子、地デジ/BSデジタルのアンテナ端子がある
後ろから見たところ。ボディ部分にはイルミネーション機能も備えている
付属のリモコン。ポインティングデバイス的な操作もできる“マジックリモコン”だ

同社の有機ELテレビと同じ「webOS」を採用。ゲーム機能も強力

こうした装備を見ても、変形機構を別にすれば基本的には同社の有機ELテレビに近いものになっていることがわかる。画面の機能も「webOS」でマジックリモコンを使った操作感はまったく同じだ。画面サイズは42型で解像度は3,840×2,160ドット。有機ELパネルも2022年度の最新パネルと同等のものだと思われる。映像エンジンは「α9 Gen5 AI Processor 4K」と、最新のものを搭載している。

画面のインターフェースを表示したところ。同社の薄型テレビと同じGUIとなっている

薄型テレビとしての主要機能は、地デジ/BS(2K)×3、BS/CS4Kチューナー×2を内蔵し、外付けHDDと組み合わせての録画機能も持つ。内蔵スピーカーは2.2chでDolby Atmos対応。ワイヤレススピーカー規格のWiSAにも対応しており、2.1ch構成のワイヤレススピーカーとの接続が可能だ。映像フォーマットでは、Dolby Vision IQ/HDR10/HDR10 Pro/HLGのHDRフォーマットに対応する。

ゲーム機能は同社の有機ELテレビと同様だが、業界でも最もゲーム機能が充実している。4K系統のHDMI入力はすべて48Gbps対応のHDMI 2.1端子で、eARCをはじめ、ALLM/VRRのゲーム機能にも対応。さらに、NVIDIA G-SYNC Compatible、AMD FreeSync Premiumに対応。業界規格となるHGiGゲームモードも持つ。このほか、クラウドゲームが楽しめるNVIDIA GeForce Nowにも対応する。このあたりはゲーミングモニターとしても遜色のない充実度だ。

画質や音質といった機能面は薄型テレビとほぼ同様。HDR/SDRで異なる映像モードを選択できるほか、詳細な画質設定なども可能。音声もサラウンド機能をともなう音声モードを選択できるほか、ワイヤレススピーカーを含む外部スピーカーへの出力切り替えなどもある。

映像設定のメニュー。HDR映像とSDR映像で選択できる映像モードが異なる
HDR映像入力時の映像メニュー。「ゲームオプティマイザ」や「FILMMAKER MODE」を備える
音声設定の音声モード。「シネマ」や「スポーツ」、「ゲームオプティマイザ」がある
音声設定の詳細設定では、「ドルビーアトモス」の設定がある。常時ONでOKだ

画質モード、音声モードともに各種揃っているが、基本的には「AI映像プロ」を使えばいい。AIを使った機械学習により、表示されたコンテンツに合わせて最適な映像・音声に調整してくれるモードだ。AI機能には、室内の明るさなどに合わせて画面の明るさを調整する「AI輝度設定」や「AI映像ジャンル選択」などもある。必要に応じて選択しよう。

「AIサービス」の設定画面。AIによって映像や音声を最適に表示してくれる

肝心の画面の曲率は、前述の通り20段階で調整が可能。標準(平面)のほかに、曲面モード1/曲面モード2/ユーザーモードの計4つのプリセットがあり、設定であらかじめ登録しておける。よく使う曲率を登録しておけば、リモコンの曲率ボタンを押すだけで曲率の切替ができる。

「曲率ボタンの設定」の画面。4つのプリセットでよく使う曲率を設定しておける

背面のLEDイルミネーションの設定も自由に設定が可能だ。ライティングのオン/オフをはじめ、ライティングモード、明るさなどの調整が可能。好ましい色を選んで明るさを調整すれば、室内の間接照明としても利用できるので一度試してみるといいだろう。

「ライティング設定」の画面。ライティングモードには、映像同期/サウンド同期/ダイナミックモード/ピースフルモードなどさまざまな種類がある

最後は有機ELテレビでは重要な「OLEDパネルケア」の設定。基本的には初期設定のままでOKだ。あとは必要に応じて「ピクセルクリーニング」を行なうようにすれば、ゲームの長時間プレイなどでの画面の焼き付きの問題はほぼ解消できるだろう。「サポート」ではソフトウェアアップデートの確認や更新、操作ガイドの参照などが可能だ。

まずはゲームやパソコンモニター用途などをいろいろ試してみる

湾曲画面というと、映画館のような特大のスクリーンを連想する人が多いとは思うが、現在はちょっと状況が異なってきている。パソコン用の20~30インチクラスのモニターで湾曲画面を採用したモニター(曲率は固定)が発売されているのだ。中~小画面のパソコン用モニターで湾曲画面が必要なのかと疑問を感じる人もいると思うが、実はけっこう役に立つ。

その理由は視聴距離。映画館ではプロジェクターからの投写距離が問題だったが、パソコン用モニターでは視聴位置からの画面中心と両端での視聴距離のズレが問題になる。

最近は16:9のワイド画面が主流だが、こうした横に長い画面は中心と両端での視聴距離に差が出やすい。画面の中央を見ていて、ふと端の方のウインドウを見ると距離差によって目のピント機能が働く、これの繰り返しが目の負担となるようだ。

慣れにもよるとは思うが、パソコン用モニターとしてはかなり大きめとなる4K解像度の42型画面を1m以下の視聴距離で見ると負担は大きくなるだろう。

その負担を軽減するために曲率を合わせて、画面の中央と両端の視聴距離が同じになるようにするというわけだ。せっかくなので、しっかりと中心と両端での距離も測定して、曲率を設定してみた。

「LG OLED Flex」が曲がるところを、少し上から撮影【鳥居一豊の「良作×良品」】

パソコン用モニターに近い視聴距離として0.5m~0.7m、動画視聴など少し離れた距離で1mくらいとした場合、0.5mならば曲率100%、0.7mで曲率70%、1mなら曲率50%で、中心と両端の視聴距離がほぼ揃った。

いわゆる最適視聴距離の目安で言い換えると、画面の高さ(1H)が54cmなので、0.5mの距離はほぼ1H。4Kテレビの最適視聴距離と言われる1.5Hより近い。0.7mでほぼ1.5Hに近い距離。1mだとほぼ2Hとなる。一般的なリビングで使う場合は2m近く離れることが多いだろう。

このくらい離れると中心と両端の距離差も気にならなくなる。要するに見慣れた平面の画面が慣れもあって見やすい。湾曲画面の雰囲気が欲しい場合は30%くらいにすると映画館のスクリーンのような気分が感じられる。

実際に使ってみた印象だが、0.5mは画面が近すぎる印象。ふだんは20インチくらいのパソコン用モニターを0.5mくらいの距離で見ているが、42型となると圧迫感が大きい。そして、画面に囲まれているというか、むしろ閉じ込められているような閉塞感がある。

ただし、画面全体の見え方は実に見やすい。このくらいの距離だと、パソコン画面の表示で4K解像度のフルサイズ表示でもアイコンの文字も読めるし、デスクトップはかなり広大。フルHDの20インチモニターの4面分だから当然だ。画面の端を見ると頭は動くが、スパッと視界に入ってくる感じがある。自分の目の微妙なピント調整が不要なぶんのダイレクト感なのだろう。

デスクトップ環境をイメージして、手前にキーボードとマウスを置き、画面にいろいろなアプリを置いてみた様子

写真のようにふだんの仕事で使う場合をイメージして、画面の中央にWordのウインドウを置いて、左にブラウザやExcelを表示。右側にはYouTubeの動画と音楽再生アプリを置いてみた。

ブラウザやExcelの参照もしやすいし、テキストを打ちながら視界の端で動画が映っている印象だが、案外動画の内容もよくわかる。仕事中に動画を再生するのは仕事の邪魔になってしまいそうだが、面白いことにこれを平面に戻すと、動画は目の端で映っているだけになり、見ようと意識して画面の右上に頭を動かさないと動画の内容が頭に入ってこない。思った以上に、大きな画面に表示された情報の隅々まで目が行き届く印象だ。

しかし、慣れないと視聴距離0.5mは圧迫感がある。試しにテキストなどを打っているうちに自然と0.7mくらいの距離に落ち着いた感じだ。そこで曲率を70%にし、中心と両端に距離が揃っていることを念のため確認。使い始めたばかりの印象としては0.7mくらいの距離がいい感じだった。

アイコンの文字も十分に読めるし、画面の端まで目が行き届く感じもそのままだ。価格を考えなければ、仕事用のディスプレイとして理想的だと思ったほど。

高さ調整やチルト機能も便利だ。というのも、曲率が50%ともなると真正面から見ると画面が凹レンズのように変形しているように見える。高さが合わないと上側と下側で変形の度合いに差が出るので違和感がさらに増す。

このあたりは慣れもあると思うが、高さやチルト機能で画面と正対するように調整すると、形状自体は変形していても違和感はかなり減る。逆に高さ調整やチルト機能がなかったら、いつまでも違和感が抜けずあまり良い印象を持てなかったかもしれない。

このほか、2画面機能も備えるので、テレビ放送や外部入力とパソコン画面を同時に表示するなども可能。大画面と高解像度を活かした、さまざまな使い方ができるのもありがたい。

次はゲーム。PS5を接続して「CRISISCORE -FINAL FANTASY VII- REUNION」をプレイしてみた。このゲームはもともとPSP用だったゲームを移植したもので、ムービーはおそらくオリジナルムービーをアップコンバートしたもの。ゲームのキャラクターというか、モデルはFFVII REMAKE準拠のモデルとなっており、映像効果も最新のものなので、ムービーシーンよりもゲームのプレイシーンの方が高画質となってしまっている。

そのあたりはちょっと気になったが、FF VIIの前日譚でありかなり重要な要素を別の視点で見ることができるのもファンにはうれしい。

そんなゲームだが、湾曲画面だと実に楽しい。没入度がまるで違う。視聴距離としてはパソコン用モニターでの使い方とほぼ同じ0.7mで曲率70%。気分としてはVRヘッドセットでプレイしている印象に近い。

ゲーム画面というよりグラフィックが視界のほとんどを占め、その世界に足を踏み入れた感覚になる。これはなかなかの新感覚で、画面全体の見晴らしの良さもプレイしやすいと感じるし、たくさんのザコキャラに取り囲まれるような場面でも敵を見落として後ろから殴られてしまう、といったミスも減る。

42LX3PQJAの内蔵スピーカーは、Dolby Atmosに対応している。テレビ側の音声モードを「ゲームオプティマイザ」にしておけば、PS5の5.1/7.1ch音声出力が自動的にアップミックスされ、Atmosに近い立体的な音場再現になる。映像にも、音響にも囲まれた状態はゲーム環境として理想に近いのではないかと思う。

音質的にも低音感は十分だし、細かな音の再現性も十分なので満足度は高い。これ以上の音質を求める欲張りさんには、ゲーミングヘッドセットや3Dオーディオ対応のヘッドフォンをオススメする。没入度という点ではヘッドフォンの方が相性がよいだろう。

近接視聴ならば42型というサイズは、十分以上の大画面を感じるし、映像の包囲感は一度体験するとやみつきになる魅力もある。ゲーム好きな人にはかなりおすすめしたい、まさにゲーミングテレビだ。

ゲーム用の設定である「ゲームオプティマイザ」の画面。グラフィックも他とは異なっており、主要なゲーム機能の切替が可能
「ゲームジャンル」の選択。主要なジャンルに合わせた映像・音声設定が用意されている。「ユーザー」を選んで自由にカスタマイズすることも可能
「ゲームオプティマイザ」のトップ画面。FPS(フレームレート)やVRR、ゲームジャンル、高画質設定、低遅延モードなどの主要な項目を一覧できる。下部のアイコンから詳細設定へ移動することもできる

映画はどうか? 特大画面とはまた違った臨場感が楽しめる

さて、最後は映画。今回観たのは2022年公開の「NOPE/ノープ」。IMAXカメラを駆使した臨場感あふれる映像とスケールの大きなサウンドで楽しめる作品だ。フルサイズのIMAXスクリーンで観ないと、もったいないと思うくらい映画館向きの作品で、自宅で観るにしても画面サイズはなるべく大きい方がいいし、サウンドもDolby Atmos対応の環境で、立体的なサラウンドを満喫するのが正解だと思える映画だ。

まず、42LX3QPJAの湾曲した画面は“IMAXのスクリーン感”があっていい。画面のアスペクト比は16:9なので、IMAXとは異なるが、IMAXで採用されるカーブドスクリーンを連想するイメージが案外、好ましい。ここでの視聴距離は1mほどとして、曲率は50%。音声はテレビの内蔵スピーカーから再生している。

この映画、なかなか謎めいた展開になっているし、主人公たちが撮影しようとする謎の現象について触れてしまうと、それが最大のネタバレになってしまうので紹介が極めて難しい。というわけで、ストーリーの紹介はせず、いくつかのシーンを見た印象だけを紹介することにする。

序盤の主人公が経営する牧場の厩舎の中を見回るシーンは、落としたはずの照明がなぜか点いていて、不審に思った主人公が中に入ると、そこに異様な姿の何かが居たというもの。見せ方としては完全にホラー映画。照明を落とした薄暗い厩舎内をゆっくりと歩き回るシーンはなかなか怖い。

このシーンはシネスコサイズで画面がワイドだが、画面の端までよく見えるので異様なモノが画面に居ることにもすぐ気付き、正体不明の何かとの初対面を緊張たっぷりに味わうことができる。

続いては、いきなりクライマックスの手動式のIMAXカメラ(フィルムケースがやたらと大きい!)で、謎の現象を撮影しようとするシーン。このシーンは16:9のサイズとなり、牧場と中心とした広大な土地を広々と見渡すことができる。

近接視聴だから画面のサイズ感も十分に大きいし、湾曲スクリーンの映像が迫ってくる感じが映像と絶妙にシンクロして、息詰まるような緊張感で怪現象をとらえようとする老カメラマンの奮闘を満喫できる。

内蔵スピーカーのサウンドは、立体的なサラウンド感や包囲感は良いし、セリフも明瞭で聴きやすく、十分な実力だ。欲を言えば低音の底力が足りないが、こればかりは内蔵スピーカーでは荷が重いだろう。

湾曲ディスプレイであり、平面にもなる可変型は他には無いスタイル

筆者も湾曲ディスプレイを自宅で試すのは初めてで、映画館のような大画面でなくても、湾曲ディスプレイには数多くの魅力があることがよくわかった。一番のポイントは視聴距離に合わせてフレキシブルに曲率を調整できるベンデッドタイプであることだろう。

リビングに置いて使う場合でも、ふだんは見慣れた平面で家族と一緒に楽しみ、週末や深夜など一人での鑑賞ではかぶりつきの近距離でヘッドフォンとともに極上の没入感で映画やゲームを楽しめるのもいい。

個室で使うには高価だが、パソコン用モニター、ゲーム用モニター、映画用スクリーンとマルチにこなすし、快適な視聴距離に合わせて曲率を柔軟に変えられるので、1台で何役もこなしてしまうイメージがある。書斎用の個人用として極めてぜいたくだが、かなり欲しくなってしまう。

有機ELテレビも画質面でかなりの進歩を果たし、価格もかなり身近になっている。画面輝度の点でもどんどん改善が進んできている。そして、こうした湾曲タイプが登場したことで、今までにないテレビの魅力が楽しめるようになった。まだまだ価格は高いが未来のテレビを先取りした感覚は大きな魅力だ。

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40~60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。