小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第933回
この際だから、大人も子供も無料開放サービスで遊べ! 学べ!
2020年3月24日 08:00
暇を持て余す子供たち
新型コロナウィルス対策として、3月上旬から全国の小中学校、高校が臨時休校となった。子供たちも最初のうちは喜んでいたものの、休校が春休みまで繋がってずっと休みともなると、およそ1カ月となる。普通の休みとは違い外出は控えなければならないため、友だちと遊びに行くこともままならない。仕方なく積まれた宿題に取りかかるといった風景が、多くの家庭で見られるところだろう。
そんな家庭の保護者といえば、一緒に会社が休めるわけでもなく、多くの人は対策しながらの勤務ではないかと思う。山手線なども終電はガラガラだと聞くので、可能な人はテレワークで、不可能な人も早く家に帰っているものと思われる。
日本中が暗い雰囲気に陥りがちな昨今ではあるが、そんな気分を払拭しようと様々な企業がコンテンツの無料開放を始めているところだ。加えて今回のコロナ禍とは関係なく春のキャンペーンとしての無料開放もある。そんなわけで今回は、3月末から4月頭にかけて無料で視聴できるコンテンツのまとめと、そのいくつかを試してみることにした。
無料開放の動画コンテンツ
現在ネットで探せる無料開放コンテンツをAV Watchの記事から抜粋すると、以下のようになる。なおサービスによっては、無料ながらも会員としてエントリーするものや、アンケートへの回答が必須のものがある。単にタダ見するだけでなく、サービスが気に入ったら有料サービスへ登録するなど、そこは意を汲んで大人の対応をお願いしたい。
【キッズ】
「外出が困難な子供達へ」アニメ「ポケモン」放送済みの全話YouTubeで無料配信
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1241645.html
「ビバップ」や「アイカツ!」など、バンダイチャンネルで13作無料配信
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1241175.html
フジテレビの子供番組「ガチャムク」「ぼのぼの」無料配信。FODで31日まで
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1240477.html
Amazon、ポケモンや妖怪ウォッチなどキッズ動画を無料配信。Prime会員以外も
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1239721.html
【アニメ】
バンダイチャンネル 春の期間限定無料配信
https://www.b-ch.com/contents/feat_spring2020/
京アニの青春アニメが多数無料配信。ニコニコでハルヒ、氷菓、ユーフォなど16日から
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1239280.html
【スポーツ】
パ・リーグTV、開幕延期で20日からの無観客練習試合をライブ配信
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1241748.html
Bリーグ無料配信&放送「B.LEAGUE EVERYWHERE」。131試合が無観客開催
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1240395.html
【バラエティ】
テレ東「モヤモヤさまぁ~ず2」無料配信。大江キャスター時代の過去作100本
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1241105.html
吉本興業、漫才や新喜劇などを劇場から毎日12時間無料ネット生配信
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1239402.html
【音楽】
avex、浜崎あゆみやAAAなどのライブ映像を期間限定でYouTube無料公開
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1238581.html
【総合】
ひかりTV、ドラマやアニメなど200本を期間限定無料配信。「自宅時間を心地よく」
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1242034.html
J:COM、ニュース無料放送&アニメ・ドラマ無料配信。「休校・自宅待機をサポート」
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1240268.html
日テレのドラマやバラエティ100作品以上がHulu無料配信。「在宅環境を楽しく」
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1239377.html
全体的に、外出が困難な子供達に向け、キッズコンテンツを持つ企業が積極的に無料サービスを行っているのが目立つ。小さい子供を持つ家庭では、NHK教育や手持ちのDVDを見せているだけでは限界があるところだろうから、ありがたいところである。
無料開放の学習コンテンツ
一方で、家で動画みてゴロゴロしてばかりいられては、保護者としても困るところだ。そこで学習に使える無料開放コンテンツもいくつか探してみた。
【小学館 まなびwith 教材無料提供のお知らせ 新型コロナウイルス対策による臨時休校を受けて】
https://manabi-with.shopro.co.jp/manabico/freestudy
小学生向けの教材を無料提供している。試しに小学校6年生の国語をダウンロードしてみたが、全48ページのPDFによる課題となっており、回答も別PDFでダウンロードできる。プリントアウトが必要だが、最近はコンビニに送ってプリントアウトできるサービスがあるので、スマホしかない家庭でも対応できるだろう。
【セブン‐イレブンで簡単プリント ~ネットプリント(個人のお客様)~】
https://www.printing.ne.jp/index_p.html
【小学館版学習まんが少年少女日本の歴史】
https://kids-km3.shogakukan.co.jp/
同じく小学館の学習まんがである「日本の歴史」は、シリーズ全巻を期間限定で無料公開している。学習まんがは筆者も子供の頃に読んだが、案外基礎知識として頭に入っているものだ。歴史は試験になるとただの暗記物になりがちだが、ざっくりとした流れを掴むだけでもずいぶん違う。
試しに第18巻を読んでみたが、1冊140ページ以上もあり、ボリューム的にはかなりの量である。どうも紙の本からのスキャンであるらしく、それほど解像度は良くない。底本は2014年のもので、およそ6年前のコンテンツだ。一方一番現代に近い第22巻は底本が2019年発行で、DTPデータから電子化したもののようである。
【Gakken 家庭学習応援サイト】
https://www.gakken.co.jp/homestudy-support/
幼児から高校生まで対応。授業動画や百科事典、絵本などを提供している。全学年向けの電子書籍サービス「学研2020年春の応援ライブラリー」では、「まんがでよくわかるシリーズ」が提供されており、文字だけでは学びにくい歴史なども、楽しく学べるだろう。試しに「NEW日本の歴史8 ゆれる江戸幕府」を読んでみたが、学習マンガにありがちな、マンガはさし絵程度でほとんど文字ばっかりといったものではなく、きちんとストーリー仕立てになっており、大人でも楽しめる作りになってい
【N高等学校 全国の休校された生徒の皆さまへ3/1より、N高のオンライン授業を無料開放】
https://nnn.ed.jp/news/blog/archives/10023.html
学校法人角川ドワンゴが運営するN高等学校では、N高で導入しているオンライン学習アプリ「N予備校」を無償提供している。試しにダウンロードして内容を見てみたが、国語や日本史、世界史といった普通科の授業以外に、プログラミング入門や機械学習、スマートフォンアプリ開発など、普通科の高校では学べない内容、特にインターネット技術に関するテキストが充実している。
普通科に行ったものの、自分でスマホアプリ開発をやってみたいという高校生には、ぜひこの機会にチャレンジして欲しいものである。
【JACST臨時休校対応特別企画「休校中の子供たちにぜひ見て欲しい!科学技術の面白デジタルコンテンツ」】
https://sites.google.com/view/jacst-for-kids/home
動画コンテンツもある。全国の大学・研究機関の広報担当者有志「科学技術広報研究会」(JACST)では、科学技術を中心としたライブ授業を展開している。毎日1つか2つの動画がライブ配信されているが、そのままアーカイブも見られる。「J-PARC加速器入門」などは、加速器ラブな一部の子供たちに大受けだろうが、「見るだけじゃない! 目のひみつ」や「友だちに話したくなる! 地球温暖化のリアル」などは、自由研究レポートの宿題が出ている子供たちにはありがたい内容のはずだ。
ただし授業ではあるので、長さは40分から1時間越えのものが多い。大学クラスの内容を易しく解説してくれるとは言え、集中力が持続するかが課題である。
総論
3月中がほとんど休校ということは、1年間の学習のうち、約1/12がこぼれ落ちるという事である。いくら課題を出したからといっても、解説とも言える授業がないのでは、自主学習にも限界がある。
もちろん学校は学校で、休校措置が終了すれば補習などを行なって学習に遅れがないように対応するのだろうから、子供たちは休校開けのほうがむしろ大変かもしれない。
今回のような緊急時に、コンテンツの無料開放を決めた企業の英断には頭が下がるところだ。この想いに応えるには、我々提供を受ける側もしっかりコンテンツを楽しんで、新しい知見を広げたいところである。
全国的に、小中高は3月24日前後が卒業式だったり終業式だったりするようである。夏・冬休みと違い、春休みは課題は少ない時期だが、提供されている教材で学校では学べない内容を学習するのには、いい機会なのではないだろうか。もちろん、子供だけでなく大人も、こうした学習教材は役に立つはずだ。
この災難の時期を、新しいコンテンツの出会いと学びのチャンスに変えていこうではないか。