小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1098回
第2世代になった「Fire TV Stick 4K Max」は、どこが変わったのか
2023年10月25日 08:00
もう第1世代が過去のものに……
10月14日から15日にかけて行なわれたAmazonプライム感謝祭2023。プライム会員限定のセールだったが、FireTVの旧モデルがかなり安く販売されたようだ。それというのも、Amazonでは9月21日にFireTV Stickの新モデルを発表し、現行モデルは旧製品にシフトするからである。
10月18日に発売が開始された「Fire TV Stick 4K Max 第2世代」は、Fire TV史上もっともパワフルなストリーミングメディアプレイヤーとされている。価格は9,980円。
初代Fire TV Stick 4K Maxは2021年に発売されており、その時に一度レビューしている。価格は6,980円だった。
今回は第2世代をお借りし、具体的にどこが新しくなったのか、私物の第1世代と比較してみたい。
2年分の進化はある?
まずボディだが、初代と比較すると若干丸みを帯びた形状になっているものの、サイズなどはほぼ変わらない。電源供給ポートがMicroUSB端子なのも変わらずだ。
違いがあるのはリモコンである。新型の音声認識リモコン「Enhanced」は、従来型より縦方向に2cmほど長くなっている。ボタンは1列増えており、「設定」と「最近のアイテム」ボタンが増設されている。またライブチャンネル用のアップダウンボタンも新設された。
サービスのショートカットボタンにも変更がある。従来「DAZN」と「Amazon Music」だったところが、「TVer」と「U-NEXT」になっている。U-NEXTは現在加入キャンペーンを実施しており、FireTV画面からエントリーできる。
なおこの新型リモコンは、この第2世代とFireTV Cube(第3世代)にしか対応しないようだ。つまり同時発売の「Fire TV Stick 4K(第2世代)」も、従来型のリモコンが付属する。
初代と第2世代のスペックの違いは以下の通り。SoCの性能が上がり、ストレージ容量が16GBに倍化している。OSも一世代アップし、Wi-Fiも新たに6Eに対応するなど、2年間なりのスペックアップが行なわれている。
モデル名 | 初代Fire TV Stick 4K Max | 第2世代Fire TV Stick 4K Max |
SoC | Mediatek MT8696 | Mediatek MT8696T |
CPU | クアッドコア 1.8GHz | クアッドコア 2.0GHz |
GPU | GE8300 750MHz | GE9215 850MHz |
メモリ | 2GB | 2GB |
ストレージ | 8GB | 16GB |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E |
Bluetooth | 5.0 + BLE | 5.2 + BLE |
OS | Fire OS 7 | Fire OS 8 |
重量 | 43.4g | 43.5g |
Wi-Fi 6Eは、新たに6GHz帯が利用できる新方式で、集合住宅等で5GHz帯も混み合っているようなケースでは有用だろう。あいにく筆者宅のルータはWi-Fi 6止まりなので、今回は6Eの恩恵は受けられていない。ただ住環境としては5GHz帯もそれほど混雑しておらず、加えてWi-Fiルータと実機との距離は1m程度なので、今回のテストではスループットには支障ないと考えている。
実際のパフォーマンスは?
CPU、GPUともに若干スペックアップしているところだが、実際に体感できるものだろうか。そこで初代と2台目でホーム画面のスクロールと、再生を選択してコンテンツが表示されるまでの時間を調べてみた。
画面スクロールに関しては、若干ではあるが2世代目が早い。一方再生を選択してコンテンツが表示されるまでの時間は、わずかに初代の方が早い。この程度の操作では、スピード的にはほぼ変わらないようだ。
ハードウェア的なポイントとしては、内部ストレージが16GBに倍化したことが上げられる。OS領域などもあるので、実際にユーザーが利用できるのは13GB程度だが、それでもFire TV Stickにかなりの量のアプリがインストールできる事になる。
試しに容量の大きそうなRPGを片っ端からインストールしてみたが、ほとんどのデータはストリーミングでやってくるようで、アプリデータ自体はかなり小さかった。むしろ配信アプリのほうがストレージは食うようだ。
とはいえ、沢山のサービスアプリをインストールしたいという人からすれば、8GBでは一杯になるケースもあっただろう。ヘビーユーザーはMax第2世代を、ということのようだ。
映像コンテンツとしては、4K Ultra HD、Dolby Vision、HDR、HDR10+に対応し、音声はDolby Atmosにも対応する。ただし再生にはDolby Atmos対応のサウンドバーなどが必要だ。
Amazon EchoシリーズではEcho StudioがDolby Atmosに対応しており、これがあればFire TV側の設定でシアターシステムにセットアップすることが可能だ。Dolby Atmos非対応のEchoでも、最大2台までペアリングできるので、テレビスピーカーよりもすぐれたステレオシステムにセットアップできる。
第2世代4K Maxのみの機能としては、「アンビエントディスプレイ」がある。これは一定の待機時間後に表示されるディスプレイモードで、アーティスティックな風景が表示されるとともに、その上にAlexaウィジェットも表示できる。
AlexaウィジェットはこれまでEcho Showシリーズなどディスプレイ付きEchoで展開してきた機能だが、Fire TVにも徐々にその流れが合流するという事だろう。
ただFire TVはある意味テレビと一心同体であり、見たいときに起動するデバイスだ。Echo Showのように常時表示されているというものでもないため、このウィジェットが機能する瞬間は割と少ないような気がする。
またアンビエントディスプレイは、アート作品が2,000点以上表示されるという点では群をぬいているものの、スクリーンセーバーとしては以前からも数は少ないがアート写真を表示する機能がある。Amazonではこの機能をプレミアムコンテンツと位置づけているようだが、Echo Showに搭載されるならともかく、テレビの電源をONにしてまでわざわざFire TVでアンビエントディスプレイを表示させるかは、ちょっと微妙ではないかという気がする。
総論
初代から3,000円ほど価格アップとなった第2世代だが、その価格差ほど機能が開いているかというと、それほどでもないように思う。強いて上げるならば、ストレージ増加分の価格差、といったところだ。
筆者は現状初代4K Maxで特に不満はないのだが、今回同時発売になった「第2世代 Fire TV Stick 4K」がほぼほぼパフォーマンス的には変わらないものと思われる。半導体部品の都合などもあってのリニューアルとも考えられるが、初代4K Maxが第2世代Stick 4Kへシフト、第2世代4K Maxは初代のストレージ増強版と考えても、あながち間違いではないだろう。
もちろん、リモコンが変わった点は評価できる。TVer、U-NEXTを頻繁に利用する方や、ABEMAのライブストリーミングをよく見る方にとっては便利になっている。ただ、よほどストレージが足りなくて困っているという方以外は、初代Maxからわざわざ乗り換えるメリットはないだろう。
一方Amazonとしては4Kモデルをエントリーに据えたいという思惑があるようで、初代Stick 4KやHDモデルなど、4~5年以上前のモデルのユーザーは、そろそろ買い換えを検討してもいいだろう。