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画質は?全番組配信する?解約時にFire TV廃棄求めない?「NHK ONE」の気になるところ聞いた

NHKの新しいインターネットサービス「NHK ONE」が、10月1日よりスタートした。

放送法では、電波を使ってテレビ・ラジオ番組を届ける“放送”がNHKの必須業務とされてきたが、先般の法改正により、新たに「放送番組の同時配信」「放送番組の見逃し(聴き逃し)配信」「番組関連情報の配信」という3つのネットサービスも任意業務から必須業務へ格上げされた。

これまでは受信契約の締結有無に関係なく、スマホやパソコンでNHKのニュース記事などを閲覧できたが、10月からは、NHKが発信するニュースや天気防災、教育などのネット記事を閲覧する場合も、NHKの公式アプリを使って記事や動画を見る場合も、受信機(テレビなど)を自宅に設置した環境と等しく、受信契約の締結が求められるようになる。

※すでに受信契約を締結している場合は、別途の契約や追加の負担は必要なく、放送およびネットサービスの両方を利用できる

では10月の必須業務化で、NHKのネットサービスはどう変わるのか?

NHK ONEで動画視聴を行なうためのアプリ「NHKプラス」を中心に……

・配信される画質・音質は?
・オリンピックや高校野球も配信する?
・NHKのウォーターマークが大きい、変更ある?
・見逃し番組のダウンロード再生は?
・解約する場合でもチューナーレステレビや外付けデバイスに廃棄求めない?

……など、AV的に気になるところをNHKに訊いてみた。

なお、特設サイト「NHK ONE インフォメーション」のヘルプセンターでもQ&Aが掲出されているので、サービス全般に関する疑問は特設サイトを参照されたい。

NHK ONE インフォメーション

また10月1日現在、NHK ONE利用時に求められるアカウントの登録手続きに関して、認証コードが送信されない不具合が生じているが、NHKのニュース記事閲覧やNHK番組の同時・見逃し配信といった基本的なサービスはアカウント登録が済んでいなくても利用可能だ。

映像や音声の配信仕様、伝送遅延は変わりますか?

質問:テレビアプリおよびスマホアプリ「NHKプラス」について。10月以降、映像や音声の配信仕様、伝送遅延は変わりますか?

【従来の配信仕様】
映像フォーマット
符号化:H.264 AVC、フレームレート:30p、解像度:テレビアプリ最大1,920×1,080/6Mbps、PC/スマホ最大960×540/1.5Mbps
音声フォーマット
符号化:AAC-LC、チャンネル:2ch、サンプリング周波数:48kHz、量子化ビット数:16bit

NHK回答:10月1日以降、PC(ウェブブラウザ)/スマホアプリでも、同時配信・見逃し配信においてHD画質が選択できるようになりました。そのほかの配信仕様や伝送遅延の変更は予定しておりません。

【ウェブブラウザ/スマートフォン・タブレット向けアプリ】
以下の6段階からアプリ側で最適な画質、音質をアプリの設定画面で選択可能
(1)画質6Mbps、音声128Kbps
(2)画質3Mbps、音声128Kbps
(3)画質1.5Mbps、音声64Kbps
(4)画質768Kbps、音声64Kbps
(5)画質384Kbps、音声64Kbps
(6)画質192Kbps、音声64Kbps
一番よい画質(6Mbps)による視聴が可能な環境では、「ハイビジョン(HD)画質」相当になる

「NHKプラス」のスマホアプリでは、画質の設定をユーザー側で変更できる

【テレビ向けアプリ】
利用される回線接続環境に応じて、以下の6段階からアプリ側で最適な画質、音質を選択
(1)画質6Mbps、音声128Kbps
(2)画質3Mbps、音声128Kbps
(3)画質1.5Mbps、音声64Kbps
(4)画質768Kbps、音声64Kbps
(5)画質384Kbps、音声64Kbps
(6)画質192Kbps、音声64Kbps
一番よい画質(6Mbps)による視聴が可能な環境では、「ハイビジョン(HD)画質」相当になる
※スマートフォン・タブレット向けアプリと異なり、画質の設定をユーザー側で変更することはできない

オリンピックや高校野球などの番組も配信されますか?

質問:10月1日以降、すべての総合・Eテレ番組が同時配信・見逃し配信されると考えていいですか? オリンピックや高校野球などの番組も配信されますか?

回答:権利者から配信の許諾を得ることができなかったものなど、「やむを得ない理由があるもの」を除いては配信を行います。10月以降も権利の関係で配信が出来ない番組はあると認識しています。できるだけ多くの番組を配信でご覧いただけるよう引き続き努力してまいります。

同時配信する許諾が得られなかった番組などは、「現在放送中の番組は配信されておりません」と表示されます。番組の一部が配信できない場合には「この映像は配信しておりません」と表示されます。

また、南関東エリア以外の地方向け放送番組は、当面、同時配信は行わず一部の見逃し番組配信のみを提供します。

10月1日以降も、一部番組は同時配信・見逃し配信されない

質問:マルチ編成も同時配信・見逃し配信されますか?

回答:これまで通り、マルチ編成番組も同時配信・見逃し配信の対象となります。

権利関係等で配信できない番組を除きます。

ニュース番組(メインチャンネル)と同時に、スポーツ中継(サブチャンネル)も配信される

質問:従来NHKプラスでは、見逃し配信できるのは初回放送が対象で、番組表から再放送番組を再生しようとすると「この番組は配信しておりません」という案内が表示されました。10月以降、この仕様は変わりますか?

回答:本放送と再放送の曜日・時間があらかじめ決まっているレギュラー放送番組については本放送のみ見逃し配信を行ってきましたが、10月以降についてもこの仕様は変更ありません。

ドラマのイッキ見や以前放送した番組のアンコール放送などについては、見逃し配信は現在も行っていますが、10月以降も引き続き実施する予定です。個別の番組の配信予定については、ウェブページやアプリでご確認ください。

ウォーターマークが大きい。サイズ変更はありますか?

質問:NHKプラスで配信番組を見ると、右上に大きなウォーターマーク(NHKのロゴ)が表示されます。放送に比べて非常に大きいと感じますが、10月1日以降は、サイズの変更などはありますか?

回答:現時点で変更は予定しておりません。

質問:ウォーターマークに関して、TVerの民間配信ではウォーターマークが無いのですが、なぜNHKはウォーターマークを付けて配信しているのでしょうか? またなぜあのサイズなのでしょうか?

回答:NHKのコンテンツであることを明確に示し、利用者の皆さまに認識していただくとともに、不正コンテンツと区別することを目的に表示しています。

利用者の皆さまに認識しやすく、内容を損なわないよう検討し、現在の形、大きさ、透過率としています。

同時配信時のNHKウォーターマークは、放送と同じサイズ
見逃し配信時のNHKウォーターマークは、放送よりもサイズが大きくなる

質問:1アカウントで、同時利用(同時視聴)できる数を教えて下さい

回答:世帯でご利用の場合、番組の同時・見逃し配信について、1つのアカウントで同時に視聴できる「画面の数」は5つが上限です。

質問:現在「Apple TV 4K」などの一部外付けデバイスでは、NHKプラスアプリに対応していません。配信の必須業務化を受けて、今後対応機種を増やす等の考えはありますか?

回答:今後のデバイスの普及なども加味しながら可能な範囲で対応機種の追加を検討していきます。

テレビアプリ「NHKプラス」対応の外付けデバイス(10月現在)

Chromecast with Google TV
※単なる「Chromecast」(黒色)は非対応

AmazonFireTV
・Amazon Fire TV Cube(第2世代)
・Amazon Fire TV Stick 4K
・Fire TV Stick 4K Max
・Fire TV Stick(第3世代)
※Fire TV Stickの第2世代は非対応

Amazon Fire TV(第3世代)

スカパー!+ネットスティック

STB
・J:COM LINK
・J:COM LINK(mini)
・auひかり テレビサービス(STA3000/STW2000)
・ケーブルプラスSTB-2
・CATVデジタルSTB(TZ-LT1500BW/TZ-HT3500BW)

見逃し番組のダウンロード再生はできるようになりますか?

質問:見逃し番組のダウンロード再生など、将来的に実装したい、もしくは準備中の機能はありますか?

回答:見逃し番組のダウンロード再生機能については、現時点では技術的な対応や権利処理の観点から、具体的な検討には至っていませんが、公共メディアとしての使命を果たすうえで、重要なテーマの一つと認識しています。

たとえば、通勤・通学中の移動時間や、災害時などネット接続が不安定な状況でも、必要な情報や番組にアクセスできることは、生活の安心につながります。こうした機能は、利便性の向上だけでなく、社会的な役割を果たすものでもあり、今後のサービス展開において検討すべき価値ある領域と考えています。

NHK ONEでは、誰もが使いやすく、必要なときにすぐに頼れる設計を目指しています。たとえば、災害時に必要な情報にすぐにたどり着ける導線や、子どもや高齢者にもわかりやすい操作性など、利用シーンに応じた工夫を重ねていきたいと考えています。

解約時、チューナーレステレビは廃棄の対象になりますか?

質問:サービスの解約について。「ネット配信の受信契約を解約する場合、NHKがスマートフォンやパソコンの廃棄などを求めることもない」とのことですが、これはチューナーレステレビやFire TVなどの外付けデバイスに対しても同様に「(解約時に)廃棄を求めない」という理解で正しいですか?

回答:ご理解の通りです。NHKのインターネット配信サービスを利用するためのスマートフォンやパソコン、チューナーレステレビ、Fire TVなどの機器は、テレビ放送を受信するための専用機器ではなく、一般的にさまざまな汎用的に使われる汎用的な機器です。そのため、受信契約を解約する際に、NHKがこれらの機器の廃棄等を求めることはありません。

受信契約の解約の手続き方法については、利用者のみなさまが安心してご利用いただけるよう、今後ホームページなどでわかりやすくご案内していく予定です。

阿部邦弘