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10月開始の「NHK ONE」を体験。スマホ向け配信も最大1920×1080に
2025年9月26日 13:11
NHKは25日、10月1日から新しく開始するインターネットサービス「NHK ONE」の体験会を開催した。準備中のスマホアプリやテレビアプリを披露するとともに、その使い勝手や新機能を紹介した。
10月開始の「NHK ONE」とは
NHK ONEは、スマートフォンやタブレット、PC、ネット対応テレビに対し、総合テレビやEテレの放送番組、ニュース記事、動画、防災などのコンテンツ・情報をネット経由で提供するNHKの新サービスだ。10月1日以降、NHKウェブサイトへアクセス、または専用アプリを使うことで、さまざまなネットサービスが利用できる。
ネットサービスの利用は、NHKと受信契約を結んでいることが前提。
テレビなどの受信機を設置し、既にNHKと地上契約または衛星契約を結んでいる場合は、別途契約や追加費用を払うことなく利用可能。一方で、テレビなどの受信機を設置していない状態で、ネットサービスのみを利用する場合は「地上契約」手続き(月1,100円、沖縄県は965円)が必要だ。
ネットサービスの開始に伴い、現行アプリ「NHKプラス」、「NHK ニュース・防災」、「NHK for School」は9月30日で終了となり、10月以降は利用できなくなる。
10月1日以降は、リニューアルした新アプリ「NHKプラス」(※現行アプリと同名)、「NHK ONE ニュース・防災」、「NHK ONE for School」を新たにダウンロードして使う。新アプリは10月1日0時以降、順次Google Play、App Storeなどで配布が開始される予定だ。
なお、NHKのラジオ番組が楽しめるアプリ「NHKラジオ らじる★らじる」と、語学アプリ「NHKゴガク 語学講座」は、これまでと変わらず10月1日以降もそのまま利用できる。
10月以降はスマホアプリも1080解像度サポート
メディア向けに開かれた体験会では、テレビアプリ「NHKプラス」(Fire TV版)、そしてスマホアプリの「NHKプラス」と「NHK ONE ニュース・防災」(ともにiOS版)を、一足先に試すことができた。
リニューアルされたテレビアプリ「NHKプラス」の変更ポイントは、総合テレビ、およびEテレで“現在放送中の番組”が視聴&追いかけ再生できるようになったこと。テレビアプリは従来、放送が終わってからでないと番組再生できなかったが、10月以降は「同時配信」「追いかけ再生」「見逃し配信」が楽しめる。
会場では、Fire TVを接続したテレビが用意され、放送中のEテレ番組を表示するデモを実演。メインメニューからEテレ番組を選択すると、数秒で番組が表示された。
また「はじめから再生」を選ぶと、放送中の番組をすぐさま最初から視聴することができた。UIも見易く、サクサクと反応する動作も印象的だった。
配信仕様は、同時・見逃し配信ともに最大1,920×1,080解像度で、ビットレートは6Mbps。多くのネット動画サービスと同様、回線状態に応じて解像度やビットレートは変動する仕組みだ。フレームレートは30pで、コーデックはH.264 AVC。音声は48kHz/16bitのステレオで、AAC-LCコーデックを使っている。電波経由で表示される場合と、ネット経由で表示される場合のタイムラグは、50秒程度とのこと。
10月1日以降、基本的には、総合・Eテレすべての番組が配信の対象となる。ただし「海外のコンテンツやスポーツなど、権利関係の都合上やむを得ず配信できない番組」も出てくるという。
なお、スマホアプリ「NHKプラス」はこれまでと変わらず、同時配信・追いかけ再生・見逃し配信が利用できる。
アプリリニューアル後の大きな変更点は解像度。スマホアプリでは最大960×540解像度/1.5Mbpsに制限されていたが、10月1日以降はテレビアプリと同じ最大1,920×1,080解像度で楽しめるようになる。
テレビアプリ「NHKプラス」では、番組のエピソード情報も強化された。番組そのものの視聴は、放送中または放送終了1週間以内のものに限られるが、以前取り上げたテーマであったり放送予定の概要など、関連する過去・未来番組の情報をテキストで確認できるようになった。
「ニュース」メニューもアップデート。例えば「ニュース」を選択すると、「おはよう日本」「NHKニュース7」「ニュースウォッチ9」などで取り上げられたニュースを個別に再生したり、動画付きのニュース記事を閲覧できるようにした。また地域選択を変更すれば、NHKが日本全国に構える各放送局の番組やニュースもチェックできる。
NHK ONEアカウントを登録して、ログインすれば、「デバイス連携」や「キッズモード」機能も使うことができる。デバイス連携とは、例えば外出中にスマホで見ていた見逃し番組の続きを、帰宅後にネット対応テレビで見ることができるようになる機能。またキッズモードにすると、Eテレなどの教育コンテンツが優先的に表示されるようになる。
なお、ログインした状態・していない状態に関わらず、表示されるコンテンツに差分はないとのこと。ただし、ログインしていない状態でサービス利用を続けると、1日に1回の頻度で「NHK ONEアカウント登録のお願い」が表示される。
またログイン状態であっても受信契約の確認が必要になるため、受信契約情報の登録・連携を促す案内を、7日に1回の頻度で表示する予定という。
初回利用時に表示される誤受信防止の案内「ご利用にあたって」
テレビアプリ、スマホアプリともに、初回利用時には「ご利用にあたって」と書かれたポップアップが表示されるようになっていた。これは10月1日のサービス以降、初めてNHKウェブサイトへアクセス、または専用アプリを起ち上げた際に必ず表示される、誤受信防止を目的とした告知。
この案内には、ネットサービスの利用にあたって、NHKの受信契約の締結が必要である旨が記載されている。利用者は、内容を確認したことを示すチェックマークをタップすることでネットサービスが利用できるようになっている。なお、この画面でサービス利用に同意した場合は、NHKの受信契約を締結する義務が生じる。
アプリの開発責任者を務める、NHK デジタルセンターの安田達一郎副部長は、「約1年半ほど、NHK ONEのウェブサイトと各アプリの開発を担当してきた。テレビアプリに関しては、リビングで皆が見る・利用することを想定し、ハイビジョン画質で同時配信を楽しめるよう開発した。またアプリ内の番組表UIも、テレビのEPG操作に慣れているであろうユーザーを意識して実装した」と、アプリ開発で拘った個所を説明。
スマホアプリに関しても「どこでも使えること、そしてニュース記事・放送番組・各種情報をシームレスに取得できるよう、UIや機能を統合した。それから画質の設定を変更できるようにするなど、利用者の状況や使い方に応じてフレキシブルに調整できるよう工夫している」と語った。
なお、見逃し配信のオフライン再生機能など、今後の実装予定機能について質問すると、「(オフライン再生は)重要なテーマの一つだとは認識しているが、現状は具体的な検討には至っていない。NHK ONEアカウント登録の魅力を高める施策は、いろいろやっていきたいと思っている」とのことだった。