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Netflix“武士のバトロワ”「イクサガミ」配信開始。岡田准一の怪我も作品に活かす
2025年11月13日 22:35
Netflixは11月13日、武士による“バトルロワイヤル”を描いたNetflixシリーズ「イクサガミ」の配信開始を記念し、東京・浅草にある浅草寺の特設ステージで配信記念イベント「戦神祭」を開催した。イベントにはプロデューサーも務めた主演の岡田准一をはじめとするキャスト・監督総勢13名が登場。一夜限りのLIVE殺陣アクションも披露された。
今村翔吾による時代小説「イクサガミ」シリーズを原作とした作品で、9月に行なわれた第30回釜山国際映画祭でのワールドプレミアでは、海外からも絶賛の声が続出したとのこと。全6話で、13日から全話が一挙配信されている。
時は明治11年、深夜の京都・天龍寺。莫大な賞金を得る機会を与えられた腕に覚えのある志士たち292名がこの地に群がった。告げられたのは、各自に配られた木札を奪い合い、東京に辿り着いたものに賞金が与えられる〈蠱毒(こどく)〉という名のゲームのルール。
主人公・嵯峨愁二郎(岡田准一)は、妻と子を病から救うため命がけの遊戯ゲームへの参加を決意する。
出演は岡田のほか、藤崎ゆみあ("崎"はたつさき)、清原果耶、東出昌大、染谷将太ほか。
13日に浅草寺で行なわれたイベントには、岡田ら5名に加え、早乙女太一、遠藤雄弥、岡崎体育、吉岡里帆、二宮和也、玉木宏、伊藤英明のキャスト陣、そして藤井道人監督が登場。同作の舞台裏や、作品に込めた思いを語った。
イベントは劇中さながらの殺陣で開幕。作品は「日本の美」にも注目
イベントは、今作の制作スタッフたちが、この日のためだけに再集結して作り上げた、一夜限りのLIVE殺陣アクションでスタート。
客席周辺に蠱毒参加者を装った人々が集い始め、二宮演じる槐の声で蠱毒開始の号令がかかると、本編さながらのアクションが繰り広げられる。
すると、客席後方から主演の岡田が、劇中で奪い合う木札を拾い上げて登場。会場に集まったファンから声援を浴びながらステージに登壇した。
今作に“日本でも、世界で売れる時代劇を若い世代で作る”という思いで臨んだという岡田は、「2022年にこの話を頂いたときに、藤井くん(藤井道人監督)とじゃなきゃやらない、というのが絶対条件でした」とコメント。
その理由について「守りに入るのではなく、やっぱり攻めたものを作って、よりアグレッシブに、“モア・ストーリー性”、“モア・キャラクター性”、“モア・エモーショナル”を掲げて、それをお芝居でつなげて、世界に見せていく気概で作り上げるには、藤井くん(藤井道人監督)しか考えられなかった」と明かした。
そんな藤井監督は「岡田さんからいただいたバトンはプレッシャーもありましたが、素晴らしいキャストとスタッフと、この作品に携われたことが嬉しい」と語った。
イベントでは、テーマを決めたトークセッションも展開。お気に入りのシーンを問われると、藤井監督は「アクション以外の部分をあえて挙げるとすると、日本の美」だと明かした。
「岡田さんが最初にこの企画を僕に持ってきたとき、日本の美というものをしっかり伝えたいと。仏閣だったり、逆さ富士、お祭りなどたくさんの日本の美を込めました。1周目、アクションに魅了されたかたは、2周目で日本の美に気づいていただけたら」
プロデューサーを務めた岡田も「暮らしが映るのが時代劇のとても大事な要素だと思っていて、“暮らしの中にある日本の美”というのは意識しました」と語る。
「良い時代劇は暮らしが映っているイメージがあるんです。夜の祭りで提灯から漏れる光が日本の美につながっていたり。そこを(伊藤英明演じる貫地谷)無骨が台風の目のようになって崩していく”台風感”を撮ったり。ワンカット、ワンカット、意味があるもの、文化としてちゃんと映していこうということを、すごく意識した現場でした」
怪我も作品に活用。「矢を曲げる」達人も協力
続いて、『現場で惚れた! あの人の”すごい”瞬間』を問われると、「乱斬り無骨」の異名を持ち、岡田演じる愁二郎と因縁を持つ貫地谷無骨役の伊藤は「岡田准一の背中に惚れましたね」と一言。
「スタントなしで危険なシーンの撮影に臨んだんですけど、どうしても怪我をさせてしまう瞬間がありました。(岡田に)まぶたの上をザックリ切る怪我をさせてしまって。血を見た瞬間に撮影を止めなくては、となったんですが、岡田さんは僕に俳優としてのトラウマを与えないように、(アクシデントが)なかったかのように『次やりましょう!』って言ってくれました」
「終わったあとも満身創痍になっているなか、岡田さんはすぐに立って『次、ロケハン行ってきます!』と。そんな鉄人的な姿を見せられました」
すると、岡田は「夜のシーンで、大雨を降らせたんです」と、そのシーンを振り返った。
「映像に映る雨の量って、とんでもない強さ。“雨降らし”の車両も今まで見たことないものが来て、何十トンという量の雨を降らせました。そんななかで刀を振っていると距離感が全然わからなくなってしまったんですよね」
「(アクションシーンに)怪我はつきものなのですが、監督と『この怪我を活かそう』と話をしまして、その怪我も活かして映像にしてあります」
アイヌの弓使い・カムイコチャ役を演じた染谷は、アクションシーンについて「弓と聞くと弓道を思い浮かべるかもしれませんが、僕がやらせてもらったのは“弓術”。より実戦的というか、動くものを対象にした術です。山に住んでいる弓術の達人を岡田さんが見つけてきたんです」と明かす。
「(その達人は)射った矢を曲げられるんです。例えば相手が木の後ろに隠れていても、矢を曲げて当てるという技を持っているんです。僕も一緒に山に行かせてもらつて練習して、実際に『こういう状況だったら、こういうふうに矢を射る』とか、『こうやって連射する』とか学びました。速射といって、瞬きしている間に連射できるんです」
「僕自身もやったことがなかったですし、作品としても弓術で弓のアクションを描いたものはあまりないと思うので、楽しかったです。(射った矢が曲がっているかは)作品を見ていただけば」
この弓術の達人を見つけた岡田は「弓を曲げたいと思っていて」と一言。「現代のロビン・フッドと呼ばれる人がデンマークにいたんですよ。さすがに呼べないよなぁと思っていたら、日本の千葉にも(弓術の)達人がいたんです」と明かした。
また岡田は、撮影で一番過酷だったシーンを問われると、「最終話で『燃えたい』って僕、言ったんですよ」と語った。
「それを聞いたスタッフがみんな“……”ってなっちゃって。『こういうふうにやりたい』と映像とかも見せて説明しました。『(アクションシーンで相手役の)伊藤さんに誰が言うんだ』と別のプロデューサーが言ってきたので、僕が伊藤さんに直接『燃えてみたくないですか? 役者人生で燃えたくないですか?』って(笑)」
すると伊藤も「あのとき、岡田さんから発せられる一言一言が怖かったです(笑)。本当にいたずらっ子のような顔をしていたけど『これを乗り越えたら、また新たなものが得られますよ』って(笑)。とにかくやる前は怖かったです」
岡田も「スタッフも防火服を着たり、万全の安全準備を整えながら、みんなが一緒に戦ってくれました。現場を熱くできたのが宝だったと思います」
最後に、藤井監督は「今村先生の素晴らしい原作を、映像で汚してはいけないし、絶対に映像も並走できる面白いものにしたいと思って、死に物狂いで走ってきました。今日からイクサガミはみなさまのものになりますし、みなさまの生活の一部にエンターテインメントとして残ってくれることを願っています」とコメント。
岡田も「この作品は世界の方々にも注目していただいています。日本のみなさんに誇ってもらえるモノづくりをしたいと僕たちは思っていて、みなさんに元気になってもらいたいと思いながら、モノづくりをしています。この作品がみなさんの誇りになって『良いものを世界に届けられるよね』という気持ちになってくれればとお見ます。一気見していただいて『面白かったよね!』とみんなで話し合ってもらえることが本当に幸せです。ぜひ楽しんで見てください」と語った。














