AV Watchアワード
ハイセンスのミニLEDテレビ「U9R」。魅力はトップクラスの高輝度性能!【測定データすべて見せます(1)】
2025年10月23日 08:00
読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。
10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。
今回取り上げるブランドは「ハイセンス」。
AV Watchアワード2025では、今年6月に発売した4KミニLED液晶テレビの「65U9R」(33.8万円前後)をテスト。65U9Rの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。
シリーズ・製品概要
ハイセンスは現在、国内最大116型を擁する最上位「U9R」シリーズを筆頭に、「U8R」、「U7R」、「U6R」、そして発売したばかりのエントリー「A6R」の全5シリーズ22機種の4K液晶テレビを展開している。
ミドルからハイエンドまで、ミニLEDバックライト×量子ドットの最新技術を積極的に導入している。また手頃なU6Rでも量子ドットを採用するなど、比較的カラフルで鮮やかな画作りも特徴だ。
U9Rを含む各シリーズのインチサイズと、市場想定価格は以下の通り。
インチサイズと市場想定価格
116 | 100 | 98 | 85 | 75 | 65 | 55 | 50 | 43 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
U9R | 550 | ー | ー | 64.8 | 44.8 | 33.8 | ー | ー | ー |
U8R | ー | 89.8 | ー | 44.8 | 29.8 | 23.8 | 19.8 | 16.8 | ー |
U7R | ー | ー | ー | 33 | 25.8 | 18.8 | 15.8 | ー | ー |
U6R | ー | ー | 44 | ー | ー | ー | ー | 10 | 9 |
A6R | ー | ー | ー | ー | 11 | 9.9 | 8.47 | 7.92 | 6.93 |
最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)
シリーズ別の比較
エン ジン | ミニ LED | 量子ドット | 倍速 | HDR | アトモス | 音声 出力 | チュ ーナ | HD MI 入力 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
U9R | HI-VIEW AIエンジン PRO | 〇 | 〇 | 120Hz 144Hz (VRR) | Dolby Vision IQ HDR10+ Adaptive HDR10 HLG | 〇 | 110W or 90W | 4K:2 2K:3 | 4 |
U8R | 70W or 60W | ||||||||
U7R | 50W or 40W | ||||||||
U6R | ー | 50W or 40W | |||||||
A6R | HI-VIEW AIエンジン R | ー | ー | Dolby Vision HDR10 HLG | ー | 50W or 40W | 4K:2 2K:2 | 4 or 3 |
テストした「65U9R」について
シリーズ最上位・U9Rの65型「65U9R」は、ミニLEDバックライトおよび量子ドット技術を搭載した、広視野角の4K液晶パネル(3,840×2,160ピクセル)を採用。
新開発のミニLEDチップ「Mini-LED X」を、U9Rシリーズのみに搭載し、発光効率を昨年モデル(U9N)比で20%向上。同じ消費電力の場合、旧型よりも輝度が20%アップした。
さらに、ミニLEDチップに乗せる新型レンズ「パワーフォーカスレンズ」により、光漏れを旧型より最大150%改善。これにより「有機ELに迫る精密なコントラスト表現を実現する」とアピールしている。
パネル表面の映り込み対策には、高価なアンチリフレクション(AR)コーティングを採用。“光の干渉”を利用した外光の映り込み軽減によって、暗部の黒の締まりを追求した。
映像エンジンは、TVS社と共同開発した最新AIエンジン「HI-VIEW AIエンジンPRO」を搭載。
これにより、信号を解析して肌の質感や色彩、ジャダー、カクツキ、バンディングノイズに最適な処理を行なう「AIピクチャー」、シーンに応じて自動で画質調整を行なう「AIシナリオ」、コンテンツやシーンに応じて音質モード切り替えやイコライジングを行なう「AIサウンド」、環境応じてバックライトをコントロールする「AIエネルギー」が可能になった。
対応するHDR規格は、HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Visionのほか、視聴環境にあわせて処理を行なうHDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQもサポートする。
最大4K/144Hz(VRR)までの高リフレッシュレートゲームに対応。ゲームプレイに特化したゲーミングメニューも用意しており、リフレッシュレートやHDR、VRRの状況を確認できるだけでなく、バックライトや暗部ガンマの調整、FPSゲームなどで利用できる「照準表示」にも対応する。
'24年モデルのU9Nから大きく変わったのが、サウンドシステム。
従来は、2.1.2ch/7スピーカーシステム(60W)だったが、最新のU9Rではサイドスピーカーとセンタースピーカーを追加した5.1.2ch/9スピーカーシステムにアップデート。スピーカー最大出力も、ほぼ倍の110Wに強化されている(65型のみ4.1.2ch/90W仕様)。
OSは、独自プラットフォームの「VIDDA(ヴィダ)」。NetflixやPrime Video、Disney+、YouTube、U-NEXT、TVer、NHKプラス、FOD、WOWOWオンデマンド、Amazon Musicなど、約20社の主要な動画・音楽配信サービスアプリがプリインストールされている。
4K衛星放送チューナー(BS4K/110度CS4K)を2基、地上/BS/110度CSデジタルチューナーを3基搭載。別売の外付けUSB HDDを接続することで、4K、2K放送の裏番組録画などが行なえる。放送×放送の2画面表示も楽しめる。
HDMI入力は4系統(ARC/eARC対応)。光デジタル出力、ヘッドフォン出力、LAN端子を備える。USBは2系統。Wi-Fi、Bluetoothにも対応する。
65U9Rの消費電力は252Wで、年間消費電力は152kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、1,448×290×874/914mm(幅×奥行き×高さ)/29.2kg。
マスターモニターとの比較動画
※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
ディスプレイ性能
映像モード「AI自動」
輝度
映像モード 「AI自動」 | 65U9R (25年モデル) | 65U9N (24年モデル) | 65UX (23年モデル) |
---|---|---|---|
10%輝度 | 3,270cd/m2 画面の明るさ100 3,090cd/m2 画面の明るさ90 (デフォルト) | 2,923cd/m2 | 1,314cd/m2 |
全白輝度 | 718cd/m2 画面の明るさ100 656cd/m2 画面の明るさ90 (デフォルト) | 781cd/m2 | 556cd/m2 |
映像モード 「映画」 | 65U9R (25年モデル) | 65U9N (24年モデル) | 65UX (23年モデル) |
---|---|---|---|
10%輝度 | 2,707cd/m2 画面の明るさ100 2,514cd/m2 画面の明るさ90 (デフォルト) | 2,619cd/m2 | 732cd/m2 |
全白輝度 | 607cd/m2 画面の明るさ100 556cd/m2 画面の明るさ90 (デフォルト) | 732cd/m2 | 764cd/m2 |
色域
映像モード 「映画」 | 65U9R (25年モデル) | 65U9N (24年モデル) | 65UX (23年モデル) |
---|---|---|---|
BT.2020 1931カバー率 | 77.42% | 74.24% | 80.68% |
BT.2020 1976カバー率 | 83.34% | 79.66% | 82.44% |
入力遅延
映像モード 「ゲーム」 | 65U9R (25年モデル) | 65U9N (24年モデル) | 65UX (23年モデル) |
---|---|---|---|
4K60p | 9.8ms | 9.5ms 19.5ms (ロールプレイング) | 12.5ms |
2K120p | 1.5ms | 1.5ms | 3.6ms |
HDMI仕様
HDMI入力信号 | 65U9R (25年モデル) | 65U9N (24年モデル) | 65UX (23年モデル) |
---|---|---|---|
4K120fps | 〇 | 〇 | 〇 |
4K144fps | 〇 | 〇 | ー |
ゲーム用HDR10 | 〇 | 〇 | 〇 |
ゲーム用Dolby Vision | 〇 | 〇 | 60Hzまで |
4K50Hz | ー | ー | 〇 |
1440p | 60Hzまで | 60Hzまで | ー |
非圧縮ステレオ | 〇 | 〇 | 〇 |
非圧縮5.1ch | 〇 | ー | ー |
非圧縮7.1ch | ー | ー | ー |
ドルビーデジタル | 〇 | 〇 | 〇 |
DTS | ー | ー | ー |
Dolby Atmos | 〇 | 〇 | 〇 |
DTS:X | ー | ー | ー |
その他 | 65U9R (25年モデル) | 65U9N (24年モデル) | 65UX (23年モデル) |
---|---|---|---|
電源ケーブル着脱 | 〇 | 〇 | 〇 |
スイーベルスタンド | ー | ― | ー |
・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった