AV Watchアワード

ハイセンスのミニLEDテレビ「U9R」。魅力はトップクラスの高輝度性能!【測定データすべて見せます(1)】

ハイセンスのミニLED液晶テレビ「U9R」

読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。

10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。

※実際のテスト時は、スタンドにテレビを乗せて視聴しています

今回取り上げるブランドは「ハイセンス」。

AV Watchアワード2025では、今年6月に発売した4KミニLED液晶テレビの「65U9R」(33.8万円前後)をテスト。65U9Rの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。

シリーズ・製品概要

ハイセンスは現在、国内最大116型を擁する最上位「U9R」シリーズを筆頭に、「U8R」、「U7R」、「U6R」、そして発売したばかりのエントリー「A6R」の全5シリーズ22機種の4K液晶テレビを展開している。

ミドルからハイエンドまで、ミニLEDバックライト×量子ドットの最新技術を積極的に導入している。また手頃なU6Rでも量子ドットを採用するなど、比較的カラフルで鮮やかな画作りも特徴だ。

U9Rを含む各シリーズのインチサイズと、市場想定価格は以下の通り。

インチサイズと市場想定価格

11610098857565555043
U9R55064.844.833.8
U8R89.844.829.823.819.816.8
U7R3325.818.815.8
U6R44109
A6R119.98.477.926.93

最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)

シリーズ別の比較

エン
ジン
ミニ
LED
量子ドット倍速HDRアトモス音声
出力
チュ
ーナ
HD
MI
入力
U9RHI-VIEW
AIエンジン
PRO
120Hz
144Hz
(VRR)
Dolby
Vision IQ

HDR10+
Adaptive

HDR10

HLG
110W
or
90W
4K:2
2K:3
4
U8R70W
or
60W
U7R50W
or
40W
U6R50W
or
40W
A6RHI-VIEW
AIエンジン
R
Dolby
Vision

HDR10

HLG
50W
or
40W
4K:2
2K:2
4
or
3

テストした「65U9R」について

U9R

シリーズ最上位・U9Rの65型「65U9R」は、ミニLEDバックライトおよび量子ドット技術を搭載した、広視野角の4K液晶パネル(3,840×2,160ピクセル)を採用。

新開発のミニLEDチップ「Mini-LED X」を、U9Rシリーズのみに搭載し、発光効率を昨年モデル(U9N)比で20%向上。同じ消費電力の場合、旧型よりも輝度が20%アップした。

さらに、ミニLEDチップに乗せる新型レンズ「パワーフォーカスレンズ」により、光漏れを旧型より最大150%改善。これにより「有機ELに迫る精密なコントラスト表現を実現する」とアピールしている。

パネル表面の映り込み対策には、高価なアンチリフレクション(AR)コーティングを採用。“光の干渉”を利用した外光の映り込み軽減によって、暗部の黒の締まりを追求した。

U9R

映像エンジンは、TVS社と共同開発した最新AIエンジン「HI-VIEW AIエンジンPRO」を搭載。

これにより、信号を解析して肌の質感や色彩、ジャダー、カクツキ、バンディングノイズに最適な処理を行なう「AIピクチャー」、シーンに応じて自動で画質調整を行なう「AIシナリオ」、コンテンツやシーンに応じて音質モード切り替えやイコライジングを行なう「AIサウンド」、環境応じてバックライトをコントロールする「AIエネルギー」が可能になった。

対応するHDR規格は、HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Visionのほか、視聴環境にあわせて処理を行なうHDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQもサポートする。

最大4K/144Hz(VRR)までの高リフレッシュレートゲームに対応。ゲームプレイに特化したゲーミングメニューも用意しており、リフレッシュレートやHDR、VRRの状況を確認できるだけでなく、バックライトや暗部ガンマの調整、FPSゲームなどで利用できる「照準表示」にも対応する。

'24年モデルのU9Nから大きく変わったのが、サウンドシステム。

従来は、2.1.2ch/7スピーカーシステム(60W)だったが、最新のU9Rではサイドスピーカーとセンタースピーカーを追加した5.1.2ch/9スピーカーシステムにアップデート。スピーカー最大出力も、ほぼ倍の110Wに強化されている(65型のみ4.1.2ch/90W仕様)。

OSは、独自プラットフォームの「VIDDA(ヴィダ)」。NetflixやPrime Video、Disney+、YouTube、U-NEXT、TVer、NHKプラス、FOD、WOWOWオンデマンド、Amazon Musicなど、約20社の主要な動画・音楽配信サービスアプリがプリインストールされている。

4K衛星放送チューナー(BS4K/110度CS4K)を2基、地上/BS/110度CSデジタルチューナーを3基搭載。別売の外付けUSB HDDを接続することで、4K、2K放送の裏番組録画などが行なえる。放送×放送の2画面表示も楽しめる。

背面

HDMI入力は4系統(ARC/eARC対応)。光デジタル出力、ヘッドフォン出力、LAN端子を備える。USBは2系統。Wi-Fi、Bluetoothにも対応する。

65U9Rの消費電力は252Wで、年間消費電力は152kWh/年。スタンドを含む外形寸法/重量は、1,448×290×874/914mm(幅×奥行き×高さ)/29.2kg。

マスターモニターとの比較動画

4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、ハイセンスの4K液晶テレビ「65U9R」(左、映像モードは「映画」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65

ディスプレイ性能

映像モード「AI自動」

映像モード「AI自動」(デフォルト時、明るさ90)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
映像モード「AI自動」(明るさ100)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「映画」

映像モード「映画」(デフォルト時、明るさ90)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
映像モード「映画」(明るさ100)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

輝度

輝度値
映像モード
「AI自動」
65U9R
(25年モデル)
65U9N
(24年モデル)
65UX
(23年モデル)
10%輝度3,270cd/m2
画面の明るさ100

3,090cd/m2
画面の明るさ90
(デフォルト)
2,923cd/m21,314cd/m2
全白輝度718cd/m2
画面の明るさ100

656cd/m2
画面の明るさ90
(デフォルト)
781cd/m2556cd/m2
映像モード
「映画」
65U9R
(25年モデル)
65U9N
(24年モデル)
65UX
(23年モデル)
10%輝度2,707cd/m2
画面の明るさ100

2,514cd/m2
画面の明るさ90
(デフォルト)
2,619cd/m2732cd/m2
全白輝度607cd/m2
画面の明るさ100

556cd/m2
画面の明るさ90
(デフォルト)
732cd/m2764cd/m2

カラースペクトラム

映像モード「映画」時のカラースペクトラム

色域

映像モード「映画」時の色域
映像モード
「映画」
65U9R
(25年モデル)
65U9N
(24年モデル)
65UX
(23年モデル)
BT.2020
1931カバー率
77.42%74.24%80.68%
BT.2020
1976カバー率
83.34%79.66%82.44%

画素構造

映り込み

入力遅延

映像モード
「ゲーム」
65U9R
(25年モデル)
65U9N
(24年モデル)
65UX
(23年モデル)
4K60p9.8ms9.5ms

19.5ms
(ロールプレイング)
12.5ms
2K120p1.5ms1.5ms3.6ms

HDMI仕様

HDMI入力信号65U9R
(25年モデル)
65U9N
(24年モデル)
65UX
(23年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision60Hzまで
4K50Hz
1440p60Hzまで60Hzまで
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他65U9R
(25年モデル)
65U9N
(24年モデル)
65UX
(23年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
測定について

・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった

阿部邦弘