プレイバック2020

オンライン会議・取材用のWebカメラ環境。最後にたどり着いた固定方法は…… by 日沼諭史

デスクトップPCのWebカメラをどうセッティングすべきか

すっかりオンラインの会議や取材が当たり前になった2020年、自宅に設けた仕事環境で最も手間をかけたのも、やはりオンライン会議・取材用のカメラのセッティング方法だった。

Webカメラを内蔵しているノートPCなら何も悩むことはないのだけれど、自宅だとデスクトップPCがメインなので、外部カメラを接続することになる。画質と使うときの手間のバランスからどんな機器構成が最適なのか、それを探ってファイナルアンサーを出すのに10カ月くらいかかったかもしれない。

振り返ってみると、最初のステップではまずカメラをどれにするかで悩んだ。手持ちのソニーのアクションカム「FDR-X3000」にするか、同じくソニーの一眼ミラーレス「α7III」のどちらがいいか。

ソニーのアクションカム「FDR-X3000」と一眼ミラーレス「α7III」、どちらがWebカメラに最適か

絶対的な画質としてはやはりα7IIIだが、なにしろデカい。当時、まだWebカメラ化するアプリケーションが公式ではリリースされておらず、HDMI出力する必要があり、ケーブル接続も含めて考えると設置スペースをさらに取る。バッテリーも食うし、寿命も縮まりそうだ。そもそも普通に撮影用のカメラとして使いたいから何度も取り付け・取り外しを繰り返すことになるのは避けたい。

ミラーレスカメラはデカすぎて邪魔すぎる

ということで、専らアクションカムをWebカメラ代わりに使うことにした。外に出てアクションを撮影するような機会もこのご時世でめっきり減ったので、流用先としてはちょうどいい。画質も十分に高く、画角を広く取れるのもメリットとしては大きい。

次のステップでは、このアクションカムをどこに、どうやって固定するかで迷走した。いずれにしてもHDMI出力してPCのキャプチャーユニットに取り込むという接続方法になるので、HDMIケーブルの接続は必須。途中で電池切れしてしまうのを防止するために、常に給電することも考えなければならない。

それらを考慮しながら、最初は小型の三脚に固定して、キーボードとモニターの間に置くことにした。アクションカムは画角を広く取れるし、小さいので、狭くて自分に近いスペースに置いてもうまくWebカメラとして機能してくれる。

小型三脚でモニター前に設置。ミラーレスよりはマシだが……

が、いくら小型の三脚でも、やはり邪魔である。ディスプレイを遮るので会議中や取材中に他の情報を参照したくても目障りでうっとうしい。大きめの三脚でモニターの向こう側から狙いをつける形で設置してみたりもしたが、ケーブルの取り回しが面倒だし、ずっと置きっぱなしにするわけにもいかないので、セッティングの手間もかかる。

大きい三脚で遠くから狙いをつけてみた
でもやっぱり邪魔。このままでは室内サイクリングもままならない

三脚を使わずにうまく設置する方法はないか、と考えて次に採った策が、モニターアーム用のカメラマウントに取り付けるという方法だ。長尾製作所の「モニターアーム用VESAカメラ&マイクマウント NB-MV001MH」というものを使用した。

これはかなり理想に近いイメージで機能してくれた。元々2つのモニターを同時装着できるデュアルモニターアームを使っていて、一方のアームが使い切れていなかったのだ。

空いていたデュアルモニターアームの片一方
ここに長尾製作所の「モニターアーム用VESAカメラ&マイクマウント NB-MV001MH」を取り付ける

Webカメラを使用するときは、モニターの裏側に回すようにアームを動かすだけでほぼ自分の正面に来る。あとはスイッチオンだけで使用可能だ。Webカメラを使わない時は、やはりアームを動かして元の場所に戻すだけ。モニターを遮ることもないし、ちょっとしたカメラ向きの変更なんかも簡単である。

うまい具合にモニターの背面にセットできる。いい感じだ
使わないときは横に放っておくのも簡単

しかしだ。当たり前なのだが、よく考えるとせっかくのモニターアームがもったいないような気がしなくもない。実は25型のモニターが1台、予備みたいな感じで眠っていたのである。どうせならこれを使ってあげた方が、せっかくのデュアルモニターアームも浮かばれるというものではないか。

今あるモニターアームを使うことなく、メインモニターの背面にアクションカムを設置するにはどうすればいいのだろう。もう1個モニターアームを導入するしかないのか。でもそうするともっとデスクスペースが狭くなるなあ……。

などと思っていたのだが、ふと目に留まったのが、余っていたGoProの接着マウント。GoProマウントから(アクションカムが備える)三脚穴に変換するマウントもある。なんだ、これをモニターの背面に貼り付ければ万事解決ではないか!

結局、GoProのマウントを駆使してモニター背面に接着
GoProマウントのおかげで微調整も可

そんなわけで、最終的には両面テープでアクションカムを固定するというずいぶんレガシーな方法を採用することにしたのである。三脚やモニターアームを使うよりずっと省スペースだから、常時固定でも問題ない。ただ、給電し続けるのはあまりよろしくないので、通電をオンオフできるUSBケーブルも組み合わせた。

通電をオンオフできるUSBケーブルも使っている

2021年もきっと、このアクションカムがWebカメラとしてオンライン会議・取材に活躍してくれることだろう。ちなみにマイク絡みのところは一切触れてこなかったが、キャプチャーユニット経由ではアクションカムのマイクの音声がうまく入力できない。なので、こちらも頭を悩ませているところなのだが(現在進行形)、それはまた別の話……。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。