プレイバック2020
M1のMacBook AirとDaVinci。作業環境を一変させたこの1年 by 小寺信良
2020年12月25日 08:15
今年1年を振り返るこの企画も、もう何年目だろうか。筆者の場合1年を振り返ってもあんまり波風のない人生を歩んできたが、今年ほど書く事が一杯ある年はなかった。
昨年意を決して故郷の宮崎に転居、サラリーマンとライターの二足のわらじを履いてきたが、今年6月に会社を辞めて専業ライターに復帰した。そのあたりの事情はここに記事にしているので、ナンダナンダと思った方はご覧いただければ幸いである。
ここ数年、引っ越しやらなにやらで結構お金がかかっているので、執筆・動画編集用機材もずいぶん更新しないままズルズルと来てしまった。昨今はカメラレビューでも4K/60PやHDRが当たり前となり、今年はついに8Kで撮れるカメラも出てきたので、本格復帰にあたって新しいパソコンが欲しいと思っていたのだが、そんなタイミングで発売されたのが一連のSilicon Macであった。
ラインナップとしては、Mac Mini、MacBook Air、MacBook Proがある。コストパフォーマンスに長けてるのはMac Miniだ。10万円以下で買えるなら確定申告で減価償却しなくてもいいな、とか、昔みたいにしょっちゅう取材で外に出る事もないだろ、とか色々考えたが、モノとしてどうなんだ、というところがある。デスクトップマシンは、目に付くところに置いて触ったりする機会が少ないのが難点だ。
加えて最近は、取材では外に出なくても、極力場所を変えて仕事したいという気持ちが強くなっている。好き好んで家にいるのと、外圧によって家から出られないのとでは、ストレスの度合いが違う。どうしようか悩んだが、やはり持ち出しを前提、コストバランスも考えてMacBook Airを選択した。
いつも使っているアプリが動かなかったら困るなと思いつつの決断だったが、案外すぐにネイティブアプリが出てきて助かった。特に購入後すぐにFinal Cut Proがネイティブで動いたのは助かったところが大きい。
甦る編集マン魂
Silicon Macの発売は11月17日だったが、その1週間前に発売開始されたのが、「DaVinci Resolve Speed Editor」だ。これはBlackMagic Designの編集ツール「DaVinci Resolve」用の専用コントロールパネルである。単体でも買えるのだが、キャンペーンとしてDaVinci Resolve Studio17(3万5,980円)を買うと、無償で付いてくるという。
DaVinci Resolveには無償版と有償版の「Studio」があるが、無償版でも今は4K編集ができるようになっている。ただ無償版ではHDR系のツールが使えないという制限がある。以前からStudioは買ってもいいなと思っていたのだが、Final Cut Proでも結構な事ができるため、なかなか踏ん切りが付かなかった。だがSeed Editor単体の価格も3万5,980円なので、どうせならこのキャンペーンの時期に買ってしまうことにした。
DaVinci Resolveは、そもそもカラーグレーディング用のツールだったのだが、現在では編集機能や特殊効果、MA処理など色々な機能を追加していって、映像制作に関わる全部のプロセスを1つのアプリで賄えるようになっている。どちらかと言えば映画制作等を想定した作りだが、2019年のNABで発表されたDaVinci Resolve16には、スピーディにビデオ編集を行なう為の「Cut」という機能が追加された。Speed Editorは、このCutでの作業効率を上げるためのものだ。
こうした専用コントローラは、テープ編集時代によく使っていたものである。筆者がテレビ業界に入って最初に使った編集機「CMX340X」はすでに稼働しているものはなく、当時使っていたキーボードも資料がほとんど残っていないが、キートップをカスタマイズできる専門店に依頼して、CMX配色を再現したキーボードを作ってもらったりもした。
今年はそんな風に自分のルーツを再確認するようなことをやっていたので、Speed Editorの登場も非常にタイムリーだった。
これまでDaVinci Resolveは、機能確認のために無料版を軽く使ってみたぐらいで、本格的に使うのは初めてである。Speed Editorを使っても、まだガンガンに効率が上がるというレベルにまでは到達していないが、やはりハードウェアパネルを使って映像を操作するのは面白い。
今年ははからずも、ビデオ編集魂が再燃した今年であった。来年は映像コンテンツ制作にも力を入れていきたいところである。