プレイバック2020

クルマからSTAX静電型ヘッドフォンまで、意外にいろいろ買ってた1年 by 野村ケンジ

アルファロメオ・ジュリエッタ

2020年は世界中が普段と全く違う状況になってしまい、個人的にも計画していたことがいくつも“とりあえず保留”になってしまっている。それらは、「2021年には実現させたいゾ!」とは考えているものの、まだまだ世の中は予断を許さない状況が続きそうなので、その様子をうかがいつつ着々と準備を進めていこうとしている状況だ(といってもたいした企画ではなかったりする)。

一方で、予定通りに実行したこともいくつかある。そのひとつが、クルマの購入だ。

昨年の「プレイバック2019」では、クルマの購入予定を1年間違えていたため貯金をかなり散財してしまったことを紹介したが、2020年はいよいよクルマを買う年! ということで昨年末からコツコツ貯蓄を積み上げて、とうとう手に入れましたよ、アルファロメオ・ジュリエッタを。

以前から、とても気に入っていたんですよね、ジュリエッタ。特にその佇まいが。最新トレンドからするとちょっと古いデザインかもしれないけれど、可愛らしく、それでいてエレガント。そして、走りもまずまずで、大いに満足している、おもに奥さまが。はい、実はもう一台、仕事用に使っているシトロエン・ピカソがあるため、野村ケンジのメインカーはこちらになってしまい、ジュリエッタはほぼ奥さま専用カーと化していたりする。とはいえ、夫婦ともに大変お気に入りなクルマなので、長く乗り続けたいとは思う。

ということで今年は散財なし、「プレイバック2020」記事はこれにて終了、といいたいところだが、振り返ってみると思っていた以上にいろいろなモノを入手していたり。

左からag「TWS04K」、Technics「EAH-AZ70W」、MASTER & DYNAMIC「MW07 PLUS」

たとえば、すっかりイヤフォンのメインスタイルに躍進した完全ワイヤレスイヤフォンでは、ag「TWS04K」やTechnics「EAH-AZ70W」、MASTER & DYNAMIC「MW07 PLUS」あたりが特に気に入っている。ANC(アクティブノイズキャンセリング機能)付きで1万円を大きく下まわる良コスパ製品、Mpow「X3 ANC」も大いに魅力的だ。12月末に発売されるAVIOT「TE-BD21j-pnk」も入手予定で、JポップやJロックにピッタリの気持ちいいサウンドを聴かせてくれる点がオススメだ。

そうそう、2020年の完全ワイヤレスイヤフォンはANCがひとつのキーワードとなっていたが、個人的にはまだまだ発展途上といった印象が強く、ソニーとボーズ製品以外は音楽優先チューニングに徹している製品のほうが好ましく思えた。

左からShanling「M6 Pro」、Astell&Kern「A&norma SR25」、HiBy「R3 Pro」

一方で、DAP熱も収まらなかった。4.4mmバランス端子の音質はもとより、(Android OS搭載による)安定したBluetooth接続も気に入ってShanling「M6 Pro」を入手。また、エントリークラスのリファレンス機としてHiBy「R3 Pro」を、ミドルクラスのリファレンス機としてはAstell&Kern「A&norma SR25」を導入している。特に「A&norma SR25」はなかなかのお気に入り。Androidベースの独自OSが進化し(SP2000ライクのメニューになった)、操作の応答性が格段に良くなったほか、動作そのものも随分と安定している。

A&norma SR25

さらに、約21時間という連続再生、約2.5時間(5V/2A)という充電時間も嬉しいポイント。これは、再生時間の長さに定評のあったウォークマンZXシリーズを上まわるスペック。さらに、拡張機能のV-LINKも充実してYouTubeやSpotifyなども楽しむことができるなど、格段に魅力的な製品へとアップグレードしている。

STAXの「SR-L700 MK2」

そして、好きだから買っちゃうのはしょうがないじゃない!? ということで今年も開放型ヘッドフォンを入手。製品は、STAXの「SR-L700 MK2」だ。

なんで今さらSTAX、と思うかもしれないが、実は静電型ヘッドフォンもSTAXも今回が初めての購入だったりする。というのも、以前から気にはなっていたものの、入手するきっかけが掴めずにいたからだ。幸運にも現在あるSTAX製品ほぼ全モデル聴かせて貰える機会に恵まれ、やっぱ静電型いいな、やっぱSTAXいいなという思いが高まり、購入させていただくことに。

STAX製品といえば、静電型ドライバー(STAXでは発音ユニットと呼ぶ)ゆえに専用ヘッドフォンアンプ(STAXではドライバーユニットと呼ぶ)が必要となるため、価格的にもハイエンド級というイメージが強いかもしれないが、実際は67,500円のセットが用意されるなど、幅広いラインアップを取り揃えていたりする。

とはいえ、現在のほぼ全モデルを一斉試聴させてもらった結果、どうしても「SR-L700 MK2」が欲しくなってしまった。しかしながら、冒頭に述べたように、今年はクルマを買ってしまったため予算に余裕がない。そこで、組み合わせるヘッドフォンアンプをハイコスパな「SRM-353X」にすることでトータルコストを抑制。昨年購入したfinal「D8000 Pro Edition」やオーディオテクニカ「ATH-ADX5000」よりも安価な、定価ベース229,000円に収めることができた。

まだ製品は到着したばかりなので開封もできていないが、2021年はこの「SR-L700 MK2」で趣味の音楽鑑賞も復活させたいな、と思っている(ここ10年は聴覚保護のためもあって仕事以外で音楽を聴く時間がほとんどない寂しい日々を送っている)。

Brise Audioの「NAOBI-LE」

もうひとつ、試聴取材で気に入って購入に踏み切った製品がある。それは、Brise Audioの「NAOBI-LE」だ。同社のリケーブル製品新グレードとなる“LE”ラインアップのひとつだが、軽快でキレの良いJポップ、アニソンなどと抜群に相性の良いサウンドを聴かせてくれたうえ、取り回しも良好。これは是非手元に置きたいと考え、こちらも購入することに。ちなみに、端子のバリエーションはMMCXに加え、“ヘッドフォン用”A2DC端子も注文している。

というのも、「ATH-ADX5000」用のオプションXLR 4pinバランスケーブルはウッドハウジングのポータブルヘッドフォン「ATH-WP900」にも使用できるが、「ATH-WP900」付属の4.4mmバランスケーブルは「ATH-ADX5000」に使用できないからだ。

実は、オーディオテクニカのA2DC端子は、基部の径が2タイプあって、太い基部のケーブル(おもにイヤフォンに使われている)は細い基部を採用するヘッドフォンに使用することができなくなっているのだ。これがまた、外に持ち出すケーブル類をなるべく少なくしたい試聴仕事には大変不便だったので、今回ヘッドフォン用A2DC端子の「NAOBI-LE」を特注することにした。こちらは特注品を先日注文したばかりなので到着はまだだが、「ATH-WP900」のサウンドにどういった変化が起こるのかも含めて完成が楽しみだ。

ということで、2020年はやや停滞しつつも、結果的にはいつもの年と大差ない散財状況だったような気がする。まあ、そうそうクセは改められないということで。来年はどんな“買いたい”製品が登場してくるのか、いまから楽しみだ。

野村ケンジ

ヘッドフォンからホームシアター、カーオーディオまで、幅広いジャンルをフォローするAVライター。オーディオ専門誌からモノ誌、Web情報サイトまで、様々なメディアで執筆を行なうほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNセレクト」コーナーにアドバイザーとしてレギュラー出演したり、レインボータウンFMで月イチ番組のコーナー・パーソナリティを務めるなど、様々なメディアで活躍している。最も得意とするのはヘッドホン&イヤホン系で、年間300モデル以上の製品を10年以上にわたって試聴し続け、常に100製品以上を個人所有している。一方で、仕事場には100インチスクリーンと4Kプロジェクタによる6畳間「ミニマムシアター」を構築し、ステレオ用のプロフェッショナル向けTADとマルチチャンネル用、2系統のスピーカーを無理矢理同居させている。