プレイバック2021

8年ぶりのタブレット「Fire HD 10 Plus」が毎日めちゃくちゃ活躍 by 日沼諭史

10型タブレット「Fire HD 10 Plus」

初めて購入したタブレットは2013年、Googleの「Nexus 10」だった。最初のうちは「めっちゃサクサク高性能やん!」と感動していたのだが、時間がたつにつれ動作がどんどん重くなり、バッテリーがもたなくなって、起動もしなくなったので数年で押し入れの肥やしに。日進月歩のスマートデバイスの世界、新しいOSやアプリが登場するとともにハードウェアが陳腐化していくのは仕方のないところか……。

押し入れから掘り出してきた「Nexus 10」。一応電源は入ったが、バックライトがチカチカ点滅するし、スタートアップアニメーションをずっと繰り返すのみ

それ以来タブレット不在の時代が続いていた我が家。ただ、10型クラスのタブレットがあればやっぱり何かと便利だよなあ、と感じる日々は続いていた。とりわけここ1、2年はほとんど毎日欠かさず室内サイクリングに励んでいることから、そのトレーニング中に動画を見て時間をつぶしたいと思うようになっていたのだ。

室内サイクリングにはZwiftというバーチャルサイクリングソフトを使っていて、その画面ももちろん見るけれども、注視しなければならないのは全力で走るレースイベントくらいなもの。それ以外のワークアウト的に一定の負荷で走るようなときは他のことをしている余裕があるので、だったら動画を見たい。いつも1時間前後は走り続けるから、その間何もしないのはむしろもったいないわけで。

本気で走るのはこういうレースイベントくらい。SST(スイートスポットトレーニング)と呼ばれるトレーニングや回復走のときは動画を見るくらいの余裕はある

それじゃあどのタブレットを選ぶか。10型クラスと一口に言っても種類がありすぎるし、性能によって当然のことながら値段にも大きな差がある。仕事用のノートPC代わりにもしたいとか、ゲームをガンガン遊びたいとか、そういう使い方を想定しているなら値の張るハイスペックモデルを選ぶ必要があるだろう。

けれども筆者の用途はほぼ完全に動画のみ。あとはせいぜいWebを少し見るくらいである。YouTubeとかNetflixとかの動画再生をそつなくこなせる程度のスペックで、できるだけ安価なものでいい。でも、あまりに安価なものはOSアップデートなどの面で期待できず、すぐに使い物にならなくなることも考えられる。デバイスとして長く使えるかどうかは重要だ。いわゆるサステナビリティってやつである(違う)。

そんなわけで、しばらくはAmazonで候補となりそうなタブレットを見つけたら「ほしい物リスト」に追加しつつ、いやでも動画のためだけに3万も4万も出せないわなあ……と悩んで購入に踏み切れずにいたのだが、2021年5月に発売された「Fire HD 10 Plus」がバッチリ琴線に触れてしまった。ストレージ32GBのモデルは1万円台後半という安さ。メモリ4GBは今どき少ない気もするが、動画再生だけならきっと問題ないだろう。Amazonの製品ならそれなりに継続的なアップデートもあるはずだ。

ということで、純正ワイヤレス充電スタンドと一緒に合計2万2,980円で購入。室内サイクリング中に視聴しやすいよう、自転車のハンドルに固定するためのタブレットホルダーも入手して、自転車をこぐときも快適に動画を見られるようにした。結果、予想していた以上に毎日動画を見ている。ハンドルからの距離を考えると、5~6型のスマートフォンは画面が小さすぎて楽しめないが、10型タブレットはちょうどいい。自転車に乗りながらの動画視聴にまさにベストなサイズだと強く主張したい。

室内自転車のハンドルにタブレットホルダーを装着
そこにFire HD 10 Plusをセット。これでバーチャルサイクリングしながら動画を快適に見られる

そして汎用スタンドで横になりながら視聴するスタイルは、就寝前の定番の使い方になった。全身脱力しながら動画を楽しみ、そのまま寝落ちできることのなんと幸せなことか。これも10型タブレットだからこその快適さ。不意に落下する危険性がゼロではないのでおすすめはしないが。

連載「体当たりばったり」でも紹介した、布団で寝ながらタブレットの図

ちなみにFire HD 10 Plusに不満が一切ないわけではない。たとえばBluetoothイヤフォンを併用していると、動画再生中に断続的に音声が途切れる症状が時々現れる。画面をタッチするとなぜか直ったり直らなかったりするので、よくわからない。何度かOSアップデートはあったが、一向に改善しないのでメモリ不足が影響していそうな感じもする。

また、画面が大きいこともあって室内サイクリング中の乗車姿勢によっては汗がかかりやすい。防水(耐塩水)仕様だと理想的だったが、それは無い物ねだりなので、タブレットホルダーのアームを数cmほど延長しようかなと考えているところ。

あとは純正ワイヤレス充電スタンド。なぜこんなにもデカいクセに畳めないのか。本体を立てかけるだけで充電できるのは楽ちんでも、室内を持ち運んで使うのには向かないし、使っていないときに恐ろしく場所をとるのも気に入らない。純正ではない汎用ワイヤレス充電器でも良かった気がする。

このデカいワイヤレス充電スタンドはもうちょっとなんとかならなかったのか

Android OSをベースにしていながらGoogle Playに標準で対応していないのもネックに感じるところかもしれない。そのあたりは目をつぶるしかないが、動画再生用途に限れば不便を感じることはたぶんないはず。Amazonのアプリストアがもう少し充実してくれればな、と思わないこともないけれど、ハードウェアとしての寿命がくるまで、2022年以降もFire HD 10 Plusはきっと毎日活躍してくれることだろう。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。