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小型でサクサク動作“ちょうど良い”が詰まったストリーマー「WiiM Ultra」をTVに繫いで推し活捗る
- 提供:
- エミライ
2024年12月20日 10:00
テレビの音を良くするために、2019年に発売されたAmazonの「Echo Link Amp」(36,980円)を、テレビとスピーカーに接続している。録画した番組やNetflix、Prime Videoの再生で使っているのだが、出だしの部分の音が出なかったり、無音のシーンがあるとその後の音が出なかったりと、使い勝手がイマイチ。とはいえ、そこまで音が悪いわけでもなく、今まで使い続けていた。
そんなEcho Link Ampも登場から5年。音楽配信サービスも一般的になり、もっと良い音で、便利に使えるシステムが欲しくなってきた。ただ、あまり高価なネットワークプレーヤーやスピーカーには手が出ない。そこで目をつけたのが、HDMI ARCも搭載したWiiMの音楽ストリーマー&デジタルプリアンプ「WiiM Ultra」だ。
パワーアンプは搭載していないので、別途アンプを用意するか、アンプ内蔵のアクティブスピーカーを接続する必要がある。ちょうど、オーディオテクニカから直販価格29,700円と手が届きやすいアクティブスピーカー「AT-SP3X」が登場した。WiiM Ultraが実売約56,925円なので、全部合わせて86,625円と、10万円を切る組み合わせだ。
結論から先に述べてしまうが、この組み合わせのコンパクトさ、WiiM Ultraの使い勝手の良さ、今まで感じていた「こんな機能があれば良いのに」を全て叶えてくれる“ちょうど良い”システムができあがった。
WiiMとは?
まず、WiiMブランドのことはご存知だろうか。カリフォルニア州ニューアークに本社を構えるLinkplay Technologyの自社ブランドで、同社はGoogle、Broadcom、InterVideo、Harmanなどの企業出身の経験豊富な技術起業家たちによって2014年に設立され、世界各国にもオフィスを構えている。
Harman、JBL、Yamaha、Marshallなどの著名ブランドのスマート製品向けに、最先端のワイヤレス技術、ソフトウェア、ハードウェアなどを開発/提供しており、マルチルームストリーミング、Amazon Alexaなどの音声アシスタント、IoTの統合に特化したワイヤレスオーディオソリューションを提供するなど、ソフトウェアおよびハードウェア分野での豊富な経験を持っている。
要するに、オーディオメーカーに向けてネットワークプレーヤー機能などを提供する“縁の下の力持ち”的な企業であり、それゆえ、ストリーミング、オーディオ、ソフトウェア、ハードウェアで高い技術を持っている。
そんな彼らが、自分達のブランドで、コスパの良い製品を作ろうと立ち上げたのが、「WiiM」ブランドというわけだ。
アプリで簡単セットアップ。入出力をアプリで制御できるのも良い
今回借りたのはシルバーのモデル。外形寸法は200×211×72mm(幅×奥行き×高さ)。前面の小ささからすると奥行きはそこそこあるが、それでもフルサイズのコンポと比べると十分コンパクトだ。そして箱から出してみると、想像よりも軽くて驚く。パワーアンプ内蔵の機種を使うことが多いので、この筐体を見たときも金属の塊を持ち上げるようなつもりになっていたのだが、重量は1.42kgで片手で運べるほど軽い。
入力端子はARC対応のHDMI、RCA、光デジタル、フォノ。出力側はRCA、光デジタル、同軸デジタル。そのほかUSB、LAN端子と、サブウーファー用の出力や、トリガー出力、グランド端子も備えている。
ストリーマーなので、音楽配信サービスを聴くのがメインだが、その前に、今まで通りテレビに繫いで試してみる。テレビのARC対応のHDMI端子と接続。スピーカーにはRCAで接続する。WiiM Ultraに電源コードを繫ぐと、画面にアプリから設定するよう表示される。
スマホにアプリを入れると、接続候補にWiiM Ultraが表示され、選択したらすぐにBluetoothで接続。次に入力出力関係の設定画面が出たので、入力端子は「HDMI」、出力には「ライン」を選択。その後、Wi-Fi設定、アップデートの確認、再起動と進むのだが、5分もかからずに終了。最後にリモコンのペアリングやレイテンシの自動測定もあるのだが、これも込みですぐに使える状態になった。オーディオ系の機器で体験したことのないセットアップの早さだ。
また、WiiM Ultraには自動反響補正(RC)機能も搭載されている。接続したスピーカーからテスト用の音を出して、部屋の反響を測定し、それに合わせて再生する音を自動で調整してくれる機能だ。AVアンプで似た機能は存在するが、新規メーカーで、しかもこの価格帯のストリーマーに搭載されているのはスゴイことだ。
さっそくテレビの電源を入れると、テレビの内蔵スピーカーでそのまま聴くときと同じタイミングで音声が出てくる。今まで使っていたものが、ワンテンポ遅れて音が出てきていたこともあり、このレスポンスの良さがすでに嬉しい。
録画番組の再生時も、CM部分をスキップしても、静かなシーンを挟んでも、音が消えることなくしっかり再生される。そんなこと当たり前では? と思うかもしれないが、サウンドバーなどでも、製品によっては冒頭の音が消えてしまったり、静かなシーンを無信号と勘違いして無音になって次のセリフが聞こえなかったりといったことが実際にあるのだ。
この“当たり前に音が再生されること”は大事なことだと思う。当たり前だと思っていることができなかったときの、製品に対する失望感とストレスは結構大きい。毎日使うモノであるとなおさらだ。
ヘッドフォン端子に挿しっぱなしでもスピーカーから出力できる!
最初の設定で行なった、入出力の項目はアプリからいつでも切替可能。この切り替えも、アプリからできるのが気に入ったポイント。この便利さは、オーディオ機器というよりも、かゆいところに手が届くガジェットといった印象だ。
筆者はよく友人とDiscordで通話しながらテレビを観るのだが、この時にスピーカーで再生してしまうと、テレビの音を通話用のマイクが拾ってしまい、相手にテレビの音まで届いてしまう。通話越しの音声は微妙に時間差があるので、通話からテレビの音が聞こえると、本人が部屋で聞いているテレビの音と混ざって、不快な感じになってしまう。
そこで筆者はテレビの音をPC側に取り込み、ミキサーソフトでDiscordやPCの音声とテレビの音声を同時に聴ける環境を作っている。この環境を作るのもなかなか手間で、テレビやテレビに繫いでいるアンプのヘッドフォン出力にオーディオケーブルを接続して、PC側に接続したオーディオインターフェイスのマイク入力から取り込む形になる。これをミキサーアプリでまとめている状況だ。
ここで便利なのが、WiiMの出力先を選択できる機能。テレビ本体や一般的なアンプは、ヘッドフォン端子に接続すると、その端子が優先されて、スピーカーなど別の出力から音が出なくなってしまうことが多いが、WiiMの場合はヘッドフォン出力にケーブルを差しっぱなしの状態でも、出力先を切り替えるだけで、繫いでいるスピーカーから音が出る。プラグや端子側の摩耗も気にせず、繫ぎっぱなしにしておけるのは嬉しい。テレビとの接続において何より「便利さ」を重視しているので、この仕様は歓迎だ。
コンパクトでもしっかり鳴る。求めていた“ちょうど良い”がテレビと相性抜群
WiiM UltraとAT-SP3Xの組み合わせは、どちらもコンパクトでテレビの近くにも置きやすいサイズ感。50型のテレビと組み合わせると、ちょっと心許ないようにも見えるが、音を出してみると思いのほか低域までしっかりと響き、まったく不足感は無い。
AT-SP3Xは2ウェイのコンパクトなスピーカーだが、このサイズから驚くほどしっかりした音が出る。音色も癖が無く、ニュートラルなので、使いやすいアクティブスピーカーという印象だ。
思った以上に力強く鳴るので、設置したスピーカースタンドまで響いているようなぼわぁとした低音が気になる。そこでインシュレーターを挟んだところ、余分な響きが抑えられ、定位感も改善。音がテレビ画面からまっすぐ出ていると感じられるようになった。
WiiM Ultraには入力ソースに合わせて設定できるEQも備えている。グラフィックEQ、パラメトリックEQの2種類の設定方法に、プリセットも豊富に備えている。映画を楽しむ時は、少し低域を持ち上げるなど、ここで好みの音に追い込んでいくのも良い。
NetflixやPrime Videoなどのコンテンツは、やっぱりテレビの大画面で観たい。別の部屋にサラウンド環境もあり、映画を楽しむ時はそちらを使うのだが、アニメやドラマ、YouTubeでVTuberのライブを観る時は、この2chの環境を使っている。アニメやドラマを楽しんでみたが、2chでもクオリティが高いので、十分満足感が得られる。
とくにYouTubeのライブ映像はサブウーファーなしでも十分に楽しめる。筆者は、9月に3Dアバター化を果たしたhololive DEV_IS ReGLOSSの3D LIVE「Reach the top!」をよく観返しているのだが、キレッキレのダンスを披露する轟はじめ(番長)のシーンはとくに、テレビ大きな画面とスピーカーで迫力マシマシで聴くのが最高だ。
Nintendo SwitchやPS5もこのテレビで楽しんでいるが、ゲームの音も、今までより低域に厚み出て、臨場感がグッとアップした。PS5では「崩壊:スターレイル」を片手間にオート周回していたりもするのだが、好きな声優が務めているキャラの必殺技ボイスが迫力のある音で聴こえると、作業的なプレイでもちょっと楽しくなる。
わかりやすいアプリで音楽配信を楽しむ。デスクトップでも“ちょうど良い”サイズ感
メイン機能が後回しになったが、音楽配信サービスもWiiM Ultraで直接再生できる。ここで注目なのが、WiiMアプリの完成度の高さだ。ブラウザタブにAmazon MusicやSpotifyなど使用できるアプリが一覧になっていて、わかりやすい。対応のサービスはこのほか日本未サービスのものも含まれるが、TuneIn、Deezer、iHeartRadio、Tidal、Napster、Pandoraなど。
初めて使う時にログインしてしまえば、その後はスムーズに使用できるので、登録しているサービスは全てログインしておくと便利だ。
アプリからの制御もレスポンスが良く、WiiMアプリから操作すればすぐにWiiM Ultraから再生される。Echo Link Ampやそのほかのスマートスピーカーも似たようなことはできるが、Amazon Musicアプリから再生するとまずスマホから音が出て、そのあとに出力先のアイコンを押してスピーカーに変更して……といった一手間発生する事もあり、それがストレスになっていた。
WiiMアプリの場合は、音楽配信サービスで目当ての曲を検索し、再生ボタンを押すだけでそのまま音楽が流れ始める。初めてこういった機器を使う人にもわかりやすいし。アプリのデザインもシンプルなので、同居している家族にも「こうやるんだよ」と説明しやすいのも良い。
本体とアプリのアップデートも頻繁に行なわれており、発売後にもどんどん新機能が搭載されたり、機能が使いやすくなっていくのも魅力だ。
今回は主にWiiMアプリからAmazon Musicを使った。Wi-Fiの環境にもよると思うが、1秒程度読み込み時間があるものの、サービス側のプレイリストや、ステーション、ランキング、新着など、Amazon Musicで提供しているプレイリストなどをそのまま選んで再生できる。自分で作成したプレイリストや、お気に入り登録している楽曲などは、楽曲一覧の項目からアクセスできた。
なお、曲やアーティストを検索して再生することはもちろん可能だが、お気に入りへの追加やプレイリストへの追加といった編集系の操作はWiiMアプリからは行なえなかった。
Qobuzも使ってみたが、こちらではお気に入りの追加やプレイリストへの追加も行なえた。Qobuzを使う際は、Qobuzアプリは開かずに、WiiMアプリだけでも完結できそうだ。選択から再生もスムーズなので、ストレスフリーで使える。
今は月額の課金していないSpotifyにログインしてみると、Spotifyはアプリから再生機にWiim Ultraを指定して再生するよう案内され、WiiM Ultraのモニターには「Spotify Connect」の表示が出て再生が開始された。サービスによって細かな挙動は違うようだ。
アプリには検索タブも備えており、ここでは曲名やアーティスト名などを各サービス横断で検索できる。筆者の場合、ログインしているAmazon MusicとQobuzでの結果に加えて、一部TuneInの検索結果も表示された。
このアプリの使いやすさに加えて、アクテイブスピーカーと組み合わせるだけで、省スペースでオーディオシステムが完結するので、デスクトップで使ったり、別の部屋で使うなど、利用シーンが広がる。
デスクトップで使う場合、USB DAC機能は無いので、PCとの接続はアナログ入力かBluetoothを利用する。WiiM Ultraの入力切替え動作がスムーズなので、PC使用時はPCの音、そうでない時はアプリから音楽配信サービスを再生と、ストレスが無い。搭載しているディスプレイもタッチパネルなので、アプリを使わず、さっと手を伸ばして入力や出力切り替えが操作できるのも便利だ。
実際に音楽配信サービスを聴いてみたが、PCを起動していなくても、スマホアプリを操作するだけで大量の音楽をたっぷり楽しめるのが良い。パソコンのファンノイズが無い、静かな部屋で聴くので、音楽そのものに集中できる。また、PCの画面に意識を奪われないのも音楽鑑賞には良い。読書のお供に音楽を流すのも良いだろう。
これはテレビと接続した時も同じで、テレビをOFFにした状態でも気軽に音楽を再生ができるので、「何か流しておくか〜」と音楽を流している時間が増える。
我が家はキッチンにもミニコンポを置いて音楽を流しているような家なので、そこに置くのも良いかもしれない。ちなみにキッチンに置く場合は水対策はもちろん、なにより重要なのは油対策だ。油の飛沫でギトギトにならないように気をつけたい。
ジャケットが大きく表示されるとグッと来る。
曲を再生するとジャケット画像が表示されるのも個人的に嬉しいポイント。スマホアプリやPCアプリでもジャケットは表示されるが、スマホもPCも大体別のことに使用してしまうので、アプリに表示されたジャケットを眺めながら曲を聴くなんてことは筆者も滅多にない。
だが、好きなアーティストの曲や推しの曲を流しているときに、そのジャケットが目に入る場所にあるとテンションは上がる。今好きな曲聴いてるぜ感を視覚情報からも得られて、メンタルが微量に回復するわけだ。
この表示はアプリの設定から変更可能で、ジャケット画像だけを配置するものと、曲名などの詳細も表示するもの、VUメーター風のものを選べるようだ。サービスによってはこのほかにも選択肢があるかもしれない。ぐっと来るものを選んでほしい。筆者はジャケットのみ一択でアルバムをヘビロテする。
ストレスフリーで“ちょうど良い”が詰まったコンパクトなシステム
ちょっといい音で配信の音楽を聴きたい、テレビの音をちょっと良くしたいと思ったときに、アンプやスピーカーを導入しようとすると、大きくて場所をとってしまうという悩みがついて回ることが多い。そんな中、今回のWiiM UltraとAT-SP3Xは本当にコンパクトなサイズで、こちらの考えている要望をちゃんと叶えてくれる、本当に求めていた“ちょうど良い”が詰まったシステムだ。
ARC対応のHDMIを搭載して、同じようなことができるものを考えるとサウンドバーも存在するが、WiiM Ultraとアクテイブスピーカーであれば、より本格的なオーディオ環境が構築できるし、アクテイブスピーカーをグレードアップしたり、さらには単体アンプとパッシブスピーカーを揃えるといった、発展させる楽しさもある。
また、WiiM UltraにはPhono入力も備えているので、レコードにも興味があればターンテーブルを買い足したり、夜はヘッドフォンを使うなど、様々な使い方に対応できる。
接続するものが増えても、アプリで入出力が素早く切り替えられるので、サクッと使えるストレスフリーな使い勝手は維持できる。少しでもストレスがあると、面倒くさくなって結局使わなくなってしまうものだが、WiiM Ultraにはそんな心配はないだろう。しかもジャケットを大きく表示してくれる画面が付いていて、推しの曲を聴くのが楽しい。
今まで使っていたアンプには不満があったので、スピーカーで聴く機会が正直減っていたのだが、WiiM Ultraはアプリでの切り替えが便利なので、普段はスピーカーで聴いて、夜やボイスチャット時はヘッドフォンにと、何の苦もなく自然に活用するようになった。レビュー用に借りたものなので、これを返却しなければならないのが悔やまれる。筆者の場合は、パッシブスピーカーも余っているので、パワーアンプも備えたWiim Ampも気になってきた。
いずれにせよ、WiiM Ultraは、オーディオの世界に踏み入れる1歩にも、省スペースに置くサブのシステムにも、便利に使えるガジェットとしても、推し活も楽しめる”ちょうど良い”が詰まった1台だ。