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「オーディオで培った技術で、ゲームを快適に」。Switch 2用アクセサリに参入、AZLA、LEPIC GAMINGの挑戦

AZLAのNintendo Switch 2用アナログスティックカバー「FitSense」、LEPIC GAMINGのSwitch 2用ハードカバー「PITA FULL COVER GRIP CASE」を装着したところ

“長年培ってきた技術が、まったく畑違いの分野で成功する”という現象がある。写真フィルムのメーカーが、主成分がコラーゲンであるフィルムの劣化を防ぐ技術を磨いていたら、「この技術、化粧品に使えるのでは?」という話になり、化粧品を作ってみたら大ヒット……なんて事もあった。それと似た現象が、オーディオ業界からゲーム業界に起こりつつある。

キッカケとなったのは、海外のオーディオブランド製品の輸入代理店を行なっているアユート。同社は、単に海外メーカーが開発した製品を日本に輸入するだけでなく、日本市場の動向などを踏まえ、メーカーに「こんな製品を作って欲しい」と要望を出したり、開発中の製品に「もっとこうして欲しい」と改善案を出すなどして、それが人気モデル誕生に繋がってきた。

そんなアユートには、当然オーディオ好きなメンバーが集まっているのが、同時に“ゲームが好きな人”も多い。あるイベントのアユートブースで、入手困難だったNintendo Switch 2が何台か置かれていたので写真を撮っていたら、「実はここにあるSwitch 2、全部社員の私物なんです(笑)」なんて話もあったくらいだ。

そんなアユートが扱うオーディオブランドの製品には、「耳に入れても、肌に負担をかけないために技術を磨いたイヤーピース」とか、「高価なポータブルオーディオ機器が傷つかないよう保護しつつ、イヤフォン端子などにはアクセスできるようにしたケース」などが存在していた。

そこでアユートは閃く。「この技術で、ゲーム機の周辺機器を作ったら、凄いものが作れるんじゃない?」……と。

この閃きから生まれたのが、イヤーピース開発で豊富な知見を持つ、オーディオブランド・AZLAが開発したNintendo Switch 2用のアナログスティックカバー「FitSense」。そして、オーディオ機器を保護するレザーアクセサリーのDignisが立ち上げたゲーミング用ブランドLEPIC GAMINGのSwitch 2用ハードカバー「PITA FULL COVER GRIP CASE」だ。

AZLAのNintendo Switch 2用アナログスティックカバー「FitSense」
LEPIC GAMINGのSwitch 2用ハードカバー「PITA」シリーズ

イヤーピースで培った技術が、指に優しいスティックカバーに。FitSense

AV Watch読者には説明不要かもしれないが、AZLAは、イヤーピースの開発/製造においてトップレベルの技術と知見を持つブランドだ。

これまでも、「SednaEarfit」シリーズとして、素材に医療用LSRシリコンや、ドイツ製プレミアムLSR素材、体温で変形して耳穴にフィットするTPE(熱可塑性エラストマー)など、様々な素材を活用。

耳穴によりフィットさせるために、耳に触れる部分に向かうほど厚みが薄くなるテーパード型構造を独自に開発したり、傘の部分に柔らかい素材を使いつつ、軸の部分は硬い素材で構成する二重構造など、多彩な技術を持っている。

体温でしだいに柔らかくなり、指先に伝わる反発が弱く、フニャッとした感じになるイヤーピース「SednaEarfit XELASTEC II」

“耳に優しいイヤーピースを作れるなら、指に優しい製品も作れるのでは?”。アユートがAZLAに「Nintendo Switch 2のアナログスティックに取り付けるカバーを作れないか?」と提案して生まれたのが「FitSense」だ。

指紋や汚れが付きにくい特殊なアンチダストシリコン採用のアナログスティックカバー「FitSense」

ただ、いくら技術力があるからとはいえ、「作れない?」「はい、出来ました」と、すんなり完成したわけではない。そこには苦労と試行錯誤の繰り返しがあった。

実はAZLAは、プロゲーミングチームを自前で抱えるほど、ゲームにも近いブランドで、ゲーミングイヤフォンやキーボードなどのゲーミング関連製品も手掛けている。「イヤーピース開発を通じて蓄積してきたシリコン素材に関するノウハウを活かし、差別化されたゲーミングギアを生み出したい」という思いは、以前からあったそうだ。

FitSenseは、写真を見るとわかるように、外側と内側で異なるシリコンを使っている。内側の黒い部分は硬度が高いシリコン、外側の指が触れる部分は柔らかいシリコンになっている。指が触れる部分は、当然、柔らかい方が指への負担が少ない。かといって、カバー全体を柔らかいシリコンで作ってしまうと、スティックを覆う部分も柔らかくなってしまうため、力を入れて操作した時に、カバー全体が変形し過ぎてスティックから外れてしまう可能性がある。そこで、イヤーピースで培った二重構造設計が活用できたというわけだ。

内側の黒い部分は硬度が高いシリコン、外側の指が触れる部分は柔らかいシリコンになっている
内側の硬度を高くすることで、スティックからカバーが外れにくくしている

しかし、開発には課題もあった。AZLAによれば、イヤーピースのように硬い下部構造と柔らかい上部構造を用いることで外れやすさを改善できたが、「操作感が鈍くなる問題があった」という。そこで、下部構造を上部内部まで延長することで、柔らかい上部構造を補強する設計にして、装着感と操作感を同時に改善したそうだ。

下部構造を上部内部まで延長することで、柔らかい上部構造を補強する設計にし・装着感と操作感を同時に改善した

さらに、二重構造を実現するため、当初は一般的なインサート構造を検討していたが、インサート工程で仕上がり品質の課題が発生たため、1つの金型で生産する一体型金型構造を採用。完成度を高められたという。

指に触れる柔らかいシリコンにも工夫がある。指紋や汚れが付着しにくくしているが、ツルツルの素材では指がすべって操作しにくい。そこで、指にくっつく適度な摩擦力を備えながら、汚れは付着しにくい、特殊なアンチダストシリコンを使っている。お菓子などを食べた手で触っても汚れが付着せず、しかも洗えるので長く清潔に使える。これも、イヤーピースで培った技術の応用だ。

こうして生まれたFitSenseは、Joy-Con 2やSwitch 2 Proコントローラーに取り付けできる。1パッケージ2ペア(4個入り)で、価格は2,200円。4個入りなので、Switch 2本体とSwitch 2 Proコントローラー両方に取り付けできる。ちなみに、PS5のコントローラーでも取り付けできるので、両方持っている人にも良いだろう。

Joy-Con 2だけでなく、Switch 2 Proコントローラーにも取り付け可能。4個入りなので、両方に取り付けられる

FitSenseを使ってみる

Joy-Con 2の純正アナログスティックに装着し、Nintendo Switch 2版のFPSゲーム「Apex Legends」や、「スプラトゥーン3」などをプレイしてみた。なお、Joy-Con 2 で使用する前には、装着後に「設定」→「コントローラーと周辺機器」→「スティックの補正」を実施するよう、アナウンスされている。

どちらも対戦ゲームなので、白熱すると、ついつい親指に力が入り(特にスプラトゥーン3)、純正スティックでは、長時間プレイすると親指の指紋の部分が痛くなる。筆者が下手で、力を入れすぎという面もあるのだが、純正スティックは外周の部分が盛り上がっているので、その段差で、親指の腹が擦れるのだ。

そこにFitSenseを装着すると、段差が滑らかになる。かといって、ツルツル滑ってしまうことはなく、不思議と親指とスティックが吸い付く。そのため、皮膚が痛くなりにくい。また、吸い付いてくれるので、過度な力が不要になるためか、親指にかける力自体も減り、楽な気持ちでプレイできるようになった。そのため、長時間プレイしても、いつもより親指の疲労は少なかった。

この、肌に優しい感触と、それでもしっかりホールドできる信頼感は、AZLAのイヤーピースを使っている時の感覚と共通していた。

オーディオプレーヤーの保護技術で、ゲーム機を保護

Astell&Kernなど、ポータブルオーディオプレーヤーやデジタル機器の保護ケースを手掛けるDignis。イタリア製の本革やアルカンターラを使った、質感とデザイン性に優れたケースを得意としつつ、ケースに入れたままの状態でも、操作ボタンや端子にアクセスできるようにする、利便性にも配慮している。

Astell&Kern AK SP3000M用のレザーケース

そんなDignisが新たに立ち上げた、ゲーミング用アクセサリーブランドがLEPIC GAMING。その第1弾製品のSwitch 2専用ケース「PITA FULL COVER GRIP CASE」(4,400円)もDignisの持つ豊富な知見や技術を応用して生まれたものだ。

Dignisで培ってきた保護ケースの技術を、Switch 2向けに活用。素材として、指紋や汚れが付きにくい耐腐食処理を施した高品質ポリカーボネートを採用することで、衝撃や傷から本体を保護している。

PITA FULL COVER GRIP CASEを装着したところ

ケースの厚みを低減。特に、ドックと接触する部分は0.7mmと薄くする事で、ケースを装着したまま、Switch 2専用ドックに固定する事もできる。背面のスタンド部分も塞がないので、ケースに入れた状態で、スタンドを使うことも可能だ。

装着したまま、背面のスタンドも使用できる

利便性にも配慮し、装着した状態で充電端子、スピーカー、各種ボタンも操作できるようになっている。特に、ケースを装着すると操作がしにくくなる(+)(-)ボタン部分には、独自のタクティカルボタンを開発・配置し、正確な操作もできるようにしている。

ケースを装着したまま、充電もできる

さらに、Switch 2は、携帯モード、片手持ち、パーティーモード時の横持ち、そしてJoy-Con 2を分離してマウスモードで使うというシーンもあるが、そうした状況でも、手に馴染むようなグリップ形状を追求している。

このケースも、開発までには苦労があった。わずかな誤差でもフィット感に大きく影響するため、まず、Switch 2実機の各パーツを1つ1つ実測し、正確な図面を作成するところから開始。測定と修正を繰り返しながら精度を高めていくのに時間と労力がかかったという。

設計で直面したのは、ケースをいかに薄く仕上げるかという課題。単に薄くすると、強度や保護性能が不足するため、素材選定と構造設計を並行して検討する必要があった。その結果、金型の修正を何度も繰り返すことになり、想定以上の試作と検証を重ねることになったという。最終的には専用の特殊金型を採用することで、薄さと強度を両立させた。

それで終わりではない。使用感を高めるための調整も必要だ。「特にグリップの設計は、単なる形状の問題ではなく、操作性と携帯性のバランスをいかに取るかが大きな課題でした。グリップを大きくすると安定感は向上しますが収納性が損なわれ、逆に小さくすると携帯性は良くなるものの、プレイ時のホールド感が不足してしまいます。加えて、2人プレイ時の使用感にも配慮する必要があり、単純な最適化では解決できない問題でした」という。そこで、様々なサイズや形状を3Dプリンターで出力。実際に手に取って検証を繰り返しながら、最適なバランスを追求したそうだ。

操作性と携帯性のバランスを最適にするために、グリップの設計を試行錯誤したという
最終的には、手に持ってみなければわからない。様々なサイズや形状を3Dプリンターで出力し、最適なバランスを追求していった

前述の(+)(-)ボタン部分も、特にRPGで頻繁に使用されるボタンで、戦闘中に素早く回復するために、押しやすくしなければならない。そこで、ケース側に専用のボタン構造を追加するだけでなく、本体ボタンに近いクリック感の再現を目指し、ボタンの高さや角度、サイズを何度も見直し、さまざまなゲームを実際にプレイしながら反応性を追求したそうだ。

ラインナップとしては、4,400円の「PITA FULL COVER GRIP CASE」は、Switch 2本体を保護するケースと、Joy-Con 2のグリップ用ケースがセットになっている。それぞれを単品でも発売しており、本体ケース単品は「PITA ULTRA SLIM CASE」、グリップケース単品は「PITA TACTICAL JOY-CON GRIP CASE」という名前。価格は各2,420円。

カラーは、グリップケースにはSmokeとNeonの2種類を用意。本体ケースはSmokeのみだ。

Neonを装着したところ。このように、装着したままSwitch 2専用ドックに固定できる

装着してみる

PITA FULL COVER GRIP CASEのSmokeを、Switch 2に装着してみた。

Joy-Con 2は、もともとがカラフルな色なので、PITA TACTICAL JOY-CON GRIP CASEを装着すると、落ち着いた見た目になる。色が変わるので「ケースを装着している」と認識はできるのだが、前述の通り、全体的に薄く作られているので、装着した後で、「Switch 2が大きくなった」という印象はあまり無い。

特に、本体部分はもともと色が黒いので、PITA ULTRA SLIM CASEを装着しても、パッと見ではわからない。事実、この記事を書くにあたって、写真を撮影していたのだが、「あれ?本体用のケースが見当たらない」と、机の上をしばらく探した後で、「あ、もう本体に装着していたの忘れてた」というマヌケな事があった。

本体部分はこのように、ケースが非常に薄い

Joy-Con 2のカバーもピッタリフィットする。しかし装着後は、Joy-Con 2の握りやすさがかなり向上する。握り心地がさらによくなると、ゲームプレイにも影響が出るものなので、“すんなり使える”のは大きな魅力だ。

グリップした時の感覚が、ケース装着後もあまり変わらない

前述の通り、ケースを装着すると押しにくくなる(+)(-)ボタンだが、PITA TACTICAL JOY-CON GRIP CASEでは、この部分が盛り上がった独自の形状にすることで、むしろケースを装着した方が(+)(-)ボタンが押しやすいという逆転現象が起きていた。

(+)(-)ボタンの部分を、あえて盛り上げる事で、押しやすくしている

また、スティック部分の可動域を考慮した幅広ホールデザインになっているので、AZLAのFitSenseを装着した状態でも全く問題がなく使用できた。

幅広ホールデザインになっているので、AZLAのFitSenseと組み合わせても、問題なく使える

今後もゲーミングアクセサリが続々登場

LEPIC GAMINGは、Nintendo Switch 2用のキャリングケースも現在開発中なのだが、これも面白い。

LEPIC GAMINGが開発中の、Nintendo Switch 2用のキャリングケース

Nintendo Switch 2本体と、ゲームソフトのカードも収納できるケースなのだが、Switch 2を取り出した後に、ケース自体が、Nintendo Switch 2のスタンドになる。

ケースの蓋の内側に、強度のある板が入っており、その板を支え棒のように展開することで、ケースを半分開いた状態で固定できる。ケースの上蓋には、Switch 2背面にあるスタンドを挟んで固定するための磁石を備えており、そこでSwitch 2の背面スタンドをホールド。これにより、キャリングケース自体を、Switch 2のスタンドとして使用できる。

内側の板を使い、ケースを“半開き”で固定できる
上蓋の磁石を使い、Switch 2のスタンドを固定
ケース全体を、“Switch 2の高さを出すためのスタンド”として使える

利点は、机などにSwitch 2を設置した時に、その高さを“嵩上げ”できることだ。Switch 2背面スタンドでは、プレーヤーが画面を見下ろすような格好になるので、長時間プレイするとキツくなってくる。

しかし、ケースで高さを稼ぐことで、目線が上がり、例えばPCディスプレイを見ているかのように、より楽な姿勢でゲームができる。ゲームだけでなく、Switch 2でYouTubeなどの動画を鑑賞する時にも活用できる。

このケースで、出張にSwitch 2を持って行って、ビジネスホテルの机にケースを介して固定して、映画を楽しむ……なんて使い方もできるだろう。

LEPIC GAMINGやAZLAに限らず、今後もゲーム関連のアクセサリーが積極的に展開される予定だという。オーディオで培った技術で、ゲームプレイを快適に。新たな挑戦は、始まったばかりだ。

<注意事項>

※Nintendo Switch 2™、Joy-Con™2、Switch 2™専用ドックは付属しません。
※本製品はオリジナル商品であり、任天堂株式会社のライセンス商品ではありません。
※Nintendo Switch 2™への対応は独自の動作検証に基づきます。
※本製品の対応検証は2025年発売のNintendo Switch 2™にて行っています。
※Nintendo Switch 2™およびJoy-Con™は任天堂株式会社の登録商標です。

山崎健太郎